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ASEAN域内の感染症問題

平成13年12月

 昨今、HIV/AIDSをはじめとする感染症の問題は、単なる保健上の問題にとどまらず、途上国の開発の重大な阻害要因、貧困削減の中心的課題として認識され、国際社会の関心が飛躍的に高まっている。ASEAN域内の感染症も例外ではなく、特に、HIV/AIDSについては、域内の緊密化、人の移動の活発化に伴い国境を越える問題として深刻の度合いを増しており、2001年11月のASEAN首脳会議の際に、HIV/AIDSに関する特別会合を開催するなど、ASEAN全体としての重要課題の一つとなっている。

1.感染症の現状

(1) HIV/AIDS

(イ) アジアにおいては、HIV/AIDSの感染者・患者数、成人感染率から見ればアフリカに比べれば低いものの、人口が多くかつ過密で人の移動も活発であることから、今後急激に蔓延する可能性がある。世界第2位の感染者・患者数を有するインド(370万人)を除けば、タイ(75.5万人、アジア第2位)、ミャンマー(53万人)、カンボディア(22万人、成人感染率は4%でアジア最大)、越(10万人)が深刻(因みに、インドネシアは5.2万人、フィリピンは2.8万人、ラオスは1,400人)。また、これら諸国と国境を接する中国で将来的に感染が拡大する可能性があることから、今後感染が更に広がる懸念がある。主な感染ルートは、性産業従事者(CSW)を介した性感染、薬物常用者による注射の打ち回しといったハイリスクグループによるものが主流であるが、CSWの感染を抑制したタイでは、学生等の若年層や夫婦間、妊婦等一般家庭へ感染ルートがシフト。

(ロ) 他方、タイは、「コンドーム100%運動」に代表される予防対策を中心とするソーシャルワクチン政策(予防教育、避妊具の徹底、地域住民の啓発等を組み合わせた総合的パッケージ)を通じ感染率を抑制させた経験があり、世界的に成功例と評されている。カンボディアではこのタイの予防対策を模倣し、効果を上げている。

(ハ) ASEANの取り組みとしては、1992年の第4回首脳会議における合意に基づき、HIV/AIDS問題に関するタスクフォースを設置。1998年には第6回公式首脳会議で採択された「ハノイ行動計画」(地域の発展等を目指す2020年までの中期ビジョン「ASEANビジョン2020」(97年の非公式首脳会議で採択)の実現のための99-2004年までの6ヶ年計画)において、同地域におけるHIV/AIDSについての情報照会ネットワークの強化を掲げている。2001年11月の第7回首脳会議の際にHIV/AIDS特別会合を開催し、HIV/AIDSに関する第7回ASEAN首脳会議宣言、及び、HIV/AIDSに関するASEAN行動計画 II(2002-2005)を採択した。

(2) 結核

 1999年の世界の推定結核患者発生数の80%を占める上位23ヶ国(結核高負担国)の中に、ASEAN地域から6ヶ国が占めており(インドネシア(59万人第3位)、フィリピン(23.4万人第7位)、越(14.9万人第12位)、タイ(8.6万人第16位)、ミャンマー(7.6万人第18位)、カンボディア(6.1万人第22位))(世界全体の14.2%)、また、罹患率ではカンボディアが10万人対560人と世界第2位であり、HIVとの重複感染も深刻となっている。ラオスもWHO西太平洋地域(WPRO)のハイリスク国に指定されている。このようにASEAN地域は世界的にも結核が深刻な地域であり、WHO(WPRO、SEARO)の推進する「ストップTB」の下でのDOTS戦略(Directly Observed Treatment, Short course:直接監視下化学療法)の実施が急務となっている。

(3) マラリア・寄生虫症

(イ)  マラリアの蔓延はメコン川流域の地域に集中し、タイ、カンボディア、ラオス、ミャンマー、越が深刻となっている。カンボディア及びミャンマーではタイとの国境沿いの森林地帯が多く見られ、国境地帯居住者、林業従事者、移民労働者、少数民族が感染のリスクにさらされている。また、多剤耐性マラリアの出現による対応も迫られている。ミャンマーでは感染症対策の中でもマラリア対策を最優先課題と位置付けている。

(ロ) この地域のマラリア対策では、メコン川流域の6ヶ国(ミャンマー、ラオス、タイ、カンボディア、越に加え中国(雲南省))を対象としたWHO主導による「メコン・ロールバック・マラリア」の下で、援助国・国際機関の協力を得つつ、2010年までのマラリアによる負荷の50%削減を目指し、対策に取り組んでいる。

(ハ) また、土壌伝播線虫、住血吸虫、フィラリア等の寄生虫症も多い。

(4) ポリオ

 2000年10月、WHO西太平洋地域(WPRO)(ASEAN地域ではフィリピン、カンボディア、ラオス、越、ブルネイ、マレイシア、シンガポール)からのポリオ根絶を宣言(南北アメリカに次ぎ2番目の根絶地域)。ASEAN地域では残されたインドネシア、タイ、ミャンマー(WHO南東アジア地域(SEARO))の根絶が課題。


2.日本の取り組み

(1) 感染症の問題に対する国際社会の関心は飛躍的に高まっており、日本が議長国を務めた2000年の九州・沖縄サミットにおいて、感染症対策を開発の主要課題の一つとして取り上げた。また、この機会に、サミット議長国及びリーディング・ドナーとして、「沖縄感染症対策イニシアティブ」(5年間30億ドル目途)を発表し、途上国の感染症対策分野での協力を強化することとしている。ASEANを含むアジア地域においてもこのイニシアティブを積極的に活用していく。

(参考)「沖縄感染症対策イニシアティブ」の下での主な具体的支援
  • ヴィエトナム:「エイズ防止計画」(無償)
  • タイ:「エイズ予防・地域ケアネットワーク・プロジェクト」、「国立衛生研究所機能強化プロジェクト」、「国際寄生虫対策アジアセンター・プロジェクト」(プロ技)
  • カンボディア:「結核対策プロジェクト」(プロ技)
  • ミャンマー:「エイズ対策血液検査特別医療機材供与」(技協)
  • フィリピン:「結核対策プロジェクト」(プロ技)


(2) また、このイニシアティブの一環として、2001年11月の日・ASEAN首脳会議において、小泉総理より、「日・ASEAN感染症情報・人材ネットワーク構想」を提案。今後、同構想の実施を着実に進めていく。

(3) マラリア・寄生虫対策では、1998年のバーミンガム・サミットにおいて日本が表明した国際寄生虫対策(橋本イニシアティブ)の具体化として、アジアにおける「人造り」と「研究活動」のための拠点をタイ(マヒドン大学熱帯医学部)に設置し(国際寄生虫対策アジアセンター)、第三国研修等を通じた域内の人材育成と情報交換の促進を進めている。

(4) ポリオ根絶については、日本は東アジア及び西太平洋地域における最大の援助国としてWPRO地域の根絶に多大の貢献を行っている。(1994-2001年のASEAN地域(越、カンボディア、ラオス、フィリピン、インドネシア、ミャンマー)に対するポリオ対策支援は18億9,500万円に上る)


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