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ASEAN+3首脳会議(概要)
平成22年10月29日
10月29日、菅総理はベトナム(ハノイ)で開催されたASEAN+3首脳会議に出席したところ、概要以下のとおり。
1.地域・国際情勢
- (1) 菅総理から、2015年までのASEAN共同体設立という当面のASEANの目標達成に向け、ASEANの「連結性」強化に向けた取り組みも含めて積極的に支援していきたい旨述べた。また、テロなど統合の進展を妨げる負の要因の除去に取り組む旨述べつつ、5月の日中韓サミットで一致した三か国のテロ対策協議も活用し、テロを含む「国境を越える犯罪分野」におけるASEAN+3協力の枠組みを一層強化する旨述べた。
各国首脳からは、ASEAN+3の枠組みが、東アジア共同体の基礎となる、東アジア地域協力の中心的な枠組みであるとして、実務的な協力関係の進展を歓迎した。
- (2) 北朝鮮問題について、菅総理は、北朝鮮内部の体制をめぐって動きがみられるとして、今後の動向や政策上の変化を注視していきたい旨述べた上で、北朝鮮にとって必要なことは、核・ミサイル開発等の問題を根本的に解決する戦略的決断をすること、そして六者会合共同声明や安保理決議に従って具体的な行動をとる必要がある旨強調した。また、国際社会全体が、安保理決議等に基づく制裁措置を着実に実施することが必要であるとして、各国に対し諸問題の解決に向けた結束を呼びかけた。
- (3) ASEAN各国首脳から、11月に韓国で開催されるG20にASEAN議長国が招待されることを歓迎するとともに、今後、かかる前例が制度化していくことに対する期待が表明された。
- (4) 菅総理より、横浜で開催されるAPEC首脳会議では、ボゴール目標達成評価の土台に立ち、アジア太平洋の将来像を共有し、地域経済統合、成長戦略に焦点を当てて具体的成果を出すべく議長としての指導力を発揮したいとして、参加国首脳の積極的な協力を要請した。
2.協力の現状と将来
(1)経済・金融
- (イ) 菅総理より、ASEAN+3の枠組みにおいて、チェンマイ・イニシアティブのマルチ化、アジア債券市場育成イニシアティブなどの具体的な金融協力が進展していることを歓迎する旨述べ、各国首脳からも、かかる金融協力の進展に高い評価と期待が表明された。
- (ロ) ASEAN+3の枠組みでのFTA(EAFTA:東アジア自由貿易圏)と、より広範な地域を対象としたCEPEA(東アジア包括的経済連携)に関する研究について、両者を並行して進めていくべきであることが強調された。
(2)食料安全保障、緊急米備蓄制度の構築
菅総理を含めほぼすべての首脳から、緊急事態における米の備蓄制度の早期実現に向けて、ASEAN+3緊急米備蓄制度の早期の構築に対する高い期待が表明された。
(3)防災協力
菅総理から、ASEAN+3の枠組みにおいて、8月に防災に関する国際会議を東京で開催した旨、また、気候変動の影響に配慮した都市・コミュニティ防災のあり方や地域協力に対する期待を受けて、具体的な協力を検討している旨述べた。各国首脳からは、自然災害への対応について地域協力の重要性が指摘された。
(4)エネルギー
菅総理から、地域におけるエネルギー安全保障の強化の必要性を指摘しつつ、エネルギー効率向上の推進と石油資源の備蓄の重要性について述べ、我が国が主導する石油備蓄の重要性に言及した。
(5)教育
タイのイニシアティブによりASEAN+3の枠組みにおいて、教育分野の協力が本格化することに対して、各国首脳より高い期待が表明された。