7月12日,カンボジア・プノンペンにて開催された第19回ARF閣僚会合の概要以下のとおり。
1 今次会合の意義
会合では,北朝鮮問題,南シナ海を巡る問題,ミャンマー等について参加国の間で率直な意見交換が行われた。
特に南シナ海をめぐる問題については,最近当事国の間で緊張が高まっていることを受け,会議を通じて,国際法に基づいた平和的な解決が重要であるとの国際社会の強いメッセージが表明された。
2 地域情勢
主要地域情勢に関する玄葉外務大臣の発言のポイント以下のとおり。
(1)朝鮮半島情勢
玄葉大臣から,4月の北朝鮮によるミサイル発射は深刻な国連安保理決議違反であることに触れつつ,北朝鮮の核開発に対して国際社会が一致して確固たる姿勢を明確に示すことが重要である旨指摘した。また,六者会合は,引き続き諸懸案の解決のための有効な枠組みだが,対話を通じた問題解決に再び取り組むためには,まず北朝鮮が具体的行動をとる必要がある旨発言した。 拉致問題については,玄葉大臣から,国民の生命・安全に関わる重大な問題であり,国際社会全体の問題である旨述べ,北朝鮮に対して前向きな対応を求めた。(これに対し,北朝鮮は,拉致問題は解決済みであるとの従来の立場を繰り返した。)
(2)南シナ海
玄葉大臣から,南シナ海を巡る問題は,地域の平和と安定に直結し,我が国を含む国際社会全体の関心事項であると指摘しつつ,すべての関係国が国連海洋法条約を始めとする関連国際法に従って主張の根拠を明確にし,いずれの当事者も一方的な行動を慎むことを含め,関連国際法を遵守することが重要である旨強調した。
(各国からは,国連海洋法条約を含む国際法規に基づいて平和的に解決すべきである旨,また,中国とASEANで協議されることとなっているCOCが早期に締結されることへの期待が表明された。)
(3)ミャンマー
玄葉大臣から、ミャンマーにおける民主化の進展の評価とともに国際社会による更なる支援の必要性について指摘した。(各国からは同様の発言とともに、加えて、ミャンマーに対して科されている制裁の早期の撤廃の必要性について言及があった。)
3 その他
会合では,今後のARFのあり方についても議論され,EAS,ADMMプラス等の他の地域枠組みとの連携の重要性,ARFを進めていく上でのASEANの中心性・統一性の重要性について改めて認識された。