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平成19年7月
(1)面積:3026万平方キロメートル(世界の22.2%)
(2)国数:53カ国(国連加盟国の27.6%)
(3)人口:9億2,500万人(世界の14.2%)(2006年)
(4)人口増加率:2.1%(2005-2010年)
(5)日本の大使館数:24
アフリカは、2004~2006年のGDP経済成長率の平均が5%を超える国が20を数え、またインフレ率も10年前の5分の1へと低下するなど、全体として良好な経済実績を示している一方で、以下の様に深刻な貧困問題を抱える大陸である。サブサハラ・アフリカはミレニアム目標(MDGs)達成に向けての進捗が最も遅れている地域。
(データ)
後発開発途上国(LDC):34カ国
1人あたり国内総生産(GDP):745ドル(2005年)*
国内総生産(GDP)年間成長率:4.3%(1998年~2006年)
1日1ドル未満で生活する人:全人口の41.1%(2004年)*
飢餓率が35%を超える国:18カ国
*:サブサハラ・アフリカのデータ
多くの国や地域において、長期にわたった内戦や紛争が終息傾向にあり、民主的選挙や憲法の国民投票の実施、国連平和維持活動(PKO)の任務完了等、開発の土台である平和と安定への第一歩が踏みだされ、和平・民主化プロセスが一層進展している。他方で、未だ紛争が継続している地域があるほか、多くのアフリカ諸国では、その平和は依然として脆弱。
(データ)
国連安保理:安保理決議の5割超がアフリカ情勢(2006年)
国連平和維持活動(PKO):予算、人員の約7割がアフリカ
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の援助対象者数:517万人(全体の24.9%)
(データ)
平均寿命:男性:48.8歳 女性:50.2歳(2005年)
エイズ(HIV):感染率上位10ヶ国全てがサブサハラ・アフリカ(2005年)
15-49歳人口の5.9%が感染(2006年)
初等教育学齢期で学校に通っていない児童 4550万人(2002年)
(世界全体の43.0%(2000年))
15歳以上の識字率 63.3%(2004年)
アフリカは、先端産業に不可欠な希少金属(レアメタル)や石油等、天然資源の宝庫であり、我が国の産業・生活にとって重要な輸入相手である。また、コーヒー・カカオ・バニラ豆等の農産物やたこ・いか等の海産物をアフリカから大量に輸入している。
(データ)
アフリカからの輸入額:1兆5,411億円(総輸入額の2.3%)
(原油、自動車、白金、たこ、鉄鉱石、ココア)(2006年)
アフリカへの輸出額:1兆994億円(総輸出額の1.5%)
(自動車、トラック、タンカー、自動車部品、エンジン)(2006年)
現在、アフリカの人口は約9億人(世界の14%)であるが、人口増加率は世界一で、2025年には世界の17%、2050年には20%を占めると推定されており、潜在的な巨大市場であると言える。
2004年現在、在アフリカの日本企業は299件。2004年の直接投資は13件、124億円である。
我が国は、アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを基軸とした積極的な対アフリカ協力を推進している。(詳細は5.参照)
国連改革、国際機関の各種選挙、世界貿易機関(WTO)交渉等においては、世界の約3割にあたる国を抱えるアフリカの動向が重要になる。特に、近年アフリカ連合(AU)の下、アフリカの統一と団結を謳って、統一的な投票行動を行うようになったアフリカはその存在感を強めている。このような観点から、我が国はアフリカと、国際社会において、我が国の理念を実現するためのパートナーとして連携するため、協議を行っている。
我が国は、日・アフリカ外交の基盤となる相互理解・相互信頼を深めると同時に、我が国の対アフリカ政策への理解と支持を得るため、元首・外相等の閣僚を始めとする要人往来や、アフリカン・フェスタ等のアフリカ紹介事業の実施、アフリカにある日本大使館における日本文化紹介事業等の相互交流事業を行っている。
アフリカ開発会議(TICAD)は、日本が主導するアフリカ開発をテーマとする国際会議であり、国連等との共催で1993年以降5年ごとに開催している。また、TICADに関連する様々な会議、取組等を総称して「TICADプロセス」と呼ぶ。我が国の対アフリカ支援の基軸となっている。
アフリカの自助努力(オーナーシップ)と国際社会の支援(パートナーシップ)、アジア・アフリカ協力、人間の安全保障、アフリカの多様性の尊重を基本理念とする。
現在は、「平和の定着(開発の前提となる持続的な平和のための支援)」、「経済成長を通じた貧困削減(貿易・投資の促進や農業・農村開発を通じた経済成長のための支援)」「人間中心の開発(保健医療や教育、食糧支援など、人々に直接裨益する支援)」の三本柱を中心に、アフリカの自立を支えるため、アフリカ自身が必要とするものを支援するとの方針で対アフリカ支援を行っている。
2005年のサブサハラ・アフリカに対する政府開発援助(ODA)は11億3,734万ドル(全体の10.9%)、アフリカ全体では11億245万ドル(全体の10.5%)※。
※政府貸付の回収額が貸付実行額を上回ったため数字がマイナスになったもの。
2005年は、アジア・アフリカ会議(1955年)から半世紀を記念し、50年前と同じインドネシアの地でアジア・アフリカ協力を謳ったアジア・アフリカ首脳会議(4月)、アフリカ問題への国際社会の取組が主要議題となったG8グレンイーグルズ(英)サミット(先進国首脳会議)(7月)、国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成状況を踏まえてアフリカ問題が中心を占める世界の貧困問題が議題となった国連首脳会合(9月)、アフリカの国々が大部分を占める後発開発途上国(LDC)に対する貿易措置が主要な論点の一つとなった世界貿易機関(WTO)香港閣僚会議(12月)等が行われ、国際社会の関心がアフリカに集まった「アフリカの年」であった。この国際社会の気運をさらに高めるため、我が国は以下のような新施策を発表し、高く評価された。
2006年4月から5月にかけ小泉総理がアフリカを訪問した際には、スーダンのダルフール地方に対する支援や感染症行動計画等の支援策を表明した。また、アフリカでの感染症等の疾病対策のための研究、医療活動において顕著な功績を遂げた者を讃える、ノーベル賞に匹敵する国際賞を目指し、「野口英世アフリカ賞」の創設を発表した。
2007年2月にはタンザニアで第4回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラムが開催され、アフリカ123社、アジア30社(うち日本企業10社)が参加、覚書ベースで過去最高の118件の商談(1億5,600万米ドル相当)が成立した。また、続く3月には、ケニアにおいてTICAD「持続可能な開発のための環境とエネルギー」閣僚会合を開催し、75カ国、約30国際・地域機関、約40団体(NGO等)から500名以上の参加を得て、アフリカ開発の文脈における環境及びエネルギー問題について議論を行った。これらの会合はテーマの取り上げ方を含め、いずれも時宜を得たものとして参加者から高い評価を得た。
近年、欧米諸国はアフリカに対する支援を急速に拡大している。国連が定めた「0.7%目標」(国民総所得(GNI)の0.7%を政府開発援助(ODA)に振り向けるという目標)の達成期限をフランスは2012年、イギリスは2013年、ドイツは2015年と定めている。また、2005年のG8グレンイーグルズ(英)・サミット(先進国首脳会議)の成果文書「アフリカ」には、2010年までに、アフリカ向けODAを年間総額で250億ドル増加させることが謳われている。