1月13日(木曜日),ドーハにおいて,拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想「未来のためのフォーラム」第7回閣僚級会合が開催され,我が国を代表し,徳永外務大臣政務官が出席した。会合では,中東・北アフリカ地域の閣僚,クリントン米国務長官などG8・パートナー諸国の閣僚,国際機関の代表に加え,市民社会団体及び民間セクター(経済界)の代表などが出席し,中東和平,中東・北アフリカの政治・経済・社会の諸問題につき議論が行われた。
徳永外務大臣政務官は,場外でスーダンのアリ外務担当国務相と会談した他,ホスト国カタールのマフムード外務担当国務相とも短時間の会談を行い,二国間関係強化について確認した。
1 日程
- 1月12日(水曜日) ワーキングディナー(門司在カタール大使出席)
- 1月13日(木曜日) 閣僚級会合(徳永外務大臣政務官出席)
2 参加国
カナダ(G8議長国)及びカタール(BMENA議長国)が共同議長を務め,我が国を含むG8及びパートナー諸国(スイス,オランダ,トルコ等),中東・北アフリカ諸国,国際機関等約40か国・機関に加え,NGO等市民社会団体及び民間セクター(今次会合からはじめて参加)からの出席があった。
3 概要
- (1) 12日に行われたワーキングディナーにおいては,閣僚級出席者間で,中東和平等について議論が行われた。
- (2)
- ア 13日に行われた閣僚級会合では,各国代表等のスピーチに加え,パネルディスカッションも行われた。
- イ 地域の発展及び繁栄のためには,表現の自由,民主的改革の促進,腐敗・汚職の一掃,教育への投資,失業問題の解決及び雇用の確保,職業訓練,ビジネス環境の構築,女性のエンパワーメント等に取り組むことが重要であるとし,政府と民間セクターを含む市民社会団体との対話の継続と,幅広い分野で相互に協力をしていくことにつき,発言が相次いだ。
- ウ 徳永外務大臣政務官からは,日アラブ経済フォーラムの開催やエジプト日本科学技術大学の設立など,我が国の諸政策を紹介するとともに, 我が国の経験に鑑み,異なる思想信条への寛容や国民の参加を認める政治制度こそが社会の安定や経済の発展につながる旨表明した。
- (3) 今回の会合では,昨年の会合で提案された,女性のエンパワーメント(女性の権利向上,就労支援等)を進めるセンターとして,ジェンダー研究所をモロッコに設立することが表明され,各国から賛意や支援表明が出された。
- (4) 次回「未来のためのフォーラム」は,G8議長国であるフランスと,BMENA議長国であるクウェートの共催で行われることが決定した。
4 評価
- (1) 「拡大中東・北アフリカ構想」は,2004年のシーアイランド・サミットにおいて米国の提唱で開始された。中東諸国の政治,経済,社会の改革努力を支援するため,これまで6回にわたり閣僚級会合が行われ,G8,パートナー諸国,BMENA諸国及び市民社会の代表等が一堂に会して,様々な問題を議論するユニークな場として,定着してきた。
- (2) 市民社会団体,民間セクターの参加者が昨年より増加し,これらの代表が,改革プロセスを進める上で,市民社会団体の果たす役割を強調していたことは重要な指摘である。