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海外交流審議会第3回領事改革部会

平成15年5月21日(水)
於:外務省仮庁舎

<会 議 開 催 概 要>

1. 日 時 5月21日(水) 15:00~17:00

2. 場 所 外務省仮庁舎1906号会議室

3.   出席者:
(委員側) 熊谷会長、大来委員、仮野委員、櫻井委員、谷野委員、中谷委員、矢崎委員、横山委員
(事務局側) 鹿取領事移住部長、遠藤審議官、小澤領事移住部付検事、三好領政長、重枝領旅長、山本領外長、滝崎領対長、下井援護官

4.   議 題
領事サービスの現状(子女教育、医療、在外選挙等)と課題


<議事録>

熊谷会長 ただいまから、海外交流審議会の第3回領事改革部会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、所用により中山恭子委員が欠席されておりますが、ご出席の委員の皆様には大変ご多忙中にかかわらず誠にありがとうございます。
 さて、会議冒頭に当たり、皆様にご報告がございます。事務局側の幹事に異動がございまして、小野前幹事が駐ポーランド大使にご転出なさいますので、その後任として、鹿取克章領事移住部長が当審議会の幹事に就任されました。
 ここで、鹿取新幹事から一言ご挨拶をいただきます。

鹿取部長 鹿取でございます。どうぞよろしくお願いいたします。5月9日付けで領事移住部に参りました。領事関係は、これからすべて新しく勉強しなければならないことばかりでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

熊谷会長 ありがとうございました。
 それでは、早速議題に移らせていただきます。
 本日の議題でございますが、前半は、「領事サービスの現状と課題」としまして、特に最近、海外在留邦人からのニーズが高まってきております子女教育、医療、在外選挙ということに焦点を当ててご審議をいただきたいと思っております。その後、後半は、領事移住部の機構、定員及び予算といったことにつきまして、皆様よりご意見をちょうだいしたいと思っております。この部会としましては、6月に総会を開きまして中間報告をまとめたいと思っておりますので、特にこの部会につきましては、皆様大変お忙しいところを精力的に毎月お集まりいただいているわけでございます。
 それでは、初めに、「領事サービスの現状と課題」につきまして、子女教育、医療、在外選挙の項目別に事務局側からご説明をいただきまして、その後、各委員より、それぞれの項目についてご意見を承りたいと思います。
 時間の関係がございますので、子女教育、医療、在外選挙、それぞれ一度に事務局側から説明をいただいて、それをまとめていろいろな意見を後でいただく形にしたいと思います。
 それでは、説明をお願いしたいと思います。

鹿取部長 それでは、まず私から、海外子女教育についてご説明申し上げます。資料としてグレーの冊子をお配りしておりますので、この冊子に沿ってお話しいたします。
 この冊子の1ページに数字が載っております。今、在外の日本国民は87万 5,000人、その中から長期滞在者を除くと58万 9,000人でございます。ここにグラフがございます。在留邦人数は右肩上がりですが、義務教育相当の子女は、この数年間はほぼ横ばいで5万人強で推移しております。この背景としては、一般的に駐在の方々の年齢が若くなっていることが一つの要因として考えられます。ただ、平成13年から平成14年にかけては 1,300人程度増加しております。これがこれから続くのかどうかは、今後の動向を見ていきたいと思います。特に北米、アジア、その中でも中国の上海で子女が増えております。
 次に、3ページの「海外子女の就学状況」でございますが、約65%は日本人学校、補習授業校に就学しております。日本人学校に通う約32%以外は、基本的には現地校またはインターナショナルスクールへ通っております。補習校には33%が通っておりますが、補習校に通っている子女は、別途、全日制の現地校またはインターナショナルスクールに通っているということでございます。
 日本人学校と補習校の学校は、4ページの円グラフと10ページの円グラフを比較するとその関係がよくわかります。4ページでは、日本人学校在籍者の約70%。これはアジアにいる人が特に日本人学校を使っています。一方、10ページを見ますと、補習校を使っているのは北米地域が多くて73%。これは、多くの生徒が現地校に通っていることを示しています。アジア等においては、日本人学校に対する依存がより強いことが、この円グラフから一つ出てまいります。
 同じく3ページの3.ですが、現在、全世界に日本人学校が、ここには83と書いてありますが、平成15年には1校減ったので、82校あります。補習校は 188に増えております。
 最近の一般的な傾向として、3点ご説明します。第1点は、アメリカや英語圏では、現地校、あるいは、インターナショナルスクールに通わせたいという父兄が増えている傾向が見られると思います。
 2番目の特徴として、グローバル化が進むことによって、在留邦人の方々が、ニューヨークとかワシントンといった主要な都会だけではなく、いろいろなところに分散する傾向が見られます。そのため、現在設置されている日本人学校等ではカバーしきれない地域が増えている傾向が見られます。
 3番目の傾向としては、日本人学校あるいは補習校もそうですが、国際結婚した方々あるいは永住者の子弟が、日本人学校や補習校にも増えております。一般の在留邦人の方々は、学校教育の水準、即ち日本における今後の教育とか受験競争が気になるものですから、日本人学校や補習校において、永住者及び国際結婚されている方々と、若干、思惑の違いというか、学校に期待することが違うという現象が見られる気がしています。
 以上、三つの傾向が最近認められると思います。
 次に、日本人学校の運営についてですが、日本人学校には約 400人から 500人の教員を日本から派遣しております。この派遣は文部省が担当して行っております。また、日本人学校の校舎の建設補助あるいは賃借補助、現地のガードマンの謝金、現地採用教員の謝金、これは外務省予算で支援しています。このように在外の子女教育は、外務省と文科省の両省が協力して進めています。
 教育方針については、現地で学校運営委員会というものがつくられております。この学校運営委員会は、在留邦人の方々の有志代表、大使館ないし総領事館の代表で構成しております。なお、この関連で最近見られますのは、在留邦人の方々の年齢が若返り、義務教育年齢の子女もいないということもありまして、学校運営委員会に対する意欲というか、関心が減っている場所も出てきております。
 最後に、日本人学校あるいは補習授業校の今後のあり方についてでございます。日本人学校が最初にできたのは昭和31年、バンコックでございました。1956年ですから、約50年前でございます。約50年もたっているので、我々としても、その後のいろいろな状況を踏まえて、今後の海外子女教育のあり方にどう対応していくべきか、あるいは、どのような面を考慮していくべきかということをよく議論します。先ほど申し上げたことに関係するのですが、英語圏では、子どもをバイリンガルに育てたい、国際的経験をさせたいということから、現地校なりインターナショナルスクールに行かせる父兄が増えているような気がします。また、このような傾向は、英語圏だけではなくて、フランス語圏、ドイツ語圏でも見られつつあります。
 このように、現地校又はインターナショナル・スクールプラス国語と数学のレベルアップのための補習校という組み合わせで子女教育を考える方が増えています。また、最近は、一部の大きな町では塾が出てきておりますので、現地校プラス塾の組み合わせも出てきております。以上のとおり、最近では現地校プラスアルファのアルファの部分に期待が高まっているという意味で、子女教育においてもニーズが多様化していると思います。
 これが最近認められる一つの現象ですが、他方、政府の支援においては、これまでは補習校に比べどちらかというと日本人学校を重視してきた面があります。例えば先生についても、日本人学校については日本人教員を日本から送っておりますが、補習校については、小・中をあわせて 100人の生徒がいれば日本から1人派遣できるということで、大部分は地元のボランティアに依存しています。
 日本人学校はこれからも重要な役割を果たすと思いますけれども、今後補習校についてどう考えて行くかという点が一つの問題意識としてございます。

熊谷会長 今、子女教育についてご説明をいただきましたが、時間の関係で、医療の問題、在外選挙についても説明をいただいて、まとめてご意見をいただこうと思います。
 それでは、医療についての説明をお願いします。

三好領政長 それでは、医療についてご説明させていただきます。
 一般的に在留邦人の3大関心事項は、安全、医療、子女教育と言われております。子女教育の場合は、ご案内のとおり憲法26条で、教育を受ける権利と教育を受けさせる義務があるわけです。海外においては26条の直接適用はないのですが、憲法の精神に沿って、最大限国内に近い教育を受けられるように援助をするという基本方針があります。それに比べると、医療は必ずしもそういった基本方針があるわけではなく、実はかなりの部分を自己責任に負っているところがあります。
 現段階で外務省が医療面で行っていることをご紹介します。一つは、イギリス、アメリカ、フランス、シンガポールといったごくわずかの国ですが、口上書等の交換により(相手国との間で、これは医師免許の問題がありますので、相互承認という形で)、日本人を診る、あるいは、先方が自国民を診るということに限定して、相互に医療行為を認め合っているというごく一部の例外があります。
 シンガポール、マニラ、ジャカルタ、大連といったところでは、日本人会の診療所があります。世界でもまだ4か所ですが、基本的には、医療行為はしないけれども、相談窓口、クリニックを置いているところがあります。あとは、外務省から、途上国を中心にですが、年に13チーム、巡回医師団という形で、医師2~3名からなるチームを派遣しています。これも医療行為はできないのですけれども、健康相談を行っています。そのほか、外務省の医務官がいるようなところにつきまして、現地の医療事情について、外務省のホームページ、在外公館のホームページでご案内を差し上げています。
 最近では、邦人保護ということで、例えば昨年バリ島で爆破事件が起りましたときに、歯形の専門家とか、一昨年9.11のときのメンタルケアの専門家のような、「フライング・ドクター」と言っておりますが、そういった医師の派遣を行うということを始めています。
 他方で、今回のSARSのようなことが起こると、どこまでを邦人保護の世界で行ったらいいのか、多少判断に迷うところもあります。子女教育とか医療といったものはかなり奥が深いものですから、交流審議会でも一度本格的に議論させていただく機会を与えていただければと思っております。
 SARSにつきましては、現状は、累積症例数が 7,919人、死亡者数が 662名に及んでおります。幸い、日本国内で感染者は出ておりませんが、世界中で累積では70名を超える日本人の方が、場合によっては病院に隔離されたり、自宅待機というようなことで、在外の領事はこれをすべてフォローしております。特にここ2週間ばかり、私どもが行ったオペレーションを参考までに申し上げますと、先々週の金曜日でしたけれども、ソウル発パリ行きの大韓航空とエアフランスの共同運行便の中で、2人のフランス人感染者がいたことがわかりました。これは、到着後、パリで、会社の診療所に行ったらSARSであることがわかったということで、フランス政府から依頼があり、この共同運行便に乗っていた日本人を追跡してくれという話になりまして、22名の方がソウルから乗り込んだことが、チケットの販売記録から判明しました。そういうことで、氏名だけしかわからなかったのですが、追跡を始め、留守宅、本人連絡先を突き止めてご連絡を試みました。最後の段階で4~5人の方になかなかご連絡がつかなかったものですから、これは極めて異例のことですが、外務省の霞クラブに張り出しをし、この便に搭乗した方は特にご注意ください、具合が悪かったら、すぐに最寄りの保健所なりに電話連絡した上で診察を受けてくださいというお知らせをいたしました。これはメディアがかなりキャリーをしてくれまして、呼びかけたということがありました。
 これは後日わかったのですが、そのフランス人は、南京からソウルまで飛行機に乗っていたことがわかりました。これも、南京から日本へ帰る直行便がないので、11人の日本人の方がこの飛行機にも乗り合わせていたということで、それも追跡調査したということがありました。幸い、これは潜伏期間を過ぎましたので、まず大丈夫だったのだろうと思っております。
 先週末に起こったのが、例の台湾のお医者さんの件です。厚労省が中心になって関係方面と連絡をとっているわけですが、外務省でも、発症後に関空から台湾に向けて飛んだということで、追跡し、19名の日本人が乗り合わせておりましたが、一応全員に連絡がついたという状況です。
 今回のSARSで私どもが経験したことは、一つは、人命の尊さということです。従来、危険情報というと治安の関係、安全関係で危険情報を出していましたが、このたび初めて、医療の関係で危険情報を出しまして、渡航される方、北京等で在住されている方に、場合によっては、渡航延期とか、帰国の可能性を検討してくださいというお知らせを出しておりますが、その重みをひしひしと感じております。
 AIDSとか、これまでもいろいろ経験してきたのでしょうが、感染症について、後で矢崎委員からコメントがあればぜひいただきたいのですが、体制が必ずしも十分ではないところがあるのだと感じている次第です。
 2点目は、19世紀であれば風土病だったのでしょうが、グローバリゼーションの負の遺産といいましょうか、世界各地で感染者が出ております。笑えない話を一つご紹介しておきますと、最近、中南米で、日本人の方が空港で咳き込んだら、SARSではないかということで病院へ連れていかれそうになったり、飛行機に乗り遅れたり。東洋人だとSARSではないかと。日本はまだ感染地域ではないのですけれども、本当に笑えないようなそういった事態が生じております。グローバリゼーションということで、全世界的に取り組まなければならない問題なのかなと感じております。
 3点目は危機管理の典型だろうと思います。日本国内を見ておりましても、厚労省と自治体との関係とか、我々も決して人ごとではなくて、本省と在外公館との関係とか、連携を強化しなければいけない。あるいは、情報公開といった面で、どこまで情報公開していったらいいのか。一つは、感染者の方々の人権がございますし、今回特に難しいのは、周りの健康な人たちの人権をどうするのか、どう守るのかということで、このあたりも、いずれ法制面も含めていろいろアドバイスをいただきたいところです。さはさりながら、国民の間に決してパニックを起こしてはいけないということで、本当に危機管理の典型なのかなということを感じているところです。
 医療につきましては、また改めてアドバイスをいただければと思いますが、今、我々が直面しておりますのは、外務省の医務官の活用ということです。現在、途上国を中心に73名がおります。基本的には、医務官というのは、大使館員及び家族の面倒を見ることになっておりますが、可能な範囲で在留邦人の方々へのアドヴァイスもするようにという訓令が外務本省からも出ております。他方で医務官1人で、十分な設備もない中で、何千人といる邦人の方をどこまでお世話できるのか。例えば、薬を差し上げること一つをとっても、普通は、皆さんご自分の負担で薬を買われるわけで、このあたりの線引きをどうしたらいいのか。海外の例なども調べながら今検討しているところですが、どこかで線を引かなければいけないだろうと思っておりまして、このあたりもお知恵を拝借できればと思います。
 医療については以上です。

熊谷会長 それでは、最後に在外選挙についてのご説明をお願いします。

三好領政長 それでは、在外選挙につきましてご説明させていただきます。
 在外選挙は、今現在国政に限っております。しかも、衆参両院の比例区選挙のみとなっております。いずれ小選挙区あるいは選挙区選挙についても広げてほしいという国会側の付帯決議がありまして、いずれ外務省としてもこれに取り組まなければいけないと思っております。
 選挙関連の流れを申しますと、海外へ行かれる方は住民票を抜いていかれます。住民票を抜かれた上で、在外公館に在留届けを出していただくことになっております。在留届けを出されて現地に3か月滞在された方が在外選挙の資格ができるということで、そこで初めて登録が可能になります。国内はと言うと、はがきが1枚来て、どこそこが投票所ですから来てくださいというご案内で済むわけですが、在外選挙については、登録という手続をしていただくことになっております。登録証を手にした方がいよいよ在外選挙の資格ができるということで、既に平成12年、13年と、衆議院・参議院それぞれ1回ずつ選挙をしてきております。
 お手元にお配りした在外選挙に関する資料の最後に載せておりますが、平成12年の時点で在留邦人78万人。推定有権者のうち登録をお済ませになった方が、その約1割で、そのうちさらに選挙をなさった方が登録者数の31.4%です。
 在外では、在外公館投票と郵便投票がありまして、これまでの選挙では、在外公館投票ができるところと、それ以外のところがあって、在外公館投票ができないところが郵便投票ができる仕組みになっておりました。基本的に郵便投票にならざるをえないところは、邦人数が1万人以上の大きな公館、治安が悪くて大使館に来ていただくことが望ましくないと思われるところ、スペースの問題があるところについては、基本的に郵便投票をお願いしてきました。
 平成12年、13年と経験しまして、我々自身レビューをいたしました。いろいろな声がありました。ぜひ大使館へ行って投票したいとおっしゃる方もおられましたし、大使館へ行くのは面倒なので郵便投票でという声もありまして、実は、今国会に在外公館投票でも、郵便投票でも、ご本人が選べるような制度にすべく公職選挙法の改正案がかかっています。この法案が可決されると、具体的には、ニューヨーク、サンパウロなど、何万人という在留邦人がおられる公館でも選挙を実施することになります。そういうことで、今、準備を進めているところです。
 以上です。

熊谷会長 ありがとうございました。
 それぞれ大変大事な問題ですので、一つずつやりたかったのですが、時間がないので最初に概略だけお話しいただきました。そうは言うものの、性格の違うものを一度に議論するのは大変難しいので、まず子女教育について、先ほども三好課長からお話がありましたように、在外にいる方の一番の関心は、一つは子女教育であり、一つは医療であり、一つは安全であるという観点からいくと、子女教育の問題は在外にいる方にとっては大変関心が強い問題だと思いますが、どういうところに問題があるのか、あるいは、どういうところを改善すればいいのか、政府としてどこまで関与すべきなのか、そういったことについて、質問でも結構ですし、ご意見でも結構ですので、まず子女教育について少し議論して、その後で医療に移りたいと思います。
 どなたからでも結構ですので、ご発言をお願いしたいと思います。

谷野委員 この三つのテーマは、外国で仕事をされる方、私どもを含めて、大きな関心事です。あえて言えば1番目と2番目で、3番目は在留邦人の方たちは、残念ながら全く関心がない。私はそうでなくありたいと思って、もちろん率先投票しましたけど。
 質問ではなくて経験談ですが、私は、インド、中国で勤めさせていただいて、実は私も大きな発見だったのですが、少なくとも私の経験に関する限り、最近の日本人学校は、校内もきちんと秩序がとられ、勉強のレベルも高いということです。ご父兄の方も満足しておられる。聞き及ぶところによると、日本では若干問題がある教員だった方も(インド、中国のケースではありません)、海外に赴任してこられると、なぜか、すっかりそこで大変いい先生、教育熱心な先生になられるという事例もあるやに聞いております。先生方も生徒たちのことを思って非常に熱心に、非常にいい雰囲気の中で教育に当たっていただく。日本から聞こえてくるいじめとかその種の陰湿なことは、インドでも中国でも全くありませんでした。
 中国の日本人学校の校長先生に伺ったら、海外では、スクールバスで、小学生と中学生が一緒に乗ってくるので、そこでふれあいがある。あの年頃で下級生が上級生をうやまい、上級生が下級生の面倒をきちんと見るという習慣は、高校生になるともう遅いとおっしゃるんです。一緒にああやってスクールバス等で行くのが非常にいいのではないか、日本でも、もっと小学生と中学生が交じり合う仕組みを造りたいものだということをおっしゃっていました。
 さっきお話があった学校の運営委員会も非常に熱心で、私は非常にいい経験をさせていただいたと思っております。高等学校からは義務教育ではないので多くの子どもが日本へ帰るわけですが、ほとんどすべてが第一の希望校に入りました。中国の場合ですが、ほとんど 100%が希望校に入るということでした。
 そういうことで、私も、子どもたちの前で、幼稚園生から中学校3年まで共通の話題を拾って、あきさせないで喋るのは難しいのですが、運動会や卒業式、入学式など、努めて、この仕事は公使に任せないで、出ていって子どもたちに話しをするようにしておりました。
 最後に、補習校についてはひとつの思い出があります。確かに、この面での国の補助はまだまだ遅れていて、これをどうするかという問題はあると思います。私が第一回目の勤めで北京におりましたころ、毛沢東時代末期の北京ですが、当時は日本人学校などない。他方、中国の学校の状況を見て、とにかく、こんなところで教育をされてはたまったものではないということで、在留邦人の方々もご熱心で、補習校を立ち上げました。大使館員、夫人方、或いは特派員の方にも先生になっていただきました。これは今ではご参考にならないと思いますが、こういうことをやってみました。香港には、かねてより大きな日本人学校がありましたが、あのころの香港の在留邦人の方々も中国本土へはなかなか旅行はできない、そこで北京でサマースクール、ウインタースクールと銘打って、ご父兄に旅費を負担いただいて、香港の日本人学校の教員の方に10日とか2週間、北京に来ていただいて、本格的な授業をやっていただきました。みんなから喜んでいただきました。来る先生方も、土日は北京を見学されて大喜び。宿泊は、父兄の方々の家に分宿ということにしました。今でも、補習校のあるところで近隣に日本人学校があれば、そういうところから短期間、先生たちを呼ぶこともあっても良いかも知れません。

熊谷会長 ありがとうございます。
 レベルが高い、非常にいい日本人学校が、今おっしゃいましたように、父兄も満足していてレベルが高い。それはどういうところに要因があるとお考えでしょうか。

谷野委員 やはりクラスの規模も小さくて教え易い、しっかり目が届くということもあるのでしょうが、何よりも先生方が熱心ですね。この間も私はお呼ばれして行ったのですが、北京時代の日本人学校の主立った先生方が、そして運営審議会の長、大使館は私と文部省の担当官が呼ばれて、懇親会を、皆、北京時代をなつかしがって、東京で定期的にやっております。皆さん帰ってきて、日本の学校の惨たる状況をみんな嘆きながら、北京の時代を懐かしむ、そんな風でした。

熊谷会長 派遣されている方のレベルは平均的に高いということはあるかもしれませんね。

谷野委員 そうでもないんでしょうけどね。昔は、こういうところでは申し上げられないような破廉恥な事件を起こした教員も1~2名経験しましたけど。
 インド、中国は、そういう面では恵まれていたということかもしれませんね。今は希望校へどんどん入っていくんですから。

熊谷会長 ほかにございませんか。

横山委員 海外子女教育問題というのは、海外における問題はかなり昔から努力もされて、関係の父兄も努力しますし、それなりの負担もしたわけですが、問題は、帰ってきてから、海外の教育が日本の教育制度の中でどのように評価されるかという問題で、今から20年ぐらい前ですと、海外での日本人学校にしろ、現地校にしろ、教育の成果が日本の制度の中にうまくフィットしてもらえなかった面があったと思いますが、それもころごろはだんだん直ってきて、例えば、ほとんどの大学が外国の高校卒業資格を入学資格に認めるとか、そういうことがあります。それから、小学校や中学校の受け入れ制度も随分完備してきて、かなりよくなってきたのではないかと思っています。今は、それほど深刻な問題はないのではないか。今やっておられることをみんなが一生懸命にやれば、よくなってきているのではないかという感じを持ちました。ただ、子どもたちはみんな大きくなってしまったので実感はできませんが。
 確かに、20年ぐらい前、私どもが子どもの教育について直接心配しなければいけなかった時代は、特に日本へ帰ってきてからの受け入れが必ずしもスムーズではなかったと思いますが、それもかなりいろいろなところで配慮が行われるようになって、今はそういう問題で不満の声をあまり聞かなくなったのではないでしょうか。私の感じは十分ではないかもしれませんけど。

熊谷会長 仮野委員、どうぞ。

仮野委員 一つは、過日、マニラの小・中学校を見てくれと言われて、見てきました。建て替えたばかりできれいになっていました。そこで、先ほどちょっと出ていましたけれども、永住者の子どもを受け入れているのですが、どうしても日本語が十分ではないので、その永住者の子どもだけを対象に日本語教育をやっていました。別の教室に集めて、日本語のイロハから教えていましたが、それが結構手間がかかると言っていました。
 もう一つの問題は、永住者がよく、お金がなくなってしまって授業料が払えなくなって滞納しているケースがいっぱいあると言っていました。表現は悪いけど、マニラに行っている日本人の中にはとんでもない人もいるものだから、その子どもは大変な目にあっているという話をしていました。
 トータルでは、学校そのものも明るかったし、よかったです。
 今度は質問です。補習校と塾の話が今出ましたけれども、鹿取さんの今日の問題提起は何ですか。要するに、補習校や塾にも補助金を出す必要があるのではないかということですか。あるいは、逆に、そういう要求が出ているということですか。

鹿取部長 塾は別としまして、ニーズの多様化によって補習校に対する期待は高まっていると思います。今までは、先ほど申し上げました一例として、小・中で生徒が 100人いて初めて日本から先生が1名行くことになっていますけれども、もう少し手厚くして、例えば70人に1名とかに数値を下げることも考えられると思います。ほかの面でも補習校に対して、「補習」という言葉にとらわれないで、施策、補助を厚くするということが一つの課題ではないかという趣旨で申し上げました。

仮野委員 現在、補習校にも補助金を出しているわけですか。

鹿取部長 例えば日本人の先生は生徒の数に応じて出せることになっています。また、校舎を借りている場合も一定の補助は出しております。

熊谷会長 それは外務省の予算の中でやっているわけですか。文科省ではなくて。

鹿取部長 教師の派遣は文科省予算になりますが、校舎のほうは外務省予算から出しております。

三好領政長 それから、補習校の先生の指導ということで、先ほどちょっとご質問がございましたけれども、何か所か集めまして、日本から派遣した先生が講習をする機会も年に何回か設けたりしております。

仮野委員 補助金額を増やす必要はあるのでしょうか。

三好領政長 アメリカあたりからもかなり要望が出ておりますが、できたら、 100人に1人ではなくて、もう少し日本からの先生をと。基本的には、現地で教員免状を持っている駐在員の奥様とか、そういう方が手作りで土日に教えておられるということなので、経験を積んだ先生を日本から派遣することが今後は必要になってくるのかなという意識を持っております。

谷野委員 日本人学校はワシントンでしたかね。

横山委員 補習学校はありますが、アメリカには日本人学校は少ないのではないでしょうか。アメリカというか、英語圏には殆どないと思います。みんな現地校へやって、バイリンガルにしたほうがいいと。
 確かにある程度の補助があるにこしたことはないと思いますが、ある意味においては、ボランティアが活躍するこのご時世ですので、ボランティア活動に期待する面があってもいいのではないかと思います。私が二十何年前にワシントンにいたときの話では、わりとうまくいっていたように思いますけどね。先生が1人日本から来ておられて大使館におられましたけど。

三好領政長 アメリカで日本人学校があるのが、ニューヨーク、シカゴ、アガナだけでして、現地校へ行かせておられる方にとっては、日本へ帰った後、日本の教育についていくためにも補習校は必須だろうと思います。

谷野委員 教材を香港から先生にもって来ていただいて、子供たちが見たこともないピカピカの実験器具とか。ボランティアにプラス、ハードのそういうものの支援はあってもいいかもしれませんね。

横山委員 大使館なり領事館なりが主導して行うのは難しいかと思いますけれども、そういうボランティア活動もまた日本人コミュニティの中のいい潤滑剤になっていたように思いますし、運営委員会も立派に運営されていたように思います。我々も出ましたが。

熊谷会長 私も横山委員のご意見が参考になるのですけれども、今、ビジネスの世界から引退した人たちもまだまだ元気で、第2の人生をどうしようかということがあって、それは例えば技術指導とか経営指導で、ほとんどお金をもらわないで、わずかな手当てだけで喜んで、私どもの会社の社員なども行っている例があります。それは、ビジネスの指導とかそういうことだけではなくて、例えば教育や何かにも関心がある、能力もある人が行く。ところが、日本の国内は、小学校にしても中学校にしても、今はいくらかそういう、外からの受け入れとして、例えば校長を受け入れるとかいうことがありますけれども、本当にわずかで、大きな集団の中に1人、2人入ってもほとんど力を発揮できない。でも、そういう補習校などに行って、能力も発揮できる、いきがいも感じられるということであれば、お金の問題というよりも、そういうような道を開いてあげることも一つの方法ではないかなという気が今します。高齢化になり、しかも元気であるし、いきがいという意味でもいいのではないかという気は、今のご意見で思いました。だから、現地のコミュニティだけではなくて、こちらからも行くような道があればいいかなと。

仮野委員 補習校への補助はいつごろ始めたものですか。

三好領政長 いつごろからかというのは、手元にデータがないのですが、もうかなりになるかと思います。

仮野委員 それは、日本国内で考えた場合はどうなりますか。日本国内の小学校なり学校に行っている子どもが補習校に行った場合、それは補助していますか。日本国内には補習校はないですが。

三好領政長 基本的には、現地の言葉で教育を受けている人に、土日に国語なりの補習をするということです。

仮野委員 きつい言い方かもしれないですけど、補助する必要があるんですか。

中谷委員 日本人学校や補習校がないような遠隔地にも子どもはいると思いますが、そういう子どもが勉強がわからないようなときに、気軽に聞けるような、インターネットや何かを通じてでもいいのですが、そういうシステムは確立されていますか。もし、あれば、少数者かもしれませんけれども、そういう子どもにとっては非常な支えになるかと思います。

三好領政長 文科省と外務省の共管で海外子女教育財団という財団があって、ここを通じて添削指導等を受けられるようになっています。

矢崎委員 ODAの90%はハードの部門で、わずかな部分がソフトです。これは文科省の考え方でしょうけれども、遠山大臣のもとにJICAの川上総裁もメンバーで、懇談会がありまして、今までは、高等技術の技術移転でしたが、やはり現地の方々の教育を日本がもう少し貢献したらいいのではないかということで、直近の課題として、例えばアフガンの子女教育をどうするかという議論があったのです。そのときに、そういうマンパワーをどうするかといったときに、先ほどお話があった少子高齢化で、教員もある程度余裕があるのではないかということで、むしろそういうところでいろいろ活躍してもらってはどうかという答申を出しました。学校が主体のそういうもので、大学を含めての教育面での支援をしてはどうかという答申を出したのですが、恐らく、こういう在留邦人の教育にも一環としてサポートしてあければ、これからは、企業もグローバル化で60万人の邦人が海外で働いておられますし、教育の面は今後極めて大きな部分になりますので、今からインフラを整えておかれることは極めて重要な課題ではないかと思います。

熊谷会長 教育問題について、ほかにいかがでしょうか。
 補習校に対する補助金の問題については、仮野委員の疑問もありますので、また改めて検討しておいていただきたいと思います。

大来委員 希望者が多いというのは、どこの地域が多いのでしょうか。やはりアメリカや、現地校に行っている比率が高い地域で多いわけですか。

三好領政長 希望が出てきているのはアメリカ、最近は欧州のドイツ、アジアでもシンガポールといったようなところから、ぜひ日本で経験がある先生を送ってほしいという要望が出ております。

谷野委員 シンガポールは日本人学校がありますよね。

三好領政長 日本人学校はあるのですけれども、それでも補習校に今200人近くの生徒さんがおられます。

仮野委員 それは国家でやる仕事かな。補習校への補助というのは。

谷野委員 教材はきちんとしたものをもらいたいんですよ。

仮野委員 教材を提供するくらいならいいけど。それも補助になるか。

大来委員 今、仮野委員が言っておられる点と同じですが、塾があるという話がさっきありました。塾に対する補助はないと思うんです。どっちが補助が必要かということを考えると、別に塾でもいいという場合も結構あるのではないかと思います。費用的なもので補助があったほうがいいので補習校という動きは当然出ると思いますけれども、海外で補習校を望んでおられる父兄の方は、経済的に厳しいということはまずないでしょうから、ある意味で、補助なしの補習校も存立し得るわけで、それは何かというと塾になってしまうわけですね。希望があるからということで補習校を‥‥。それとも、現に塾があるわけですから、なぜ塾ではだめなのかという点の調査というか、そういうものが要るような気もします。

横山委員 あえて言えば、補習校に通わなければいけないような子どもたちは、親の海外勤務に伴って、本来、日本で受けられたであろう日本の教育制度を十分に受けられないわけですから。しかも、それが行きっきりではなくて、2~3年したら日本へ戻ってくることを考えますと、その間、帰ってきたときに日本の教育についていけるだけの最低限の教育を受ける機会を提供することは、我が国の国際的な展開に伴って生ずる国全体としてのコストではないかとも考えられます。ただ、どんどん補助を増やしていけばいいというものでもないと思います。それはやはりある程度、それなりの負担を保護者も負うところがあっていいのではないかと思います。
 例えば、ますます便利にという面もありますし、それを望まれる方も多いかと思いますけれども、ここは、今はどうなっているのか知りませんけれども、ものすごく大きな不満が出ているというものでもないのではないでしょうか。今の制度がどんどん後退するようであれば不満が出ると思いますが。20年前のワシントンの状態が、既に日本からの先生も1人か2人おられ、先生は、おっしゃるように、ボランティアか、少しお礼を出しておられるのか、その辺は忘れましたけれども、いわば現地におられる日本の方、駐在員の妻、駐在員そのものとか、そういう人で何とか賄っておられたので、これ以上大きく補助を増やす必要もそれほどないのではないかという気もしますが、現状をよく知りませんので。当時も特に補助を増やしてほしいという意識は、我々はあまりなかったように思いますけど。

熊谷会長 これは、皆さんの意見がほぼ一致というか、方向はあれだと思いますが、事務局でもさらに考えていただきたいと思います。

櫻井委員 憲法論として考えてみたときに一つ思いますことは、結局、教育の話は、かなり特殊な領域で、実際に私立学校に対しても大きな補助を行っているわけですよね、現行上。ですから、教育制度に対してどういう立場で外務省が臨むのかということと、特に海外にいる子どもの場合、しかもバイリンガルであると、これからも国際化は進展していくし、外国において住んでいるときに、日本語も忘れてもらっては困りますし、できれば国際人として成長してほしいと。そして行き来できるようなインターナショナルな人間になってほしいということになりますと、国内の補助の要件の観点とは違う発想があってしかるべきで、補助すべきとかすべきではないとか、そういう権利とか、すべきじゃないとか、そういう任務の話ではなくて、国家として懐の深さというか、文化としてどのくらい多様なものを許容してるかとか、国際化をどう進めるかとか、そういう違う観点があるのではないかと思います。ですから、ある種の国家政策として、多様な文化ということで補助をしていくことは新しい基軸として、私はむしろ補助すべきだと思っております。

仮野委員 国家にそこまで甘えていてはだめじゃないかと思いますが。

櫻井委員 甘えとかそういう話ではなくて。そういう貧乏くさい話じゃなくて、多様に明るく暮らしていきましょうという話だから、ちょっと違うんじゃないですかね。

熊谷会長 今の事務局のお話だと、現地におられる日本人に、いろいろなご要望なり、アンケートなり、そういうことも出てきているものではないと思いますから、むしろ、実態として、在留邦人の希望なりもよくお調べいただきまして、今のような幾つかのご意見がありますけれども、もう少し詰めていくことが必要ではないかと思います。
 それでは、次に医療の問題に移りたいと思います。
 医療というのは、確かに、一番不安があるというか、在外邦人の方にとっても大事な問題だと思います。これについてのご意見がございますか。
 矢崎委員、ご専門ですが、何かございませんか。

矢崎委員 三好課長がおっしゃった何点かのポイントは、極めて核心を突いたご提案ではないかと思います。一つは、これはぜひ本日お願い申し上げたいと思ったのですが、外務省の医務官の位置付けです。今までは、先ほどのお話のように、大使館員の健康管理、面倒を見るという位置付けでしたが、これからは、在留邦人全体の対応も課せられた課題になると思います。そういう意味で、医務官は位置付けがすごく大きく転換しましたので、外務省の組織の中の位置付けもぜひ変えていただきたい。
 今、聞くところによりますと、医務官というのは会計課のもとの福利厚生室の中で人事が行われているそうですが、お願いしたいのは、少なくとも、領事移住部長さんのもとで人事管理ができるような、少し高いレベルの視野から医務官の活用を考えていただきたい。医務官は、ご年配の人が現職を辞めてなられる方が多いようですが、もっと若手の、アクティブな人が医務官として海外で活躍されて、また日本へ戻ってきてというコースがあってもよろしいのではないかと思います。
 一つ、研修システムが整っていないということがあります。それは、東京に医務官のポストがないために、休暇あるいは健康診断のために帰ってこられますが、我々のところで外国の事情に合った医療研修を、例えば1ヶ月とか、行っていますが、そういうシステムを取り入れないと時代に遅れますし、医務官が駐在していた国の医療情報とか疾病情報を本省に伝達するような、医療情報とか医療機関の状況などを送っていただくための情報の収集と発信という役割も、ぜひ医務官の方に担っていただきたい。そのためにももう少し、東京で研修ができるようなものにしていただきたいと思います。
 もう一つ。感染症を含む健康危機管理センターというものが我が国にはありません。国際医療センターでは、外国に派遣する専門官というか、医師、看護師も含めてそういう専門官がいますし、レベルの高い病院・研究所が三位一体になって動けるものがありますので、我々としては、国際疾病センターという構想で、これからの海外交流のために、行く人の健康チェック、帰国した人の健康チェック、そういうものを全部きっちり、あるレベルで行うような、トラベル・メディスンを含んだ国際疾病センターの設立が我が国でも必要ではないかと厚労省あるいは財務省に申し上げているのですが、ぜひ外務省も、そういう視点からサポートしていただければありがたいと思います。
 在留邦人の問題は、何回も議題に上りましたが、今度は在日外国人の問題で、これは要するに、お金を稼ぎに来ている人ではなくて、正規の外交官とか、外国企業の方の健康管理が我が国では極めて難しくて、先ほどの医師免許証を持っていないとフランスの医師が診療できないということもあって、やはり母国語を話せるようなドクターがいる病院でなければいけないと思います。そういう意味で、在日外国人の健康管理あるいは健康危機管理をするような位置付けがしっかりしていないのではないか。大使館の方にお聞きしますと、フランスの方はフランス語が堪能な先生のところへ個人的にかかっているような状態なので、もう少し外務省でオフィシャルなシステムをつくってあげたら、随分感謝されるのではないかと思いました。
 SARSが起こった機会に、外務省だけではなくて、厚労省も財務省も‥‥。多くの省が今必死なのは、企業の空洞化といいますか、中国とか東南アジアに工場が移っていまして、この間、ある会社の社長にお会いしたら、ICチップのものすごく特殊な部品を中国で生産しているらしいですね。そういう生産が、ああいうお国ですから、十分な在庫を抱えてやっているのですが、今回の事件が長引いて、在庫が途切れると製品全体が動かなくなるので、その損害は甚大なものであると。そういう視点から、これは健康問題だけれども、直結的に企業の問題であるということで、対策が真剣に動きだしたということがあります。健康の切り口ですが、この際、外務省としても少しシステムを整えていただけると、私どもは大変ありがたいと思います。非常にタイムリーに私がこの委員になって、外務省にお願いできる立場になって、私は大変ありがたく思っております。
 ちょっと前にお話ししましたように、SARSは、こういうグローバリゼーションがないときは、中国の田舎の風土病で終わっていたものが全世界にスプレッドしていますので、こういう事件は将来大いに起こり得ることなので、SARSだけが特異的ではなくて、AIDSもそうでしたが、今後、やはりそういう奥地から突然都会の中にあらわれる病気というのは、風土病がグローバルな病気に格上げになってしまうということが起こってくる可能性がありますので、在留邦人の安心のため、我が国の国民のために、ぜひ外務省が中心となって、窓口になってシステムをつくっていただければ大変ありがたいと思います。

大来委員 私は昔、パリに住んでいたことがあるのですが、そのときに、アメリカン・ホスピタルに何回かお世話になりました。そのときの感想からすると、一つは、日本語の通じる病院ではないのですけれども、現地の病院のようなものでも安心できた。私はフランス語があまりできなくて英語ができるということでアメリカン・ホスピタルに行ってしまったのですが、後で聞いた話では、私は網膜剥離だったのですが、それに関しては、パリに世界的にもトップに入るような病院があるという話を聞きました。実際、私の網膜剥離の手術をしたのはフランス人のお医者さんでしたが、コミュニケーションさんは、看護婦さんに英語とフランス語がわかる人がいて通訳をしてくれるということで手術をしました。
 そういう経験からすると、現地の医療が非常に優れているところもたくさんあるのではないかという気がいたします。そういう現地の医療機関を利用する際に、言葉の上で、邦人が容易にコミュニケーションできるように手伝っていただけると、それほど大変なことをやらなくても済むのではないかと思います。それは国によるわけで、その国の医療水準が低い場合というのが、世界中を見渡すと大多数でしょうから、そう考えるとやらなければならないことが多いとは思いますが、他方ではそういうこともあろうという気がいたしました。
 それから、もし大々的なことをやるのであれば、私がお世話になったアメリカン・ホスピタルがパリにあることから思いついたのですが、いっそのこと、日本の病院が世界のどこか各地に数か所あると。発展途上国で医療水準が低くて困っている日本人が、飛行機で1~2時間でそこへ行って、技術の高い日本人医師の治療を受けることができるようにすることも一つかなという気がしました。
 感想です。

谷野委員 私、大使館にいて、どこで線を引いたらいいのかと思って悩んだのが、在留邦人の方々との関係です。今、時代に合った新しいガイドラインをつくるというお話がありましたが、これは早急になさったらいいと思います。
 しかし、矢崎先生が先ほどおっしゃったことで、診療の対象を全在留邦人にまで広げるということについては、なかなか難しいのではないか。現地の医療システムとの関係で。例えば中国では、そうなると中国のお医者さんたちが黙っていないですよね。協和病院も、中日友好病院も大変高いレベルです。現地の医療システムがそれを許さないという問題があると思います。他方、特定地域のことを言っては悪いけど、例えばアフリカなどは、相手国もそこはおおらかに見てもらわないと。やはり現地の状況によるのだと思います。
 私の友人で、北京で立派な病院を合弁でつくろうという計画を持っていて、調べてみると、当然のことですが、日本人医師が来ても診療活動は絶対にだめですと言われています。
 それから、本審議会には全く関係のない話ですが、SARSの話が先程出ていましたが、私は不思議で仕方がないのは、台湾にあれだけの被害が出ているのに、台湾をWHOにオブザーバーとして入れることについて、どうして国際世論がもっと盛り上がらないのかということです。これは政治問題ではなくて保健の問題です。それを政治問題化する中国政府はもとより、台湾もよくない。日本は今回は支持ということを決めていたということで、それはよかったのですが。WHOの総会が、これを議題にもせず門前払いというのは信じ難いことです。「中国外交の勝利」と言うことかもしれないが、大人げないですよ。

横山委員 医療の問題で一言申し上げたいのですが、皆さんもいろいろなところでご経験はあるかと思いますが、やはり海外で医療機関に行ったときに、日本語が通じることは非常に心強いです。日本で研修を受けたり、教育を受けたりしたお医者さんとか看護婦さんがおられる病院は、日本のお医者さんが海外へ行かれることの代替がかなりできるのではないでしょうか。私が今やっている仕事は、海外に技術指導の専門家を派遣する仕事ですけれども、結構年配者の方が多いものですから、年に1回か2回、循環器系の、脳溢血とか脳内出血とか、そういう事故が起ります。ミャンマーかどこかでそれが起こって、バンコックへ移送して、バンコックの何とかいう日本人の人がたくさんおられる病院がございますね。インターナショナルディビジョンのある病院ですが。そこへ行くと、看護婦さんが日本で勉強したことがある看護婦さんで、医療用語も全部日本語が通じることは非常に心強いですね。だから、経済協力で、お医者さんとか看護婦さんとかを日本で教育されることに意識的に力を入れておやりになって、それぞれ現地へ戻って、現地の一流病院で働いて、そこへ行けば、日本留学の経験がある看護婦さんなりお医者さんがいるという体制をつくっていけば、ある程度の解決にはなるのではないかという気がいたしましたので、そこは少しお考えいただいたらいかがでしょうか。

矢崎委員 私が申し上げた医務官と、皆さんの医務官の捉え方がちょっと違うかなと思うのは、私が申し上げた医務官は、在留邦人の方を診察して云々ではなくて、医療情報を正確に伝える。この間の広州のSARSの混乱も、やはり正確な情報が伝わらなかったことが大きな原因で、我々の専門官が何をしたかというと、SARSに関する正確な情報と、広東なら広東のどこの病院はどういう病気を得意として、こういうドクターがいると。要するに、医療機関の特徴とか信頼性、そういうものを現地の方はわからないわけです。ですから、専門家としてそういう正確な情報を皆さんにお伝えして、こうなったらここに行きなさいと。それがすごく安心になる条件なので、医務官の方が往診して回るとか、そういうつもりは全くなくて、情報の収集と提供ということで、その地域の医療の現状と医療機関の格付け、特色付け、あるいは、新しい健康被害問題が起こったときにそれに関する正しい知識をお伝えする、そういうことが医務官の務めだと思います。それはやはり、定年後にそちらに行かれて悠々と過ごすという方では無理で、現地で医療機関を回って、実際に視察して、どこに問題があるかというところまで見ないと正確な情報が伝わらないので、ぜひ医務官の位置付けをそのように考えていただければありがたいと思います。

熊谷会長 ありがとうございました。
 それでは、選挙についてのご意見をお伺いします。

中谷委員 選挙のことで、在留邦人のうちの推計有権者数が60万人を超えて今後もさらに増えていく状況をかんがみましたときに、海外選挙区を設けることを真剣に考えてもいいのではないかと思います。海外選挙区を設けられれば、在外邦人のまとまった声が直接反映されることになりますし、そのことは在外邦人の利益に資するだけではなくて、日本にいる一般の日本人の国際化の意識もポジティブな方向に働くと思いますので。すぐにというのは無理かと思いますが、いずれは真剣に考えられてもいいのではないかと思っております。

熊谷会長 ほかにございますか。

大来委員 海外選挙区をつくった場合、投票する人は海外にいる人ということですが、立候補をする人も海外にいる人ということでしょうか。

中谷委員 それは、私自身の考えでは、別に海外にいる人に限定する必要はないと思いますけれども、少なくとも海外事情を十分に熟知して、在外邦人の声を十分に政治に反映してくれる方ということでいいかと思います。

熊谷会長 ほかにございますか。

仮野委員 僕は政治記者をやっていましたから、この制度自体ができた経緯も知っていますし、なぜ比例区だけになったかも知っています。自民党などは、衆議院の小選挙区や参議院の選挙区まで投票をやらせる必要はないと主張しました。海外に出ているのは都市部の人間が多いから自民党に票が来ない、民主党に有利だろうという計算でやったのが最大の点です。政党名だけなら、大きな政党である自民党は有利であるというケチな考えでスタートしたわけです。そこから改めていかないとだめだと思います。私が言いたいのは、衆議院の小選挙区なり参議院の選挙区まで拡大すべきだと思っています。そのために、論説委員時代、在外投票を進めろと何度か社説も書いたことがあるのですが。
 それから、幾つかの在外公館に出向いて、登録手続はどうですかと聞いたら、非常に低いんです。この手続が非常に厄介で、手続に関しては総務省の関係になりますか、これをもっと簡略化する必要があります。それから、必ず1回は公館に出向かないといけないわけでしょ、登録する場合。それをもっと事前に、日本にいるときからやっておく制度にするとか、あるいは、今はもうインターネットの時代ですから、インターネットで登録できるとか、そのように簡略化しないと、せっかくつくった制度が生かされていない状況にあると思います。登録者が1割にも達していないというのは、そうした問題があるからだろうと思います。
 一つは、先ほど言いましたように、政党名しか書かせないシステム。それから、手続が厄介であること。政党名しか書かせない背景には、先ほど言いましたように、自民党のそういう考え方もあるのですが、海外に行ったら選挙に関して十分な情報も入らないので、小選挙区などは選びようがないのではないか、立候補者が誰なのかわからないから選びようがないのではないかという、海外にいる日本人を小ばかにしたような発想が元々、ありました。だけど、今はもうインターネットでも何でも、自分の選挙区に関する情報はすぐに入るわけだから、そこは自民党さんはもっと心を広くして、このシステムをもっと生かすようにしていかないとだめだと思います。これは外務省が一人でできることではないけれども。いずれは電子投票システムになりますよ、日本の選挙も。そうすれば、もっと簡単にできるようになりますしね。
 そのように思います。

熊谷会長 アメリカの大統領選挙はどうですか。アメリカ人は随分世界に出ていますよね。あれは投票権があるんですか。

仮野委員 あります。海外にいる軍人たちにも全部投票権があります。
 日本が一番遅れていたんですよ。特に、北米あたりに住んでいる人たちが在外投票権をと運動を始めて、先生がおっしゃるようなアイデアも一部出ました。だけど、いざ始まったら登録者が1割。「在外投票権」をと言っていたわりには、この登録数は何だと言いたいですね。それに投票率も悪いんです。だから、つくったものの、つくれと言い出した人も結局あまり熱心ではなかったと言うことでしょう。

熊谷会長 ほかにございますか。
 それでは、一応その辺にしまして、次に、領事移住部の機構、定員、予算等についてのご説明をいただきたいと思います。

三好領政長 お手元に、「領事移住部組織図(現在)」という資料と、若干の統計をお配りしました。これからご説明させていただきます。
 「海外安全に関する意識調査」は、今年2月に行ったものですが、その結果を昨日、外務省のホームページ上で公表しましたので、簡単にご説明したいと思います。海外安全に関する意識ということで、これは必ずしも毎年行っているものではないのですけれども、このたび外務省から社団法人に調査を依頼して、標本数 2,000人で行いました。
 その結果を簡単にご説明しますと、海外渡航の経験者は調査をした方の過半数でした。これまでに訪れた地域では、東アジアや北米が上位でした。トラブルの経験があった方は17%。トラブルを防ぐための情報の入手先としては、旅行会社の窓口、旅行雑誌、ガイドブックが上位を占めています。
 ここから先は私どもに関係するところですが、外務省の海外安全情報提供の認知度ということで、知っている人は3人の1人で、まずまずなのかなと思っております。それから、知っている海外安全情報としては、いろいろな危険情報、広域情報、速報的なスポット情報のうち、危険情報を知っている人が7割強。活用していると答えた人が47%でした。あとは、情報は役立っているかと聞きましたら、「役立っている」が約半数。今後改善すべき点ということで、これから私どもも改善を図っていかなければいけないと思いますが、「表現をわかりやすく」と答えた方が3割弱おられました。
 あとは、日本人が巻き込まれる事件・事故の防止対策ということで、基本的には渡航者本人が意識を高く持ち、注意深い行動をということが54%ということで、私どもも非常に心強く思っております。それから、海外旅行傷害保険への加入ということでは、半数近い方が「加入経験あり」と答えていますが、これはもう少し高くしていかなければいけないかなと思っております。もう少し保険に入ってくださいということを、私たち自身も呼びかけていかなければいけないのかなと思っております。外務省の海外安全対策の重点ということでは、情報の充実ということを挙げておられる方が半数おられました。それから、例の9.11以降、海外安全問題への意識、関心が高まったという方が過半数おられました。あと、自身の海外渡航に関する意識として、「テロが頻繁に起こっているような地域への渡航は控えるべき」と考えられておられる方が過半数でした。
 もう一つ。これは新聞でも一部報道されましたが、在留邦人の方々への在外公館の対応ということで、昨年11月から12月にかけて調査をいたしました。これは全世界に展開している大使館の中から19公館、特に邦人の方が多いようなところを抽出して、その結果をまとめて4月に発表したものです。今回、こういうことを初めてしたこと自体、遅きに失したのではないかと、マスコミの論調はかなり厳しいものでした。就中領事の関係、これは大使館、総領事館に1回ぐらいしか行ったことがない人から、しょっちゅう行っておられる人からいろいろでございますので、評価をするのは非常に難しいかと思いますけれども、特に私たちが注意しなければいけないかと思っておりますのは、まずはアンケートの回答ということで3ページになりますが、「大使館・総領事館の活動を評価していますか」という質問に対しては、評価しているとの答えが36%。これを高いと見るか低いと見るかということで、まだまだ改善の余地があると思っています。
 問2としては、不愉快な思いをされたことがありますかという質問では、「時々ある」という答えの方が結構おられました。内訳としては、一番多いのが領事窓口での対応ということで、このあたりも領事移住部としては注意する必要があると思っております。
 また、期待されている点としても領事事務がかなり多くて、期待も高いけれども、改善すべきと思っておられる方も多いということで、特に治安情報、領事事務に関する情報を必要とされている。それと並んで経済情報もございますけれども、このあたりも心しなければいけないのかなと思っております。
 ご案内のとおり、来年4月から領事局に格上げですが、残念ながら、課の数等は現状維持のままでと言われておりますので、この組織図をどう変えていくべきかを今議論しているところです。予算の拡充、人の手当に力を入れていきたいと思っているところです。  また、6月の総会で本格的にご議論いただければと思っておりまして、そのためのたたき台を皆様方に事前に送らせていただきたいと思っております。
 以上、簡単ですが、むしろ皆様方からご意見をちょうだいできればと思っております。

熊谷会長 ありがとうございました。
 今、三好課長からお話がありました領事移住部に対するアンケートをどう読み取るかという問題と合わせて、機構をどう考えていったらいいのか。あるいは、課の数が増えないという意味ではこのような配置でいいのかどうか。予算面でのご要望なりご意見なり、どうぞ自由にご発言ください。

横山委員 今年の予算からもう実現されたと思いますけれども、ボランティアのような人を募集して、領事部のお手伝いをされる制度をお始めになったと思いますが、あれは日本から人を出す話ですか。

三好領政長 そうです。基本はそういうことで、4月30日から募集を始めて6月15日締切りということで、10人募集しています。

横山委員 それもいいと思いますけれども、いくらボランティアでも日本人を外へ出すとなるとお金がものすごくかかると思います。それで、それぞれの現地で、例えば現地会社に勤務していた人とか、かつて日本に駐在したことがある現地の人とか、そういう人たちを、今考えておられるような領事部のアシスタントとして積極的にお使いになる仕組みをお考えになったらいいのではないかと思います。そうすれば、日本人を外へ出すのはものすごくお金がかかりますから、コストも安くなりますし、人数も多くそういうアシスタントが確保できるのではないかと思います。

三好領政長 このたびの領事シニアボランティアも、海外におられる方を排除しているわけではありません。試験だけ受けに帰っていただくということもあろうかと思います。

横山委員 日本人ではなくて、日本人になれておられる現地の人。できれば日本語ができる現地人の方がいいのではないかと思いますが、そういう人を積極的に活用されたらいいのではないかと思います。
 これは一般論になりますが、私の経験からいっても、留学したり日本企業で働いたりして、せっかく日本語能力を身につけた人の能力を、必ずしも日本は上手に活用していないですね。例えばバンコックなどには、日本語ができるタイ人の方がたくさんおられるのですけれども、日本とタイとの間で会議をやると、公用語は英語でやるとかいうことになっていて、せっかく日本語を勉強した人を十分に活用していないのではないでしょうか。これは何も外務省だけではなくて、日本全体で。
 私が今やっている技術指導の専門家も、日本語を勉強して通訳ができるような現地の人を技術指導に活用した場合は、非常に効率よくいきます。ところが、自分は英語ができるからといって、英語の能力で技術指導をやるんだと非英語圏へ乗り込んでいった人の技術指導能力は、力もそれほど高く評価されていない。やはりコミュニケーションに難があったりする。本人も、どうも隔靴掻痒の感があって、十分な指導ができなかったと。そういうケースが非常に多いです。
 ですから、せっかく日本へ留学したり、日本企業で働いたり、現地の日本語学校で日本語を勉強したりした人の能力を十分に活用するようなことを、日本全体で考えたほうがいいと思います。領事アシスタントもそういう人を活用されることを積極的にお考えになると、日本語を勉強していてよかったということにもなるわけですから、ぜひそういうこともお考えいただいたらいいと思います。

仮野委員 外務省の機構改革で、危機管理専門官が大臣官房に置かれることになりましたよね。それはそれでいいのですが、小野前部長から聞いた話では、領事・危機管理局にしたいというようなことを言っていました。今後、領事局に昇格した場合、いわゆる海外における危機時に領事局としてどう対応するかが重要になってきますが、官房に置かれる危機管理専門官との関係はどうなのかということと、領事局の中に、例えば危機管理課が置けるのか置けないのかわかりませんけれども、そこは新しい鹿取部長はどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

鹿取部長 我々としては、邦人保護に関する危機管理は我々のところでやっているという意識がありますし、現にやっているのだと思います。そういう考慮に基づき、小野前部長は名前の上でも危機管理局を前面に出そうということであったと思います。我々のモラルとしても、これからはますますその面を強調し、役割を高めていきたいと思います。実際上、在外における邦人保護に関する危機管理は、我々が中心になってこれからも行っていくことには変わりがありませんし、それは強化していくつもりです。
 危機管理官については、省内でも議論がありました。ただ、官房は、危機管理は、単に邦人保護だけではなくて、もっと広い意味での危機管理だから官房に置きたいということでした。官房が「危機管理」という語を使ってしまいますと、行政組織としてほかのところで「危機管理」を使うことは困難です。領事局としては、邦人保護の危機管理は中心となってやるという立場に変わりがありませんし、我々の一番重要な仕事だと考えておりますので、それは強化していくつもりです。しかし、名前の面は、検討していきたいと考えています。

仮野委員 例えばリスクコントロール課というのはどうですか(笑)。

遠藤審議官 今の部長の発言に補足します。
 領事危機管理局の名前から「危機管理」がなくなったからといって危機管理をやらないということは一切ありません。今、部長から説明があったように、行政組織上、いろいろなところで「危機管理」を使うと問題だということです。
 我々としては、危機管理の9割以上は邦人が絡んだ話だから、せめて初動ぐらいはやってもいいかなという意気込みでした。システムは一応できていますし、iモードなども使って、事件が起きたときには第一報がすぐに入ってくるようになっています。そういう意気込みで省内でいろいろ議論したのですけれども、やはり危機管理は全部が全部邦人援護というわけではないということで、全体を見ている官房にしようかということでなった経緯があります。
 官房では、そういった初動もやるのですけれども、あと、中・長期的体制強化を考えていかなければいけないということがございます。

仮野委員 もう1点。茂木副大臣とインタビューする機会があって細かく聞いたのですけれども、研修問題について、例えば瀋陽の事件の後、私が指摘してきたことは、言葉は悪いけど、いわゆる全体の4割を占める「にわか外交官」が十分に機能しなかったのではないかということでした。「にわか外交官」と呼んでしまって言葉は悪いのですが、他省庁からの応援組ですね。その人たちに対する研修を、かなり緻密かつ十分にやっていかないといけないのではないかという問題提起をこれまでもしてきたのですが、茂木副大臣によると、今回の機構改革では、研修所問題と国際問題研究所のシンクタンク化については議論が十分にできていないのだと言っていました。その研修に関して、当然ながら、新しい組織図の中で、あるいは、組織の運営の中で議論されていくことでしょうけれども、十分な時間をかけた研修をしていただきたいと思っております。

熊谷会長 これは課の数を変えられないのであって、課の機能とかそういうものはいくらでも変えていいわけですね。数だけですので。
 今ある課だけでは、局になって、さらに仕事を充実させていくという意味では、機構改革をしていただくあれになっているんでしょうね。まだそこまでは‥‥。

三好領政長 まさに議論しているところです。

矢崎委員 今のお話だと、課の数は変えられないとか、何となく結末がさびしい感じで、局になったときに、外務省の中のスクラップ・アンド・ビルドで、いろいろな局の課をこちらに持ってきたりどうのこうのということがあってもいいと思うのですが、そういうことはできないものですか。

鹿取部長 課の数がトータルで決まってしまっているものですから、そこはなかなか難しいところです。我々としては、室をつくったり、人を増やしていただきたいと考えています。ただ、省内では大きな闘いになると思います。

矢崎委員 むしろ、局が自動的に分けていくんじゃないんですね。

鹿取部長 省内の議論はなかなか大変だと思います。

熊谷会長 予算もたたかれますしね。
 増やすことはできますか。そうでないと局になった意味がないですよね。予算も同じ、数も同じということであれば。

大来委員 定員の問題では前にも一度発言させていただいたのですが、やはり外務省本省だけではなくて、全体の組織としての定員をもっと増やさなければいけないということで、前から外務省は、日本の外交官の数が、例えばイタリアとかよりも少なすぎるというキャンペーンをやっておられましたが、もっとがんばっていただきたいという気がします。そうすれば、定員が増えれば、先ほどのにわか外交官についても、研修所にいる定員も増やせますから。ということは、研修の基幹が長くできるということだと思います。
 定員を増やさないで研修をやろうとすると、私も経験があるのですが、私は経済企画庁にして外務省に出向したのですが、出向する前に研修を受けるわけですが、そうすると、経済企画庁の仕事をやりながらということになります。これは外務省のせいではなくて、私の親元の官庁のせいで研修が十分に受けられないということが起りますので、やはりその問題も定員の問題とかなり結び付いていると思いますので、ぜひがんばっていただきたい気がします。

熊谷会長 そろそろ時間ですが、ほかに何かございますか。

矢崎委員 医務官の位置付けは、領事移住部ではなくてどういう部署になっているんですか。会計課というのは。

鹿取部長 大臣官房です。

横山委員 その辺はいろいろ難しいとは思いますが、矢崎先生がおっしゃったようなニーズが私もあると思います。私も、ワシントンの大使館にいたときに、厚生省から来ている仲間の書記官が、感染症が起こるとアトランタかどこかの何とかというセンターに聞きに行って、君、本当に大丈夫かと言ったことも思い出します。
 確かに、これだけ国際的な疾病の問題が起きてきますと、大使館に専門の館員がおられて、それぞれの任地の医療情勢をフォローし、必要に応じては医療当局と交渉するというお医者さんの資格がある方がおられるのがいいと思います。今、73人もの医務官がおられるなら、その人たちの仕事の中身を、大使館員の健康管理だけではなく、今言ったような、「医療外交」という言葉があるのかどうか知りませんけれども、医療情報の収集とか、医療問題での交渉窓口とか、そういうことに活用されるように、その定員内容を変えていかれれば、かなりの実現ができるのではないでしょうか。むしろ、館員の健康管理は、その人のサイドワークという程度でいいのではないかと思います。
 ワシントンの大使館にも医務官がおられるという話ですけど、そんなに必要性を感じなかったように思います。

遠藤審議官 ご指摘ありがとうございます。実は、多くの医務官がその任国の情報収集等はしておりまして、「世界の医療事情」としてホームページにも紹介させていただいております。外務省のホームページからたどっていくと、そこにたどり着きます。そこの国にどういう病院があって、何を専門としているかとか等を調べて、外国人が行けそうなところはどこか等を紹介させていただいているところが数多くあります。
 それから、今回、広州等にも日本からお医者さんに行ってもらって、邦人社会に対しSARSの関係で説明会をやってもらいました。その際に関連医療施設も見てもらって、どこの病院がSARSを専門としているのか全部調べてもらい、結果を在留邦人の方には紹介しております。いずれにしてもご指摘の点は、引き続き課題として取り組んでいきたいと考えます。

仮野委員 世界中に、総領事館、領事館があるわけですけれども、そこの人的な配置ぶりは毎年毎年見直しはしていると思いますが、さっきの医務官じゃないけど、OBの医務官が変な本を書いています。それを読むと、暇なところに何人も他省庁からの人が来て、1年か2年のんびりして、また戻っていく。保養に来ているようなものだと書いている医務官OBがいたけど、あんなことを書かれるようではいけないと思います。ですから、領事局になったら、その辺を思い切って、増やすところは増やさなければいけないのだけれども、減らしてもいいところは減らして、人的配置をやり直すとか、思い切ったことをやってほしいという気がします。つまり、そんなばかばかしいことを書かれないで済むようにやってほしいということです。

熊谷会長 ありがとうございました。
 本日もいろいろご意見をいただきましたが、子女教育については、ほぼわりあい高いレベルというか、満足すべきレベルに来ているのではないか、むしろ帰ってきてからの問題のほうが大きい。補習校については、国の補助をそこまでやる必要はないのではないかという意見と、懐の深さという意味でも視点を変えて考える必要があるのではないかという議論がありました。
 医療問題につきましては、矢崎委員から、専門家の立場から、医務官は医療情報を正確に伝えるという意味で極めて大事ですが、組織内の位置付けをしっかりしてほしいと。むしろ、領事移住部長のもとでやるべきではないかということと、今はそういった、現職を辞めた人がやっているけど、もっとアクティブな人を採用してほしいと。それから、健康管理センターのようなものをきちんとつくる。邦人について言えば、行く人のチェック、帰ってきた人のチェックということもきちんとやれるような国際的な疾病センターの設立とか、あるいは、在日外国人の健康管理の問題についても提言がありました。
 選挙の問題につきましては、海外選挙区の議論もございましたし、もっと充実し拡大すべきであると。そのためには、手続が厄介な面があるので、もっと電子投票あるいは登録する場合のインターネットの活用なども考えるべきではないかという議論でございました。
 それから、今度の領事移住部の領事局への昇格につきまして、課の数は変えられないようですけれども、局に上がった以上、それだけの充実した仕事をやっていただけるような形で定員及び予算についても考えてほしいわけですが、我々も応援したいと思います。一番大事なことは、研修という問題で、やはり十分な時間をかけて、きちんとした研修ができるようにしてほしいし、医務官のみならず、領事業務についての徹底的な見直しの中で、定員についての配置の見直し、めりはりをつけるということについても、より検討をいただきたいということが、ごく簡単に言えば、本日の議論の結末ではないかと思っております。
 第4回の総会は既に決定しております。6月18日の水曜日、午後3時から5時で、開催場所は三田共用会議所を予定したいと思っておりますが、詳細は追って事務局より連絡をさせていただきたいと思います。
 なお、本日の議論につきましても大要をまとめましたが、外務省ホームページに掲載させていただく予定でありますので、追って事務局から送付されます議事録案をご確認いただくようにお願いいたします。
 また、この後、記者側の求めに応じてこの審議の内容を説明させていただくことは、私が責任を持ってやらせていただきたいと思います。
 それでは、時間も参りましたので、海外交流審議会第3回領事改革部会を閉会させていただきます。大変ありがとうございました。



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