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海外交流審議会第1回領事改革部会

平成15年1月28日(火)
於:外務省仮庁舎

<会 議 開 催 概 要>

1. 日 時1月28日(火) 16:00~18:00

2. 場 所外務省仮庁舎1906号会議室

3.  出席者:
(委員側)熊谷会長、大来委員、仮野委員、櫻井委員、谷野委員、中谷委員
中山委員、矢崎委員、横山委員
(事務局側)小野領事移住部長、遠藤審議官、三好領政長、小澤領事移住部付検事
佐藤領保長、重枝領旅長、山本領外長

4.  議 題
(1)「新しい領事業務のあり方(領事の理念と原則)」取りまとめ
(2)邦人保護に関連する危機管理


<議事録>

熊谷会長 定刻になりましたので、ただいまから第1回領事改革部会を開催いたします。
 本日は、委員の皆様には大変ご多忙のところをご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、本部会につきましても私が議長役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日の部会は、おかげさまで全委員の方がご出席いただいておりますことをご報告申し上げます。
 それでは、早速、議題に入らせていただきます。
 本日の議題といたしましては、まず第1点は、昨年の第2回総会でいろいろご議論いただいたわけですが、「新しい領事業務のあり方」ということで、領事の理念と原則についてまずはっきりさせるということで、この前の第2回総会でもいろいろご議論をいただいたわけですが、その後も各委員の先生方から、お気づきの点のコメントをお寄せいただきまして、そういうものを総合しまして、本日、お手元にお配りしたような形で原案として出しております。そういった点につきましてもう一度よくご覧いただいて、本日とりまとめたいと思っております。
 それから、本日の第2点目としては、最近のイラク情勢とかいろいろと世界情勢が厳しくなっておりますが、そういう点について、危機管理をどう考えていくかということについて、事務局側の説明をお聞きした後で、各委員の先生方から危機管理の問題についてのご意見をちょうだいいたしたいと思います。
 それでは、第1点目の「新しい領事業務のあり方」のとりまとめ状況について、各委員の先生方のコメントも踏まえてつくりました原案につきまして、小野幹事から説明をお願いをいたしたいと思います。

小野部長 本日はお手元に資料を何部か用意させていただきましたので、まず各資料について一言ずつご説明したいと思います。
 開催要領の1枚紙がございまして、ここに式次第等が書いてあります。
 それから、「10年後の外交を支える領事体制のあり方」、「『領事シニアボランティア』の概要」、英国のストロー外相の最近のスピーチ、新聞記事、それと水色の横長の「イラク情勢緊迫化に伴う邦人保護」という資料がございます。
 まず、ストロー外相のスピーチは、今年の1月6日に英国が、全世界の大使を初めてロンドンに招集して大使会議を開いた際のものです。なぜ開いたのかということですけれども、私どもが理解するところでは、バリ島のディスコ爆破事件がございました。このときは英国人の犠牲者が比較的多かったということがあったと思いますが、そのときの対応に対する反省があったと仄聞しております。
 ここで申し上げたいのは、資料の2ページ目の最後のところに (3)外務省のサービスについて触れております。ストロー外相は、「領事、商務及び査証業務は外務省の顔であり、国民は我々のパフォーマンスをこれらの分野で判断する。館長はこれらの分野を重視しなければならない」と言っております。そういうことで、望ましい外交官像というものが世界的に変化しつつあるのかなという感じがします。一般外交事務だけではなくて、やはり世界的に、国民一人ひとりの安全と申しますか、行政サービスがますます重要になってきているという認識が共有されつつあるのではないかという気がいたします。
 もう一つの資料として、「『領事シニアボランティア』の概要」がございます。これは、来年度政府予算原案に盛り込まれたもので、民活ということで、領事サービスのサポート役として在外公館にボランティア精神と実務経験に富んだ人材を採用するというものです。報道でこの記事が載った途端に 700件以上の照会が担当課に寄せられているのが現状でございます。いかにこういう新しいアイデアに国民の関心が高いかということの証左だと思います。
 それから、東京新聞の記事がございます。「国民を守る領事体制を」ということで、かつて領事移住部長をされた荒前フィリピン大使が投書したもので、そのメッセージとしては、外務省の役割として一般外交事務と領事事務があるのだけれども、問題は、多くの外務省員の意識には、一般外交事務が外務省本来の任アであって、対国民サービスといった現場仕事は副次的な任務であるという気持ちが本当はまだ残っているという指摘をしております。そういう意味で、現在の外務省改革は意識改革が重要ではないかという気がするわけでございます。
 もう一つのペーパーで、「10年後の外交を支える領事体制のあり方」というものがございます。これは、前回の「変える会」におきまして、「変える会」のメンバーの方に説明したペーパーでございます。「10年後の外交を支える領事体制」というのは、川口大臣が省員に対して、これから機構改革に際して、現在の外務省の組織はもう時代後れであるという認識に立って、10年後の外交を考えて機構改革を考えるべしという指示があり、それに基づいてここに簡単にしたためたものです。
 1.にありますように、これからの国際情勢は不安定化していく中で、外交の柱は平和の構築と国民の保護に置くべきであり、一日も早く国民の信頼を回復して、頼りになる外務省を構築していく。それを目指すべきである。
 2.として、三つの意識改革をあげています。先ず「エリート意識よりもプロ意識を」、納税者に向かって、「私の仕事を評価してみろ」と胸を張って言える人材を育てる。そのための研修の強化は必要です。
 第二の意識改革として、やはり現場を持つ組織が強いわけで、「現場としての在外公館の役割を外交の中心に据える」という考えです。プロが育っていけば、それだけ現場に仕事を任せられる。権限の委譲も可能になるということだろうと思います。
  第三は、一般外交業務と同様に領事業務を重視する。いわゆる、マクロと同様にミクロも重視するということで、国民一人ひとりと直接に双方向のコミュニケーションを図っていくことの重要性を認識するということです。
 別紙の資料の通り、下の「国民・納税者」から、いろいろな要望が外務省に寄せられています。外務省は、在外公館を通じて、様々なサービス(黄色で示した部分)を提供する。提供される在留邦人、国民(紺色の部分)は、海外旅行者、民間企業関係者、自由業、留学生・研究者・教師、政府機関関係者等々様々です。それから、「永住者」は非常に大きな存在で、更に永住者にプラスして、250万人と言われる日系人がいます。一番右に「任国国民」とありますが、これは在日外国人に係る問題があるわけです。それから、現在、日本は観光立国になるべきだ等いろいろな話がございますが、かかる問題に関しても在外公館は重要な役割を果たすわけで、査証の問題とか、交流の促進という問題が出てくるわけでございます。
 次に、グラフ資料として、海外渡航者数、在日外国人数、援護件数等が今後いかに増えていくかということをここで示してございます。
 1ページ目に戻っていただきまして、3に「10年後の具体的な領事業務」として、 (1)「ワン・ストップ・サービスの実施(別紙2)」は、ITを活用して行政手続基盤を整備していく。別紙2には2020年と書いてありますが、恐らくもっと早く、場合によっては5年とか10年先にはこういうサービスが出来上がるのだろうと思っております。左に海外、右に国内、真ん中が外務本省で、在留邦人とは在外公館で結ぶわけですけれども、旅券の発給等は電子申請ができるようになります。
 その大前提は、現在、国内で導入された住民基本台帳制度をいずれは在外の邦人にも適用していく。在留届等のオンライン化と在外邦人の基本台帳化が進むことによって、このワン・ストップ・サービスが実現していくということでございます。これができれば、1回旅券の申請をすれば、次回からは、在宅のまま更新が可能になるということと、双方向のコミュニケーションが可能になりますので、危険情報や渡航情報もこのオンラインに載せて提供できます。それから、旅行をする人などは、登録しておけば、旅行先でこういう情報を読むこともできますし、自分の旅行日程を登録することによって、何か事件が起きても所在の確認が直ちにできる形になっていくだろうと思います。双方向のコミュニケーションということで、旅券の電子申請により、24時間以内の交付を実現していく。現在、海外で旅券の盗難に遇ったりしますと、それで足止めを食って旅行日程全体が狂っていくわけですけれども、将来は、24時間以内に再発給することを実現したいということです。
 次に、「新しい領事業務のあり方-領事の理念と原則-」につきましては、三好課長から説明してもらいます。これはご案内のように、「変える会」の提言の中で、領事業務の理念と原則を確立すべきであるということがうたわれたのを受けて、行動計画の中で、昨年末までに外務大臣の諮問機関である海外交流審議会で理念と原則を議論していただくということをお願いしてきた経緯がございます。今日までに、何度か各委員の方のご意見を拝聴し、反映させた形で案として用意させていただいた次第です。

三好課長 まず、冒頭に、年末年始というお忙しい時期を挟んで、各委員の先生方から貴重なコメントをちょうだいいたしましたことに厚く御礼を申し上げたいと思います。
 既に12月の会合でもご議論いただいておりまして、その後の変わったところについて、かいつまんでご説明させていただきます。
 タイトルは、「新しい領事業務のあり方-領事の理念と原則-」ということです。「1.基本認識」の (1)の3行目になりますが、「国内では各省庁が担当毎に行政サービスを提供しているが」を加えさせていただいております。これは、ある委員の方から、この領事業務全般のニーズが増えてきているというのは、そもそも国内で他の官庁が行っている行政サービスに対するニーズが増えていることに一つの要因があるのではないかというご指摘をいただいたものを踏まえてのものでございます。若干中途半端な書きぶりにはなっておりますが、我々サイドでは、国内官庁がいろいろ新しい行政サービスをされるという側面と、外国において、例えば運転免許のシステムが変わるとか、無犯罪証明等、新たな要求が出てくる中で、我々行政サイドがどう対応していくかという二つの側面があるのかなと思っておりまして、ちょっと中途半端ではありますが、こういう形で書き入れさせていただきました。
  (2)の、「いわゆる『脱北者』の問題等新たな要素が加わってきている。そうした事態に対応するため、非常時や危機に強い領事体制の構築を求める声が国民の中に高まっている」、(3) の「この1月には、総理の主催する観光立国懇談会が立ち上がるなど新しい動きもみられてる」ということで、このあたりは時代の流れと申しましょうか、新しい動きを盛り込んだほうが、よりインパクトがあるペーパーになるのではないかという貴重なコメントをいただきまして、こういう形に変えさせていただいております。
 2ページ目になりますが、「領事業務の目指すもの」の (2)の一番最後のところ、「領事部門は、テロリストや通常犯罪者を含む『不審者』と向き合う最前線に位置することから、今後組織体制の強化を図っていかねばならない。その結果として非常時や危機時に在外邦人にとって力となる領事体制、非常時や危機に強い領事体制の構築を急がねばならない」と。これも申すまでもないことですけれども、イラク情勢の緊迫化等ございまして、在外邦人の期待も非常に高まっている中で、非常時や危機にュい領事体制をつくっていかなければいけないというご指摘を踏まえているものでございます。
 それから、 (4)を新たに入れさせていただきました。これは本審議会にお願いしております三つの検討事項、すなわち、領事行政サービスの向上、安全危機管理対策、外国人問題、いずれにしましても意識の問題が重要だということで、先ほど小野部長からご説明申し上げましたように、特にエリート意識に寄りかからずにプロ意識を持つということ、あるいは、現場主義ということで、在外公館の役割を中心に据える。3番目として、マクロの一般外交業務も重要ですけれども、同様にミクロの、国民一人ひとりと直接に双方向のコミュニケーションを図ることも重要であることを盛り込ませていただいております。
 「3.領事業務の3本柱」でございますが、これもやはり人材の育成、あるいは、組織改革といったものは、この3本柱のいずれにも当てはまることではないかというご指摘をいただきまして、当初、研修制度とかは (1)に入れていたのですが、上にまとめて、「また、これら課題を実施していく上での前提として、領事分野の研修の充実等を通じた省員の意識とそれを支える体制の改革及び領事のプロの養成と適材適所での活用を可能にするキャリアパスの実現を図っていく必要がある」という形で、三つの柱すべてにかかるような形で入れさせていただいております。
  (1)、 (2)、 (3)の個別の策につきましては、ぜひ、今年4月、5月あたりに、分科会の第2回、第3回を予定させていただいておりますので、皆様方のお知恵をいただいて、これをもう少し肉付けをしていければと思っております。
 以上でございます。

熊谷会長 ただいま、小野幹事、三好課長から、「新しい領事業務のあり方」のとりまとめ状況についてご報告があったわけですけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、既に皆様ご承知のとおり、第2回総会におきまして、同総会での議論を踏まえて修正したものを、さらにその後、各委員にコメントを求めた上で、本年早々に確定するということでご了解をいただいておりますが、今、三好課長からお話がありましたような線でまとめてよろしゅうございますか。あるいは、なおご意見があれば承りたいと思います。

横山委員 12月にちょうだいした原案ですと、3本柱のところだったと思いますけれども、組織論とか、あるいは、人員が足りないという話が書いてありましたが、組織改革の議論が省内で進められているわけですから、やはり我々の領事事務に対する期待を反映した形での議論が省内的にも行われるようにしていただければ、もっとこうすべきというところがございますので、もうちょっと突っ込んではどうか。
 私がメモで三好課長に申し上げたのは、局などと遠慮せずに、その専門性を強調されるならば、外局的な存在にして、人事もそこである程度完結する。完全に完結する必要はないと思いますけど。そのようなことまで考えて、専門性を強調されたらいいのではないかと思います。少なくとも、何らかの形で、省内での組織論にもこの審議会の議論がぜひ反映されないと、我々せっかくここで議論させていただいていても張り合いがないというか、そういう感じがいたしますが、いかがでございましょうか。

熊谷会長 横山委員から今のようなご意見もございますけれども、それについてはいかがでございますか。もう少し踏み込んで組織論のところまでこの中にも書くべきではないかというようなことだろうと思いますが、いかがでしょうか。

中山委員 サブタイトルが「理念と原則」となっておりますので、そちらの部分だけに集中しているのだろうとは思っておりましたが、横山委員がおっしゃられたような、組織を具体化していく問題点も入れたほうがわかりやすいかなと思います。私も、局というよりは、庁というか、何かそんなしっかりした外の組織があってもいいテーマだと考えております。

小野部長 ご参考までに申し上げますが、組織の問題は、現在、外務省の中で議論が行われていて、これから外務省自身がどういう組織がいいかをまとめようとしているところでございます。そういうタイミングにおいて、この「理念と原則」が対外的に発表されるという問題がございます。
 事務方としては、組織改革については、できるだけ事務方のイニシアチブで議論してみたいという強い意向がございまして、組織の問題については、ここでは具体的には触れないという形でまとめてございます。その辺をご配慮いただけたらありがたいと思います。
 他方、大変重要なご示唆なので最終的には、これはまさに委員の方々でお決めいただければ、それはそれで結構だろうという気がいたします。

熊谷会長 今、小野幹事からそういうお話でございますけれども、この委員会として一歩踏み込んで、もう少し具体的に書くような形にしましょうか。それとも、そういう議論が強かったということを議事録にとどめておくか、あるいは、私がブリーフィングするときにそういうことを言うことでとどめておくか、今、非常に微妙なタイミングだということでございますので難しいのですが、委員の皆様方がさらに踏み込むべきだということが大勢であれば、その点も考えなければならないと思いますし、いかがでございますか。

仮野委員 私は、横山委員が言われたことに大賛成です。
 今、小野さんが言われたことは、恐らく、微妙な時期であるがゆえに、あまり具体的に書かれるとやりづらいということかもしれないんだけど、これは我々審議会独自の意見として、明示的に主張できるのではないかと思います。それで、皆さん方がかえってやりにくくなるということはあるかもしれないけれども、我々の意見は我々の意見だと思うんです。

熊谷会長 それは、当然、委員会があって、その委員会の大勢がそうであるならば、それはきちんとやるべきだと私は思いますが、反対の意見なり何なりもあると、これは考慮しなければいけませんが、いかがでございましょうか。

矢崎委員 これは、「基本認識」のところに、体制が十分ではないということが書いてありますよね。今のお話のように、それにどう対応するかを、この審議会で本当に具体的に、先ほどのように、局にするとか庁にするというような具体的なことは、それは各省庁で自主的にベストの道を考えてやられるので、私は、具体的にここでこうすべきだということではなくて、今は、不十分な対応とこの審議会では認識するので、それに対するしかるべき対策をとってほしいということはきつく書いておくことはありますが、具体的にどうするかということは、私個人としては、局にすべきなのか、外局にすべきなのかという判断はなかなか難しいので、それについては私個人としてはコメントできませんし、そこまでこの審議会が踏み込んだ議論をすべきかどうか、私自身もちょっと疑問に感じますので。
 きっちりプロ意識に徹すると同時に、質の保証は求められますが、質だけではなくて、量的なサポートもある程度必要だと思います。特に外務省の場合は、各省庁から出向されておられる方が外務省本来の業務をされていますよね。そういう方の対応、教育といったことをどうされているのかとか、そういう、本当に外務省固有のスタッフをうんと増やせばいいということなのか、各省庁から来られた方もその間にきっちり教育して、本当のプロになり得るようなシステムを残すか、その辺をきっちり議論した上でないと、端的にこうすべきだと言うのはなかなか難しい課題ではないかと思います。

櫻井委員 今の点と関連してですけれども、組織云々をどの程度書くのかというのは微妙なところがあろうかと思いますが、関連して気になるのは、「領事業務の3本柱」のところで、一番大事なのは (1)の「国民本位の領事行政サービスを実現する施策の検討」というところだと思います。結局、組織の話もまさにそれに相応するような組織が存在していることが大事だと思います。ですので、そこに関連して書いたらいいのではないかと思いますが、どうも (1)だけ、国民本位の行政というものは、ITとか窓口とかそういう話ではないはずで、領事業務というのは、言葉はちょっとよくないかもしれませんが、行政自体の近代化というか、開明化といいますか、質の確保というか、そういう根本のところが、今までは規範なくして行われてきたところがございますので、それをむしろもうちょっと抽象的な形できちんと書いて、当然のことながら、人的組織の整備がその大前提にはなるのだろうと思われます。その点はもう少し、IT云々の話ではなくて、大体、ITとかいうとうさんくさいと思ってしまうので、その前に、「心が温まるようなサービス」という感じで書いていただけるといいなと思います。
 あと、細かいことですけれども、「ワン・ストップ・サービス」という日本語の意味がよくわからないのと、その上のところの (4)で、一般外交業務がマクロで領事業務がミクロだというこのワーディングは一般的なものでしょうか。以上の2点です。

熊谷会長 マクロとミクロのほうはどうですか。そういう表現でよろしいですか。

小野部長 例えば安全ということを考えたときに、安全保障であれば、朝鮮半島とかアジアの安全保障という鳥瞰図的な視点から見るものですね。それに対して、むしろ虫の目でという意味で、つまり個々の人間の安全保障といいますか、サービス。そのミクロの目という意味で、ここはマクロとミクロという言い方がわかりやすいかなということだと思います。
 ただ、これは一般的に使われている言い方ではないのもその通りです。括弧で、いわゆる一般外交業務と領事業務があって、領事業務は個々の人間を対象にしたサービスであるという趣旨で使っています。

熊谷会長 誤解があるといけませんから、むしろ、マクロやミクロではなくて、一般外交業務、領事業務と書いたらどうでしょう。そうでないと、また誤解が生ずるかもしれません。

中山委員 そうですね。

谷野委員 そうですよね。

中谷委員 今、部長が言われたような形の説明をされれば、誤解はなくなると思いますから、それをちょっと書いていただけたらと思います。

熊谷会長 ちょっと工夫していただいたらどうでしょうか。私もそんな気がします。
 あと、今の組織論まで具体的に行くのか、意見が分かれているところでございますが。

中山委員 先ほどいただいた、「10年あとの外交を支える領事体制のあり方」という資料がありますね。これとの関係はどうなりますか。

熊谷会長 これは、まず理念と原則を固めることで、こちらはどうなりますか。

小野部長 実は、今の機構改革を考えるに際しては、10年後の外交を考えた上で、10年後にも有効な機構改革を考えるべきだというのが大臣の指示でございました。そういう趣旨です。

熊谷会長 一つの資料と考えると。ですから、審議会でこれをまた議論するわけではないわけですね。

小野部長 はい。特にこれをご議論いただくということではなくて、今までの議論の参考としてご提示させていただきました。

熊谷会長 しかし、今後の領事体制の問題を議論する上では、一つの資料としてぜひ今後も念頭に置きたいと思います。
 まず、新しい領事業務あり方について、本日一応固めたいと思います。
中谷委員 は具体的に踏み込みますか、それとも、今のようなご意見がありますが、いかがでしょうか。

中谷委員 組織の細かいお話については私もよくわからない面があるのですけれども、もし何か書くとすれば、人事制度の再構築、例えば領事大学校制度とか…。

熊谷会長 さっき櫻井委員からあった、人的組織の整備とか。要するに、局へ上げるとか外局にするとかまでは言わないという意見ですね。

中谷委員 このペーパーでは言う必要はないと思いますし、もし何か書き加えるのであれば、人事制度の話と、例えば人事評価に当たって、たまたま私の両隣には大使がおいでですけれども、例えば領事業務をちゃんとやっているかどうかということを、今までも評価されてきていると思いますが、より重要な評価基準にするとか、そういう言葉を盛り込んだほうがいいのかなという感じがします。

熊谷会長 谷野委員、いかがでございましょうか。

谷野委員 私は、今の直接の話題に関しては特に強い意見はございません。年末年始には、特にコメントを差し上げなかったので、若干気が引けるのですが、申し上げます。領事移住部の主管されるお仕事は、ここに書いてある三つの柱、すなわち第1番目は日本国民に対する領事行政サービスの提供、もちろんそれは大切だし、そこが必ずしもうまくいっていなかったから、一昨年はあれだけのいろいろなご意見を国民からいただいた。そして、第2番目は海外の日本人の方々に対する危機管理の対応の問題ですね。それから、三つ目の柱として、ここでやっと外国人が出てくるけど、しかしここに書いてあるのは在日の外国人の問題であり日系の人たちの問題です。
 何を言いたいかというと、実は在外公館での圧倒的な業務は、任国の人たちに対するビザの発給であり、この人たちへの日本についての紹介です。この面でも改善すべき点は多い。どうしてそのことが柱として出てこないのか、不思議に思います。例えば、中国について、こんな話があるんです。既に今の時点で 1,000万人の中国人が外国に旅行に出ている。これが10年後には1億人になるそうです。そうすると、今、日本に来ているのが40万人ですから、単純に計算すると、10倍として、10年後には 400万人から 500万人の中国人が観光のために日本に来たいということになる。これに対するビザ発給その他の体制をどうするかというのは、外務省でも知恵を出さなければならない問題だろうと思います。
 そういうことでありまして、そこのところが大きく抜けているような気がしますので、ペーパーはペーパーとして、審議会ではその辺の議論、すなわちビザ発給の一層の簡素化の問題を議論していくべきだということが一つ。
 それから、これは日本語の専門家の方に教えていただきたいのですが、私が前から気になっていますのは、「邦人」という言い方です。外務省にも領事移住部邦人保護課というのがあって、「邦人保護」という言い方などはもう日本語として定着したんでしょうね。だけど、単独で「邦人」という言い方は使いますか。

仮野委員 最近は使わないですね。

谷野委員 3行目に出てきますね、「邦人の価値観」と。これはなぜ「在外の日本人」ではいけないのか。つまらないことですけれども。

熊谷会長 そこら辺はちょっと検討していただきましょうか。
 では、大来委員、どうぞ。

大来委員 今の谷野委員のおっしゃったことですけれども、第2回の総会のときに横山委員からそういうご指摘があったので、私は、特に意見を出さなくても取り入れられるのではないかと思って意見を出していないのですが、したがって、証文の出し遅れという感じで谷野委員はおっしゃいましたけれども、できれば今からでも直していただけたらいいのではないかと思います。

熊谷会長 それはどの項目ですか。

大来委員 外国人の受け入れ、ビザの業務です。

小野部長 その点については、2ページ目の2の (3)に、「人の移動の円滑化を目指した査証政策」という書き方にはなっております。
 それから、谷野委員へのお答えになるかわかりませんが、「基本認識」のところで先ほどご説明した観光立国については、まさに今、与党3党で観光客倍増という話が出ておりまして、お手元の新聞記事の東京新聞の次のページに、社説で「『観光立国』は将来をかけた国家戦略だ」とありますが、そういう視点も踏まえて、在日外国人に対する配慮という気持ちを込めているつもりです。谷野委員のご趣旨は、外国人に対するサービスの向上ということでしょうか。

谷野委員 そういうことですね、当然。私は、三つの柱があるけれども、領事移住部の方々の意識として、今申し上げたことがなぜ柱に書かれていないのかということが不思議なんです。昨今の国内の風潮におびえて、本来大事なことがこのぺーパーでは等閑視されているような気がします。

熊谷会長 谷野委員がおっしゃるのは、行政サービスという観点だけではなくて、そこにもっと注目をして、行政としてどう考えるかということの視点を書いてはいけないのかということですよね。

谷野委員 そういうことです。

横山委員 お二人が言われた、外国人に日本の領事業務がどのように接するかということについて、今のままでいいのかどうかという問題を考えて、問題がないとなればこのまま触れなくていいのですが、私はやはり、何か書けることがあり、そこをよくすることによって日本全体のイメージも上がるという面はありますので、領事業務の非常に重要な側面と思います。日本人に対する行政サービスだけではなくて、外国人に対して、ビザなどが中心になると思いますが、そのほかにもインフォメーション・サービスとかそういうことがいろいろあるかと思います。場合によっては、貿易上の斡旋とか紹介という業務もあり得ると思います。両方ともほかの政府機関で行っていますけれども、外国人が日本について何か知りたいとなれば、思いつくところとしては、やはりまず領事館ということになるのではないでしょうか。

熊谷会長 時間の関係もありますので、私からまとめさせていただきます。
 先ほどのご意見で、具体的な組織にも踏み込むべしという強いご意見もあったのですが、具体的に局であるとか外局の○○庁とかまでは、今は書き込まない。むしろ、この文章の中でそういうことをよく考えて、人的組織の整備をもっと強く図るとか、あるいは、行政自体の近代化を図るとか、そういった、むしろ審議会としては相当組織にも踏み込んだ関心を強く持っているところを、強く文章の中に出していただくことで会長に一任させていただきたいと思います。
 それから、今のビザの業務その他、要するに領事業務の中での外国人に対するビザ発給についての行政サービス、もしくは、そういう視点でどう考えていくかについては、こちらへ引き取らせていただいて、今のご意見をよく集約したい。こういうことでとりまとめさせていただいてよろしゅうございますか。

中山委員 その中で、せっかく10年後の話まで出ているわけですから、将来、この業務が非常に膨大になるということを、どこかに一つ入れていただけたらと思います。
 それからもう1点として、どこかに「エリート意識に寄りかからず」という単語が出てきますが、これは、エリート意識というものがどういうものかという事柄にもかかわりますけれども、今の外務省が真のエリート意識を持っているのであればこれは大事にすべきものだと思います。誤ったエリート意識であれば別ですが。別に書く必要もないのではなかろうかと。

小野部長 ここのところの外務省批判は強いものがあり、川口大臣が来られてから、10の改革の中のトップに「誤ったエリート意識を改めるべし」とか、そういう言葉が出てきておりまして、国民の批判の中心には、そういうところがあるのではないかと思います。だから、エリート意識というよりは、我々は納税者に対して何ができるのか。そこはプロに徹する以外に、ご批判にお応えすることはなかなか難しいのではないか。「引き続きエリート意識を持って」というのは要らないということでしょうか。

中山委員 要らないと思います。

小野部長 わかりました。

熊谷会長 間違った被害者意識はちょっと問題ではないかと、私はそう思うんです。もっと前向きに考えてもらうべきであって。

櫻井委員 ただ、スローガン的に言うと、「エリート意識よりプロ意識」というのは結構使えそうなフレーズですね。そういうふうに書くといいかなと思いませんか。

仮野委員 エリート意識云々ではなくて、組織問題についてですが、いいですか。

熊谷会長 では、そのエリート意識については、どう表現するか、「誤った」とするのか、取ってもらうのか、これは領事移住部に任せますよ。いろいろ意見があったということで。
 どうぞ。

仮野委員 「基本認識」はこのままでいいです。先ほど私は、局にしろと書くべきだと主張しましたが、皆さんのご意見で、今日のところはあえて書き込まないということであれば、それはそれで従います。それで、「領事業務の質的・量的側面からの拡充は、国民本位の外務行政のシンボルと位置付けられるべきである」というところを、より強調していただきたいなと思います。
 つまり、局にすることが意識改革につながるかどうかは議論の分かれるところでありますが、国民向けに、実は領事移住部から領事局にして真剣に取り組むんだという、一種の発信になると思います。それは、結果として、領事関係で、瀋陽事件で見られるような失敗をこれからはしないための一種のメルクマールみたいなものに位置付けられるのではないかと私は考えたわけです。
 それから、もし可能であれば、こういう意見があったということも付け加えていただけるとありがたいです。つまり、ここに書かなくてもいいのですが、主要国の領事体制を見ると、米国、カナダ、中国、韓国などは、領事局という局に位置付けています。ヨーロッパの国々は、在外フランス人局とか、名前はそれぞれ違っていたり、あるいは、領事と条約局をくっつけたり、いろいろなケースがあるのですが、いずれにしろ、「ビューロー」という位置付けでしているところが多い。それは恐らく、それだけ領事問題が主要な任務であるとそれぞれの国が認識しているからだと私は推察しています。そういう諸外国のケースも参考にしていくべきではないかというのが私の意見です。

熊谷会長 今回の9人の先生方のご意見は、ほとんどが、領事業務の重要性をもっときちんと外務省の行政の中で強く位置付けるために、相当そういう組織の大きな改革も含めてやってもらいたいという意向は非常に強いと思いますので、この理念と原則に具体的な組織論まで盛り込むかどうかは別として、その辺をもう少し踏み込んだ表現にさせていただくことでご了承を得たいし、また、事務方で、今のご意見をよく集約して、できれば、本日終了までに、こういうものでよろしゅうございますかというものがまとめられれば、そうしたいと思っております。また、ブリーフィングするときもそのことをきちんと申し上げるということで、最初の議題は終わらせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

大来委員 今の会長のお話に異論は全くないのですけれども、今ちょっと気がついたのですが、1ページ目の「基本認識」の最後のところに、「領事業務の質的・量的両面からの拡充」とありますが、「業務」と同時に「組織面の強化」も加えれば、具体的に局とかいうことを言わないで、今までのご議論が取り入れられるのではないかという気がしました。

熊谷会長 そうですね。櫻井委員のご意見もそうだったし、今、どうワーディングするかを事務局において、なるべく本日中にきちんとおまとめしたいと思いますので、今のご意見も入れてやりたいと思います。
 それでは第2点に移ります。先ほど、私が冒頭に申し上げましたように、イラク情勢も切迫したものがありますし、その他、世界各国の情勢はいろいろな意味で難しい段階に入っていると思いますが、その中での危機管理についてどう考えているかを事務局からお話もいただき、また、それに対していろいろなご意見を各委員から、こういうことはこう配慮すべきであるとか、あるいは、もう少し突っ込んでこうすべきであるということもありましたら、ご意見をいただきたいと思います。
 それでは、小野部長からお願いします。

小野部長 こちらの資料で説明したいと思います。邦人保護課長の佐藤がおりますので、同人から説明させます。
 現状は、皆様ご案内のように、イラク情勢は、昨日(1月27日)、国連の安保理に報告が出されたということでございまして、今後の国連における議論とか、米、英等の動きは注目されるわけですけれども、今のところは、一気に急展開して攻撃が始まるとは考えておりません。引き続き査察を行う方向で動いていると思います。
 他方において、領事移住部としては、とにかく邦人の生命・安全確保ということで、既に昨年秋から様々な手を打ってきております。現地における邦人社会との連絡会、緊急連絡網の整備、本邦の関係企業に既に今まで3回説明会を開いております。順次、現地において危険情報等はレベルアップしてきていますが、関係国がどういう対応をするのかも見ながら、相手国政府との関係で、日本だけが突出して危険度を上げていくとなりますと問題が生じますので、その辺も注意しながら見てきております。艦船あるいは自衛隊機等の派遣の可能性はもちろん視野におきまして、とにかく最悪の自体を想定して準備をしてきているわけでございます。
 ということをまず申し上げて、佐藤課長から説明申し上げます。

佐藤課長 邦人保護課長の佐藤です。
 今、部長からお話がありましたとおり、私ども、去年の9月から、イラク情勢が悪化するかもしれないという前提のもとに準備を進めてきております。私どもが外務省領事移住部として、どのような考え方で、どういう準備を進めているかということを、危機管理の一つの例としてご説明したいと思います。
 まず、私どもが、去年9月の中旬ぐらいの段階で行いましたことは、対イラク攻撃が行われた場合、直接あるいは間接にその影響を受ける国はどこかを特定いたしました。ここに書いてありますが、イラクを含めて11カ国になります。これ以外にも、程度の問題ですけれども、間接的な影響を受ける国はあるのですけれども、とりあえずこの11カ国を特定いたしました。
 そして、その次に、そうした11カ国の国あるいは地域にどれくらいの日本人が今いるのかという把握をしました。ここに書いてあるとおり、去年9月以来何回も改定してアップデートしているわけですけれども、1月21日現在で 5,405名の邦人がこの11カ国にいます。「邦人」という言葉を使っておりますが、これは在留の日本人の方々の数でございまして、当然、これに加えて旅行者が入ってくるので、実際はもっと人数が多くなります。実際に攻撃が行われれば、我々は何をやるかというと、在留邦人のみならず、短期旅行者が、きょうのこの段階で何人いるかという把握もしていくことになります。
 それから、そうした措置とともに、先ほど部長からちょっとお話がありましたけれども、これらの国に駐在する各大使館に訓令を打ちまして、緊急事態マニュアルというものを各大使館が持っていますが、それをアップデートするといいますか、もう一度見直します。あるいは、把握した在留邦人との緊急連絡網を、電話連絡網とかいろいろな形でやるわけですが、そうしたものをもう一度再チェックするということ。それから、今、部長からも申し上げましたけれども、現地において大使館から現状説明と、大使館として邦人保護についてどのような対応をしているかという説明会。
 それから、本省におきましては、先ほど言ったように、在外で説明会を行うとともに、場合によっては本社サイドで行わないと、退避してくださいと現場で言って、現場は理解していただいても本社がノーというケースがありますで、本社サイドの説明会も、23日に3回目を行いました。
 それから、昨年11月ですけれども、外務省のオペレーション・ルームに副大臣以下に集まっていただいて、現地の大使館との間でホットラインをつないで、実際にイラク攻撃が起こる、あるいは、起こる直前のシミュレーションも行っております。それから、自衛隊機の派遣を念頭に置いて防衛庁との協議も行っております。
 そういう対策を行っている場合、私ども領事移住部としての基本方針がありまして、重要なものを三つだけ簡単にご説明します。
 まず第1は、「最悪の事態を想定する」ということです。これは危機管理では当然のことですけれども、昨日、安保理で査察報告が行われました。29日に安保理で対応策を協議することになります。その後どうなっていくかというのは、はっきり言って、すべて知っている人は恐らくいないと思います。ブッシュ大統領自身もまだ決めていない。そうなってくると、今後いつ対イラク攻撃が起こるのか、起こらないのかも含めてわからないわけですが、その場合、我々は邦人保護の立場からすると、最悪の事態を想定して準備を進めるという原則です。
 2番目の「早め早めの退避」ということですが、これは、国によって退避をする必要があるところと、ないところがございます。退避をする必要があるところについては、実際の対イラク攻撃が行われたときには、日本人はそこにはもう誰もいないという状態にしておきたい。すなわち、その前に邦人退避の完了を目指す。現実問題は、実はそのようには毎回いかないわけですけれども、それが理想であり原則であるということであります。
 3番目は、かといってどこの国についても同じような退避勧告を出すか、あるいは、退避してもらうかというと、必ずしもそうではなくて、それは国ごとによって状況が違いますので、「各国の状況に応じた対応」ということで、国ごとにそれぞれきめ細かい対応を考えていく。
 この三つを基本にしております。
 それでは、各国の状況がどのように違うのかということを、私どもの基本的な認識をそれぞれの国について書かせていただきました。
 まずイラクですが、これは当然攻撃されますので一番危ない国です。単に危ない国のみならず、ここに「他国より早めの退避が必要」と書いてありますが、これはどういう意味かといいますと、ご記憶のことと思いますけれども、12年前には、日本人を含めて人質になった。ああした政策がとられないとも限らない。取らないかもしれないし、取られるかもしれない。その場合は、最悪の事態を考えて、人質として取るかもしれないということを考えると、イラク攻撃が確実になった段階で退避を始めると、場合によっては、国境を閉鎖されて出られなくなるかもしれない。そういう意味で、ほかの国、例えば影響を受けるクウェートとかイスラエルよりもさらに早めの退避が必要という認識に基づいております。
 2番目がクウェートです。周辺国で危険度が増してくるであろう可能性が最も高い国がクウェートです。その理由はここに書いてあるとおり、米軍は、空爆等が終わると同時並行的に、対イラクの陸戦に臨む場合には、クェートが発進基地の一つになります。これは、北のトルコやシリア国境から、あるいは、南のサウジアラビアも入ると思いますけれども、主に陸戦の発進基地になのがクウェートになるということ。それから、イラクから非常に近いので、短距離ミサイルでの攻撃が可能であること。安保理決議においては、イラクは、 150km以内の短距離ミサイルは持っても構わないことになっていますので、それで十分に攻撃が可能であるということで、したがってクウェートは、対イラク攻撃が行われた場合、イラクからの反撃の対象になる可能性が高い。こういう意味で危険な国の一つとして我々は考えております。
 3番目がイスラエルです。これはもうご説明するまでもなく、湾岸戦争のときに、政治的な意図を持ってイラクはイスラエルに反撃いたしました。それは、この戦いが国際社会対アメリカではなくて、アラブ対アメリカであるとすることによってアラブ側を味方に付けるという観点からやったわけですが、そうしたことは今回も可能性としてはあるということで、3番目がイスラエル。
 4番目がサウジアラビア東部です。ここは石油基地がございます。ご承知のアラ石を中心として、約 350名の日本人がいます。かつ、先ほどのクウェート同様に、イラク国境から非常に近いものですから、スカッドミサイルを使わずとも短距離ミサイルでも攻撃が可能な戦略的基地と見なせば、イラクの反撃の可能性が高い地域でございます。
 5番目がバハレーン、カタールです。ここは距離的には相当離れているのですけれども、バハレーンにはアメリカ軍の海軍基地があり、カタールには、今回のアメリカの対イラク攻撃の参謀本部がここにできるという理由によって、スカッドミサイルであれば攻撃可能な距離ですので、一応気をつける必要があります。
 6番目の「その他各国」としト、ヨルダン、トルコ、シリア、レバノン、エジプト、イラン、アラブ首長国連邦等があります。これは基本的にはイラクと同様のアラブ人であったり、地理的にだいぶ離れていたりということで、直接的な軍事的影響の可能性は少ないとは思っておりますが、テロあるいは難民の流入、例えばヨルダンがそうですけれども、あるいは、反米デモなどが暴動化して国内の不安定化につながっていく。それがひいては在留の日本人の方々の安全に影響するという観点から気をつける必要があります。
 次に、こうした状況を踏まえて、在留邦人の方を含めて日本人全体に対して外務省として危険情報を、今までも発出してきましたけれども、今後も発出していきますが、その基本的な考え方が書いてございます。
 実は、この第1段階は既に先週実施済みですが、先ほど言ったように、イラクについては早めの退避が必要であるということで、実質的に早めに退避をしてくださいという危険情報を出して、実際にその旨働きかけています。イラクには、今現在、約30名の日本人がいらっしゃいます。半分以上がプレスで、あとは国連の職員だったりします。それから、今申し上げたクウェート、サウジアラビア東部、バハレーン、イスラエル、カタールには、注意喚起の危険情報を既に出しております。
 今後どうするかということですが、イラク攻撃が行われる可能性が非常に高まった場合、あるいは恐らく行われるだろうと思った段階で、早めにイラクのバグダッド、クウェート、イスラエル、サウジアラビア東部に退避勧告またはそのときの状況によって若干変わりますけれども、それに近いものを発出します。それ以外の国についても、先ほど申しましたように、それぞれの状況に応じた危険情報を発出するというのが、私どもの今の考え方であります。
 これは最後になりますけれども、最後の段階では退避をしていただくということで、退避勧告あるいはそれに近いものが出た場合の退避手段の選択肢ということをお話しします。これは一般論でございます。
 まず第1は、先ほども申し上げましたように、早め早めの退避ということで、早めにこうした退避勧告等を出しますので、商業便が飛んでいる間になるべく多くの日本人、できれば全員にその地域あるいは国から出ていただくことが大前提であります。ここで仕事が終われば我々は非常に楽なのですが、実は、今までの経験から、いろいろな形で残る方々がいる可能性があるわけで、その次の手段を考えております。
 二つありまして、商業定期便では出国できなくなった場合、政府チャーター便によって退避していただく。これは既に、例えばイスラエルであれば、イスラエルの航空会社とチャーター便の契約をしてデポジットなどを払っております。あるいは、国によっては、飛行機で行くよりも陸路で逃げたほうがいい場合があります。例えばクウェートなどがそうですが、クウェートは、南に下っていきますとドバイまで出られますので、そうした陸路による退避方法があります。既にクウェートの大使館員は、ドバイまで実地に走破いたしまして、実態的に大きな問題はないことを確認しております。あるいは、場合によっては、国によっては、最初はチャーター便で退避させて、その後、空港が閉じてしまった場合には陸路。例えばイスラエルなどは、先ほど言ったように、チャーター便を用意しているのですけれども、それがだめな場合には陸路で、シナイ半島にタバというエジプト側の町があるのですが、そこまで陸路の道を考えております。そのように、国ごとによって対応策を変えております。
 それから、チャーター便もだめな場合、最後の手段か、あるいは、陸路による退避が最後の手段になるかもしれませんけれども、選択肢として、政府専用機、自衛隊機・艦船による退避も考えて、先ほど申し上げましたように、防衛庁と外務省の間で頻繁に、技術的に可能かどうかという協議をしている状況です。
 自衛隊機あるいは政府専用機による退避につきましては、自衛隊法第 100条8というものがありまして、邦人退避のために自衛隊を使えるという法律がありますので、法的には問題なく最後は政府の決定で行うことが可能という状況になっております。
 私の説明は以上です。

熊谷会長 今のご説明に関してご質問等がございますか。

櫻井委員 6ページの「退避手段の選択肢」のところで、政府のチャーター便と、あと、最終的には政府専用機とか自衛隊機ということでしたけれども、費用負担はどのようになっているのでしょうか。

佐藤課長 政府のチャーター便では、例えば昨年、インド・パキスタン状況が緊迫化したときに、一時は核戦争が行われるおそれもあったときに1機飛ばしたのですけれども、チャーター料は 3,000万円近くかかりますが、それは政府が出します。私どもでは予算を確保しておりまして、そこから出します。但し、1人当たり通常のノーマル・エコノミー料金をいただくということで、あのときは 220人乗りに50人ぐらいだったので赤字だったのですが、そこは政府が支払うことになります。
 自衛隊機については、無料で乗っていただくことになっております。

熊谷会長 今の説明、さらには危機管理という問題について、委員からご意見がございましたら、ぜひ承りたいと思います。

中山委員 今お話を伺っていて、「国ごとに」という単語が入っておりましたので、これは大変ありがたいことと思っております。実は、ウズベキスタンにおりましたときにアフガンの空爆がありました。危険度というのは二国間の間では非常に大きな意味を持っておりまして、危険度が1か3かでは全く違います。相手国との関係で、経済協力の問題もありますし。危険度3では仕事もできなくなるといった状況になります。高い危険度を出しておけば、東京サイドでは安心だろうと思いますけれども、高い危険度を出す必要が全くない時期、地域に対して高い危険度を出されますと、これはもう本当に大きな損失です。外務省は出すだけでいいのでしょうけれども、二国間の関係ではものすごい金額の損失が出ます。出す必要がないところまで高い危険度を出すのは大変困ります。最悪の事態を考えてことを決めるのは当然ですけれども、そこはやはり現地大使館の意見をよく聞いていただいて、適切な危険度を出していただくことが大事だろうと思います。
 高いものを出しておけばいいやという感じでは、現地が困ります。例えばウズベキスタンに関して、あの段階で高い危険度を出す必要は全くありませんでした。どう考えて、どのように議論しても危険はなかったのに高い危険度を出されて、企業の人たちは帰国するとか、JICAの人々は現地に入れないとか、いろいろな問題がありまして、相手国からも、日本だけなぜ出るのか、ほかの国は残っているのにと訴えられました。そのようなことで、二国間で大変困った状況が出ておりました。今回は「国によって」というお考えが入っていますので大丈夫であろうと思います。または、迅速な対応で、出したり取り消したりということも含めてお考えいただけたらありがたいと思っております。

横山委員 危険度というものは、どういうプロセスで判断されて、どこで最終的に判断をされるんですか。今までのルールとしては。

佐藤課長 アフガンのときの反省といいますか、領事移住部では危険情報の改正を行いました。昨年の頭からずっとそういう議論をして、今は危険情報の出し方も変えております。今までは5段階で数字の1から5で通信簿みたいだったので、まず数字で表記することをやめました。
 もう一つは、中山委員がおっしゃったとおり、現地大使館と必ず緊密な協議をして、合意をした上で出します。それで時間がかかってタイミングが遅れる不安も若干あるのですが..。どのようにやっているかといいますと、私どもの場合は、まず現地から問題提起があって、これを受け当該地域を担当する担当課と十分に議論をして、適切なのかどうかを議論した結果を、もう一度現地にフィードバックし、それでいいかということで、場合によっては現地と若干の温度差がある場合がありますので、そこを調整した上でしか出さないことにしております。

中山委員 もうひとつの考え方として、国際機関とかのプロの人々の判断をある程度重要視することもあり得ると思います。

熊谷会長 なるほど。

佐藤課長 実は、それはやっております。例えば、コントロール・リスクス社からの情報とか。あと、国によっては、アフリカなどはフランスの情報提供会社と契約をしたりとか、そういうことは相当予算も認められています。

中山委員 非常に参考になると思います。やはり専門家が見ている基準には価値を置いてよかろうと思います。

熊谷会長 ほかにどうぞ。

櫻井委員 今の中山委員の話は、大使館があるのに、本省に情報がちゃんと伝わらないということですか。どういう原因でそういうそごが生じるのでしょうか。

中山委員 やはり、東京から見ていますと、隣国というのはとんでもない危険にさらされていると考えられると思いますが、現地におりますと、その国自体の治安体制とか、例えばアフガニスタンからの飛距離の問題とか、テログループがどこへ移動したとか、そういうものを見ますと、全く危険ではない状態でした。でも、あのときのアフガンの映像が日本のテレビからどんどん流れていて、日本の中では、とんでもない地域だと考えられていたのでしょう。多分、外務省がそこに高い危険度を出さなかった場合には、きっと日本国内で非難されていた可能性はあると思います。

佐藤課長 情報としては全部、現地公館と本省は共有していると思います。ただ、それをどう見るかということでは、やはりどうしても温度差が出てしまう。例えば、私がフィリピンにいたころのことですが、日本では激動のフィリピンと大騒ぎしているわけです。日本のテレビでは、フィリピンの暴動の部分だけが映ります。それは街のほんの一部ですが、そこしか映しませんので、日本から見ると、街全体がそういう状態になっているという印象を持ちます。それは外務省員でさえだんだんそういう印象を持ってくる。そういうことで、現地ではそれほどではなくても、日本から見ていると、これは相当危ないなという印象を持ってしまう。そういった温度差がどうしても出てきます。

中山委員 日本国内でのマスメディアの影響が非常に大きくかかわってくると思います。

櫻井委員 それは、危険度というものを国単位で出しているから問題で、もう少しエリアごとにといいますか、細かくしていけば、ある程度……。

中山委員 細かくなっているんです。

佐藤課長 それは今でもそうなっています。

櫻井委員 でも、まだ足りないということですね。

佐藤課長 あまり細かくすると、また問題がありまして。

横山委員 今の関係で、日本人はどう見られているかと外務省は理解しておられるんですか。そうした対策を打つときに。これは非常に重要で、アメリカ人並みに対象になっているのか、それとも、顔色がちょっと違うから別のカテゴリーでテロリストなども考えるというように、我々はただアメリカ関係のところに近づかなければいいのか、それとも日本人自身として気をつけなければいけないのか。企業などでも、日の丸を揚げたりしている企業が現地工場ではあるわけですから、その辺は外務省としてどのように理解しておられますか。今の事態でですよ。

佐藤課長 お答えとしては、現時点では日本人はターゲットにはされていない。今後はわかりませんけれども、今の段階ではされていない。したがって、この間のバリもそうでしたが、アメリカ人と間違えられたか、豪州人とわかっていたかは別として、西洋人に対する攻撃に巻き込まれる危険性はあるけれども、ターゲット自体には、今の段階では幸いにもターゲットになっていないというのが基本認識であろうと思います。それはほとんどの国でそうです。
 最近、イラクに「日本は第3の敵だ」とか言われて、若干変わってきたのかもしれませんけれども、中東でも、対日本人の感情は極めていいものですから、日本人を狙ったテロは、これまでも起きていないし、今の段階では起きる状況にはないというのが今の認識です。

中谷委員 狭い意味での邦人保護からは離れるかもしれないけど、ここの海域との関係で、説明会などには、海運会社なども来ているのでしょうか。実際には、船といっても、乗っている船員に日本人はあまりいませんし、船籍も日本船籍じゃないかもしれないけど、コントロールは日本の企業がしているということで、エネルギーとの関係でかなり重要な問題だと思いますが。

佐藤課長 おっしゃるとおり、アラビア海には日本関係船舶がたくさん航行しています。したがって、当然、対イラク攻撃が起こればその影響を受けることは間違いないと思います。ただ、これは国土交通省と連絡をとって、あそこにも危機管理部門がありまして、外務省でどういう対応をしているかを聞きに来たり、協議をしています。国土交通省のほうでは、彼ら独自の通信システムを持っていますので、それを通じて注意喚起等を行っているという状況です。

小野部長 日本の危険度の渡航情報は、他国に比べて手厚いと思っております。ですから、今、日本が出す渡航情報は他の先進国も日本がどういう渡航情報を出しているか注目していて、常時意見交換をしています。
 それから、日本人がターゲットになりうるということで、私は十分慎重に対応したほうがいいと思っております。イラクからの様々な情報の中には、日本政府はアメリカを支援するという見方が出てきていますので、そういう意味では、可能性が全くないということではないと思っております。
 今のところは、ターゲットはアメリカの権益、イギリスの権益が、1番と2番だと思いますが、もし、米英の権益が、防備がなかなか厳しくて打つ手がないというときに、次に、例えば日本の権益に隙があるような場合には、狙われる可能性は常に考えて対応したほうがいいのではないかと考えております。

大来委員 渡航情報が手厚いというのはいい点かもしれないんですけれども、それが先ほどから議論されている、日本が突出してしまう関係もありそうな気がするので、日本の渡航情報をほかの国が見守っていることはいいことかもしれませんが、他方で、日本もほかの国のやり方をよく見て、突出しないようにすることも必要な気がします。

小野部長 そうですね。

熊谷会長 以前の経験ですが、前の湾岸戦争のときでしたか、イラクに人質としてうちの社員が随分取られまして、会社としては手の打ちようがない。現に、今、日立アメリカの社長をしている彼の体験談では、火薬工場か何かに自分たちは人質として張り付けられていたと言っておりますので、やはり時を失するとそういうことがある。今回はそういったことが大変勉強になっていますから、企業としても、人質を取られる前に手を打たなければいけないと思いますが、一方、先ほど、自衛隊法で、法律上は何の問題もないということを聞いたので安心したのですが、以前、人質解放のときにも、日本のナショナル・フラッグがそこまでなかなか迎えに行ってくれなかったということもあります。
 そういう意味では、先ほど、皆さんのお話がありましたように、インドネシアのときは大変よかった。何事もなかったけれども、そういう艦船を派遣してもらったことは非常に心強いので、やはり今度の国民的視点に立った危機管理という意味では、多少早くても、あるいは、後でむだだったのではないかという批判が出ても、ぜひそういう手をとってもらいたい。やはり、一旦人質になったり、巻き込まれてしまったら、企業としては打つ手がないものですから。そういうことをちょっと感じております。

仮野委員 10年前、クウェートの人質問題のときに、ここには外務省の大使がいらっしゃるけど、あのときに外務省が批判されたのは、クウェートの大使が休みをとっていていなかったということがありましたね。あれが最後まで後手後手に回る結果になった。でも、あそこの臨時代理大使はがんばるんですよね。アメリカ人たちを大使館の地下に隠して。後でアメリカから勲章か何かをもらうんだよね。そういう武勇伝もあるんですが、やはり大使がそのときにいなかったとか、総領事がいなかったというのは後でつらいから、もう禁足令を出したほうがいいんじゃないの。

佐藤課長 一つ誤解があるようですが、事実関係として申し上げれば、湾岸戦争のときの人質という言い方をされますが、あれは実は、イラクのクウェート侵攻が90年8月2日に行われたのですが、そのときに人質になったわけです。そのイラクのクウェート侵攻は、アメリカでさえも、だれも予測していなかった。したがって、対応のとりようがなかった。日本も残念ながら情報としてなかったという状況でした。
 今の大使の話も、大使も人間ですから休暇帰国をされるのですが、あのときはたまたま休暇帰国をされていたということで、あの前にそういう情報があれば休暇帰国はしなかったと思います。

仮野委員 だって、なかなか戻らなかったじゃないの。

佐藤課長 戻れなかったんです。私は別にあのときの人たちを弁護する立場ではないのですが。

中谷委員 今の会長のお話と関連するのですが、最悪の場合に、政府専用機あるいは自衛隊機も飛べないと。間に合うようにできるだけ用意しておくべきだということは、おっしゃるとおりですけれども、アルバニアとかコートジボワール、中央アフリカもそうですが、フランスとかの関係国の、ほかの国のヘリコプターか何かに乗せてもらったという例もあったと思います。イラクの場合はどうかわかりませんけれども、そういうこともあり得るかもしれないということで、そのあたりの交渉というか、それはもう進められていらっしゃるのか、あるいは、まだ先の話かもしれないので今の段階から言うのは早すぎるということになるのかもしれない。わかりませんけど。そのあたりのタイミングの問題もあるのかもしれませんけれども、どのようにお考えでしょうか。

佐藤課長 おっしゃるとおり、例えばつい最近の去年10月には、中央アフリカの内戦がありました。その前には、象牙海岸の内戦がありました。そのときは、いずれもフランスあるいはアメリカの助けを借りて邦人退避をしております。実は、それは決して悪いことではなくて、例えば象牙海岸や中央アフリカというのは、フランスが基地を持っています。かつ、フランス人がたくさんあそこにいるということで、一緒に乗せてもらうことは決して悪いことではなくて、わざわざそこに自衛隊機を、飛んだこともない、よくわかっていない奥地の空港に飛ばすことは結構危険なものがありますから、そういう意味では、それは悪いことではないと思っております。現実問題として、そうした国については、早い段階から、フランスやアメリカと協力をして、最後はお願いねということをやって、それでうまくいっているケースが多いです。
 今回の湾岸については、今のところは、むしろ我々自身が自力でやることを考えております。それは、イスラエルについても、クウェートについても、イラクについてもそうです。ただ、日本の自衛隊機も飛べないことがありますから、そういうことも含めると、今後、場合によってはその可能性はあるということで、協議をしていく必要があるかもしれませんが、そこはまだやっていないのが現状です。

仮野委員 邦人保護は、自衛隊機は危険ではない状態に飛ぶということになっているんです。危険じゃない状態なら民間機でいいじゃないかという議論があって、これは要するに、海外における武力行使につながるかどうかという問題が絡んできてそうなっているんですね。そこは、弱いといえば弱いのですが、今のところはやむを得ないかなと。

中山委員 これは大変すばらしい準備をしてくださっていると思いますが、個人的な考えかもしれませんが、できれば北朝鮮の問題も、国交がない国に対してどういう対応をするのかなど、そのあたりも検討していただければと思います。既にやっていただいていると思いますが。

佐藤課長 やっております。

小野部長 その点は、今までは、アジア局、地域局が中心になって、中国及び北朝鮮との関係についてはやってきた経緯がございます。これからは、我々領事移住部としては、ますます邦人保護の視点から、我々がむしろ引き受けてもいいくらいだという気持ちで取り組んできております。もちろん、地域局のノウハウは必要ですので一緒にやっていく形にはなると思いますけれども、これから体制が強化され、専門性が備わってくれば、これはやはり領事移住部が引き受けて対応する。これからの半島情勢は本当に目が離せませんので、恐らく、今のような単発で事件が発生するような話ではない事態も想定して、準備しておく必要があるのではないかと考えております。

中山委員 よろしくお願いいたします。

矢崎委員 今、生命の安全、身の安全が議論されましたが、実際に何かあった場合に、医療の問題が極めて大きな問題ですね。それで、情報をぜひ、平時から集めていただきたいというのは、どういう疾患であればどの病院がそういう対応ができるか。あるいは、外傷でも、どのレベルだったらこの病院だけど、さらに高次であればこの病院と。この病院がいろいろなことで使えない場合には次の病院というような、医療救援のマップみたいなものをつくっていただくと助かると思います。
 それと、こういう差し迫った場合には、緊急の医療体制を、日本の大使館とかそういうもので、ある程度組めないかどうかも検討していただくといいのではないかと思いました。
 それと、先ほどの自衛隊ですが、やはりいろいろな問題があって身動きがとれないのかもしれませんが、何か紛争があって、例えば拉致事件とかあったときに、声がかかるのは全部我々のところです。我々が平時に、ドクターが突如として外務省の職員になってそこに派遣されるわけです。それは、国際協力局というところがあって、平時の二国間プロジェクトでやっていますが、緊急事態の対応となりますと、現地で情報を集めて、どの病院がどういう対応ができるか、あるいは、医療設備は我々が携帯できるものは携帯しますが、自衛隊は、行って、ぽんとボタンを押すと、手術もできるような装備を持っているわけです。それが全く眠っているわけです。
 先ほどのナショナル・フラッグでいろいろな問題があるということですが、何かの機会に……。彼らはちゃんと、ふだんも危険手当てで高い給料をもらっているわけですよね。ですから、それがこういう事態に、医療支援ということと、いつも議論になると思うのですが、その辺、一歩ずつやっていただくと、海外へ行っておられる方も随分安心される。それこそご覧になると、こんなものが倉庫に眠っているのかと思われると思います。
 それから、調査は、専門の人が行かないと全然だめです。我々が頼まれて行くときには、調査官を派遣します。それが物凄く調整能力があって、あらゆる機関と交渉して情報を集めて、人質になった方がどういうレベルの外傷とか、疾患であればここに持っていくというようなことを、全部の情報を調べるわけです。ノウハウもなくて、ただ来るということでは全然意味がない。ただそこにいるだけですから。そういう意味で、医療関係の有能な専門官を現nに派遣して、現地の大使館で情報を集めると同時に、そういう専門官にも情報を集めていただくといいと思います。
 今、アフガニスタンとかそういうところは、我々が頼まれて専門官を1カ月単位で送って情報を集めていますが、そういうものをシステマティックに組み立てられるとよろしいのではないかと思います。

小野部長 ありがとうございました。今ご指摘いただいた方法で、さらに検討していきたいと思っております。やはり在外の国民の関心と安全、次に来るので医療でございますので、いろいろな意味で改善すべきところはたくさんあると思っております。例えば、今、医務官制度というものがありますけれども、医務官をこれからさらにどう活用していくかという問題と、渡航者あるいは在留邦人の方々のメンタルな問題とか医療面で様々な新しい問題が生じてきております。また、事件が起こったときの対応の仕方でも、バリ島のときも専門の方に行ってもらって、歯形やDNAの鑑定をやっていただいた経緯もございます。拉致の被害者の関係でも本人確認をしていただきました。
 これからますます専門家の知識を必要としておりますので、専門家の方々とのネットワークづくりを今手がけてきておりまして、特に精神医療面では、既にネットワーク作りを始めて実績を上げてきております。

佐藤課長 医療に関して、どこの病院がいいかという情報ですが、部長が言いましたように、今、世界には70名の医務官がいます。これは一応、基本的な仕事は館員のためのものですが、もったいないだろうということで、各地でそこの医療体制を調査してもらって、その結果を全部外務省のホームページで流しております。ですから、医務官がいるところは、とりあえず情報が行っていると。できる部分ですけれども、やっているということがあります。

矢崎委員 医務官の活用はすばらしいことですが、医務官の人事については、僕が大学にいたときに、例えば今の遠山文部大臣がトルコの大使として行ったときに、医務官を1人寄越してくださいという話で、そのときの視点は必ずしも今申し上げたような視点ではない方が行かれるので、もし、そういう視点で医務官が必要なときには、僕らの宣伝ではないのですが、国際医療センターの医療協力局みたいに、ベテランの調査官でノウハウをよく知っている人が、例えばこういうときに医務官として1年そこに滞在するとか、それで情報をくみ上げてくるとか、そういう視点からも人材を活用されたほうがよろしいかと思います。

熊谷会長 大変大事な視点だと思いますから、ぜひご検討も賜りたいと思います。
 それでは、そろそろ時間が参りました。まだいろいろとご議論があろうかと思いますが、本日のとりまとめに入りたいと思います。
 その前に、今お手元に配りましたように、「新しい領事業務のあり方」の「理念と原則」で、先ほどの皆様方のご議論を踏まえまして、今、事務当局で、ワーディングも含め、修正版を用意してもらいましたが、これでよろしいでしょうか。
三好課長 から、ここをこう直したということがありますか。

三好課長 それでは、簡単にご説明させていただきます。
 まず1の (1)の3行目でございます。「この傾向は今後10年にわたって続くものと思われる」と。10年と切るのがよろしいのかどうかあれですが、ちょっと入れさせていただきました。
 それから、 (4)の一番最後でございます。「領事部門の組織としての質的・量的拡充は、国民本位の外務行政のシンボルと位置付けられるべきである」としております。
 次のページに参りまして、2の (4)でございます。「誤ったエリート意識を排しプロ意識を持つことによって」としております。それから、「マクロ」、「ミクロ」という言葉は取らせていただきました。
 3の「領事業務の3本柱」でございますが、若干安易な改正の仕方もしれません。 (3)に「在日外国人」とございましたが、「来日外国人」と変えさせていただきました。
 それから、 (1)の最初の「・」印のところでございます。「時代の流れに対応し、心の通った的確な行政サービスを提供するための、人的体制・組織の整備」としております。それから、IT云々のところでございます。最後のところは、「近代的行政サービスの実施」と。
 そして (3)は、先ほどの「来日外国人」ということで、手書きで順番を変えさせていただきましたが、新たに「査証手続の迅速化・簡素化」ということで、これは外務省独自の政策でございまして、今後もう一つの部会でもご議論いただきますが、このあたりを書き込ませていただきました。
 以上でございますが、本日は、実は、会長が6時15分から記者ブリーフをしてくださる予定になっておりまして、できればその場で記者にも配れればと考えております。

谷野委員 「今後10年」というのはわざとらしいね。「今後ますます」とかね。なぜ10年なのかな。さっきの10年のあれに引きずられてる。「今後ますます深まっていく」とか、それでいいと思います。
 それから、私はこだわりませんけど、この機会に、単独で「邦人」と使うのはどうですか。プレスのOBの方もおられるけど、外務省だけじゃないかな。

仮野委員 僕も基本的は「邦人」という言葉は好きじゃないんですよ。

谷野委員 「在留邦人」とか、そういう言い方はよいとしてね。「邦人」と単独で使うのはどうも。

仮野委員 「在外日本人」ですか。

谷野委員 そういう意味なんでしょう。「邦人」というのは。

三好課長 そうです。海外にいる日本人で、「異邦人」に対する「邦人」です。

谷野委員 そういうことで定着しているのであれば、いいです。

中山委員 私は、いい言葉だと思いますけど。

谷野委員 そうであればこだわりません。

小野部長 設置法に書いてあります。

谷野委員 それでしたら、こだわりませんけど。

仮野委員 外国にいる日本人ですね。

熊谷会長 「今後10年」はどういたしますか。

小澤検事 「ますます」だと強まりますね。

熊谷会長 「この傾向は今後ますます強まる」と。それでは、それはそのようにさせていただきましょう。
 それから、今の「邦人」は、「邦人」のままで進めますか。

矢崎委員 「邦人」という言葉に、差別語とか、自国民が優れているとか、そういう意味が読み取れるのでしょうか。あまりないと思うんですけど。

中山委員 ないと思いますね。

熊谷会長 そうすると、例えば「9月11日以後の国際情勢においては、我が国国民がテロや」と書けばいいのかもしれないけど、そうすると、ほかの場面のところもみんな……。

矢崎委員 長くなってしまいますね。

熊谷委員 ということもありますね。

仮野委員 ここを「日本人」とレクチャーしても、新聞記者は「邦人」と書きますよ。短くしようとするから。

熊谷委員 では、「邦人」で行きましょう。
 それでは、ほかによろしゅうございますか。
 では、今後の日程についてご案内をさせていただきたいと思います。
 第3回の総会は既に決定しております。3月25日の火曜日、14時から16時。開催場所については、追って事務局よりご連絡を申し上げます。
 また、次回の領事改革部会は、事務局としては、6月に領事改革に関する中間報告を発表する予定にしておりまして、その意味で、4月に第2回部会、5月に第3回部会と、精力的にやらせていただいて、そういうことで開催したいという意向でございます。詳細日程につきましては、事務局より連絡させていただきますので、よろしくご出席のほどをお願いいたします。
 なお、本日の議論につきましても、外務省のホームページに掲載させていただく予定でありますで、追って事務局より送付されます議事録案のご確認をいただきたいと思います。
 また、先ほどもお話しさせていただきましたが、記者に対するブリーフィングは、私より、この「新しい領事業務のあり方」をおまとめいただきましたので、これについて、議論の過程も踏まえてお話を申し上げたいと思っておりますので、一任をお願いいたしたいと思います。
 それでは、ちょうど6時でございます。時間も参りましたので、海外交流審議会第1回領事改革部会を、これをもって閉会させていただきます。
 大変ありがとうございました。


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