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審議会等

新しい領事業務のあり方
-領事の理念と原則-


平成15年1月


1.基本認識

(1) 今日、海外渡航者や在留邦人の増加に伴い(注1)、国民との直接の接点である領事業務の重要度が飛躍的に増加している。また、海外への渡航・在住が一般化するにつれ、邦人の価値観や課題も多様化・複雑化している。この傾向は今後ますます強まるものと思われる。さらには、国内では各省庁が担当毎に行政サービスを提供しているが、海外においてもきめ細かいサービスを求める期待や国内と同等の水準の福利や権利を享受したいとの要請も高まっている。

(2) 特に、9.11以後の国際情勢においては邦人がテロや麻薬、国際的犯罪シンジケート等の脅威に晒されたり、巻き込まれる可能性も高まってきている。さらに、いわゆる「脱北者」の問題等新たな要素が加わってきている。そうした事態に対応するため、非常時や危機に強い領事体制の構築を求める声が国民の中に高まっている。

(3) また、昨今、国際交流の進展に伴い、在日外国人の数も増えている(注2)。この1月には総理の主宰する観光立国懇談会が立ち上がるなど新しい動きもみられる。人的交流の活発化や豊かな文化の創出といった肯定的側面と、不法滞在や不法就労、犯罪等の否定的側面のバランスをとり、日本の近い将来の人口動態等も念頭に置きつつ、広範にわたる在日外国人の問題を様々な角度から検討し国民的議論を行っていくことが緊要となってきている。

(4) 全世界にある約190の大使館・総領事館には約450人の領事担当官がいるが、1公館当たり2人強にすぎない。これは、単純計算すれば、現状では、海外渡航者4万人に対して1人の領事が対応しなければならないことを意味する。しかしながら、領事業務は、法令に基づく種々の事務処理だけでなく、個別的に寄せられる様々な相談事項への対応など、業務内容は多様かつ複雑であり、さらに緊急時においては「国」あるいは「政府」を背負って危機管理にも迅速に対応しなければならないという宿命を負わされている。このような領事業務の特質、事務量の膨大さ、及び事務の重要性に鑑みると、現在の組織体制はあまりにも貧弱であると言わざるを得ない。領事部門の組織としての質的・量的拡充は、国民本位の外務行政のシンボルと位置付けられるべきである。

(注1) 海外渡航者数は年間約1800万人、海外在留邦人数は約84万人、数年のうち各々2000万人、100万人にのぼる見通し。

(注2) 現在、年間約530万人の外国人が入国、外国人登録者数は178万人。自治体の中には、外国人の割合が総住民数の15%を超えるところも出てきている。


2.領事業務の目指すもの:-国民とともに歩む外交-

(1) 「国民とともに歩む外交」といっても、実は多くの国民にとって外務省は疎遠な役所である。日常的に外務省と接触する人々はそれほど多くない。その中でいえば、領事部門は内外の人々との接点の極めて大きな部門である。したがって、「国民とともに歩む外交」は、全体として外交政策を実行することと並んで、外国における日本国民の安全を確保し、利益を増進することが国益そのものであり、日本政府機関としての領事の責務であるとの認識に立って、遂行されなければならない。そのため、在外公館として、外国という異なる制度の下で多様な目的を持った人々に対し、できる限りきめ細かなサービスを提供しなくてはならない。

(2) また、テロをはじめ人間の安全保障に対する脅威が増大する中で、海外における邦人保護が外交上、安全保障上新たな重要性を増してきている。外務省は、設置法第4条にある「海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること」を最優先の任務ととらえ、邦人の生命・身体の安全や利益を保護するという目的において領事業務と共通項を有する危機管理を強化することが必要である。領事部門は、テロリストや通常犯罪者を含む「不審者」と向き合う最前線に位置することから、今後組織体制の強化を図っていかねばならない。その結果として非常時や危機時に在外邦人にとって力となる領事体制、非常時や危機に強い領事体制の構築を急がねばならない。

(3) 更に、国際交流の促進、人の移動の円滑化を目指した査証政策、在日外国人問題への取り組みも重要な課題である。右取り組みに当たっては、より開かれた社会、在日外国人との共生を目指しつつ、一方で外国人犯罪や不法滞在・就労者の増加、テロの脅威の増大への対応も踏まえたバランスのとれた政策を展開する必要がある。

(4) このような「国民とともに歩む外交」を実践するに際しては、外務省全体として(イ)誤ったエリート意識を排し、プロ意識を持つことによって国民の信頼を回復する、(ロ)在外公館の役割を外交の中心に据えて情報収集や邦人社会との連携等現場を有する者が力を発揮できる体制を構築する、(ハ)一般外交業務と同様に領事業務を重視することによって国民一人一人と直接に双方向のコミュニケーションを図る、ことを通じて意識改革を進めることが重要である。領事改革は、そのための取り組みの一環である。


3.領事業務の3本柱

 国民とともに歩む外交を実現するためには、(1)国民本位の領事行政サービスを実現する施策の検討、(2)海外邦人安全対策の推進と危機管理への対応能力強化、(3)来日外国人・日系人との連携強化、の3つを領事業務の重要課題と位置付け以下の諸施策を実施していく必要がある。また、これら課題を実施していく上での前提として、領事分野の研修の充実等を通じた省員の意識とそれを支える体制の改革及び領事のプロの養成と適材適所での活用を可能にするキャリアパスの実現を図っていく必要がある。

(1) 国民本位の領事行政サービスを実現する施策の検討

時代の流れに対応し、心の通った的確な行政サービスを提供するための人的体制・組織の整備
IT等を活用した行政手続基盤を開発・整備することにより、旅券申請・在留届等の領事関連手続及び権利の行使が迅速性・安全性を持って実現され、国民が安全かつ円滑な海外渡航や海外生活を確保することを支援する、近代的行政サービスの実施
領事窓口の充実や領事出張サービスの充実を通じて、在留邦人の安全、医療、子女教育、年金、運転免許証等の分野での多様な要望に十分応えたサービスの提供

(2) 海外邦人安全対策の推進と危機管理への対応能力強化

緊急事態時における邦人救出(官民協力等)
適切かつタイムリーな渡航情報の提供
緊急事態時の対応訓練の実施
メンタルケアにおける専門家活用
在外24時間電話対応システムの導入

(3) 来日外国人・日系人を巡る諸問題への対応

査証手続の迅速化・簡素化
外国人不法滞在者、不法就労者の増加、外国人犯罪の急増をにらみつつ、来日 外国人・日系人がかかえる問題の把握と対策の検討
少子高齢化が進む中での今後の外国人政策のあり方


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