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海外交流審議会第1回外国人問題部会


平成15年2月5日(水)
於:外務省仮庁舎


<会 議 開 催 概 要>


1. 日 時2月5日(水) 14:00~17:00

2. 場 所外務省仮庁舎1906号会議室

3.  出席者:
(委員側)手塚部会長、植本委員、衣笠委員、櫻木委員、谷野委員、塚田委員
寺嶋委員、新居委員、西原委員、朴委員
(事務局側)小野領事移住部長、遠藤審議官、三好領政長、山本領外長、
小澤領事移住部付検事、重枝領対長、滝崎領対長、渡邊領政企画官、下井領保援護官

4.  議 題
(1)今後の議論のとり進め方
(2)査証発給手続き(手続きの簡素化・迅速化、窓口対応の改善)
(3)出入国管理政策の現状と課題


<議事録>

手塚部会長 定刻になりましたので、ただいまから「海外交流審議会」の第1回の外国人問題部会を開催させていただきます。
 お忙しい中を本日は委員の皆様、ご出席いただきましてありがとうございます。私、本部会の議長役を務めさせていただきます手塚でございますが、いろいろ拙い点もあると思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 本日の部会は、ほとんどの委員の皆様ご出席なんですが、北脇委員と佐藤委員が、どうしても所用があってということで欠席されております。
 議題につきましては、皆様のところに既に事務局のほうからお送りいただいたと思いますが、きょうの議題としましては、この部会として「今後の議論のとり進め方」ということでご相談させていただきたいと思います。
 次に、外務省の領事移住部自身の所掌事務であります査証発給手続きにつきまして、その簡素化とか迅速化とか窓口対応の改善、改革というようなことでご議論いただきたいと思います。
 それから最後に、今回は具体的なテーマとしましては、外国人の入国全般について議論していただくという趣旨で、「出入国管理政策の現状と課題」という議題のもとに議論を進めていきたいと思います。これにつきましては、査証は外務省ですけれども、入国は法務省の所掌事務になっております。
 では、それぞれにつきまして事務局側の意見を伺いまして、皆様のご議論、ご意見をちょうだいしたいと思います。
 それでは、第1点目としまして「今後の議論のとり進め方」につきまして、小野幹事よりご説明いただきたいと思います。この分科会がどんな形で、どんな内容で話を進めていったらいいかということでございます。よろしくお願いいたします。

小野部長 よろしくお願いいたします。
 本題に入る前に、若干ご説明させていただきたいことがございます。「領事改革部会」が先般行われまして、そこでの議論は、外務省の改革の中で、まず領事業務の理念と原則を確立すべく第1回と第2回の総会でご議論いただき、その後、「領事改革」の部会で、各委員の意見も取り入れた形で、熊谷会長のご一任という形で対外的に発表させていただきました。念のため、この席で改めて配らせていただきたいと思っております。
 我々としては、この理念と原則というものをきちっと踏まえて実施していき
たい。また、その進捗状況については随時ご報告させていただきたいと考えております。
 本日お手元にいろいろ資料を用意いたしました。それでは、第1の議題として「海外交流審議会の今後の議論のとり進め方(案)」につき簡潔にご説明したいと思います。
 まず、海外交流審議会には総会と部会があります。それから、外務省は2年前から外国人問題に係る研究会を立ち上げ、手塚部会長に毎回ご出席・ご指導いただいてきています。研究会は引き続き、在日外国人・日系人問題に関わる諸問題を広く研究・議論すると同時に、右議論を海外交流審議会のこの部会に報告をさせていただきたいというふうに考えております。
 それから、外国人問題部会、まさにこの部会が、さらにテーマを絞り込んだ議論を行っていって、総会に報告し、議論していただければと思います。
 それから、次の「2.」に書いてございます「議論すべきテーマ」ですが、今後予定としては、総会4回を2年かけて行いたいと思っています。それから、総会前に1回ずつ計4回の部会と計4回の総会の計8回の会議を開きたいと思います。
 それから、研究会を8回開催したいと考えております。
 そういう前提で、具体的なテーマとして、手塚部会長とご相談した点ですが、ここに書いてあります4点と、今後の議論の進め方につき本日ご議論いただき、それを第3回の総会において確認していただきたいと思います。
 それから、10月の総会では、外国人・日系人の短・中期滞在に係る社会保障等の問題につき、次の長期滞在に係る共生の問題と一応分けてご議論いただくのが議論しやすいのではないかと考えております。すなわち2~3年で日本に滞在して帰国する人たちの問題があるんだろうと思います。いわば出稼ぎ的に来る人たちもこの中に入るだろうと思います。
 それから、3点目は長期滞在に係る共生の問題と書いてございますが、永住に近い形で日本のコミュニティの構成要員として、日本にとどまる方々のさまざまな問題、言語ですとか宗教ですとかにつき、掘り下げた議論がここで期待されているわけです。
 それから最後に総括という形でまとめていただきたいと思います。
 部会は、以上の総会のテーマに沿いまして、まず本日の入国関係に関し、(1)の「査証発給手続きの簡素化・迅速化、窓口対応の改善」。今の外務省の査証発給体制や方針、政策というものはどういう形になっているかご説明させていただきたい。
 それから、(2)として、これも本日の議題で出入国管理政策の現状と課題というものを説明し、ご議論いただきたい。
 次に、短・中期的滞在に係る問題として、例えば、社会保障、雇用、教育といった問題。
 それから、共生の問題として、文化のギャップの問題、価値観、習慣、宗教、道徳等の問題に関する議論を行っていただきたい。
 最後に、研究会は、繰り返しになりますけれども、部会で扱う上記問題について、関係省庁の責任者や学者、NGOの方々の意見を聞きながら、論点を絞り込んでいきたいと考えています。以上です。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 ただいま「今後の議論のとり進め方」についてご説明がありましたけれども、委員の皆様方のご意見を伺いたいと思います。

西原委員 言語政策の問題、あるいはコミュニケーションの問題というのが、短期・長期、あるいは共生の問題に両方関わるかなり重要なことではないか。それを文化の中に組み込んでしまったり教育の中に組み込んでしまいますと、年齢層を区切ってしまうことになるような気がいたします。それはできれば切り離した形で、例えば短・中期のほうにはコミュニケーションの問題、それから、共生の問題に関わる長期のほうには言語政策の問題というのをぜひ取り上げていただけたらというふうに考えておりますが。

手塚部会長 いまご提案のありました、文化の中に取り込んでしまうのではなくて、言語政策の問題、それから、いわゆる外国人の方とのコミュニケーションの問題という項目を、それぞれ別にしますか、一緒に、言語政策及びコミュニケーション、あるいは別にしたほうがいいでしょうか。

西原委員 コミュニケーションの問題というのは、短期の問題として直ちにいろいろ解決しなければならない問題としてあると思います。同じようなことではございますけれども、言語政策の問題というのは、例えば公用語、日本には公用語というのは実はないわけでございますけれども、公用語として日本語を考えるのかどうなのか、そういうことをするかしないかによって、政策というのがだいぶ違ってくると思うのですけれども、そういうことを真正面に取り上げるということが、今まで省庁のいろいろな持ち分の中で、どこでもないという消去法で、どこからも取り上げられていないということがあるように思います。これはこれからの日本の将来ということを考える上で、どう踏み切るかということは大切なことだと思いますので、どこも議論しないのではなく、どこでも議論していただきたいというふうに考えるのですけれども。

手塚部会長 本部会のスタンスとしては、日本に居住する外国人に関わる言語政策くらいでよろしゅうございますか。限定して。

西原委員 そういうことでございます。例えば、カリフォルニア州で公用語は英語と決めました。それはアメリカでは州ごとに決められるわけですけれども、その結果、言語政策的にはイングリッシュオンリーという政策になり、スパニッシュの人たち、ヒスパニックの人たちのスペイン語は市民権を失い、そして2言語の併用教育が権利を失いということになりましたので、そうすると、移住してきた人たちの教育をどうするかという問題と言語政策、公用語をどうしたかという問題が直接関わってきますので、日本人のためではなく、外国人のためにそのことを論ずる必要があると思いますが。

手塚部会長 そうしますと、共生の問題以前の中・長期的滞在に関わる課題の一つとして言語政策とかコミュニケーション……。

西原委員 短いほうはコミュニケーションで、長いほうは言語政策かなというふうに思います。

手塚部会長 短いほうをコミュニケーション、長期を言語政策。

西原委員 そういうふうにお願いできればと思います。

手塚部会長 いかがでしょうか。
 では、今のご意見を取り入れさせていただこうと思います。

朴委員 共生の問題でも、短期、中期と同じように、(3)に書かれている教育の部分は行政のところでも必要なんじゃないかと思っています。それはどういう教育かというと、大人に対する教育というよりは子供に対する教育というところで、どこまでケアしていくのかということを、共生の問題としても大きな問題になっていると思うので、短期、中期の(3)に出している教育を、共生の部分に関しても教育という部分が必要じゃないかなと思いまして、両方に関わる教育の部分を設けていただければと思います。

手塚部会長 そのあたりはいかがでしょうかね。  ある意味では、長期滞在される方たちの、あるいはそのご子弟の教育という問題と並んで、例えば生涯教育だとかと同じ次元の教育の問題があるということですかね。

朴委員 ええ。実際に三重県の場合には、ブラジルとかそういう方がたくさん来ていますね。子供たちが意外と早く溶け込んでいるなというふうに思っていたら、中学校に入ると、いじめとかいろんなものがあって、登校拒否になったりとかして、結局親はきちんとした形で職を得たものの、子供の教育での悩みが多くあって、大変大きな、一つ新しい形での外国人問題へと発展している部分が見えておりますので、ここで共生の問題としての教育は大人ということも重要かもしれないけれども、二世とかそういったところの子供たちへの教育という部分はものすごく重要な部分だろうと思っているので、せっかく短期と中期に出していただいので、行政の問題の長期の場合でも教育という部分はやっぱりケアしないといけないと思っている者としては、取り上げていただきたいと思います。

手塚部会長 確かに、小学校では子供さんたちがうまく溶け合っていても、中学になってから、外国人の子供さんがいじめられることが多いということをしばしばお聞きします。それから、大人の社会でもそういう教育が必要だろうと思いますので、むしろ成人に対する、たぶん中学校でいじめる子供たちというのは、大人の世界の裏返しですから、いわゆる成人の教育ということの中に入ってくるんじゃないでしょうかね。

西原委員 言語学の立場から言わせていただくんですけれども、「溶け込んでいる幻想」というふうに私たちはキャンペーンをしているんですね。子供たちは溶け込むのが早いというのは、例えば言語だけに限っても、習得すべき能力のごくごく一部のことを言っているのであって、日常的な会話能力と、それから、学術的にある言葉で考えられるかという能力とは全然別の能力というふうに言われているわけです。溶け込めるというほうは日常的な会話能力のほうであって、実はその年齢の子供たちに追いついて、ちゃんと伍していけるような学術的な能力というのは、6~7年ないし9年かかると言われているんですね。その部分が、例えば高校受験に絡んで、いま大問題になっている。つまり、みんな溶け込んでいると思っているけれども、実はそうでないところを一般の人は気がついていないという、そこらへんのところがあるような気がいたします。

手塚部会長 いかがでしょうか。

植本委員 短・中期滞在のところで社会保障、雇用というのが当然のテーマとしてあります。例えば雇用のところでも、いわゆる研修生の問題が、研修という名のもとに、実は就労させてしまっているという問題が出てきたりしています。大括りとしてのテーマとしては理解するんですが、逆にそういう問題を議論すると、出入国管理政策の問題と連動してくるというようなことが出てきますので、大括りの柱としてはこういうことを柱にするけれども、もともとの1番目のテーマに常に戻らざるを得ないことがたくさんあります。そういう意味では、総合的視点は常に持ちながら、集中したテーマとしてはこういうものという進め方にしていただくほうがありがたいと思いますけれども。

手塚部会長 教育とも接続することですけれども、研修と訓練の問題というのは、雇用との関係で、その間にあるものとして取り上げたいと思います。
 ほかに。

谷野委員 今のことを私もまさに申し上げようと思ったんですけれども、非常によく聞く話は、まさに今の研修に名を借りた、特に3Kの分野での労働ですね。いずれかの機会に外務省も、あれはたしか共管だったと思うんですが、国際研修協力機構、あれはどういうふうに機能しているのか、あそこで研修を受けて、今度はさらに技能実習でしょう。非常に大きないろんな問題がそこで起こっているという話を聞きますので、外務省も共管しておられるんだから、うまく機能してもらわなければいけないので、特に技能実習に行った場合にひどい世界らしいです。
 それから、あと、研修協力機構の関連で、国会でも問題になりました件はあの一連の延長線上にある話でしょう。ああいう仕組みがいいのか、それとも、これからますます少子化で、実はあの種の労働ということではビザがないんですよね、そういう制度は。むしろそういうものはつくって、そのかわり、ここに書いてある社会保障等の手当てをきちんとしていくのがいいのかどうか、いずれにせよ今の話は非常に重要だと思いますから、JITCOと言いましたか、あそこから誰か人を呼んで、話をぜひ。

手塚部会長 それは、きょう山本課長さんのほうから「研修・技能実習制度のあり方」で問題提起していただきますので、そこでご議論いただきたいと思います。

櫻木委員 短期と長期、どちらも共通するテーマがあると思います。ですから、例えば短期のところで社会保障を取り上げたとしても、長期の場合の特性をも意識してやっていただけるというふうに理解してよいですね。その他雇用、教育なども、短期、長期、全部重複するわけですよね。ですから議論の仕方としては、ここで取り上げるけれども、長期のときはこういう特性がありますよということになりますね。

手塚部会長 ご指摘のとおりでございます。

櫻木委員 わかりました。結構です。

手塚部会長 社会保障は、年金なんかは長期にわたるものですし、当然そういうスタンスで考えたいと思います。

小野部長 いま、朴委員、西原委員、植本委員のご指摘は、櫻木委員のご発言にも集約された通りで、我々もそういう形で理解しております。これは一応大枠としてこの形で挙げていますが、当然出入りはありまして、フレキシブルにご議論いただくというご理解でよろしいかと思います。

手塚部会長 截然とそこのところを分けて切っちゃうということではないということで。
 いかがでしょうか、とり進め方につきまして、議論の進め方、議題との関係で、こんなことはぜひここでやるべきだというご意見がありましたら。

新居委員 部会の論議とはちょっと離れかもしれませんが、組織改革については、この審議会としては、特にそれについて意見を言うという場面はないということなんですか。

小野部長 実は、いま外務省の中での組織改革の議論が行われていますので、前回の部会で外務省の領事改革についてご議論いただきました。その結果、理念と原則の中には組織の拡充が必要であるとかいうことは書き込まれた経緯はございます。本部会におきましても、もちろんご意見として何かおっしゃっていただくのであれば、それはぜひお願いしたいとは思います。

手塚部会長 特にこの部会との関わりだと、外国人との関わりで、領事移住部が今までの行政のあれでは、この点はどうだというようなことをお気づきの点があったら、どんどん言っていただいたほうがよろしいんじゃないかなと思いますので。

植本委員 長期のところのテーマにはなると思うんですが、共生の課題として整理されていますが、いわゆる意思形成過程への参画といいますか、定住外国人の地方参政権の問題も含めて、要するに、各種制度を当事者がどう考えて、どうくみ上げるのかというところのシステムのあり方というところは、いまの法案の部分としては、地方参政権の問題などもありますが、トータルで意思形成過程への参画のあり方は、共生の部分と不可分ではないかと思います。

手塚部会長 そうですね。そのあたりのところもご議論いただけたらと思います。
 それでは、進め方につきましては、途中でお気づきのことがあったらおっしゃっていただいて結構でございますので、具体的な話の中に入っていったほうがよろしいと思います。
 きょうの第2点目の「査証発給手続きの簡素化・迅速化、窓口対応の改善」ということで、小野幹事よりご説明をお願いしたいと思います。

小野部長 私から一言冒頭発言させていただいて、あと細かい点は、主管課長の山本からご説明させたいと思いますが、我々入国関係、査証業務を担当している悩みは、外国からの方の入国をできるだけ迅速かつ適正に行うということでございます。一方で交流の促進という要素があり、外務省としては、できるだけ多くの外国の方に来ていただきたいという立場がございます。
 他方、9月11日以降は特にそうでございますが、治安の問題がございまして、入国管理を厳格に行うという要請がございます。この二律背反的な要請というものをこれからどういうふうにバランスよくとっていくかということになるんだろうと思いますが、外国人にとっては、日本との最初のコンタクトとなる在外公館が出す査証がございます。適正な査証政策というものを行っていくことは、外国との健全な人的交流、これを促進するという意味で、すこぶる重要ではないかと考えております。
 それで、査証発給手続きの簡素化・迅速化、窓口対応の改善という点を努力してきているわけですが、その点につきまして、山本から現在の取り組みと現状、課題等につきまして説明し、各委員のご意見をいただきたいというふうに思います。

山本課長 それでは、お手元の資料の別添2をご覧いただきたいんですが、査証の機能と役割ということで、簡単に査証について、どういうものか、どういう役割を果たしているかということをご説明したいと思います。
 査証の機能としては、大きく言って二つありまして、一つは「入国のための推薦状」という機能があります。これは在外公館で外国人の方が日本に来たいというときに、持っている旅券、母国が出した旅券が本物かどうか、実は偽物を持ってくる人が結構いまして、これをまず確認しなければいけないという作業があります。
 それと、その旅券が日本に入っている間に切れちゃったり、日本に入る前に切れちゃったりすることがあります。これも確認します。戻ってくるときに有効かどうか。
 もう一つは、入国管理法というのがございまして、その中に幾つか日本に入国できない人の条件というのがあります。この条件に引っ掛かってしまう人は、査証があっても入国できないのです。ということがありまして、査証の段階で、その条件を満たしているかどうか、きちんとチェックをして、空港でトラブルが起きて追い返されるようなことがないように事前チェックをする。その上で在外公館として、この人は日本に入れて大丈夫な人ですよという「推薦状」を出すという機能があります。
 もう一つは、先ほど申し上げた、入管法の中で「上陸を許可するためには査証を有していなければいけない」という条文がありまして、これは例外的に査証を免除している国がありまして、それは例外といってもかなりの数があるんですが、その国の人でない限り、査証がないと入国審査の際に上陸を許可されない。ただし、逆に言うと、査証を持っていたからといって入れるという 100%の保障にはならない。ほかの入国条件を満たしていなければ上陸拒否にあうこともあります。
 あとは、よく査証について、ビザの更新ということを言われて、査証と在留資格を混同されているんですが、実は査証自体は入国したらそこで有効性を失ってしまうんです。要するに関所手形みたいなもので、上陸審査のときに使われるんですが、そこで上陸が許可されれば、入国審査官がその人の入国目的に従って在留資格を付与するんですが、それを更新する、あるいは変更するというのが一般にビザの更新と言われるもので、これは実は査証とは全く関係のない、法務省の管轄の行政事務であります。
 査証の役割は、先ほど小野部長から説明したとおりなんですが、主として二つの重要な役割があります。
 一つは、相手国との人的交流、経済関係の促進ということなんですが、これは国際慣習法上、外国人は違う国に入るときには、何もなく入ることはできないんですね。そういう意味で、その人を入れてあげるという、査証には積極的な機能が一つあります。
 他方において、いろいろな問題が外国の人が入ってくる過程で起こっていまして、これは不法就労、不法滞在というのもありますし、犯罪、テロという問題もあります。こういう治安上の問題をどうするか。こういう問題が生じないように事前にチェックするという役割があるわけです。そのほかにも人道的な配慮で査証を発給したりしなかったり、あるいは政治的配慮がなされる場合もあります。査証というのは、国際法上は主権行為ということになっておりまして、多くの場合は、上に挙げた二つの要素が考慮されますが、稀にそのほかの要素も考慮される場合があるということです。
 ところで、査証の現状を申し上げると、平成13年の外国人の入国者が約 528万人ですが、査証の取得者は約 280万人。査証の免除対象者、これが約 144万人。再入国者、これは主にここに住んでおられる方が一旦帰国してまた戻ってくるというパターンが多いんですけれども、これが約 105万人という内訳になっています。
 査証の発給件数というのは、複数の人に1件で出している場合もありますので 280万人より少ないですが、約 206万件ありまして、そのうち  200万件は実は在外公館限りで出していまして、東京には相談がきていません。要するに東京に相談して、東京から訓令を出して発給を指示している件数は約6万件ほどです。
 現在、58カ国に対して査証の免除を実施しております。これはお手元のグラフなどが入っている資料の中に、6枚目に一覧表がありますが、その中の63カ国の中の、実はパキスタン、バングラディシュ、イランについてはいろいろな問題が生じまして、大体ご想像がつくと思いますけれども、取り決めの一時停止というのが行われております。マレーシア、ペルーについても、査証の取得勧奨措置というのが実施されておりまして、要するに査証がなくても入れますが、非常に入国審査が厳しいので査証をとってきてくださいという措置を実施しております。
 査証WANの説明に入る前に、このグラフの説明を簡単にいたしたいと思いますが、一番最初の棒グラフは、平成2年から13年にかけて書かれているものですが、これは不法滞在の総数と内訳です。ご覧になるとわかりますが、韓国の方が一番多くて、それからフィリピン、中国、タイというような順番になっておりまして、去年の数字ですと、全体で23万 2,121人、不法に滞在しておられる方がいるということです。
 それと、その次のグラフをご覧になると、最近、外国人による犯罪が多いというふうに言われているんですが、実は実態上もそうでして、青い棒グラフが検挙数ですね。赤い折れ線グラフが検挙人員ということで、おととしは一旦検挙数は減っているんですが、ただ、検挙人員は増えていまして、去年の数字もまだ上半期しか出ておりませんが、かなり増えているというのが実態で、このほかにも凶悪な犯罪が増えているという数字が出ておりまして、外国の方の犯罪の問題も大変深刻な問題であります。
 ということで、査証WANの説明に入りたいと思いますが、一番最後の青い地図が入っているものが査証WANの簡単な概要を示すもので、上と下で違いをあらわしているんですが、上にあるのは従来の体制です。これは在外公館で査証について判断が難しい場合には、東京に経伺をして、東京で各関係省庁や身元保証人と協議しながら判断して、在外公館に訓令を発するんですが、今までは直線的に行われていたわけです。要するに、隣の公館で誰にどういう査証を出しているかというのは連絡がなければ全くわからないという状況で、中に悪用する人たちがいて、わざわざ隣の総領事館に行って査証申請をして、そもそも、例えばモスクワでは査証を申請したときに、査証申請しても、あなたは査証が出ませんよということを言われた人が、例えばペテルブルグに行って、違う書類をつけて査証申請をして査証を得ようとするというようなケースが実はかなりありまして、これを防止するのは非常に難しかったんですけれども、下の図のように全体をネットワーク化しまして、すべてコンピュータに入れて、それが東京とワシントン、ロンドンのサーバーに蓄積されて、同時にあらゆる公館で、どこでどういう査証申請がされているかというデータを共有できるという形になりまして、これによって、今までほかの場所で査証申請していたり、あるいは、例えば東京からこういう人には査証を出してはいけませんという情報が流れるんですけれども、それが即座に流れますから、非常に正確に迅速に、あるいは厳格に査証を発給することができるようになるというシステムです。
 その次のページにある図をご覧いただけると、実はそのシステムは外務省だけのシステムではありません。法務省ともつながっておりまして、ことしの春までには成田の空港の入国審査官のところの端末がありまして、そちらにも査証情報が出るようになります。どういうことかというと、偽造した査証で入ってくる人がいまして、こういう人の査証が本物かどうかを在外公館からきているデータでチェックするということができるようになります。
 そのほかにもいろんな関係省庁がありまして、そちらでもうちからの情報をチェックしていただけるようなオンラインのシステムをつくろうということを現在検討中です。
 査証の実物がその下についておりまして、色が幾つか混じっているスタンプなんですが、これが従来の押印式と言われる査証です。ところが、これは簡単に偽造できまして、非常に問題が多かったものですから、今はその次のページにあるような顔写真入りのものとなっています。実は顔写真を入れるとちょっとコストがかかるものですから、写真なしのバージョンもあるんですけれども、これは財務省のお札をつくる工場で非常に特殊な印刷を施していまして、何個所かに偽造ができないような、お札の偽造を防止する印刷ですね。それが施されていまして、こういうシールをいまコンピュータでプリントアウトして、皆さんのパスポートに張りつけるという作業を行っております。
 査証について手続きの緩和はどういうものがあるかというのは、別添3の資料をご覧いただきたいんですが、近隣諸国に対するここ数年の査証緩和の例というのをここに書き出してみました。ロシア・NISは、ことしの1月6日から短期査証の手続きを大幅に簡素化しました。これまでは共産主義時代の制度がかなり残っていまして、短期査証については三つ複雑な方式があって、全部東京に相談しないと出せないという方式だったんです。これではとても大変なので、一つの方式にまとめまして、原則として現地で発給できる。要するに、東京の判断を仰ぐ必要は原則としてないということにしました。これによって、今まで3週間から1カ月かかっていたようなものも、原則4労働日で出るということで、大幅に短縮しました。提出書類も幾つか簡素化いたしました。
 韓国なんですが、韓国は去年ワールドカップがあったということもありまして、いろいろな措置がとられていまして、例えば去年の1月から有効期間5年の短期の90日の数次査証を発給するということを始めまして、1回査証をもらえば5年間何回でも来れるという査免に近い状態になるんですが、そういう措置をいま実施中です。
 そのほかにも、去年、ワールドカップの期間中に、一定期間ですが、実験として査免を実施しまして、その結果はいま入管局のほうで評価中なんですが、そういう措置も実施しております。
 台湾については、数次査証、5年有効の90日のものを平成11年から発給しております。
 香港については、査証料の軽減等をやっておりまして、数次査証については、政府関係者は5年の有効期間になっていますね。香港には数種類の旅券がありますけれども、SAR旅券というのを持っている人は3年の数次査証が出るようになっています。
 中国につきましては、谷野委員がおられるときに団体観光旅行という制度をつくりまして、一般に中国は日本との所得格差が大きくていろんな問題があるものですから、査証を厳しくしている国の一つなんですけれども、そういう厳しい審査じゃなく、簡単な審査で観光旅行できるようにしようということで、北京と上海と広東省、この3か所の在住者については、団体観光旅行ということで、原則10日以内に査証を出すということでやっております。これは急激に人数が増えておりまして、1年目は大体1万人だったんですが、2年目は3万人ぐらいに増えちゃいまして、今後も毎年倍増ぐらいで増えていくのではないかということが言われています。それに伴いまして、失踪者が200名程出たりとかいろんな問題も生じておりまして、現在、そういう問題が起こらないように、歯止めの措置を関係省庁で検討しているところです。
 それと同時に、査証の取り扱い、今日までは、北京市以外できないという制度だったんですが、明6日から、上海の総領事館が取り扱いを開始しまして、次に、広東省については広州の総領事館で取り扱いを開始できるように、いま鋭意努力中です。
 対象地域についても拡大してほしいという声があるんですが、これも将来的課題として現在検討中です。
 ところで、中国については査証審査を厳しくはしているんですが、できるだけメリハリのある査証審査にしようと思っていまして、全く問題のないような人にはどんどん数次査証を出しましょうというようなことをやっております。ここでは詳しいことは書きませんでしたけれども、例えば日系企業の人とか、あるいは現地の上場企業の課長レベル以上の人とか、あるいは芸術家、大学教授、スポーツ選手、こういう人には現地の判断で数次査証を出せるようにしております。
 最後に、別添4の資料なんですが、窓口の対応改善のための措置なんですが、これはいろいろ委員の皆様にもご指摘をいただいているところで、確かに査証というのは、拒否をすることもあって、うらまれて脅迫を受けたり、あるいはお金を持ってきて、査証を出してくれとか、査証官、あるいはそれを扱う現地職員が危険に直面する場合がありまして、そういう意味で、一般の領事サービスとどうしても対応が異なっていきます。
 端的な例で言うと、窓ガラスを防弾にしているとか、あるいは名札をつけないようにしております。名札をつけると、その人に脅迫電話がかかってきたりすることがありまして、そういう意味で、窓口対応の改善といっても、現場にいる人にとってみると、そうは言われても、自分の生命あるいは家族の安全のためにはなかなかできないこともあるという意見もかなりありまして難しいんですが、ただ、我々としては、できるだけ心地よい対応をするように、サービスをするように指導しております。
 例えば、窓口担当者会議の実施ということで、14年1月から、アメリカの各公館、あるいは欧州の地域で、民間航空会社のスチュワーデスさんを教えているインストラクターの方に来ていただいて、窓口の対応について、これは現地職員ですけれども、指導しておりまして、3月にはシドニーで同じような会議を実施する予定です。
 また、査証官会議というのを頻繁にやるようにしておりまして、去年は、ロシア・NIS、韓国、中国、これは私自身と査証の担当者を連れていったんですが、その現地の査証官もいろんな悩みを抱えているものですから、その話を聞いてあげて、本省としてこうすべきだというような意見を言ったり、あるいは逆に本省にこうしてほしいという要望もあるものですから、そういうのを聞いて、こちらで引き取って検討したりとかいうことをしております。その一環として窓口の対応ということもかなり議論しておりまして、現地職員を特にどういうふうに指導するかというような話をしております。この会議は、本年は南西アジアと東南アジアで実施を予定しております。
 あとは、査証官の集まる会議とは別途、査証WANの運用研修会議というのがありまして、これは去年、アジア太平洋、北米、中米、南米でやりました。その際にもいろんな意見交換をしまして、窓口対応の改善について指導してきております。以上です。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 かなり詳しく査証発給手続きの簡素化・迅速化、窓口対応の改善についてご説明がありましたけれども、ご意見をちょうだいしたいと思います。

朴委員 一番最初の査証の機能の部分で、(注2)のところに「ビザの更新」というのが「在留資格の延長」というふうに定義されているんですが、例えば在留資格が変更された場合はビザの更新と言わないんでしょうか。

山本課長 一般的には「ビザの更新」という言葉が使われているんですが、正確には外務省は全く関与していなくて、法務省のもとでやられています。我々は、どなたの在留資格が変更されたのか全く知らないということです。

朴委員 もう一度整理をさせていただきますと、一旦与えられた資格の延長は外務省・・・・・・。

山本課長 法務省です。成田で入国しちゃうと、あとは全部法務省です。

朴委員 その中で、同じ資格で延長する場合と、資格が更新される場合とが含まれるということで理解してよろしいですか。

山本課長 そうです。

朴委員 それからもう一つ。こういう定義をすると叱られるかもしれないけれども、良質の入国を望んでいる、犯罪歴とかそういったものが全くなく、本当に善良なる市民とか国民として日本に入ろうとする者と、ちょっと問題があるというところの部分で、善良なる市民に対しては、いろんな形でいい改善をしながら対応していこうというのはよくわかっていますし、それから、問題があるところはどう防ぐのかというところの部分で努力していらっしゃるのは、聞いてよくわかりました。
 第2の推移のグラフのところで、減っていくのは、問題がある人が減ったからこういうふうに減っていくというふうに理解するのか、このグラフをどう理解したらいいかということで……。

山本課長 不法滞在が近年減っているのは、主に日本が不況になっているためだと思います。日本での不法滞在の労働者に対する労働需要が減っているというのが一つの原因だと思います。逆に犯罪のほうは最近増えていまして、入国者に占める犯罪者の割合は高くなってきているのかもしれません。

朴委員 ということでもしあるとすれば、いわゆる悪質なところというか、そういった部分をどう防ぐのかというところの部分に、善良なるところの部分が何かの形で影響をあまり受けず、例えばいい形でサービス機能が向上されているところから出てくる効果的な部分とそうじゃない部分を一緒にしてしまうと、見ている人から見ると、どっちがどういうふうになっているのかわからないので、非常に難しいことだと思うんですけれども、これはたぶん参考資料だからオープンはされないものだと思うんですけれども、これからオープンしていかないといけなくなったときに、よりわかりやすい形で、要するに善良になる人に対しては、これだけオフマインドでやっていくんだよという部分と、ただし、そうじゃないところはこうなるんだよという部分と、それから、社会情勢が変わったことによっての推移はどうなるんだというものが説明できるような形での、そういった部分をわかりやすく、どうアピールするのかという部分に対しての工夫も必要なんじゃないかなというふうに思いまして、どこかのニュアンスとしてでも結構ですので、善良なる人に対しては、とにかく早くいい形で簡素化というふうになっていくんだという部分をある程度前面に出していただいて、そうじゃないものに関しては一段と厳しいいろんな形の対策を講じていて、例えばオンラインでも世界がつながる形にしていて、そういった変な形でのものをやって不法的に入ろうとすることは許されない部分なんだよという部分をうまく整理をさせていただいて、表し方の部分も考えていただければ、かなり詳しくいろんなことがわかっている人から見ると、そうだろうなと想像を働かせて理解しようとするとは思うんですけれども、そうじゃない人に対する部分もサービスの一環として考えていただければいいかなというふうに思いました。

手塚部会長 今のはご意見、ご質問……。

朴委員 一つは質問でした。答えは出ましたので、あとはコメントです。

山本課長 全く朴先生のおっしゃるとおりで、我々も善良な人はできるだけ迅速にいっぱい入ってきて欲しいが、ただ、それにそうじゃない方が混ざれないようにそこは厳格により分けていきたいと、そういう方針でやっております。今後もそういう形でやっていきたいと思います。

寺嶋委員 中国からの観光旅行で、谷野委員のご勇断でこういう突破口をつくっていただいて、大変ありがたいことだと思いますが、地域は当然これからもっと拡大されていくべきだろうと思いますけれども、団体じゃなければだめだというところですね。おそらく団体であれば、取り扱いの旅行社に責任をある程度もっていけるとか、あるいは付き添い、添乗員がいるから、監視が届くだろうというような観点かなと思いますが、他方、身元も確かで非常にリッチになっている中国人というのも多いはずなので、そういう人々が個人とか家族旅行をしたいというときに、ビザを出さないというのもちょっと行き過ぎているような気がしますので、そのへんが……。もちろんいなくなってしまう人の問題というのはあるわけですけれども、先ほどから言われているように、確かな人まで蹴ってしまうというのは、中国からの物の輸入でずいぶん日本は苦しんでいるわけですから、少しはこういう形で還流をしてもらわないと、トレード上もうまくないと思いますし、さらに工夫をしていただければと思うんですが、どんな点が個人旅行というのは一番問題だということなんでしょうか。

山本課長 中国から日本への人の流れなんですが、年間40万人ちょっとなんです。そういう中で団体観光旅行というものは今のところ年間3万ぐらいですから、残りの40万人は、個人で来ている人も相当数いるわけです。実際、観光旅行、短期滞在の方もかなり参りますので、先生のおっしゃられたようなリッチな中国人が子供を連れて観光に来ているという例もあると思います。ですから、それは全く排除していません。要するに団体じゃなきゃ入れないということではないと思うんですが、他方において、個人の場合には普通の審査が行われますので、例えば知人訪問、友達がいるから行って観光するというような場合、ちゃんと所得が十分あるかどうかとか、普通の中国の方の査証の審査と同じようにやっております。団体観光旅行のメリットは、そういう厳しい審査がなくて、簡素化された手続きで、しかも代理申請といいまして、旅行会社が責任を持つ形でやっておりまして、楽に行けるという。そういう意味では、個人で申請されるより団体で行ったほうがかなり簡単になっているということだと思います。

谷野委員 個人には出していないでしょう。単に観光というだけでは。

山本課長 身元保証人となる知人がいて観光をするというような場合、査証は出ます。

寺嶋委員 名目は観光でもいいわけですか。

山本課長 それは構いません。知人を訪問して観光もするということでしたら。

谷野委員 もう一回強調したいんですが、大使館で、査証事務というのはやはりそれに携わる人の心構え、意識の問題に負うところが非常に多いということです。一般に考えられているよりよほど柔軟性をもって対応できるんですね。これはちょっと差し障りがあると思うけれども、きのうまで東京でとにかく審査、捜査でやってきた人が、今度在外へ行って意識を変えろと言っても無理な面はありますよね。どういうことが起こるかというと、稀なケースですよ、ビザをとりに来た人を怒鳴る、そういう対応をする例も全くなくはないんですね。ですから、私は意識改革こそが必要な人が多いと思います。相手の立場に立って、どこまで何ができるかということをもう少し考えてあげる気持ちが必要だという気がしますね。
 先回、中国の著名なテノール歌手が日本の恩師の死に際に一目でもに会いたいという件が、結局ビザが間に合わなかったというケースについてお話ししました。私の方に本人から陳情があって、東京の担当責任者に聞いてみれば何のことはない。そんなものは現場で大使の責任でどんどん出してよいと言われた。そこで死に際には会えなかったが、葬儀には何とか間に合った。現場の担当者の意識を高めることが必要だということをぜひもう一度強調したいと思います。
 それから、今の寺嶋さんのお話ですが、外務省と国土交通省は同じ考えだと思うんですが、中国人の団体観光旅行については、これに異論を唱える向きに是非強調してほしいのは、これまで4万人来てその内、百五十数名が滞留したらしいけれども、それを多いと考えるか、それくらいは許容範囲だと考えるか、お役所それぞれの立場で違うんだと思いますが、私は中国の場合は、できるだけ多くの人に自分の目で日本の現状を見てもらう、いろんな経験をしてもらうということが、日中関係のために非常に大きな意味があるということです。中国の新聞の日本についての報道は偏っているし、教育についてもおよそ偏った教育ですからね。学校で何を教わるかというと、極端に言えば、日本についての学習は1945年で終わっているわけです。私どもはそれについて強い異論を唱えてきたんですが、そうすると、日本については軍国主義を中心としたものになる、極端に言えば、それで終わっちゃうわけです。しかし、その日本に来てみると、どうもそうでもないらしいということになる。みんながみんな親日的、知日的になるというわけじゃないけれども、そこには、単に観光を超える意味が、中国からの観光にはあるということです。 そして、それが中日関係をより確かなものにするゆえんですから、これはぜひ、この点を強調して欲しい。将来は対象地域を青島とか大連に広げるというアイディアもあるようですけれども、質の悪い中国人の流入には抑止力を高めながら、団体観光旅行の方はぜひ拡大する方向でやってもらいたいと思います。
 それから、査証と在留資格の発給のあれは別だということはよくわかるんですが、これも以前お話ししたけれども、大使館で査証発給されても、成田あるいは関空で追い返される事例がかなりある。これは、ある程度仕方ない。一方は外務省というか在外公館の仕事で、一方は入国審査官の仕事だから。しかし、何か法務省とうまく連携プレーができないものか。例えばインド在勤中に起こったのは、国会議員についてきた秘書官が空港で「おまえは、入国を認めない。インドに帰れ」と言われたわけです。それで後日、インド人の国会議員が大使館に怒鳴り込んできた。そこで、入国を認めなかったケースについては、法務省(入管)の方からそれぞれ査証を発給した大使館、総領事館に通報していただくような仕組みができないものか。法務省に伺ったら、そんなことをしている余裕はない。類似のケースは非常に多いからだそうです。だけど、月報でもいいから、そうしていただけると、大使館での査証発給の際に参考になる点があるかもしれない。そのへんの連携プレーが全く、一つは在外公館、他方は法務省ということで相互の連携プレーがとれていない。
 ところで、中国についてはこういう話を聞くんです。いま既に 1,000万人以上の中国人が世界中に出ている。観光旅行その他で。これが、20年後には1億人の中国人が外へ出るという情況になるという話を聞きます。これは中国政府が言っているのではなくて、WTO(ワールド・トゥーリズム・オーガニゼーション)がそのような推計を発表している。そうすると、いま44万人の中国人が入ってきているわけですから、単純にいけば10倍になるということで、20年後には 500万人近くの中国人が日本に観光に来るかもしれないということになる。これにどう対応するかということですがいろいろ難しい問題があるらしい。小泉総理もあらためて「観光立国」ということで、これへの取り組みの仕組みを政府部内に造られたようです。日中の間で観光に絞って定期協議みたいな場をつくるべきときにきているのではないかと思います。ビザだけの問題ではない、いろんな問題がありますから 500万人ということを想定して受け入れに当たってどういう体制をつくるのか。ひとり国交省まかせではなく、オールジャパンで考えなければならないと思います。
 これで最後にしますけれども、韓国との関係をテストケースでいろんなことをやったらいいと思うんです。かつてアメリカがヨーロッパで、こんなことをやっていた。現地の米国大使館でビザを出す。ビザをもらった人が飛行場に行く。そうすると、そこにアメリカから派遣された入国審査官がいるんだそうです。そこで米国への入国審査をやってしまうんだそうです。そういう仕組みをアメリカとヨーロッパの一部の国とでやっていた。そうすると、ワシントンなりニューヨークへまで行く前に問題ある人は、空港でストップということになる。ところが日本の場合は、成田や関空へやってきて初めて「あなたは入国を認めない」と言われる。これは相手の主権の範囲ですから難しいことがあるかもしれないけれども、例えばソウルと金甫空港の一角に、法務省から行った入国審査官が部屋を持っていて、そこでもう一回チェックして、「あなたは、大使館でビザをもらったらしいけど、ちょっと問題だから日本への入国はむずかしい」とそこでストップされる。成田までやって来て、そこで帰されるというのはえらい恨みが残りますからね。そういうことをアメリカは一部の国との間でやっているんだそうです。今はないかも知れませんが。
 カナダとの間では、国境のところで同じような仕組みがありますね。そういうことは日韓の場合、テストケースとしてやることは出来ないかと思うんです。私の韓国の友人が、日韓FTAなんていう前にやることはいっぱいあると言っていました。
 それから、成田などで、例えば韓国のウォンを入国してくる韓国人が円に替えるということができないものかと言う意見があります。何か特別の仕組みをつくって、成田なり関空でウォンを持ってきた人が、そこで円に替える。これぐらいのことはやったらいいと思うんです。
 それから、我々日本人は日本のナンバーでソウルまで運転できるけれども、韓国からはできないんだそうですね。韓国のナンバープレートでは日本へ入れない。これも日韓の間には、フェリーがあるわけですから、何とか両方通行にならないものか。私は日韓でそういう新しい機軸をテストケースでどんどん出していくことが出来ないかと思います。いわば、今、国内でいろいろ議論がある「特区」の国際版です。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 韓国のナンバープレートでは日本に入れないんですか。

谷野委員 そう言っていました。日本は入れるんですって。それは警察でしょう。とんでもないということなんでしょう。日本のはフェリーで渡って、ソウルまでは運転できる。

小野部長 大変参考になる意見ありがとうございます。私も谷野委員の言われる意識改革というのは、最大の外務省改革だろうと思っていますが、これは実は言うはやすくて本当に難しい問題じゃないかと、つくづく自戒を含めて考えております。何をどういうふうに意識改革するのかということ自体も必ずしもよくわからないんですね。これは今後とも我々努力すべき点だろうと思います。
 それから、寺嶋委員の、個人ベースの観光旅行というのは、私も勉強不足なんですが、いま課長の話を聞いていて、まだ一層改善すべきことがあり得るんじゃないかなという感じがします。手続きの簡素化とか、身元がはっきりしていて問題ない人、個人ベースで家族と一緒に来たほうが団体旅行よりははるかにいいわけですよね。いずれそういう旅行が増えていくんではないか。まだ団体観光旅行を始めて2年ぐらいですので、徐々にそういう面も広げていく必要があるんじゃないかなというふうに考えております。
 本日、国土交通省の観光部長さんが来られて観光立国の話をしていきましたけれども、私は大賛成だと言ったんです。外務省もできることは支援していきたい。確かにフランスは観光客が年間 7,000万、日本は 500万です。統計的には世界で35番目なんです。韓国より観光客は少ないんです。いかに外国人の旅行者が来にくいか、魅力がないかということだと思います。ですから、観光立国 1,000万というのもまだまだと、私はそういう感じがします。
 ただ、中国だけを考えても一挙に増えていく可能性はあるわけですけれども、ただ観光立国と言っても、国民の心の問題もありますし、経済、物価、案内、標識、等の問題が絡んでいますから、国土交通省だけが頑張っても、あるいは外務省だけが頑張ってもなかなか難しい問題なんじゃないかなという気がいたします。
 それから、朴委員が言われた改善しているのであれば、それをもっときちっとアピールすべきだという点は、そのとおりだと思いますので、工夫をしてみたいと思います。

谷野委員 査証料をとるというのはお互いにやめたらどうですか。いくらとっても結局は財務省に巻き上げられるばかりだ。両方で協議して、日中で査証料をやめる。もっとも中国側も大使館でまき上げたのをいろいろな方面に用立てているらしく、簡単にウンとはいかないかもしれないが。

山本課長 これまで手数料は段階的にやめており、国によっては、例えば、韓国とか台湾とかは短期滞在査証等について免除しています。これは財務省からとってみると、年間、領事関係で50億円ぐらいの収入がありまして、その大半が査証手数料と聞いていますので、仮に40億円とすると大変な収入なんですね。今みたいな税収不足のときにそれを減らそうとすると、財務省と協議しないとできないという状況です。

谷野委員 観光立国の一助になりますね。

山本課長 そこは大所高所から総理に判断していただく、ということかもしれません。

西原委員 それらの議論を聞いていて、この答申が部会の入国関係(1)というところになるわけでございますが、いま部長がおっしゃったように、例えば観光ということを目指して窓口をどうのこうのという議論と、高いから来られないんだというそのところ、または文化的な閉鎖性というところとが結びついてくるわけでございますよね。そこらへんをこの部会としては、どこにどう書き込んで答申というか、するのかというところで、他省庁の領域にも踏み込まざるを得ないでしょうし、そこらへんをどうおまとめになるのかなと素朴な疑問を抱いたのですけれども。
 それと、例えば窓口というのがビザで、あとは法務省のということになりますけれども、窓口というところと、どういう在留資格をもった人を受け入れるかというところ、つまり難民認定とかそういうようなこととがやっぱり結びついてくることになりますね。それを窓口業務というところでだけ論じようとすると、またどこにも入らないところを生んでしまうという問題があるように思います。そのへんはこの委員会としてはどういうふうにお考えなのでしょうか。

小野部長 ご指摘の点は、非常に重要だと思うんですけれども、例えば中国と領事局長レベルの協議というのを、この4月に予定しています。仮にこの団体観光旅行について、日中の領事当局間で協議するときには、国土交通省、法務省、警察庁の人も一緒になって議論するということです。おそらくこれだけ大きな問題になってくると、事前にこの問題をどういうふうに取り扱うべきかという事務方の調整ということが行われるのだろうと思います。そういう中で、こういう委員会で出された議論も踏まえながら、ほかの省庁に対しても働きかけをしていくということは考えられるのではないかと思います。

山本課長 在留資格の話は、また後で入国管理政策の議論がありますので、そちらで議論したほうがいいのではないかと思います。
 谷野委員からご指摘の点で、相手の立場に立った血の通った審査をすべきだということ、これは全くそのとおりです。私も実務を半年主管課長として見ていて、そういうふうに思うことがかなりありまして、これは査証官会議でも直接査証官に対して言っております。あとは、査証官の研修用のマニュアルをいま改定していますけれども、マニュアルの一番最初のところにきちっと書き込もうということを考えております。これは、初心の問題で心構えなんですけれども、日々の大量にくる査証審査の中で、そういうものを見失ってしまうことがあると思うんですね。それを改善したいなと私自身思っております。
 成田での上陸拒否の話については、実は査証WANとの関係で、出入国統計というのが法務省であるんですけれども、これを我々の執務のためにいただけないかという話はかなり前からしているんですが、法務省側も個人情報の保護とかいろんなことがありまして、なかなか難しいということを言ってきております。谷野委員が言われたように、拒否された分だけでも迅速にくださいという話は今後していこうと思います。
 プレクリアランスの話、要するに入国審査官が相手国の空港に行って審査をするというのを実は1回実験していまして、これは昨年の日韓の査免のときに、入国審査官が数名、仁川空港に行きまして、そこで強制できないので、希望者だけ先に書類を見せてもらって、大丈夫ですよという審査を行う。これはうまくはいったんですが、実はプレクリアランスを希望しないで直接飛行機に乗った人の中に相当いろんな人がおられて、その1カ月半の間に、たしか 500名ぐらいでしたか、相当数が上陸拒否になりまして、それはそもそも入管法上入国できないような人がたくさん混じっていて、そういう人たちがプレクリアランスをしないで空港まで来てしまった訳です。

谷野委員 どうして領事館がビザを出したんですか。

山本課長 昨年、ワールドカップの期間に限定して韓国人に対する査免を実施したときです。1カ月半査免をしたときに、そういう問題が実は生じました。ですから、プレクリアランスをやるのはできるんですが、強制することができないとか、そこで追い返すという法的な権力の行使ができない問題とか、いろいろ考えなければいけない部分が宿題として残ってはいます。

新居委員 在日外国人の検挙状況という表がありますね。これはヨーロッパなんかの先進国で外からやってくる人の犯罪と日本の犯罪の率はどうなんだろうか。日本は相当高いんですか。そういう比較ができる資料はあるのでしょうか。

山本課長 正直申し上げて、ほかの国の統計を調べたことがないので、調べてみます。

手塚部会長 いかがでしょうか。
 それでは、後でお気づきの点があって、時間がありましたらご意見をいただいても結構ですが、第3点目のテーマに移る前に、コーヒーブレイクを若干したいと思います。
 35分から再開させていただきます。

(休  憩)

手塚部会長 それでは、第3点目のテーマでございますが、「出入国管理政策の現状と課題」ということで、小野部長から先にご発言をお願い致します。

小野部長 一言ご説明して、補足は山本と三好のほうからしたいと思います。
 これは大きなテーマでございまして、時間がいくらあっても足りないと思います。ただ、本日の予定としては、この問題と、先ほど話題になりました研修・技能実習制度についてもご意見を賜りたいと思いますので、簡潔に説明をしたいと思います。
 近年、日本は急速に少子高齢化が進んでいるということで、将来そういう意味では深刻な労働力不足に陥ると予想されるわけですけれども、そういう中でさまざまな議論が出てきております。
 一つは、外国人労働力を積極的に導入していくべきであるという議論は根強いものがある。他方、国内産業の弱体化ですとか、外国人受け入れの社会的コストといった点から、外国人労働者の受け入れには否定的な考え方もあります。
 また、現在、高度な専門性を伴わない職種につきましては、外国人への門戸を事実上開いている研修・技能実習制度や日系人の受け入れについて、今後どのようにあるべきかということも御検討頂きたいと思います。
 ここで二つの問題に分かれると思いますけれども、まず、研修・技能実習制度について山本のほうからご説明し、引き続き、在日日系人の現状と課題について、あわせて三好のほうからご説明したいと思います。
 その後、そもそも論として外国人労働者を受け入れるべきなのかどうか。いわゆる大きい日本がいいのか、小さい日本がいいのかといった観点から各委員に議論していただきたいと思います。

手塚部会長 今の議事の進め方ですけれども、日本で現在、いわゆる専門度の高い職種以外の一般の製造業とかその他で受け入れが認められている研修・技能実習制度という制度がございます。それからもう一つは、在日日系人の方たちについては、いかなる職種についても仕事ができるということで、その二つのグループが現在、いわゆる日本での一般的な労働力不足等々について受け入れがなされてきた。10年前は大変熱狂的な人手不足だという状況でございましたから、そのころから門戸開放されたのがその二つの領域でありますので、そこのところをご議論いただいて、それから3番目で、今後の日本の21世紀に、2050年とか2030年とかそういう先を見たときに、今のような人口を日本の中で維持していくという形で外国人を受け入れるかどうなのかというご議論をちょうだいしたいと思います。
 それでは最初に、研修と技能実習制度につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。

山本課長 先ほども話題になりました研修・技能実習制度ですが、お手元の資料の別添5に簡単な概要と現在ある問題点について書き込んであります。ご説明いたしますと、まず、研修・技能実習制度というものの経緯なんですが、実は研修は、大企業が海外進出するときに、現地の人を訓練させるために日本に呼んでくるということでかなり前からありまして、80年代からあったということなんですが、これが1990年の出入国管理法の改正のとき、発展途上国の人材を育成するという観点で、中小企業のほうにも外国人の研修生を受け入れるという枠組みが整備されまして、そのための組織としてJITCOという先ほど話題になった国際研修協力機構というのが91年につくられたわけです。
 研修というのは、座学がこれだけなければいけないとか、いろいろ制限を付していまして、決して安価な労働力として入れるという趣旨じゃない、きちっとした枠組みのある制度ではあります。ただ、これだけでは研修の効果が上がらないという声が高まりまして、より実践的な技術・技能や知識の習得をさせるために、93年に技能実習制度というのが創設されました。
 研修制度ですが、これはどういう作業かというと、習得しようとする技術や技能または知識が、同一の作業の反復のみによって習得できるものではないという定義がされまして、純粋な単純労働ではないということで区分されていまして、ただ、中には農業、漁業といった形で、かなりボーダーラインのほうにきている場合も散見されます。
 この方たちは、就労ではないカテゴリーになっていまして、給与は受け取っていないんですが、研修中の生活実費ということで研修手当というのが支給されています。JITCOの統計ですと、月額6万円から10万円ぐらいということになっておりまして、どれぐらいの人が入っているかと申しますと、JICA等の公的機関の受け入れが1万 2,626人、JITCOで受け入れているのが3万 7,423人、その他の受け入れが 9,015人ということで、全体で6万人弱が2001年、研修生として受け入れられているという状況です。
 技能実習というのは、就労になりまして、ちゃんとした給与が支払われます。研修のときには「研修」という在留資格が与えられますが、技能実習制度になると「特定活動」という在留資格になります。研修と合わせて最長3年の滞在が認められています。建設関係とか機械・金属、農業なんかで61職種 111作業というのが認められている分野です。2001年の実績で言うと、2万 2,268人が技能実習生となっています。
 そこで、この制度のいろんな問題点ですが、一つは、途中で失踪してしまうという例が結構発生しておりまして、そういう人たちがどこかそういうコミュニティへ消えてしまって、不法残留、不法就労をするということがあります。
 もう一つは、受け入れの企業のほうでパスポートを預かったりとか、研修生の人権の問題が生じていることもあります。JITCOなんかは傘下の企業にかなり指導しているようなんですが、それでもそういう例が生じています。
 あと、制度的な問題としては、研修生の労災・雇用保険が適用されない。研修生は雇用関係にないということになっていますので、労働者じゃない、したがって、労働災害、雇用に関して保険が適用されないというかなり杓子定規な制度になっております。これも一つの問題です。
 また、不況下で雇われていた企業が倒産してしまうという例もあるわけですけれども、そうなったときに研修生の人たちは給料を何カ月ももらっていないというようなどうしようもない状況に陥ってしまうということが実際に起こっております。
 更に、技能実習に移った段階でも、実際に雇用保険や社会保険に加入している人が少ないという問題もあります。自分の給料はその分天引きされますので、それをいやがっているというのもあるんでしょうし、企業の側が違法に、企業も実は保険の一部を払わなければならない制度になっておりますので、費用負担をいやがって入れていないということもあるのかと思います。
 あとは、年金に入る場合には、支払いが2年とかその程度ですから、その分掛け捨てになったり、あるいは出るときに掛けた掛け金をもらうということもできるらしいんですが、そのもらう金額が少ないとか、いろんな問題が生じています。
 そういうようないろいろな問題も含めて、我が国として単純労働力を入れないという政策、これはずっと今まで基本方針としては維持してきているんですが、これを根本から見直すべきじゃないかとの議論もあります。その点も含めて委員の方々に議論をしていただきたいと考えております。

手塚部会長 この点について、ご質問なりご意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。

谷野委員 私が時々耳にするのは、技能実習に移ったその世界で、いまお話のあったような良からぬケースがまま起きている。ピンハネ。いろんな名目で給与を巻き上げる。積み立てさせる。そして返さない。パスポートを預かって人質にする。この制度が出来て何年になるのか、一回総合的にレビューしてみる必要があるのではないですか。雇い主の方々は、言葉は過ぎるけれども、人権なんて、これまで外国人の人権なんてあまり考えたこともない人たち、しかもこれだけの不況ですから、かなりいろんなことが起こっているんじゃないか。私の耳にさえ入るぐらいですから。
 それから、雇い主の個々の企業とJITCOというのはどういう関係にあるんですか。例えば今の社会保険に入る、入らないというのは、そういうものを義務づけて、そういうところにしか紹介しないとか、あるいは倒産してしまったら、これは無理かもしれないけれども、JITCOで給与を補填してあげるとか、要するに両方の、個々の中小企業でしょう、おそらく。それとJITCOの関係をもう少しきちっとしたものにできないんですかね。

衣笠委員 どこあたりまで聞き取り調査というのはできるものなんですか。例えば、一旦入れますよね。そして研修制度に入りますよね。入って、そこで現状というのはどのぐらいまで把握できるものなんですか。要するに、企業の方に、現状はこういうふうにしていますというのと、当然雇われた外国の方からの聞き取りですよね。現状とそれがそうすると、もう少しはっきり出てきて、そしてその次の段階は、どこまで指導できるかですよね。一番大事なのは、たぶんどこまで指導する権限があるかというところが一番大きな研修制度のあり方そのものの基幹じゃないかなという気はしますけどね。

植本委員 いわゆる研修手当の問題が書かれていますよね。6万から12万ということでいけば、いわゆる最賃以下。研修手当のあり方ということは、どこでどういうふうに決められているのか、例えば受け入れ企業に対しては、最低レベルが保障されるシステムになっているのかどうかということについても問題です。最低限の生活が、研修生の方も保障しないといけないということで言えば、ピンハネといいますか、食費という名目で半分取り上げたりとか、住宅費という名目で取り上げたり、実質はあなたには借金しか残りませんなどという事例がかなりあったりして、支援団体に駆け込まれている事例というのは非常に多いと聞きます。それがまた名前を公表すれば、その時点で即面倒なことになるというふうなことで、名前の公表はなかなかできないようですが、しかしながら非常に深刻な事例が、いわゆるタコ部屋的状況というのがものすごく報告がされています。いまおっしゃった事例の把握というのが、どういうところまで、いわば受け入れ団体の義務というか、責任というか、そのへんのところの発揮の仕方なりがあるか、また、罰則規定みたいなものが逆にそれに違反すればあるのかどうか、ということを検討すれば、いまある問題の当面の解決策というのがいっぱい出てくるような気がするんですけれども。根本問題に入る前に。

山本課長 外務省もJITCOの指導をする官庁、法務省が筆頭で、その下に厚生労働省、経済産業省、外務省、国土交通省の5省庁の体制でやっておりまして、それぞれの省庁の観点からJITCOを指導し、協力してやってきているわけです。そういう中で、我々のところにくるのはJITCOの報告なんですけれども、彼らとしても問題が起こらないように指導している訳です。まず仕組みから申し上げますと、賛助会員みたいな形で企業が参加費を払っているわけです。それで、そういう企業、あるいは企業のグループで受け入れるという場合もありますけれども、そういうところにJITCOが外国人の研修生を斡旋するといいますか、そういう形をとっています。JITCOはJITCOでいろんな国のカウンターパートといいますか、相手の国のそういう研修生を出す機関と密接に連絡をとって、そういうところからきている人材を民間の企業で、JITCOに参加している企業なんですが、そこに斡旋する。
 その人たちがきちんと研修を受けているか、あるいは技能実習を受けているかというのは、JITCOとしても調査をしておりまして、その報告が関係省庁のところにもきます。中には、谷野委員のおっしゃったようないろんな問題があって指導して、あるいは措置をとったというような報告もあります。
 ただ、企業が倒産してしまったりする場合は、JITCOは補填はできないことになっていまして、その場合は別のところを紹介してあげるという方法しかないんですね。そういうような形でしかJITCOは救えないという部分があります。
 研修手当については、研修生は実習する部分というのは制度上限られておりますので、座学もありますし、そういう意味でもともとの始まりは、自分で研修費用を払ってやっていた人もいたらしいんです。ただ、今は途上国から自分で費用を払えないような方も来られているので、生活費の一部を補填するということです。
 ただ、私が知っている例では、皆さん住むところとか食べるものはちゃんと出されていまして、それにプラスアルファで6万円から10万円ということと理解しています。

手塚部会長 私、司会であまり言ってはいけないんだけれども、衣笠さんのようなご意見が、JITCOができて2年目に、総務庁の行政監察局から、研修の実態がはっきりしていないと指摘されました。技能実習がスタートする前ですけれども。それで、JITCOはすべからく調査をすべしだということで、毎年1回調査をすることになって、私、第1回目の調査だけは委員会がありまして、委員長でやりました。そのときにちょっと思い出すと、若干あれだったなと思ったのは、JITCOが調査先を選んだものですから、これはと思ういいところだけを選んだような気もします。
 それで、そういう経緯がありまして、その後、技能実習がスタートして、いまから5年ぐらい前ですか、大変な事件が起きて、これは私もちょっと関係したところにおりました。銚子の水産加工の業者に協同組合が中国から研修生を受け入れて、技能実習にして働かせた。技能実習になりますと、賃金ですから、ちゃんと14万ぐらいは支払わなくてはいけないのが、全部組合がポケットへ入れて、4万円ぐらいしか入っていなかったんですね。それが延々と全国に、青森県だとかそういうところにまで漁業加工に中国からの技能実習生を派遣していまして、それで大問題になりました。労働基準局と検察庁とで送検いたしました。横領罪と労働基準法違反で併合罪として、横領罪で起訴されました。
 このケースは、要するに14万くらいの給料が水産加工業者から出ているのに、技能実習の元締めになっている協同組合がみんなポケットへ入れちゃって4万円しか渡さないで、寄宿舎も外から鍵をかけるようなところに入れて、パスポートも取り上げてという人権問題で、当然のことですけれども有罪になりました。それで、千葉地検でも1人ずつで立件しなくてはいけないものですから、被害者は 700人くらいだったんですけれども、二百数十人だけについて立件して有罪になったという事件です。
 それから、研修と実習との関係で言いますと、研修は、いまここにありますように、6万円から10万円ですから低いんですね。だけど、ほとんどの業種が2~3カ月やれば一人前に働けるようになるんですよ。そうしますと、10年ぐらい前に一番問題になったのは、同じところに不法就労の人と研修生がいたときに、研修生は4万ぐらいしかもらっていないのに、不法就労の人は十何万もらうわけです。そういうことがあって、どんどん失踪してしまうというようなこともありました。
 ですから、研修制度と技能実習制度というのは諸刃の刃で、常にグレーゾーンのことがあって、おっしゃられるようなご指摘の点というのはすごくあるんだということは事実でございます。

谷野委員 悪い企業への制裁措置というのはJITCOはないんですか。賛助会員制度だったら、除名するとか、半年停止とか。

小野部長 あるんですが、軽いんですね。

手塚部会長 結局、JITCOは受け入れのときにお手伝いするだけなんですよ。アフターケアはおっしゃられたようにしていないんですよ。だから、結局受け入れるときだけ窓口になって、代わりに法務省との手続きをして、それで受け入れをしても、その後を見ないものですから。あと、おかしいことをやった企業は、会員として除名すると同時に、本当は罰条としては不法就労助長罪なんですけどね。その雇い主は。だけれども、たしか適用されたケースはございません。

櫻木委員 これは、もともとの発端というか、つくったときに、本音と建前のギャップが最初からあったところに原因があったと思います。ですから、ここでそれを議論しましょうということになると思うんです。つまり、建前としては、発展途上国の人材育成という国際貢献だと言っていながら、高度成長期に労働力不足をこれで補おうとしたところにそもそも矛盾があったわけです。ですから、これがある限りにおいては、どんなことをやろうとも出てくると。少しは量的には少なくはできるかもしれないけれども、本質が変わらないというふうに思うんです。

手塚部会長 そうですね。それで、日本の特に、例えば洋服を縫うのは岡山県で非常に盛んで、学生服の本場だったり、いろんなものの本場ですね。あそこは中国からずいぶんたくさん研修生が来ている。だけど、もう研修じゃないんですよ。実際に実働なんです。それが技術移転のいいケースで、ユニクロ現象になって戻って、日本のスーツや何かのノウハウというか技術技能は持っていって、向こうでやっちゃっているということだと思いますね。

西原委員 技術研修に加えてその他のことなんですけれども、就学ビザというんですか。留学生でなく就学生の問題も、一時は同じように問題を多く含んでいたと思います。就学生というのも高度成長期にチープレイバーの導入の一端のように世間的には思われて導入され、爆発的に数が増え、それは一時ほどではなくなったもののまだ存在していて、就学生の大体70%は留学生予備軍であるに違いありませんけれども、30%は実は働きに来て帰っているという実態がある。そこらへんのところも同じ問題を含んでいるというふうに思います。

手塚部会長 おっしゃるとおりです。

山本課長 入管法の問題になりますけれども、大学に留学する人は「留学生」という在留資格を、専門学校、主に日本語学校に来るような人は「就学生」という在留資格を付与されていまして、それぞれについて、週に20~28時間働いてもいいことになっているんですね。もちろん風俗関係とかそういうところで働いてはいけないということになっているんですが、そういう許可を受けて働いている人というのは結構おりまして、それがいつの間にか本末転倒になって、もともとそのつもりだったのかもしれませんが、働くほうが主になって勉強はほとんどしないという人が出てきております。

手塚部会長 特に中国からの留学生の何かの場合は、国費や何かの留学生で、スカラーシップがない場合はお金を持ってこれないわけですから、全部日本で学費を稼ぐという現状にあって、その点が私ども留学生を受け入れる場合にも非常に問題になりまして、留学生でも制限はあるものの、ほとんど仕事を始めちゃうと大学に出てこないということもありますし、日本語学校の場合は就学生ですけれども、そういうことがあって、大問題の一つだと。

谷野委員 ご記憶かどうか、二年前新大久保の駅で線路に落ちた人を救おうとして飛び込んで亡くなったのは、韓国からの就学生なんです。いまでは、ずいぶん私の感じでは就学生の世界は変わってきていると思いますね。私はたまたま就学生に奨学金を分配する団体の会長をやっているんですけれども、まじめな、日本語を勉強したい、そこから留学につなげたいという人たちがかなり増えてきていると思います。亡くなったあの人も、李秀賢君と言うんですけれども、彼は高麗大学で、1年間日本で、日本語を勉強したいといってやって来たわけで、働こうという目的ではなかったんです。そういう有為の青年がずいぶん就学生の世界で増えてきている。
 他方、この人たちには学割とかの恩典がないんです。いま私は国土交通省などへ相談しているんですけれども、要するにだめなんです。就学生が通っている日本語学校は専門学校だから、その種の恩典はないんです。それから、もちろん奨学金などもろくなものがない。私が会長をしている李秀賢顕彰奨学金は李君の御両親のもとに寄せられた弔慰金を元に造られたものです。

小野部長 外務省としてこの問題にどう取り組んだらいいかというところはなかなか難しいところがございます。
 一つは、先ほど櫻木委員からございましたように、そもそも目的が何なのかというのが必ずしもはっきりしない。何となく現実に需要があるものですから、そっちに引っ張られていく。他方で、本来の目的は、技術習得とか研修であり、また母国に帰った後、技術を生かした形で帰国者の創業支援にもなる。ですから、そういう過程において我々が議論の中では、ODAを活用して、そういう人たちが訪日する前に日本語をきちっと学んでいくとか、ルートをきちっと立てて、帰ってくる部分についてまで手当てできないだろうかという議論もあったわけですが、なかなか予算その他の面で限界を感じているというのが現状だろうというふうに思います。
 ですから、外務省ができることにつきご示唆をいただければと思います。

西原委員 浜松宣言で、地方自治体ではなく国が積極的にかむべきだというところがございますね。きょうは市長さんはいらしていないですけれども。

手塚部会長 それは後で、在日日系人の問題をこの後やりますので。

西原委員 その中に社会保険の問題ということが一つあって、例えば浜松市で、私が知っている限り、数年前に、国民保険に入るのか厚生年金保険に入るのかということで、研修受け入れ企業と市とが押し合いへし合いをしているということに遭遇したことがありますけれども、結局その部分ですね。一体誰の担当、誰の管轄というふうに考えていくのかということが、このJITCOだとか研修制度に関しても明確でないというか、そこらへんの問題もここの一つの論点かなと思いまして、そのことを申し上げました。

手塚部会長 ただ、技能実習制度の前の研修制度をつくるときは、かなり考えたようです。それで、研修生のための特別の保険を民間でつくりまして、労災とか健康保険とか、事故もありますし、そういうものカバーする保険を民間でつくったんです。そうしたら、なんと公的な保険よりずいぶん安くいっちゃったんですよね。そういうことがあるんですが、問題はむしろ技能実習に移ってから保険に入らない使用者がいるという問題で、その点はおっしゃられるとおり、雇用保険にも入らない、社会保険、つまり健康保険と年金保険にも入らないという使用者がいるという事実はあると思います。ただ、それはJITCOが指導できるのだろうと思いますけれども、それをしているかどうかは最近のところはわからないです。個別の企業が受け入れて、そういうぐあいにやるよりも、中小企業の団体が、商工会議所とかそういうところが受け入れてやりますから、そこを通じて指導することはできるはずなんですけれども、していないとすれば怠慢だと思いますね。

塚田委員 いまお話がありましたように、例えば農家の場合は、個々の農家が引き受けるというのは、当然のことながら生活指導なり研修指導者を置かなければならんということがありますので、個々の農家は結局引き受けられないで、農協が引き受けるわけですね。もちろん農協はJITCOの協力を得たりしながらやっているわけで、先ほどからいろいろ悪い事例はありましたが、全部悪い事例ばかりでは世の中はないので、ただ、確かに農協からしますと、逃げられると言ったらおかしいですが、不法滞在になってしまうと大変心配なんですね。そうなると、海外のしかるべき団体といいますか、しかるべきところから派遣していただく。例えば大企業ですと、自分の子会社から派遣させれば、別に何も心配ないんですけれども、そういうことが中小企業なり農業の場合はできないので、向こうのしかるべき団体から派遣していただくということにして、ある程度身分の間違いない人を送ってもらうわけですけれども、向こうが金をとっているときがあるんですよ。ですから、国内ばかりでピンハネしているわけじゃなくて、向こうでもピンハネしていたりしまして、不法滞在になる事例も出ていまして、農業の現場でも、ニーズはあるんですけれども、そんなに大きな広がりがあるという状況では私はないと思うんですよね。
 もう一つは、農業の場合もそうですけれども、経済全体がここ10年ぐらいは右肩下がりになっていますので、当時の時代と今の時代はたぶん違うということと、それからもう一つは、研修から技能実習という2段になったのは、技能実習の段階でもやっぱり違うと思うんですよね。そういう点で言いますと、研修なり技能実習制度そのものを見直すという前に、まず実態はどうなっているのかとか、さっきからご質問がありましたけれども、JITCOの指導はどうなっているとか、企業は、 100に1つ、 1,000に1つでもいかんと言えばいかんけれども、一方では、こういう効果がありますよということは正しく評価しなければならんわけで、そこは私は、いろいろと、そんなことがあっていいのかというような事例があることはそのとおりですけれども、もう一つのところもこの際、点検するというんでしょうか、そういうことはされる必要があるんじゃないかと思うんですね。
 それともう一つは、一番最後のまた書きのところに「単純労働を受け入れないとする我が国の政策に関する議論とあわせて」という、別に書きぶりのことに文句を言っているわけではないんですけれども、たぶん研修制度は、本気で研修制度で考えていたのかと言えば、実は違うことがあったんでしょうと先ほどからご意見がありますね。それで、今度は次に、だから本音で単純労働を入れるか入れないかという議論をしようよというところにいくと、また私はいろんな議論が出てくると思うんですね。それじゃ、単純労働じゃない専門性をもった人たちは、今でも許可しているわけですよね。しかし、その幅は、私は次第に広がってきているんじゃないかと思うんですよね。ですから、単純労働も含めて何でもいいからオッケーにするという議論をするのかしないのかという1か0かの議論ではなくて、できれば、単純労働でないものも認めてきていると、しかし、それはこういう経緯しているんですよ、そのことが日本の実際に合っているんですよというふうに説得的に国民にも説明しませんと、1か0かの議論は、日本みたいなところはなかなか進みにくいんじゃないかなという気がします。

手塚部会長 いま塚田委員がおっしゃられたように、最初のころは少し理想をもって、結局、ある一定の技術、技能を学びながら技能実習でいって、最初は年数が短かったんですけれども、1年だけだったんですけれども、2年に伸ばして、将来的にこれを伸ばしていけば、きちんとした枠組みでの日本へ外国人を受け入れる一つの可能性にはなり得るという議論もしましたよね。
 ですから、その点で、いまおっしゃられたように、極端に悪い例だけじゃなくて、相当努力をして、特に中小企業団体のお世話をする方は、24時間それにタッチしていますから、本当に眠れないというくらい苦労されている方がおられることも事実ですね。特に中国から来た研修生や技能実習生は、とんでもないところまで自転車で天気の悪い日に傘をさして行って交通事故にあうとか、その他もろもろのことがあって非常に大変だということを管理する団体の方が言っておられますけれども、人を受け入れる以上はそういうことが必要なんだということだと思いますけどね。

櫻木委員 こういう技能研修で受け入れるということで、実際一生懸命やっていらっしゃる企業とか個人というのがあるのはわかるのですが、これが問題となるのは、受け入れ目的が違う場合なわけです。それが国際的な信頼を将来的にも落とす可能性があるわけです。それで、私の場合には主に外国人の国選弁護をやって来たのですけれども、このごろの事件は、オーバーステイは少なくなりました。以前はオーバーステイだったんですが。このごろは、ビザとかパスポートを持たないで船で就労目的で入ってくる外国人が多いんです。それはなぜかというと、依然として単純労働を日本国内で要求している、そういう素地があるわけです。そこにいわゆる違法な入国によって単純労働に来る部分があるわけです。そういった現実がありますと、例えば技能とか実習制度で利用している部分でも、そちらのほうに流れていく可能性があるわけですね。そうしますと、単純労働に対して日本は将来的にどういう政策をとるべきかということはやっぱり論じなければいけないし、それから、その弊害とメリットについても、私たち自身がじっくり考え、討議をするような環境をつくっていかないといけないと思うんです。
 実際、私が外国人の刑事弁護にあたったケースをみますと、本当に悲惨なんですね。4年間全くタコ部屋に入れられたような状況で、パスポートも--にせのパスポートなんです。出るに出れないんですね。帰国するには、あなた、どうするつもりでしたか。わからない。帰るに帰れないという状況でいる。これは決して少なくないわけですから、この方たちが自分の国に帰ったときに何と言うでしょうか。日本て本当にひどい国だと言うと思うんですね。こういう思いをもって皆さん帰られた場合に、日本の海外からの信頼というのはだんだんと失せるであろうというふうに思います。
 労働力というものがこれからはっきりと少なくなることはわかっているわけですから、やっぱり今のうちから、十分な議論を尽くせるような環境づくりをしていかなければならないというふうに刑事弁護の現場から感じます。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、同じような問題をたくさん抱えています日系人のことについて、三好政策課長からお話をお願いいたします。

三好課長 では、在日日系人の方々の現状についてご説明させていただきます。
 本来、北脇浜松市長がおられれば一番適任でいらしたんだと思いますけれども、また、今週末、手塚先生、山本外国人課長が浜松市のほうへ行かれたようですので、後で詳しく お話しいただければと思うので、私のほうからは簡潔にご説明させていただきます。
 まず、日系人の問題に入ります前に、英文で書かれておりますIOMの出典、それから「外国人集住都市東京会議」、このあたりを中心にお話しできればと思います。
 いま日本に滞在される外国人の数は約 170万人ということで、日本国全体の人口の約 1.2%に相当すると言われております。海外との比較ですと、例えばスイス、1999年の数字で19.2%となっております。あるいはドイツが 8.9%、イギリスが 3.8%、ここには載っておりませんが、アメリカのこれはちょっと古い数字ですが、1990年5%ということで、日本の 1.2%というのは決して多い数字ではないということでございます。
 それから、ここにはお配りしていないんですが、日本国内 170万人の方がどういったところにお住まいかということでございますが、都道府県別に見ますと、東京が約30万人、大阪20万人、愛知、神奈川ということで、やはり大都会ほど多いわけですけれども、愛知、神奈川、兵庫ときまして、最近非常に増えているのは埼玉、その次は千葉、そして静岡、京都、茨城というような順になっております。
 それから、いまご覧いただいた資料の何ページか後に、国籍別の外国人登録者数の推移、これは入管の資料を抜粋したものでございますが、国籍別外国人登録者数の推移というのをご覧いただければと思いますが、圧倒的に多いのは、韓国・朝鮮、そして中国、ブラジル、フィリピン、ペルー、アメリカという順番でございますが、最近の傾向としまして、韓国・朝鮮の構成比は年々低下し、これは2001年の数字でございますけれども、35.6%ということで、中国は増加傾向。それから、ブラジル、フィリピン、ペルーあたりは、10年前と比べますとかなり増えてきている。ブラジルがいまや外国人登録者数の約15%を占めるに至っております。
 それから、特に日系人の方々の増加傾向が見られましたのは、1990年の入管法の改正が大きかったと言われておりまして、入管の坂中さんという方がお書きになった「日本の外国人政策の構想」という本の中からの抜粋で、「1990年の入管法改正による在留資格」という項がございまして、90年の改正は何だったかというと、一つには、法律上の在留資格として、日本人の配偶者及び定住者の在留資格を新設したというところがございます。その結果として、日本人移民の子孫、日本人の子として出生した者または元日本人の子及び孫が活動制限のない在留資格を取得し、父母の国、祖父母の国である日本において就労活動を行うことが可能になり、日系人の入国が激増することとなったというところがございます。
 入管の方々のお話を伺いますと、90年の法改正のときには、日系人の日本滞在がこんなに増えるとは全く予想していなかったという答えが返ってくるわけでございまして、この90年の法改正が何だったかというレビューを一度しないといけないのだろうと思います。おそらくは、本国ブラジルの経済が非常に悪くなったという一種のプッシュファクターと、日本の国内でちょうどバブル期にあるわけでございますが、プルのファクターと両方が合わせあってこういう結果が生まれたのかなと思います。
 そこで、日系人の問題なんですけれども、「外国人集住都市東京会議」の冊子をご覧いただければと思うんですが、そこの4ページ目でございますが、「外国人集住都市会議の概要」というのがございまして、その下に各都市のデータというのがございます。これをご覧いただければと思うんですが、例えば下から2番目、群馬県の大泉町ですが、いまや外国人の割合が14.6%。ですから、6~7人グループがあれば、そこに必ず日系人の方がいるというようなことになっております。浜松が 3.5%ということで、日本国内の標準からしますと3倍ぐらいの外国人の方がおられるということです。北脇市長が音頭をとられたと聞いておりますが、日系人の方々が多い6県14都市が集まりまして、2001年に「外国人集住都市市長会議」というのが浜松において第1回の会合が開かれております。また、第2回を昨年東京で開催されております。その結果として出てきておりますのが「浜松宣言」、それから、同じ2002年の夏ですが、ブラジルで浜松会議の続きのような会議が開かれておりまして、ここで「サンパウロ・ロンドリーナ宣言」というのが採択されております。
 これなどを拝見しておりますと、在日の日系人の問題、大雑把に言って4点の問題に集約できるかと思うんですが、第1点が教育の問題でございます。先ほど来、いろいろな委員の方からご指摘がありますように、何語で教育をするのか、から始まって、特にブラジルの方々の大きな課題になっているのが不就学の問題でございまして、学校へ行かないお子さんの数が相当増えております。そういった青少年が非行に走るというようなことで、日系人でブラジルでいま活躍されている二宮先生というサンパウロ大学の法学部の教授がおられるんですが、今や久里浜の少年院で 150人いる少年の中で日系ブラジル人が 120人いるということで、先生はそれを聞かれてすごくショックを受けたというようなお話がございました。そういった教育、それから発展しての不就学の問題がございます。
 2点目は社会保障の問題。先ほど来ずっとお話がありますように、健康保険の問題、あるいは年金、介護の問題。まだおられる方は30代の方が非常に多いようでございますけれども、いずれは介護、年金をどうするのかというような問題が間違いなく出てくるだろうということ。
 それから、3点目が就労、労働条件の問題。
 そして、4点目が外国人登録の問題。外国人登録を大体の方はしていただいているわけですが、登録は入管の関係なんですけれども、市の行政にこのデータが使えないというような問題もあるようでございまして、こういった問題についてもいずれまた引き続きこの部会でも詳細にご議論いただくことになるかと思いますけれども、長い目で見ての外国人問題にもつながっていく問題だと思います。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 大体こちらの集住都市会議等々の問題で論点は集約されているように思われますが。

塚田委員 今の「集住都市会議」のところの各都市別データがありますよね。それで、登録者国籍第1位がブラジルというのは、先ほどのお話でそうかなというふうに思うんですけれども、2位、3位のところに韓国・朝鮮というのがありますが、これはもともと在日の方がいらっしゃって、その人たちの数がここに出てきているという意味で、最近増えたというわけではないということなんでしょうか。
 それから、もう一つは、ペルーはわかりますけれども、フィリピンが結構出てきますけれども、これはどうやって、外国人登録と言ったらおかしいんですけれども、どういうあれでいらっしゃるのか、そこがちょっとわからなかったんですが。

山本課長 韓国・朝鮮人については、これは在日の方がほとんどだと思います。フィリピンについてはいろんな方が来られていますが、一番多いのは興行査証をとってくる方々で、要するに歌手とかダンサーとか、あの種類のビザで入ってくる方が多いと思われます。

手塚部会長 よろしゅうございますか。
 それでは、ご意見等々をちょうだいしたいと思います。

櫻木委員 外国人住民に関わる教育についての提言というのが資料にありますので、それに従って考えてみるんですが、ここでは学校などのいじめとか、不就学の子供が多くて、不良化して、地域社会にとって大きな問題であるというような書き方がこの宣言ではありますし、今のご説明でもそうだったと思うんです。それに対してもう一つ視点を持つべきではないかと思います。それは何かというと、子供の人格の実現と、人格権というものが尊重されなければならないということです。それについては国際人権規約ないしは児童権利条約がありますね。そういう精神にのっとっていくと、社会から見て厄介者になるというような視点ではなくて、むしろ人格の実現というところに視点を置くべきではないかというふうに思います。

手塚部会長 おっしゃるとおりだと思います。私どもとしてはその点を重視してまいりたいと思います。

西原委員 同じ意見なんですけれども、国際人権規約の第27条のところに少数民族の保護ということがあります。そして、そういうものが存在する国において、自己の文化を享受し、自己の宗教を、またその後で、自己の言語を使用する権利を否定されない、というようなことがあります。それから、子供の権利条約には、自分の言語で教育されるというようなことが書いてあって、そういうことも考えるべきことなんだろうと思います。

手塚部会長 児童権利条約は、義務教育と中等教育以上と分けてありますね。それで、いまおっしゃられたような点は、まさに27条の問題は、共生という言葉の中には、違った文化をもった、あるいは違った宗教をもった人たちが、同じ国内でさまざまなそういう人たちが理解し合っていくことが共生という意味だと思いますので、この点で私どもの長期の視点というものにもつながるご意見だと思います。

朴委員 国だけじゃなくて地方自治体においてもニューカマーの問題はものすごく大きな問題になっておりまして、三重県も結構いろんな形で自治体が取り組んでいるんですが、一つここで考えないといけない問題は、要するに、外務省ができることと文科省とか教育に関わるいろんな各省庁間の縦割りじゃないけれども、横並びでやるような部分をどこまで考えられるのかというのを、これはどういうふうに考えたら、この会議でどこまでできるのかとか、どこまで議論をしたらいいのか、確実にその話になってくると、教育の部分が関わるところの部分での協力関係をもたないと、なかなかこれは難しいのだろうなと思っておりまして、このへんに関してはどこまでタッチできるのかという部分を整理をしないとわからないものがあるとは思うんですけれども、ここで見てみると、一応ある意味では無制限に、日本人と全く同じような形で活動できますよね。親。それに伴う子供たちも、ある意味では日本人と同じような教育を受ける権利もあるし、いろんなものがありますよね。ということは、日本人みたいな。ニューカマーの場合には、ほかの外国人の問題とまた色が違ったような、色というか、立場の違ったような形で考えないといけない。これから増えるのかどうかわからないんですけれども。
 それと、時間がたつとともに、その子供が成長して、その子供がまたこの地で教育を受けるような世の中になっていくと思わないといけない部分があって、そのへんの部分を、まず私としては、外務省がどこまでのガイドラインなりどこまでの提案をし、それをどういう形でフォローアップするのかどうかわからないけれども、それがわからないと、どこまでしゃべったらいいのか、どうしたらいいのかわからないという部分をどう考えればいいのか。

手塚部会長 前にも谷野大使からご指摘のあったところですし、その点は小野幹事から。

小野部長 これは各委員のご意見を伺いながら考えていきたいと思います。外務省の権限といいましょうか、外務省としてできることはあると思うんですが、これは日本国籍というよりは、むしろ外国の国籍をお持ちの方が日本で一緒に生活するという問題です。ですから、一つは、母国政府との協議というか、問題意識の共有という視点では、今まで取りあげてこなかった。例えば、在日ブラジル日系人がこんなに増えてきていることから真剣に、その抱える問題につきブラジル政府と意見交換をすべきではないかという気がします。在日日系人の人達の役割をポジティブな視点から両国で把握し、問題があれば改善していくための協力を行っていくべきだと思います。この問題はブラジルのみならず、いろんな国との間で実は潜在的には存在しているんだと思います。
 この前、在京タイ大使館員のお話しとして、実は東京オリンピックのときに、タイの人たちが労働力として訪日したが、その中には不法滞在という形でそのまま残って、今や60歳と老齢になっているので何とか帰国させたいというお話がございました。ですから、これらの国の政府としてもそういう問題意識はもっている訳ですね。
 コロンビアの大使館員は、やはりコロンビアからオーバースティしている女性の人たちが日本で苦しい生活をしいられているので、何とか解決したいという強い問題意識はお持ちなんです。
 ただ、外務省としてそれらの国々と協議していくきちっとした体制はまだできていないというのが現状だろうと思いますので、これは今後の課題です。更に、関係省庁との間でこの問題を共有し、議論していくという場が必要だろうと思います。

西原委員 提案としては、外務省ができることとかという観点を超えて、こうすべきだというようなことを提言していくというのを基本的なスタンスにしたこの部会の結論が出るということを、すべての点にわたって提案したいと思うのです。ここまでがどこかということは、提言が出た後でいろんな方がお考えくださればいいのではないかなというふうに思いますが。

手塚部会長 特に建設的なご意見は、関係省庁がほかの省庁でも、こういう点はというのはここで議論になったということで、これをお出しすることは構わないと私は座長としては思っております。

谷野委員 基本的にはそうだと思うんですよね。ただ、この間も申し上げたように、それから先は官邸主導で頑張っていただき、政治家の方々にも汗をかいていただかなければいけない。森前総理が総理になるずっと前だと思いますが、まさに外国人問題についての自民党の中で大がかりな研究会みたいなものをやっていますよね。90年代の初め。だから、いまああいうものはおそらくないんだと思うから、提言を出す過程で、あるいは提言が出てから、自民党の政調あたりでも問題意識を持ってもらうよう働きかけるとか、そういうことをぜひなさったらいいと思いますね。
 なお、森さんが座長をされて出された報告書は、かなり大きな報告書ですよ。あれが今日迄どこまで実現されているのか、されていないのか、いま議論しているかなり多くの部分は実はあそこで議論済みではあるかもしれない。ちょっと調べていただいては如何でしょう。

手塚部会長 森前首相が政調会長のときに自民党の政調でやって、私もヒアリングに呼ばれたことがあります。

植本委員 いま西原先生も谷野先生もおっしゃったとおりなんですけれども、とりわけ、例えば外国人労働や雇用の問題を考えても、それぞれの省庁は関係する施策でしかものを見てくれなくて、結局のところはそれぞれの連関性がなくて、話をしても堂々巡りということがすごくあります。トータルにあるべき姿、おっしゃったのを出していただいて、それぞれの省庁の専管事項の狭間にあることの解決の汗を外務省がかいていただくという、そういう役割分担でよいのではないかなというふうに思います。むしろいま求められているのはそういうコーディネート機能というのが一番求められているというふうに思いますので、タブーなしで議論をして、整理をするときに、落とすべきものは落とすということでよろしいのではないかと思います。

手塚部会長 各省庁の担当のところ、例えばいま職安にこの問題を持っていくと、いま高校生ですら四十何パーセントしか就職が決まらないので、そっちのほうで頭がいっぱいですと。それから、同じ厚生労働でも、保険課では、昨年、今は医師会が反対に転じた3割の自己負担の保険法の改正をやって、今や診療報酬制度のことまでやろうとしている。そっちでもういっぱいですという話になっちゃう。しかし、問題を大所高所で見たときに、外務省はむしろ内政官庁と違って自分の縄張りとかそういうものがなくて、十何年前の人手不足のときは縄張り争いをやっていたんですよ。この問題をとりたくて。労働省は自分のところにほしいと。法務省の入管も断固自分たちのあれは死守するというようなことで。ところが、今はむしろみんなお邪魔虫みたいな扱いにされちゃって、本当にものを言うところがないというのが実情なので、隙間というよりも、もっと大所高所から議論をする場として私たちはここで議論しましょうというようなことで、私は座長を引き受けさせていただいたようなつもりでおりますけれども。どうもすみません、施政方針演説みたいで(笑)。
 それで、日系人の問題も具体的にいろいろ出てきていますので、あとお時間が許す限り、日本は将来、大きい日本がいいのか、小さい日本がいいのか。それで、問題提起としましては、確かにことしの1月早々に、1回目のこちらの審議会のときに日本経団連会長は、外国人労働者をどんどん受け入れろというのを日経に書き、また、つい数日前の読売でも某シンクタンクの方が、全くそういうことで移民を受け入れろというようなコラムを書いたりしているんです。それで、要するに大きい日本という、今までの成長期の日本を考えるとそういう議論が出て、他方では小さい日本でいいのかという話がありますので、そのへんを委員の皆様方に少しご議論いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

谷野委員 それは、私は間違いなく日本は、単一民族と言ってはいけないらしいけれども、そういうところから、他方、多民族でもないでしょうね。しかし、要するに少子化にいくことは間違いないので、しかも活力がなくなってきているこの日本がどこに活力を求めていくかというようなことはあるけれども、やはり良質の外国人にもっと門戸を開いて、そういう異なった文化、異なった考え方、そういう人たちから活力を共有して、21世紀の日本をより元気なものにしていくということしかないと思いますね。
 私は大げさですけれども、坂中氏がたしか前に僕に言っていたと思いますけれども、私は領事移住部を局にするとかそんな小さなことではなくて、これは夢物語ですけれども、時代に逆行するから、小泉改革、私はやっぱりいまこの日本で霞が関で何でもかんでも削ればいいというのではなくて、私は二つ、一つはODAの世界ですよ。外務省の経協を中心としてやっている、そういうことではとても対応できなくなってきていると思います。これはきょうの主題ではないからあれですけれども、ODAは国策の一つだから、海外援助庁というのを、おそらくしかし外務省の外局でしょうね、そういう形でつくるべきだと思うし。
 もう一つは、外国人庁というのを、やっぱりそういう時代になってきていると思いますね。先ほどから聞いていると、いろんなところに散らばっている入国管理局、管理というのもおかしいですよ。それから、領事、移住なんていうのはもうないわけだから、外国人庁というものが必要だと思います。いずれね。
 その中で単純労働をどうするか、私はよく定まった意見がありません。間違いなくそれがより求められる。好むと好まざるとに関わらず。しかし、私は非常に他方慎重であるべきだと。良質のものは別。良質というか、あれは別として、インドのITの世界とかそういうのは入れたらいいと思うけれども、やっぱりこの日本の中にぬくぬくとある排外、外国人、特に単純労働という3Kの世界でしょう。そういうものを蔑視する、そこの意識を高めていかないと、それなしにどんどんどんどんそういう人を入れるということが、なかなか悩ましい問題を生むなという気はするんですよね。お風呂屋へ行っても、外国人はお断りという。
 この間、四国は、外国の留学生の寮を建てるというだけで地域住民から反対が起こるような、まだそういうレベルの日本ですから、そちらの国際化、地域の国際化というのをよほど高めていかないと、変なことになりはしないかという。経済界はほしくてしょうがないから、どんどんそういう提言を出すわけだけれども、なかなか難しいなという気もいたしますがね。わかりません、そこは。
 要するに、国民的な議論をすべきときにはきていると思うんです。政治のレベルでも。先ほど来出ているように。大いに国会でもメディアでも国民でも、外国人の特に単純労働者の受け入れをどういうふうに考えるかというのを国民レベルで議論すべきときにはきていますね。間違いなく。

寺嶋委員 私も大体同感なんですが、事前に送っていただいた厚生労働省の外国人雇用問題研究会、なかなかよくまとまっていると思うんですけれども、ここで外国人労働者の受け入れのあり方の二つのパターンとして、経済社会の活性化のための高度人材の、これはスーパースター級の、ノーベル賞とまではいかないとしても、非常に高度な才能をお持ちの方を入れて、それを起爆剤にするということ。それと、労働力不足への対応、これはどちらかというと3Kの世界の話だと思うんですけれども、どうもこの両極だけじゃなくて、その間の部分でももっと混ざったほうがいいかな。教育の分野でも、日本の大学はまだまだ外国人の教師が非常に少ない。韓国がここのところ非常に躍進目ざましいですけれども、彼らは非常に大量に留学をして、いま帰ってきた人たちが、若い世代が猛烈に韓国を引っ張っていると思いますが、日本は相変わらず日本の中で育った新卒の人だけを、会社への忠誠心を一番もってもらいやすいということでとり続けていた。もちろん留学にも出していますが、韓国に比べればはるかに劣っているので、企業のレベルででもそういう面ではだんだん競争力が落ちてきているのではないか。やはり世界中のすぐれた人材を集めてきてこそ、グローバライズされた企業活動というのは可能になると思うんですが、早い話が、例えばアメリカの法制度に通じた社員が本社にいないと、いろんな企業リスクをかぶってくる。契約にしても、あるいは労働条件の話にしても、もちろん技術の面でもいろいろあると思うんですけれども、だから、この二つの両極端だけじゃなくて、その間の部分でもずいぶんあるんじゃないか。
 3Kの部分というのは、結局入れるときに一番摩擦が起きるというか、問題の起きやすい部分ですから、ここはできるだけ、日本の中でまだ潜在的にあるパワーを活用すると。高齢者であれ、あるいは女性であれ、別に3Kに限りませんけれども、まだまだ眠っている労働力があると思いますので、それを引っ張り出すことのほうが先決であって、最後どうしても足りないときに考えるという順番ではないのかなと常々思っておりますが。

手塚部会長 座長として一言だけお願いしたいと思いますのは、「3K」という言葉はマスコミがつくって、受け入れ派の中小企業の代表が「3Kはもう日本人はやらなくなったから、3K労働を外国人に」という論調で使い始めた、起源としては非常に悪い言葉で、私は「フリーター」と「3K」という言葉は全く日本では使ってはいけない言葉だと思いますので、不熟練労働とか、単純労働という言葉も俗称ですので、そういうぐあいにこの会ではしたいと思うんです。それで、そういう仕事が非常に重要なんです。きちんとそれをやっている人たちを処遇しなければいけない時代に入っている。そうすれば、いまたくさん日本だって失業率が高いけれど、そういう人たちだってどんどんやれる。実際にはやっているんですよね。年寄りの方とか。そうしていただきたいと。

朴委員 簡単に申します。全く同じでありまして、まず私は、大きな日本がいいのか、小さい日本がいいのかという枠を決めるべきじゃないと思うんですね。それは自然に決められるものであって、最初から人為的に、大きいのがいい、小さいのがいいという形での価値観では、なかなかこれからの世界では対応し切れないものがあると思うんですね。ただ、キーワードとして、世界化と多様化をうまく取り入れるような日本というもののビジョンができれば、自然的にどういう形での日本というものが見えてくるのか、その中で外国人をいかに活用するのか、そういう部分ができて初めて、大きい日本がいいのか、小さい日本がいいのかが決まることになっていると思っているとんですね。外国人を締め出すとかそういったようなことじゃなくて、日本も外に出る、外国人も入れるという懐の大きい日本という部分の中で考えていただくと。だから、どっちがいいとかそういうような選択肢じゃないということで。

植本委員 ちょうど言いたいなと思っていたことを朴先生に言っていただいたんですが、入口で大きいとか小さいとかいうことではなくて、むしろ21世紀に日本が、世界が、どういうふうに目指していくのかというふうなことが重要です。そういう意味では、多文化共生の国として、市民としての人権が尊ばれる国として、人口政策的に、また雇用政策的に、具体的に当面の手立ての部分で解決しなければならないことはたくさんあると思います。日本は少子化に向かうけれども、世界全体で本当にそうなのかと。そして、人口政策が世界の中でどうなのかというふうなこととの関連で、日本の位置はどうあるべきなのかというところがあって、目指す日本の社会みたいなものが議論として出てくると思います。私も送っていただいた資料の、小さい政府、大きい政府を読んで、この議論でいくのは、私たちの日常感覚からして厳しいなというふうに思っていましたので、本当に日本が世界の中にどういう位置を占めたいのかという発想のところを議論して、例えば人口政策、雇用政策というのはどうなのか。そこから考えれば、今の雇用政策では不十分な部分は何を解決するのかみたいな、そういうふうな議論を先に一度したほうが具体議論に入りやすいのかなというふうに思います。

櫻木委員 私はちょっと感じ方が違っています。それは何かというと、将来的に少子化ははっきりしていて労働力が少なくなる、だから、良質の労働力を入れたいという、これはエゴではないかと思うんですよ。極端な言い方なんですけれども。労働力といっても持っているのは人間なんです。商品、原料を入れるのと違うわけです。人間を入れるということですから、日本の今の国、自分たちのために良質な労働力を入れましょうといくら思っても、現実には人が来ます。心を持っています。さらにその人には家族がいるわけですね。親兄弟、だんだん来るわけですよね。ですから、単に良質な労働力だけを入れて、専門性の高い人だけをどんどん入れましょうという議論というのは実現性がないんじゃないかと思うんですよ。さらにベースとして、そういう人たちだけを入れようとしても、イリーガルな形でも絶対入ってくるわけです。ですから、自分たちは労働力をほしいのであったら、それも覚悟するんだと。イリーガルな形も覚悟するんだという国民的な覚悟がないと、私は積極的な労働力の受け入れというのは難しいと思いますね。だから、商品とは違うんだという意識をもつということが大事だと思います。
 それから、こういう政策を決定するとき、つまり日本は将来どういう国としてのスタイルを海外に示していくかというときに、国際的な規則、基準にのっとった国につくっていくんだというスタンスを出さないといけないと思います。そのときにそういうことが果して守れるか。例えばいい労働力だけ入れますよということができるかということになると思うんですね。なかなか難しいと思います。

西原委員 今のご意見に全く賛成です。
 と同時に、ここに送られてきた各国の事例とかの中に、例えば外国人天国とか言われているスウェーデンの例ですとか、多文化多民族社会共生ということを標榜にしているオーストラリア、カナダとかの例がなくて、苦労しているドイツの例とか、そういうふうになっていると、考え方の方向が導かれているような印象を受けてしまうところがありますので、スウェーデン社会もなかなか大変だとは思うけれども、一応外国人の扱いとしてはとてもすぐれていると言われているような事例もオープンにして、私たち全体的に見て考えていって、それが日本の実情に合わないかどうかは、またそのときに検討というようなことを……。

手塚部会長 そういう調査はございます。それから、スウェーデンは、はっきりしていることは、ごくわずかしか受け入れていないんですが、難民も含めて。必ず労働組合に入れて、スウェーデン人と同一労働については同一賃金でやることを国が強制しています。

西原委員 同時に、年金も世界中に送っています。それから、言葉では5人ぐらいの父母が一致して2言語併用政策を要求すれば、鐘や太鼓でそれを実現しなければならないようになっていますが……。

手塚部会長 ただ、西原委員はスウェーデンにお住まいになったら、半年か1年住めば、スウェーデンという国がわかります。光と影が絶対にありますから。ここで議論するつもりはありませんけれども。

西原委員 もちろんそうなんです。影のほうのことも十分に議論した上で、そういう事例、それから、オーストラリアの事例、例えばオーストラリアの場合に、文部科学省というものが独立してあるのではなく、厚生省と文部科学省と、移民というのは法務省ですか、それが一つの省庁になっているとか、そういうような考え方の事例というものを十分に私たちの目の前にさらけ出した選択の余地というものを検討すべきだという提案でございます。天国はないのであって。

手塚部会長 ただ、スウェーデンがいい、オーストラリアがいい、ドイツがいいということではなくて、参考になるあれがあれば、それはどんどんここで議論して、ああ、そういうのもあるなということでよろしいんじゃないでしょうか。

西原委員 と思います。
 それから、例えば私たち日本人、非日本人という考え方も大きな問題をもっている。先ほど大きい国か、小さい国かということがありましたけれども、例えば新聞報道によりますと、いま首都圏で生まれてくる子供も14人に1人は両親の国籍が違うということでございますね。それは1996年の数字でしたので、今の2003年は、その生まれた子供は小学校に入っているわけです。そうしますと、平均的な30人学級をなべてみると、その中に2人は文化的言語的背景の違う子供が入っているということになります。その子たちは当然日本人ですけれども、背景となる文化、言語というのがもう一つあるという状況で、内側も変わっていっているわけでございますよね。
 ですから、外から入ってくる人、出ていく人ということだけでなく、我々というのはどういうことになっているかというような議論の中で、そういう人たちは実は忘れられて、日本人だからということで教育的にはあまり配慮されない立場にはあるわけですけれども、そこらへんのところも国際化ということの中には入ってくるというような総合的な議論がされることをお願いしたいということの中に事例のことも入っていると思いました。

塚田委員 皆さんおっしゃったこととほとんど重なっています。私、総会のときに申し上げたんですけれども、それぞれ産業政策というか、それぞれ省庁が政策をもっているんですが、海外との交流というか、日本がもっと開かれた国になるべきであるということの旗を振る省庁はどこなんだと。それはたぶん外務省じゃないんですかねということを申し上げました。そういう視点でまずは議論をすべきではないかというふうに私は思っております。でないと、先ほどからも例が出ましたけれども、例えば研修制度一つをとっても、あるいは日本人国籍をもっている方の在留の話にしても、要はプッシュがあって、プルがあって、そのときにその政策が実現したけれども、ふたを開けてみればいろいろ問題がありますよと。例えば保険財政がもたない。もっと子供を入れなければいかんから外国から入れるとかという議論は、もちろん重要なんですけれども、それは、じゃ、日本の今後のあり方として本当にその議論で突っ込んでいった場合に、何か過ちを犯す可能性があるのではないかと。ここに集まっておられる方々は、日本人で海外に行っておられる方々のさまざまな問題とか、あるいは海外から日本に来て直面されておられるそういう方々とか、要は単純に就労だけの問題じゃなくて、さまざまな交流の中で実情を知っておられるところについて、知見をもっておられる皆さんが多いわけですので、基本は、私は21世紀、当然のことですが、日本はもっと開かれた国際的な国になるべきである。そういう中で、さまざまな分野において、例えば外国人の皆さんが国内にいらっしゃる場合に、それが不法であろうとなかろうと、どういうふうにしていくかということを省の枠を超えてどんどん意見を出していただいて、それは受けとめていただくというやり方で進めるべきではないか。大きいか、小さいかと言われますと、私は小さくてもいいんじゃないかと思ったりしますので。

手塚部会長 どうもありがとうございました。
 時間を少し超えておりますが、特別この際ご意見がおありの方。
 それでは、今後の日程についてご案内をさせていただきたいと思います。
 第3回の総会は3月25日の14時から16時に決定しておりまして、開催場所については事務局より連絡があるということでございます。
 それから、第2回以降の外国人問題部会につきましては、6月に領事改革に関する中間報告を発表する関係上、しばらく先となるという予定です。今後の総会での議論、きょうの議論をまとめて発表を若干いたしますが、総会でもまた議論が出ると思いますので、そういうようなことを踏まえつつ、事務局から連絡させていただきたいと思います。
 それから、きょうの議論につきましても、外務省のホームページに掲載させていただくということで、情報公開で、各委員の先生方には追って事務局より議事録案を送付させていただきますので、どうぞ手を入れてご確認くださいますようにお願い申し上げます。
 座長がよけいなことを言ったりしてすみませんでした。それでは、時間もまいりましたので、海外交流審議会の第1回外国人問題部会をこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。



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