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「アフガニスタンに光を!~日本のアフガニスタン支援~」

中東アフリカ局 中東第二課 相星 孝一課長に聞く

収録:平成15年1月17日

慶応義塾大学院法学科修士課程1年大沼瑞穂さん
慶応義塾大学院法学科修士課程1年
大沼瑞穂さん

 2001年の9.11事件以降、アメリカの空爆によってタリバンは政権の座から去った。しかしながら、戦闘の混乱によって多くの避難民が生まれ、国内は荒廃し、新しい国づくりが早急に必要とされている。国際社会が一丸となってアフガニスタン復興に力を注ぐ中、日本はどのような支援を行ってきたのだろうか。現地に何度も足を運びアフガニスタン復興に熱意を持って取り組んでいる相星中東二課長にインタビューをした。(大沼)


大沼:2001年の暮れに行われたボン合意以降、日本はアフガニスタンに対してどのような観点から支援を行ってきたのですか。

相星:最優先で実施されたのは人道支援でしたが、アフガニスタン側の受け手がしっかりしていない状況であったため、国連や国際赤十字といった国際機関を通じての支援が行われました。それから、食料供与などの人道支援とインフラ整備などの復興支援の橋渡しをする必要がありました。“緒方イニシアティブ”と言う地域総合開発支援で、特定の地域、カンダハールやジャララバラードといった地域にシェルターの提供や井戸の掘削を行いました。現在では雇用の機会の創出や学校建設などが重要で、日本はこの2つを中心に様々な支援を行っています。二カ国間での支援では、カブールでの水問題の解決をはじめとする社会・生活インフラの整備や道路整備などに他国と協力して支援を行っているという状況です。

大沼:そういった状況の中で、川口大臣は、日本外交のイニシアティブとして「平和の定着」ということを提唱し、そのテスト・ケースとしてアフガニスタン等を挙げられておられます。「平和の定着」とはどのような考えでしょうか。

相星:和平プロセスへの支援や、治安維持への貢献、人道・復興支援をし、その国の平和作りに貢献していくというものです。かつてカンボディアに対して行った支援もその例と言えると思います。現在、アフガニスタンだけでなく、東ティモールやアチェ、スリランカなどでも行われようとしています。また復興会議を日本で開催し、国際社会全体としての取組みの強化を図ることも一つの大きな貢献だといえるでしょう。

中東アフリカ局 中東第二課 相星 孝一 課長
中東アフリカ局 中東第二課
相星 孝一 課長
大沼:この中でも治安維持というのはとても難しい問題であると思いますが、日本政府は具体的にどのような試みをしているのでしょうか。

相星:治安維持については、アメリカが国軍の創設、ドイツが警察組織の育成、イギリスが麻薬対策、イタリアが司法制度の設立、そして日本は兵士の除隊と社会復帰を促す、“平和のための登録(Register for Peace)”というように国毎に役割分担がなされています。警察の組織作りはドイツが主体となっていますが、日本は無線を提供するなどの物的支援を検討しています。
 日本が中心的に行っているのは、兵士を動員解除させ、意識改革を促し、社会復帰させていく“平和のための登録”プロジェクトです。現在地方の軍閥との大枠の合意はできつつあり、今後は早急に具体的なプロジェクトを進めて行くことが必要です。

大沼:確かに、兵士たちに銃を捨てさせ、意識改革をしてくというのはそう簡単なことではありません。意識改革という面で私が注目しているのは地雷の問題です。地雷対策ではその地域に住む人々、特に子供たちに対し、地雷は危険であるという教育が必要です。そのような試みは行われているのでしょうか。

相星:日本は、先程説明した“緒方イニシアティブ”の一環として、地雷の危険性を説明する絵本30万冊の供与及び啓発セミナー開催のための支援を行いました。また、実際の地雷の除去といってもそう簡単にできるものではありません。雨によって地雷が流されるというケースもあります。地雷に近づいてはいけないという教育を地雷の除去と平行して地道に行うことが重要だと考えています。

大沼:地雷除去に関してはNGOの方々との協力も必要であると思われますが、地雷除去以外の分野でも構いませんのでNGOとの連携で難しいと感じたこと、また連携してよかったなと感じた経験はどのようなものでしょうか。

相星:個人的には特に難しいと感じたことはありません。現場で活動しているNGOの人達は、やはり現地のことをよく知っているので、我々としても助かることは多いです。しかし、やはり日本のNGOは海外のNGOと比べると規模が小さく、歴史も浅いため、人材が不足していると感じています。日本でも、だんだんと社会の受け入れ態勢が整いつつありますが、NGOで活躍した人が日本の社会に戻り、直ちに活躍できる場はまだまだ十分とは言えません。今後NGOの活動が一層発展していくためにも、受け入れる社会の側との交流が進んでいくことを期待しています。国際NGOとの関係において、連携してよかったな、というより現場に行ってすごいなと感心したのが、国際赤十字委員会の方々のモラルの高さでした。多くのメンバーはスイス人ですが、厳しい生活環境の下、戦闘の合間にも兵士の遺体を引き取りにいく、それも頭だけとか、そうしたことを、若い女性も含め、使命感をもって行っています。それには本当に頭が下がりました。

大沼:向こうを訪れられてみてNGOのみなさんの活躍ぶりを目の当たりになさったことも印象的であったと思われますが、アフガニスタンの人々の様子を見て一番印象的だった出来事は何でしたか。

2002年6月、アフガニスタン難民キャンプにて
2002年6月、帰還民のレセプションセンターにて
相星:昨年の6月にアフガニスタン支援総理特別代表である緒方貞子さんとともにアフガニスタン・パキスタン国境地帯にある難民キャンプに行き、UNHCRの通訳とともにテントを訪ね歩きました。私はその地区の長老と思われる人物と会い、彼のテントを訪ねたのですが、年を聞いてみると38歳。私よりも若いんです。子供が小さいから、お孫さんと思ったら、自分の子供だと言うのです。彼らはパシュトゥーン人であるという理由で北部の人たちから差別を受け、南下してきた人たちなんですね。パキスタンに入ることもできず、そこに住む、いわゆる国内避難民なのです。彼らの姿を見たとき、長い戦闘と民族対立、そして貧困というあらゆる困難が顔のしわに一つ一つ表されているようでした。彼らはそこで食料・水等の人道支援を受けながら生活しているのですが、そこは所詮キャンプに過ぎず、いずれアフガニスタン国内に戻らなければなりません。しかし、彼らはもう北部には戻りたくないと考えており、新たな地域を選定し、地域住民の理解を得ての移住、そこでの新たな雇用機会の創出、とまだまだ課題は山積みなのです。

大沼:やはり、国内の民族対決というものはまだまだ根強いものなのでしょうか。

相星:そうですね、もちろん地方の指導者たちは戻ってきたら歓迎するといっていますが、国内避難民の方々は口約束では動かないというのが現実です。しかし軍閥の多くは中央政府と協力し、治安が確保されなければ援助が来ないといったことを理解し始めたようにも感じます。ビジネスマンになるか、それともよき地方の政治家になるかは彼らの選択ですが、まだまだ民族対立の解消には時間がかかるでしょう。国家歳入の多くを占めるはずの関税収入が少なく、行政を行う人間の給料支払いが滞っているという事実からもそのことが窺えます。

大沼:最後に日本政府はよくお金だけを出し、顔が見えないという批判を受けますが、顔の見える支援をするにはどうしていくべきだと思われますか。

教育面での支援
教育面での支援
相星:やはり、二国間支援というものが鍵となってくるでしょう。日本は教育や保健・医療の面で特に力を入れています。将来のアフガニスタンを担う子供達への教育は最優先の課題であり、また、長い戦闘で人々は心身ともにケアが必要な状態にあります。またカルザイ大統領はアフガニスタンを貿易の中継地と位置づけるため、道路のインフラを整えたい、それは雇用機会の創出にもつながると考えており、日本としても積極的に幹線道路の整備に関わっていくつもりです。このような活動を通じて日本とアフガニスタンが信頼関係を構築していくこと、これが何よりも大切なことだと考えています。

大沼:一刻も早くアフガニスタンの人々に笑顔が戻るといいですね。今日はありがとうございました。

【インタビューを終えて】
アフガニスタン復興に向けて国づくりに奔走するアフガニスタンの人々に日本がどのように支援していたか、またしているかを知ることは、私たちの過去を知ることでもあったように感じます。戦後の日本は今のアフガニスタンと同じくらい貧しく、人々は心身ともにつかれきっている状態でした。その日本を支援した国々そして自ら立ち上がろうとがんばった当時の日本人の姿を、日本のNGOや外交官、国連職員はそこに見たのではないでしょうか。私たち市民ができることは限られてはいますが、支援金一つでもアフガニスタンの未来につながることを思えば、そのことがいかに重要か分かると思います。このインタビューを読んで下さった一人でも多くの人がアフガニスタンへの支援を惜しまないことを願います。(大沼)



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