外務本省

山中外務大臣政務官のハイチ、ペルー、エクアドル訪問
(概要と評価)

平成18年8月

 山中外務大臣政務官は、7月24日(ハイチ着)から8月1日(キト発)まで、ハイチ支援国会合への出席、ペルー大統領就任式への特派大使としての参列、エクアドル政府との二国間協議等のため、ハイチ、ペルー、エクアドルを訪問したところ、概要以下の通り。また、山中政務官は、トランジットのため立ち寄ったニューヨークにおいて、ボルトン米国連大使と意見交換を行った。

<山中外務大臣政務官の日程>

山中外務大臣政務官の日程
日付 時間 予定
7月24日(月曜日) 午後 アブラハム前外相との意見交換
7月25日(火曜日) 終日 対ハイチ支援国会合出席
同会合の合間を縫って以下の各国代表と会談
・ヒルトン・ジャマイカ外務大臣
・シャノン米国務次官補
・ミュレ国連事務総長特別代表
・カフィエロ・アルゼンチン対外関係省国際協力特別代表
・ブッシェール駐ハイチ・カナダ大使
・コンナン駐ハイチ仏大使
7月26日(水曜日) 午前 アレクシー・ハイチ首相との会談
クレリスメ・ハイチ外相との会談
7月27日(木曜日) 午前 日秘(ペルー)文化会館・日秘(ペルー)診療所訪問
日系企業関係者との懇談
午後 ジャンピエトリ・ペルー副大統領との会談
ガルシア・ベラウンデ・ペルー外相との会談
7月28日(金曜日) 午前 ペルー大統領就任式典参列
ガルシア大統領主催昼食会出席
午後 ガルシア大統領との会談
日系人との懇談
7月29日(土曜日) 午後 ロルドス・エクアドル次期大統領候補との会談
7月30日(日曜日) 午前 ビテリ・エクアドル次期大統領候補との会談
午後 青年海外協力隊員との懇談
日本企業関係者等との懇談
7月31日(月曜日) 午前 草の根・人間の安全保障無償資金協力プロジェクト「コトコジャオ診療所機材整備計画」供与式出席
ボルハ・エクアドル国家法制局長官との会談
セラノ・エクアドル副大統領との会談
午後 HOY紙の単独インタビュー
草の根・人間の安全保障無償資金協力署名式
カリオン・エクアドル外務大臣との会談
ルセロ・エクアドル国会議長、プロアニョ・エクアドル・日本友好議員連盟会長との意見交換
ロドリゲス・エクアドル・エネルギー鉱山大臣との会談
8月2日(水曜日) 午前 ボルトン米国連大使との意見交換

1.ハイチ

(1)ハイチ支援国会合

(イ)ハイチ支援国会合では、冒頭プレヴァル大統領、アレクシー首相、ランベール国会議長、ミュレ国連事務総長特別代表等がスピーチを行い、プレヴァル大統領からは、ハイチが歴史的な機会を迎えており、国際社会と協力し、治安の確保と開発の推進という課題に取り組んでいくという強い決意が述べられた。

(ロ)会合の結果、国際社会から、暫定協力枠組み(ICF)の下で、総額7億1500万ドルの支援がプレッジされた。

(ハ)我が国からは、山中政務官がスピーチを行い、ハイチ政府、国民のオーナーシップの重要性、我が国のODAにおける人間の安全保障の考え方を強調しつつ、当面1千万ドルを目標とする支援を行っていくことを表明した。(山中政務官スピーチ(英文)

(写真)

(ニ)会合の合間を縫って、山中政務官は、ヒルトン・ジャマイカ外務大臣、シャノン米国務次官補、ミュレ国連事務総長特別代表、カフィエロ・アルゼンチン対外関係省国際協力特別代表、ブッシェール駐ハイチカナダ大使、コンナン・駐ハイチ仏大使とバイ会談を行った。

(i)ヒルトン・ジャマイカ外務大臣

 ヒルトン大臣より日、ジャマイカ間でハイチに対する第三国支援を進めたい旨述べ、どういう協力が可能か事務当局間で協議していくこととした。

(写真)(ジャマイカ外相)

(ジャマイカ外相)

(ii)シャノン米国務次官補

 山中政務官より、人間の安全保障の考え方にたった我が国の支援の継続、MINUSTAHのマンデート延長の重要性につき述べたのに対し、シャノン国務次官補より、ハイチに対する日本のコミットメントの継続はきわめて重要である、米国は安全保障上の理由からハイチの状況に強い懸念を有している、ハイチの治安状況が今後どうなるかが国家再建の鍵を握る旨述べた。

(写真)(シャノン米国務次官補(中央)と駐ハイチ米大使(右))

(シャノン米国務次官補(中央)と駐ハイチ米大使(右))

(iii)ミュレ国連事務総長特別代表

 山中政務官より、ハイチにおける国連のプレゼンスの重要性を強調したのに対し、ミュレ特別代表より、法の支配、治安の確立が急務であり、MINUSTAHとしてプレヴァル政権と緊密に連携している旨述べた。

(iv)カフィエロ・アルゼンチン対外関係省国際協力特別代表

 先方より、ハイチに対する日亜間の第三国支援の推進に関する要望があり、引き続き事務当局間で協議していくこととした。

(v)ブッシェール駐ハイチカナダ大使、コンナン・駐ハイチ仏大使

 ハイチ情勢につき意見交換した。

(2)ハイチ政府要人とのバイ会談

(イ)アレクシー首相との会談(7月26日)

(i)山中政務官より、ハイチ政府、国民のオーナーシップの重要性を強調しつつ、我が国の今後の支援の継続を表明したのに対し、アレクシー首相より、日本の支援への謝意を表明するとともに、政務官が支援国会合で強調した教育、農業、人材育成等の分野はまさにハイチが必要としている分野である旨述べた。

(ii)すでに日本が招待しているプレヴァル大統領の訪日につき、成果のある訪問となるよう早急に準備を進めていくことで一致した。

(iii)双方は、国際場裡における協力を継続することで一致した。

(写真)(アレクシー首相)
(写真)(アレクシー首相)
(アレクシー首相)

(ロ)クレリスメ外相との会談(7月26日)

(i)山中政務官より、ハイチ政府、国民のオーナーシップの重要性、人間の安全保障の考え方に基づく我が国支援の継続につき述べたのに対し、クレリスメ外相より、我が国の一貫した支援の謝意を表明するとともに、オーナーシップの重要性については、大統領以下ハイチ政府全体として認識している旨述べた。

(ii)双方は、治安の確保が重要であり、MINUSTAHのプレゼンスの継続、強化の必要性について認識が一致した。

(iii)双方は、プレヴァル大統領の訪日準備を進めることを確認した。

(写真)(クレリスメ外相)

(クレリスメ外相)

(3)評価

 今般のハイチ支援国会合は、プレヴァル大統領の下ハイチ新政権による国家再建努力の第一歩として、国際社会の強い関心の下で開催されたものであった。我が国から山中政務官というハイレベルが出席すると共に、1千万ドルの支援のプレッジを行い、ハイチ政府のオーナーシップの重要性と人間の安全保障という我が国経済協力の理念を明確に示したことは、ハイチ政府からも各参加国、国際機関からも高く評価された。これは、ハイチの復興、再建のために時宜を得たものであるとともに、国際社会の責任ある一員として、ハイチの復興に積極的に関与する我が国の姿勢を広く示すうえで意義深かった。

2.ペルー

 7月28日、山中政務官は、ペルーにおいて、特派大使として、ガルシア大統領就任式及び元首クラスのみが招待された大統領主催昼食会に参列した。大統領就任式から昼食会会場へ徒歩で移動した際には沿道の住民から日本語で歓迎の声援が送られた。また、27日、28日に、ガルシア大統領、ジャンピエトリ副大統領、ガルシア・ベラウンデ外相と会談を行った他、日秘(ペルー)文化会館、日秘(ペルー)診療所を訪問した。会談の概要以下の通り。

(写真)(沿道の住民から日本語で歓迎を受ける山中政務官)
(沿道の住民から日本語で歓迎を受ける山中政務官)
(写真)(大統領就任式に参加する山中政務官)
(大統領就任式に参加する山中政務官)

(1)ジャンピエトリ副大統領との会談

 ジャンピエトリ大統領より、日ペルー関係の重要性を強調し、双方は二国間関係を再構築していくことで一致した。副大統領より、水産分野、農業分野での日本の協力への期待が表明された。また、山中政務官より、在ペルー日系人のペルー社会への貢献を紹介した。

(写真)(ジャンピエトリ副大統領)

(ジャンピエトリ副大統領)

(2)ガルシア・ベラウンデ外相との会談

 ガルシア・ベラウンデ外相より改めて対日関係重視の意向が強調され、双方は二国間関係を再構築していくことで一致した。また、両国の民間企業間の協力の進展を政府として支援していくことで一致した。

 山中政務官より、国連安保理改革への理解と協力を要請し、双方は、共に安保理理事国としての国連における協力や2008年のペルーAPECに向けた協力等国際場裡の協力を進めることで一致した。

 ガルシア・ベラウンデ外相より、ペルーとEU間で、平和構築分野の定期会合を開いており、政務官の専門分野でもあり、これに参加して頂くことを考えたい旨述べた。

(写真)(ガルシア・ベラウンデ外相)

(ガルシア・ベラウンデ外相)

(3)ガルシア大統領との会談

(イ)ガルシア大統領は、日本政府が山中政務官を特派大使として派遣したことに深く感謝。大統領は、改めて、司法分野のフジモリ元大統領を巡る諸問題と日本との関係を混同したのは前政権の誤りであったと述べ、日本との関係改善への強い意向を表明。

 山中政務官より、二国間関係重視の意向を歓迎するとともに、早い時期のガルシア・ベラウンデ外相の訪日、その後のガルシア大統領の訪日を招請し、具体的時期については外交ルートで調整することとなった。また、山中政務官より、両国の議員交流の活性化の重要性、鉱山分野をはじめとする経済分野の協力の重要性を指摘した。

(ロ)山中政務官より、「灌漑サブセクター計画」「タララ漁港拡張近代化計画第二期」「チャビン・デ・ワンタル国立博物館建設計画」に対する経済協力の決定を伝達し、ガルシア大統領より謝意が表明された。

(ハ)山中政務官より、北朝鮮のミサイル発射に対する安保理の北朝鮮非難決議に関しペルーが共同提案国となったことに感謝するとともに、国連、APEC等国際場裡での協力を進めたい旨述べた。

(ニ)ガルシア大統領は、会談直後、山中政務官を伴って大統領官邸の記者団との会見を行い、同政務官を紹介の上、日本との関係を改善する意向を明確に表明し、「アリガトウ」という言葉で会談を結んだ。

(写真)(ガルシア大統領との会談)
(ガルシア大統領との会談)
(写真)(会談後、記者団との会見に臨むガルシア大統領と山中政務官)
(会談後、記者団との会見に臨むガルシア大統領と山中政務官)

(4)その他

(イ)日秘(ペルー)文化会館視察

(写真)

(ロ)日秘(ペルー)診療所視察

(写真)

(5)評価

 山中政務官のガルシア大統領就任式への特派大使としての参列、及びガルシア大統領はじめ新政権要人との会談を通じて、両国が、日ペルー関係を重視し、関係を再構築、活性化していくことが明確に確認され、二国間関係発展の新たな出発点を築くものとなった。さらに出席の各国元首や各大臣(中国文化大臣、韓国前首相を含む)とも積極的な接触を図り、日本のプレゼンスを高めた。また、山中政務官とガルシア大統領の会談後の記者会見で大統領から両国関係活性化の意向が公に表明され、両国関係が大きく動き出すとのメッセージを対外的に広く印象づけることができた。

3.エクアドル

 山中政務官は、エクアドルにおいて、セラノ副大統領、カリオン外務大臣、ロドリゲス・エネルギー鉱山大臣、ボルハ法制局長官と協議するとともに、草の根・人間の安全保障無償資金協力プロジェクト「コトコジャオ診療所機材整備計画」供与式、草の根・人間の安全保障無償資金協力署名式に出席し挨拶を行った。ルセロ国会議長、プロアニョ・エクアドル日本友好議連会長らと意見交換を行った。またグアヤキル市を訪問し、10月の大統領選挙の有力候補であるロルドス候補、ビテリ候補とエクアドルの政治情勢等につき意見交換を行った。さらに、エクアドル最大のHOY紙のインタビューを受け、内容は日本と中南米の関係から、女性の政治参画、国際社会の平和構築にいたる幅広いものとなった。

 主な会談のポイントは以下の通り。

(1)ロルドス大統領候補、および、ビテリ大統領候補と個別に会談した。

(写真)(ロルドス次期大統領候補(右から2人目))
(ロルドス次期大統領候補(右から2人目))
(写真)(ビデリ次期大統領候補)
(ビデリ次期大統領候補)

(2)ボルハ法制局長官

 山中政務官より、日本企業の投資促進ためには投資環境の整備が重要であるとして、法制局の協力を求めたのに対し、ボルハ長官より、外国投資は法によって保護されており、法制局としても保護に尽力する旨述べた。

(写真)(ボルハ法制局長官)

(ボルハ法制局長官)

(3)セラノ副大統領との会談

(イ)二国間関係、経済協力

 山中政務官より、エクアドルの安定と発展が、南米地域全体の安定と繁栄に重要であるとして、我が国の経済協力等を通じて日エクアドル関係を重視する旨述べたのに対し、セラノ副大統領より我が国経済協力に対する謝意、また先般のトゥングラウア火山の噴火に対する我が国緊急援助に対する謝意を表明するとともに、日本は重要な経済協力国であり、支援の継続をお願いする旨述べた。

 さらに山中政務官より、我が国経済協力の重点分野、実績等を紹介しつつ、我が国官民の協力の前提としてエクアドルにおける政治的安定の達成の重要性を指摘した。

(ロ)経済関係

 二国間経済関係に関し、二国間の貿易発展の方途につき議論した。山中政務官より、日本企業の進出を促進するためには、日本企業の投資の成功モデルを作ることが需要である、日本企業は石油分野で貴国との協力に関心を有しているところ貴国政府の支援を期待する旨述べた。

(写真)(セラノ副大統領(中央奥はアルバレス在京エクアドル大使))

(セラノ副大統領(中央奥はアルバレス在京エクアドル大使))

(4)カリオン外相

(イ)経済関係

 山中政務官より、石油等資源エネルギー分野の協力の潜在性を指摘し、我が国民間投資の促進のためには、エクアドル側の投資環境整備が重要であるとして、日本企業の投資活動が円滑に行われるようエクアドル政府の取り組みを強く求めた。カリオン大臣より、エネルギー分野への日本の投資を歓迎する旨述べた。

(ロ)経済協力

 カリオン大臣より、我が国経済協力への謝意、及びトゥングトゥア火山噴火への緊急支援への謝意を表明するとともに、今後教育分野での協力を強化したい旨述べ、教育分野での協力の可能性につき検討を進めることとなった。

(ハ)多国間協力

 カリオン大臣より、国連安保理改革は、民主主義を拡大し、国際社会を発展させるために不可欠であり、エクアドルとしても実現を望んでいる旨述べた。

 これに対し、山中政務官より、不安定な国際情勢に対応するためには、国連の機能強化が不可欠であり、特に安保理改革の実現が不可欠であるとして、我が国の推進する安保理改革への支持を要請した。また、北朝鮮人権決議案へのエクアドルの支持に感謝するともに、人権理事会の理事国としても協力していきたい旨述べた。

(写真)(カリオン外相)

(カリオン外相)

(5)ロドリゲス・エネルギー鉱山大臣

 山中政務官より、日本企業の石油分野での投資案件に関し、投資の円滑な実現のためエクアドル政府の適切な対応を強く求めたのに対し、ロドリゲス大臣より、エネルギー分野への日本からの投資を歓迎している、問題の解決に向け関係者と協議を進めていきたい旨述べた。

(写真)(ロドリゲス・エネルギー鉱山大臣)

(ロドリゲス・エネルギー鉱山大臣)

(6)その他

(イ)草の根・人間の安全保障無償資金協力プロジェクト「コトコジャオ診療所機材整備計画」供与式出席

(写真)(草の根・人間の安全保障無償資金協力プロジェクト供与式)

(草の根・人間の安全保障無償資金協力プロジェクト供与式)

(ロ)草の根・人間の安全保障無償資金協力署名式

(写真)(草の根・人間の安全保障無償資金協力署名式)

(草の根・人間の安全保障無償資金協力署名式)

(7)評価

 2003年1月以来となる我が国政治レベルの要人訪問であり、エクアドルを重視する我が国の姿勢を伝えるとともに、エクアドル政府との間で、伝統的に良好な二国間関係の継続を確認することができた。諸会談を通じて、エクアドルの政治的安定及び投資環境整備の重要性を強調するとともに、石油分野を始めとする我が国民間企業の活動が円滑に行われるようエクアドル政府の取り組みを働きかけたことは、今後の二国間関係発展のために意義深かった。また、10月の大統領選挙の複数の有力候補者と意見交換を行うことができた。

4.ボルトン米国連大使

 山中政務官は、ボルトン米国連大使との間で、北朝鮮問題、国連の安保理改革、マネジメント改革、ハイチ、ペルー、エクアドル情勢等につき意見交換した。

(写真)(ボルトン米国連大使と山中政務官)

(ボルトン米国連大使と山中政務官)

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