平成19年8月9日
関口昌一外務大臣政務官は、7月31日~8月3日の日程で、非核化協力事業等に関する関係者との意見交換及び現場視察のため、ウラジオストクを訪問したところ、概要と評価は以下のとおり。
ズヴェズダ造船所においてヴィクターIII級退役原潜3隻の解体契約署名式に出席し、ロシア側から日本国政府及び国民に対する謝意が表明された。関口政務官から、日露非核化協力が着実な一歩を歩んだことを評価する旨述べた上で、説明責任の観点からロシア側による情報提供等一層の努力がなされるよう理解と協力を要請した。
原子炉区画陸上保管施設の建設現場を視察し、施設概要及び進捗状況について説明を受け、原子炉区画の構造上の安全性及び施設の放射線安全対策等に関する意見交換を行うとともに、協力に際してロシア側による十分な情報提供を要請した。
(退役原潜解体現場視察)
(ヴィクターIII級退役原潜解体契約署名式)
関口政務官から、非核化協力を含めた「極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブ」にある各分野において関係強化を求めていきたい旨述べるとともに、日本企業が進出しやすい環境の構築を要望する旨述べた。これに対し、ダリキン沿海地方知事より、感謝の意が表され、退役原潜解体事業完成に向けて露側も一層の努力を行う旨述べるとともに、今後の沿海地方の開発計画について、日本側のイニシアティブを歓迎する旨述べた。
関口政務官から、解体契約署名を評価する一方で、ロシアの新型原潜配備計画に対し、本件協力にとって重大な問題になりうることから透明性を確保するとともに十分留意するよう求め、曳航に係る万全な安全対策を要請した。これに対し、フョードロフ司令官より、感謝の意が表されるとともに、原潜の配備は行われるが長期的展望に基づくものであり、一方で、配備は取決めを超えて軍拡に向かうものではなく日本の脅威になるものではない、併せて、退役原潜解体協力をはじめ多方面における信頼強化に努めていく旨述べた。
(フョードロフ太平洋艦隊司令官との会談)
(ダリキン沿海地方知事との会談)
今回の訪問において、我が国が解体事業を支援する予定の5隻の原子力潜水艦の4隻(ヴィクターⅠ級原潜を含む)について契約署名が行われ、非核化協力の着実な進展を示すものとなった。また、ロシア側関係者からは、我が国の非核化協力に対する高い評価、謝意が示されるとともに、今後の協力においてロシア側による情報提供の必要性等について理解が得られた。
これまで日露関係は幅広い分野で発展がみられているが、6月のハイリゲンダム・サミットの際の日露首脳会談において、安倍総理より提案された「極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブ」に基づくより一層の関係強化について、高いレベルで関係者の同意と具体的な施策に対する高い関心を得ることができた。