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外務省機構改革
(最終報告)

平成15年3月27日


1.基本認識・ねらい

 冷戦終結後の今日の国際社会では、価値観や利害の相違・対立を背景とする地域紛争の増加とともに、グローバル化の急速な進展を背景として、テロ・大量破壊兵器の拡散等の安全保障上の様々な脅威が顕在化しつつある。また、地球規模の問題への対応が急務となっている。こうした国際情勢の下、日本としては、米欧をはじめとする先進民主主義諸国との緊密な協調と連携を図りつつ、中国、韓国、ASEAN、ロシア等の近隣諸国との友好・協力関係を維持・発展することにより、日本の安全と繁栄を確保するとともに、政治、経済、文化交流など幅広い分野での取組みを通じ、国際社会の平和と繁栄に日本としての独自の役割を果たしていく必要がある。このため、日本としては、これまで築かれた枠組みの強化・拡充を図るとともに、従来の枠組みの下では対応しきれなくなっている問題については、新たな国際的枠組みの構築を目指す必要がある。

 今回の機構改革に当たっては、このような認識に立って、日本の安全と繁栄を実現するための能動的・戦略的な外交を展開すべく、「選択と集中」をテーマに、以下の諸点につき、外交実施体制強化を図る。

(1) 外交戦略策定機能の強化

 日本として、自らの平和と繁栄の確保のために安全保障上の取組を強化していくとともに、地球規模の問題を含む新たな課題に対処していくための国際的枠組みの構築に向けて、総合的な視点に立ち、外交戦略策定機能を強化する。また、このようにして策定される外交戦略に沿って、外交政策を遂行する上での重要な手段であるODAに関し、方針を決定し、実施していく。

(2) 日本国民の保護と危機管理

 自国民の生命・安全の確保及び利益の増進は、外交に課せられた最も重要な使命の一つである。海外に渡航する邦人が年間約1800万人に上り、海外在留邦人数が約90万人に上る中で、国民の生命と安全の確保を更に追求するため、邦人保護機能を強化する。また、国民が海外でテロ事件、事故に直面する危険が増大する中で、非常時や危機に強い体制を構築する。

(3) 情報収集・分析能力の強化

 不確実性や多様なリスクが増大する国際社会の中で、日本の平和と繁栄、並びに国民の生命・安全・利益を確保する外交政策を展開していく礎となるのは、迅速かつ幅広い国際情報の収集に基づく複眼的かつ洞察に富んだ分析である。そのために外務省の情報収集・分析機能及びそのための体制を抜本的に強化し、差し迫った重要な課題に即応して集中して取り組むべく、組織の機動性を強化する。また同時に、能動的・戦略的な外交を推進する上で、将来の問題を見通す洞察力や中長期的分析が不可欠であるため、情報分析に求められる継続性や専門性を一層高めていく。

(4) 新たな国際的枠組みの構築

 国際社会のグローバル化が急速に進展する中で、テロ、不拡散、環境破壊、人権侵害、貧困、その他の開発課題等、地球規模の諸問題への対応や、多角的貿易体制の維持・強化、自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)網の構築等、重層的・戦略的な対応が求められている。こうした中、日本としては、政治・安全保障、軍縮・不拡散等の分野とともに、経済・社会分野における新たな国際的枠組みを構築するために、ルール作りに能動的に参加すべく、その戦略を策定する。また、多国間(マルチ)分野における日本の影響力・発言権を高めるため、「地球規模問題戦略本部」を設置し、地球規模問題に係る戦略策定機能の強化を図る。

(5) 平和構築・定着に向けてのイニシアティブ

 現在、国際社会においては、冷戦終結後、顕在化した多くの地域紛争への対応が求められており、また、国際社会に放置された地域がテロの温床となった事態が繰り返されてはならない。そのためには、一層の予防外交努力に加えて、平和構築・定着に向け、紛争の平和裡解決、復旧・復興支援を有効な形で取り進める。このために、継ぎ目ない平和構築外交を強化するための「平和構築調整委員会」を設置し、関係局・部間の連携を強める。


2.改革の柱

(1) 外交戦略策定機能の強化

 日本が自らの意思と国益に立脚した、能動的かつ戦略的な外交を展開していくために、政策上の選択肢の提示と外交の優先順位の明確化を図る。また、日本の外交政策の主要な手段であるODAに関する戦略策定機能を抜本的に強化する。

総合外交政策局

 「筆頭局」として位置づけ、その機能を強化していく。また、国際社会協力部を総合外交政策局から大臣官房に移した上、総合外交政策局の機能特化(スリム化)と総合調整機能の強化を図る。また、軍備管理・科学審議官組織を「軍備管理・科学部」とし、局として、総合的見地から日本の安全保障に対応する体制を一層強化する。

経済協力局

 ODAの政策立案、実施に当たっては、外務省が中核となり各省間の連携強化を図るため、ODAを担当する副大臣を置くとともに、経済協力局に関係府・省調整担当の審議官、同政策課に関係府・省連携担当の企画官を置く。また、被援助国の現状に応じ、「国別援助計画」を核として政府全体の政府開発援助(ODA)政策を立案し、これを戦略的・効果的に実施するため、スキーム別の課編成から地域別重視の体制に移行する。(この体制への移行のうち、可能なものについては、平成16年度を待つことなく、15年度より前倒しして導入を図る)。

(2) 日本国民の保護と危機管理

 外国における邦人保護業務は急速に増大しており、またグローバル化とボーダーレス化が進展する中で、テロや難民等への対応も益々重要になっている。このような状況下で、海外の邦人の保護と危機管理を外務省の最重点課題の一つとし、その体制及び人員配置を強化する。

領事局

 領事移住部を「領事局」として、局内再編・強化を行う。その際、海外における邦人に対する一層きめ細かいサービスの提供、邦人の生命・安全・財産の確保、近年その重要性を増している在日外国人・日系人問題への積極的取組み等、国民の要望に迅速に対応し得る体制を抜本的に強化する。また、「専門官制度」の一環として領事専門官を認定し、領事部門の専門性の向上を図る。

危機管理

 官房長の下に審議官クラスの「危機管理官」を新たに置き、平時から危機管理体制の整備と関係局・部間の連携、円滑な運営を強化する。

(3) 情報収集・分析能力の強化

国際情報統括官

 国際情報局を「国際情報統括官」を長とする専門家集団に再編し、刻々と変化する国際情勢に迅速かつ弾力的に対応すると同時に、中長期的な課題を世界的・戦略的視野で継続的に分析するため、情報収集・分析体制を抜本的に強化する。そのため、「国際情報統括官」は、地域局・機能局を含む省内横断的な情報収集・分析体制を統括し、重要な情報の集中的な収集や分析に取り組む。

(4) 新たな国際的枠組みの構築

地球規模問題戦略本部

 地球規模問題に係る基本戦略の策定・調整、人間の安全保障を実現するための諸施策を実行していく上での各局・部間の連携や、国際機関に関わる予算支出、邦人職員増強及び選挙に関する戦略的な体制を強化するため、国際社会協力部長を本部長とし、関係局・部筆頭課から成る「地球規模問題戦略本部」を設置する。

ルール・メーキング戦略策定機能強化

 新たなルール作りへの能動的関与を強化すべく、国際法局、経済局、国際社会協力部、軍備管理・科学部において、各々のルール・メーキング戦略を策定する。

国際社会協力部

 国際社会協力部を現在の総合外交政策局から大臣官房に移管し、関係する機能局、地域局との連携を強化することにより、地球規模問題に全省的に取り組む。
 また、同部を現在の3課体制から5課体制に強化を図るとともに、部内の総合的な戦略策定能力、関係省庁との調整能力及び国際交渉力を高めることにより、幅広い国際社会協力に係るビジョン・ルール作りに能動的に参画していく体制を強化する。

国際法局

 条約局を「国際法局」に改め、国際約束の締結や一般国際法上のルール作りに、より一層積極的に参画する。そのための手段の一つとして、条約の形式によって編成してきた締結業務を行う組織を分野別に再編成し、専門的知見の蓄積を容易にして専門性を高めるとともに、条約交渉の最前線に出て交渉を行う体制を整備していく。また、国際法戦略の企画・立案、一般国際法の形成への積極的参画等を図るため、体制を強化する。

経済局

 現行のフォーラム(国際機関等)別から優先課題別に組織を再編成し、それぞれの優先課題に、より機動的に対応できる体制を整備する。特に、日本の貿易・経済にとって重要な役割を果たし得る自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)については、その所掌を経済局に一元化の上、地域局及び国際法局と連携して取り組む。また、FTA/EPAに本格的に取り組む体制を構築する観点から、FTA/EPA推進本部長を現在の事務次官から大臣に格上げする。

軍備管理・科学部

 軍縮・不拡散の取組みを通じ、日本の安全保障を強化し、国際社会の安全にも貢献するとともに、原子力・科学技術の平和利用を確保するための機能強化を図る。このため、軍備管理・科学審議官組織を部の体制とし、核をはじめとする大量破壊兵器やミサイルの不拡散に向けた二国間・地域・多国間の取組みや、非核化・小型武器回収事業といった分野における取組みを強化する。

(5) 平和構築・定着に向けてのイニシアティブ

平和構築調整委員会

 紛争地域における人道支援、復興支援等を継ぎ目なく効果的な形で行い、平和構築外交を強化するため、経済協力局及び国際社会協力部併任の審議官を設置するとともに、同審議官を長とし、総合外交政策局、経済協力局、国際社会協力部、地域局関係者により構成される「平和構築調整委員会」を設置する。早い段階から連絡・調整を強化することで、継ぎ目のない効果的な支援を実現する。


3.組織・機構改革の具体的措置

1.戦略策定機能の強化が求められる分野

(1) 総合外交政策局

 総合外交政策局を筆頭局として強化し、政策立案・総合調整の中枢組織として機能させていくために、以下の措置を講じる。

新しい方針を設定するような重要政策の立案及び政策の優先順位の変更に当たっては、総合外交政策局長が当初の企画段階から決定段階まで関与する。

外交政策の総合調整・戦略策定機能強化のために審議官クラスの増強を図る。

外交政策の総合調整については、総務課に企画課の業務の一部を統合し、課内はユニット制(省内各局・部を担当する企画官級スタッフが長となる)の組織とする。外交戦略の決定に当たっての政策上の選択肢の提示、緊急課題へのタスク・フォース的取組等を行う。上記の企画官級スタッフは、次官以上に諮る重要な政策案件に関与する。

国連政策課を再編し、この下で、国連に加え、G8、ASEM、APEC等の国際会議における政務事務等を担当する。

情報部門や地域局による情報収集・分析結果を政策企画・立案において一層有効に活用する。

外務省所管の(財)日本国際問題研究所に関し、同研究所の主管局を国際情報局から総合外交政策局に移管し、外務省と同研究所との、より一層緊密な連携を実現する。

軍備管理・科学審議官組織を部の体制とし、軍縮・不拡散の取組みを通じた安全保障の取組を強化するとともに、原子力・科学技術の平和利用確保のための機能強化を図る。

(2) 経済協力局

 ODA戦略の立案及び実施に当たっての関係府・省との連携を強化するために、以下の措置を講じる。

中核スキームに重点を置いた現行の体制から国別援助計画を核とする国別・地域別重視の体制に移行することにより、ODAの戦略化を図る。

2003年10月に予定される国際協力事業団(JICA)の独立行政法人化後は、外務省が技術協力に係る企画立案、案件選定を担い、このような政策に基づく技術協力等の事業の実施をJICAが担うとの役割分担を一段と徹底し、JICAの自主裁量を高めつつ、より効率的な業務の実施を図る。

積極的な人事交流による他省庁、実施機関との連携を促進する。


2.機能の充実・再編が求められる分野

(1) 領事部門

 領事サービスと海外の邦人の保護機能を抜本的に強化するため、領事部門を「領事局」として、以下の措置を講じる。

海外における邦人保護とこれに関連した危機管理の最前線の部門としての領事部門を局とすることにより、抜本的な組織改編を行う。

旅券課を再編し、多様化する在留邦人や海外渡航者からのニーズに応えるための領事サービスの改善・強化を行う。

邦人保護課を再編し、在留邦人、渡航者が巻き込まれる事故・事件への迅速な、かつ、きめ細かな対応を確保するとともに、緊急事態に際しての大規模な邦人保護活動を強化する。また、テロ関連の情報収集・分析や注意喚起等の安全対策を強化するとともに、テロ事件等の緊急事態への機動的対応を向上させる。

外国人課において、より開かれた社会、在日外国人等との共生を目指す。

「専門官制度」を活用して、領事部門を支える職員の専門性の向上を図るとともに、必要な研修の強化及びキャリア・パスの整備を行う。
海外におけるハイジャック、誘拐等の事件、天災、邦人退避オペレーション等、邦人保護関連の危機管理関連業務は領事部門が担当することとし、在留邦人に対する危険度の再評価、リスク度に応じた警備体制のソフト・ハード両面からの整備、緊急事態への対応訓練の実施等、海外において邦人が巻き込まれる事件に対する危機管理対応能力を抜本的に強化する。

(2) 危機管理部門

 危機管理については、官房長の下に、審議官クラスの「危機管理官」を新たに置く。さらに、以下のとおり、危機の事案に応じて領事局、総合外交政策局、地域局が各々対処する体制を明確にする。

危機管理事案発生の際は、対策本部の立ち上げを早急に行う必要や官房的側面からの必要性が高いことから、外務省が処理すべき国際的な危機管理事案に一層適切に対応すべく、官房を中心に、平時から、幅広い分野での危機管理のための体制・制度を整備していく。

初動以降の体制については、危機管理事案の類型に応じて、(ア)海外において邦人が巻き込まれた場合の邦人保護案件等(邦人退避オペレーション、テロ、ハイジャック、誘拐、飛行機事故等)への対応は、領事部門が主導する、(イ)脱北者やミサイル発射、クーデター事件、地域紛争への対応は地域局が主導する、(ウ)複数局の所掌にまたがり、局際的な政策調整を要する重大事案又は重要な政策判断を要する重大事案(湾岸戦争、米国同時多発テロ等)については、総合外交政策局が主導し各局と連携して処理する、(エ)国内における大規模災害・事件への対応やサイバーテロへの対応は、官房が主導する。

(3) 国際社会協力部

 幅広い国際社会協力に係るビジョン・ルール作りに積極的に携わる国際社会協力部の所属を総合外交政策局から大臣官房に移管する。特に、地球規模問題に関する取組に関しては、国際社会協力部長を本部長とし、関係部局から成る「地球規模問題戦略本部」を設置する。同本部においては、地球規模問題に係る基本戦略策定・調整、人間の安全保障を実現するための諸施策を実行していく上での各局・部間の調整や、各国際機関への予算支出、邦人職員派遣、選挙立候補・支持の調整や方針提言等を行い、これらの事項について、関係局・部の筆頭課を基本的なメンバーとし、案件毎に本部長が機動的にその他のメンバーを選定し招集する。また、地球規模問題への取組みを強化するため、以下の方針に基づき、部内の再編を行う。

地球規模問題に能動的かつ創造的に取り組むための課を設け、国際社会協力に関する総合的な戦略策定を行う。また、地球規模問題戦略本部の事務局を置くとともに、人間の安全保障をはじめとする重要な国際社会協力分野の政策の企画立案、及びNGOとの関係を一層強化するため、NGOとの関係を担当させる。なお、NGO担当大使を「人間の安全保障・NGO担当大使」と改称し、これを補佐する。また、年々増加の傾向にある国連関係の大型国際会議に対応する体制を整備する。

専門機関その他の国際機関における多様なルール作り(WHOたばこ対策枠組条約等)や高度に政治的な案件(ILOにおけるいわゆる従軍慰安婦問題等の「過去」の問題、IHOにおける日本海呼称問題等)への取り組みを強化し、そのための国際交渉力、関係省庁との調整能力を高める。

(4) 政策・情報発信・広報、文化交流部門

 外務報道官組織における海外広報を所掌する部署と文化交流を所掌する部署を統合して「文化交流・広報部」を新設し、海外に向けての戦略的な情報発信機能を強化する。機構改革後の外務報道官組織及び文化交流・広報部については外務報道官がその重要事項に関する事務を総括・整理することにより、内外への情報発信機能を強化する。

文化交流・広報部の下には、海外に向けての情報発信戦略及び文化交流の総合戦略の立案並びに海外広報の企画と実施を行う課、及び外交的に重要な大型文化交流関連業務や人物交流スキーム等を担当する課を置く。

文化交流事業の実施については、可能な限り、国際交流基金(基金)に移管し、文化交流・広報部では、中期目標設定、基金の事業評価等、中長期的な海外に向けての文化交流戦略の策定に重点を移す。

文化協力を経済協力、国際社会協力等と並ぶ政策手段として十分活用するため、総合外交政策局において、これらを含む国際協力全般に関する戦略をとりまとめる。

外務報道官組織については、外務省が政策判断に関する説明責任を果たす上で、内外メディアに対する発信機能を強化する。また、外交に関して、国民の理解と支持を得る必要性が高まっており、重要政策につき国民の理解と支持を得られるよう機能を強化する。また、外務省タウンミーティングの開催等を通じ、国民との対話を一層推進し、広聴体制を充実する。

(5) 官房

 機動的な外交政策の実施を可能とするために、以下の体制を整備して、行政需要の変化に迅速に応える。

現在、経済協力局の評価を担当する部署を大臣官房に移管の上、「考査・政策評価官室」に一元化し、政策評価の実施体制を強化する。この体制については、平成16年度の機構改正を待たず、速やかに実施に移す。

職員の専門性を向上させ、地域や事項別の専門家を育成していくため、若手・中堅職員を主な対象として「専門官」を認定する「専門官制度」を実施に移す。また、これに伴うキャリア・パスの整備を行うとともに、専門性を高めるための研修を強化する。

また、特定の専門分野に加えて管理能力等も備えていると認められる職員については、早い段階から必要な訓練を積ませることにより、在外公館長を含む管理職への昇進の機会を設けていく。

在外公館については、設置時の状況からの変化を受け、今後3年間で、7公館を目処に廃止する。またアジア地域を中心に公館の新設を検討する。現在、在リベリア大使館及び在ラス・パルマス総領事館を廃止する一方、在東ティモール大使館と在チェンマイ総領事館を新設すべく調整中であり、今後とも在外公館の設置状況を一定期間毎に見直し、整理・統廃合・新設を図る。

儀典長については、その所掌する事務の重要性に鑑み、機能・名称自体は維持することとした上で、官房内に置く。また、儀典長には経験豊富なシニアな者を充て、「大使」の名称を付与する等、必要な強化策を講じる。


3.課題対応への専門能力が求められる分野

 経済局、国際法局、国際情報統括官組織については、グローバルな課題に対応する専門能力を強化・充実させるため、以下の抜本的な局内再編・改組を行う。

(1) 経済局

現行のフォーラム別から優先課題別に組織を再編成し、機動性を高める。

経済局の総務及び政策立案を行う部門を課として再編する。

国際機関第一課、国際機関第二課、開発途上地域課は、これまでのフォーラム別から多国間貿易、地域経済連携(FTA・EPA等)、サービス・投資の優先課題別に組織を再編成する。

エネルギー安全保障、海洋、漁業、食料問題等を担当する部門を課として再編する。

地域経済については、国際経済第一課を欧州との経済関係を所管する課として位置づけ、また北米第二課及びアジア局地域政策課との連携を強化する。

(2) 国際法局

条約局について、国際約束の締結や一般国際法上のルール作りに向けた能動的役割を強化する。この能動的な姿勢への転換を示すために名称を「国際法局」に改める。

条約の形式によって編成してきた現行の条約課(二国間条約)及び国際協定課(多数国間条約)を専門分野別(政治・安全保障、経済、社会)に再編成する。その際、一課を削減した上で、ハイレベルな専門家が最前線に出て国際交渉に参加できるよう、新たに経済及び社会分野の条約の締結、解釈、実施をつかさどる「経済・社会条約官」(課長級分掌職)を置くとともに、条約課及び経済・社会条約官の下に複数の「条約交渉官」(企画官級)を置き、もって、交渉の迅速化や国際法秩序構築への日本の関与を強化する。このような能動的な取組を通じて、多数国間条約のみならず、FTA等でニーズが急増する二国間条約の締結促進を図る。

国際法戦略の企画・立案、一般国際法の形成への積極的参画等を図るため、法規課を「国際法課」に改める。同課に複数の「法律顧問官・法律顧問官補」を置き、これらの顧問官・顧問官補が国際法の特定の分野(国家責任、外交・領事関係、国家承認、自衛権等)を専門的に分担して、適宜適切なリーガル・サービスを提供すると同時に、特定の局(部)の相談窓口となる体制をとる。

裁判官、検察官、他省庁職員の受入れ拡大、さらに任期付職員法の活用等による学者、弁護士等の積極的な受入れ等を通じ、人事交流を促進する。同時に外務省員についても、国際機関法律部局への派遣を進める。

(3) 国際情報統括官

情報収集・分析機能を抜本的に強化するため、「国際情報統括官」を長とし、現在の3課体制を拡充・強化し、よりきめ細かな対応ができるよう、情報政策、安保等機能別事項、アジア地域、中東アフリカ・欧州・米州地域について、それぞれを担当する課長級分掌官4名の設置を図る。また、国際情報統括官組織の人的資源を強化する。

情報収集・分析機能を効率的に強化するため、各局・部の収集する情報を遺漏なく集約するとともに、国際情報統括官としての情報収集は、これら外務省全体の情報収集状況を見極めつつ、インテリジェンス・コミュニティーに求められる重要な課題やテロ、大量破壊兵器・ミサイルを含む安全保障面により重点を置く。

また、分析事務の遂行には高度に専門的な知見と技術を要するため、その分野の専門性を向上させるための必要な研修等を強化する。


4.地域局の再編・機能強化

(1) アジア大洋州局

 今後、日本が提唱している「共に歩み共に進むコミュニティ」の形成を念頭において、対アジア大洋州外交の一体性を確保するとの観点から、アジア大洋州局は分割しないこととする。但し、増大する外交活動に機動的に対応し、対アジア大洋州外交を強化するため、審議官の増強を図る。また、地域協力等を一層推進するため、必要な再編を図る。

(2) 北米局

 日米関係を政治、経済、安全保障の3課で分担する現体制は維持しつつ、日米同盟又は日米パートナーシップに基づき取り組むべき重要案件への対応に遺漏無きを期するため、局内横断的な機動的かつ柔軟な人員配置を行うこととし、このため日頃から情報の共有等を進める。また、G8の一員として重要性を増しているカナダとの関係を総合的かつ能動的に進めるため、北米第一課と北米第二課との間の連携強化を図る。

(3) 中南米局

 今後の地域統合の動き等を勘案し、更なるきめ細かい地域外交推進に向けて、以下の再編を行う。

南米諸国(10ヶ国)を所掌する「南米課」と中米その他の国(23ヶ国)を所掌する「中米カリブ課」に再編成し、中米カリブ課が中南米地域全体に係る政策の企画立案を担当する。

(4) 欧州局

冷戦構造の崩壊と欧州統合の深化・拡大という欧州の現状に対応して、「欧州政策課」を設置し、西欧からロシアに至る全欧州地域を鳥瞰し、各国・各機関間の総合的な関係を踏まえた対欧州政策の立案・実施を行う。局内の体制については、西欧第一課、第二課、中・東欧課、ロシア課の現行体制を廃し、欧州政策課、「西欧課」、中・東欧課、ロシア課の体制とする。

中央アジア及びコーカサス諸国については、依然、これら諸国のロシア・欧州との相互依存関係が深い現状を踏まえ、現行どおり、欧州局にて所管することとする。

(5) 中東アフリカ局

中東地域の平和と安定が日本の国益にとって極めて重要であるとの認識の下、同地域諸国との対話及び相互理解を一層促進していく。

アフリカ審議官組織については、対アフリカ外交の重要性の増大を踏まえ、同地域に対する更にきめ細かな外交政策の実施を図る。


5.職員研修の強化・拡充

 今回の組織・機構改革に基づく外交実施体制強化の観点からも、外務省を構成する職員各々の実力強化、専門知識及び能力の向上等が不可欠である。そのため、職員の基礎能力、専門能力、管理能力の向上を三本柱として、研修プログラムを更に強化・拡充していく。

 特に、「専門官制度」の実施との関連では、専門性を高めるための研修強化を図ることとする。

 また、中間研修制度の効果的運用、大学その他の研究機関との連携強化等、外部リソースの積極的活用を更に推進していくとともに、より効果的な研修の実施のため、官房、研修所、各部局の連携を一層推進する。


6.(財)日本国際問題研究所の戦略的活用

 外務省所管の(財)日本国際問題研究所に関し、日本における代表的な「外交政策シンクタンク」としての機能・役割及び競争力を抜本的に強化するため、同研究所の主管局を国際情報局から総合外交政策局に移管した上で、外務省と同研究所との、より一層緊密な連携を実現し、同研究所による積極的な政策提言等の活動が強化されるよう連携・指導を行う。また、同研究所のアウトプットが外部から評価され、質の高いものとなるよう、必要な連携・指導を行う。


4.その他

 外務省としては、中央省庁改革の基本方針を踏まえ、効率化を図りつつ、強靱な外交実施体制を構築していく考えである。このような改革に取り組む強い意思を示すために、各省庁に求められている平成18年よりの「課の数1割削減」を2年前倒しし、新たな組織体制をスタートさせる平成16年度よりこれを実施に移すこととする。

 今後、この最終報告を踏まえ、平成16年度より新組織に移行すべく機構要求を行う。なお、新たな部局・分掌官等の名称は、いずれも仮称である。


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