○通 商 関 係
日本国政府及びインドネシア共和国政府は、
両国間に存在する友好的な関係及び協力に留意し、
両国民の間に最も緊密な友好関係を確立するためさらに協力的な努力を強化し、かつ、発展させることを希望し、並びに
相互に有利な基礎の上に両国間の貿易及び通商を容易にし、及び発展させることを希望して、
友好通商条約を締結することに決定し、そのため、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。
日本国政府
外務大臣 小坂善太郎
インドネシア共和国政府
外務大臣 ドクトル スバンドリオ
これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが妥当であると認められた後、次の諸条を協定した。
第一条
いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域に当該他方の締約国の法令に従って入ることを許され、かつ、当該他方の締約国の領域への入国、同領域内における滞在、旅行および居住並びに同領域からの出国に関するすべての事項について、いかなる第三国の国民に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
第二条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、税金の賦課、裁判を受ける権利、財産権、法人への参加並びに一般にあらゆる種類の事業活動及び職業活動の遂行に関するすべての事項について、いかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
2 1の規定にかかわらず、各締約国は、相互主義に基づき、又は二重課税の回避若しくは歳入の相互的保護のための協定により、租税に関する特別の利益を与える権利を留保する。
第三条
1 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内において、身体の保護及び保障に関して、当該他方の締約国の国民及びいかなる第三国の国民に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる
2(1) いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内において、すべての強制軍事服役及びその代りに課されるすべての課徴金を免除される。
(2) いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、すべての強制公債、軍事取立金、軍用徴発又は強制宿営に関して、当該他方の締約国の国民及び会社並びにいかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
第四条
いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、公共のためを除くほか、収用し、又は使用してはならず、また、当該他方の締約国の法令に従い、正当な補償を行なうことなく収用し、又は使用してはならない。この条で取り扱うすべての事項については、いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、いかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
第五条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、両締約国の領域の間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、並びに他方の締約国の領域と第三国の領域との間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、いかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
2 いずれの一方の締約国も、地方の締約国のすべての産品の輸入に対し、又は当該他方の締約国の領域に仕向けられるすべての産品の輸出に対し、なんらの制限又は禁止をも課してはならない。ただし、すべての第三国の同様の産品の輸入又はすべての第三国への同様産品の輸出が同様に制限され、又は禁止されている場合は、この限りでない。
3 1及び2の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、その対外財政状態及び国際収支を擁護するため必要な措置を執ることができる。
第六条
すべての種類の関税及び課徴金で、輸入若しくは輸出について若しくはそれらに関連して課され、又は輸入品若しくは輸出品のための支払手段の国際的移転について課されるものに関し、それらの関税及び課徴金の賦課の方法に関し、輸入及び輸出に関連するすべての規則及び手続に関し、輸出貨物に対する内国税の適用に関し、輸入貨物について又はこれに関連して課されるすべての内国税その他すべての種類の内国課徴金に関し、並びに輸入貨物の国内における販売、販売のための提供、購入、分配又は使用に影響を及ぼすすべての法令及び要件に関し、いずれか一方の締約国がいずれかの第三国を原産地とする産品又はいずれかの第三国に仕向けられる産品に対して与えているか、又は将来与えるすべての利益、特典、特権又は免除は、他方の締約国の領域を原鹿地とする同様の産品又は他方の締約国の領域に仕向けられる同様の産品に対し、即時に、かつ、無条件に与えられるものとする。
第七条
両締約国は、各締約国の独自の経済的特徴及び経済開発計画を考慮して、両締約国間における相互の利益のための貿易を発展させ、及び経済関係を強化すること並びに、特にそれぞれの領域内における経済の発展及び生活水準の向上に資するため、科学及び技術に関する知識の交換及び利用を促進することを目的として、協力することを約束する。
第八条
この条約のいかなる規定も、いずれか一方の締約国が関税及及び貿易に関する一般協定若しくは国際通貨基金協定又はそれらを修正し若しくは補足する多数国間の協定の締約国として有するか、又は有することがある権利及び義務については、画締約国が当該協定の締約国である限り、影響を及ぼすものではない。
第九条
この条約の規定は、いずれか一方の締約国が、
(a) 国内の公共の安全若しくは国防又は国際の平和及び安全の維持
(b) 核分裂性物質又はその生産原料である物質
(c) 武器、弾薬及び軍需品の取引並びに軍事施設に供給するため直接又は間接に行なわれるその他の貨物及び資材の取引
(d) 公衆道徳の保護
(e) 公衆衛生の保護並びに病気、害虫及び寄生物に対する動植物の保護
(f) 金または銀の貿易
(g) 美術的、歴史的又は考古学的価値のある国宝の保護並びに
(h) 多数国間の商品協定に基づく義務の履行
に関する措置を採用し、又は実施することを妨げるものと解してはならない。
第十条
各締約国の政府は、他方の締約国の政府がこの協定の実施から又はそれに関連して生ずる問題に関して行なう申入れに対して好意的考慮を払わなければならず、また、協議のため適当な機会を他方の締約国の政府に与えなければならない。
第十一条
1 この条約は、批准されなければならない。批准書は、できる限りすみやかにジャカルタで交換されるものとする。
2 この条約は、批准書の交換の日の後一箇月で効力を生ずる。この条約は、三年間効力を有し、その後は、3に定めるところにより終了するまで効力を存続する。
3 いずれの一方の締約国も、他方の締約国に対し六箇月前に文書による予告を与えることによって、最初の三年の期間の終りに又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。
第十二条
この条約は、日本語、インドネシア語及び英語によるものとする。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。
千九百六十一年七月一日に東京で、本書二通を作成した。
日本国のために
小坂善太郎
インドネシア共和国のために
スバンドリオ
議 定 書
日本国とインドネシア共和国との間の友好通商条約(以下「条約」という。)に署名するに当たって、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受け、さらに、条約の不可分の一部と認められる次の規定を協定した。
1 第一条の規定に関し、いずれの一方の締約国も、他方の締約国が相互主義に基づく特別の取極によりいずれかの第三国の国民に対して与えているか、又は将来与える旅券及び査証に関する事項についての利益の享受を要求する権利を与えられないものと了解される。
2 第一条のいかなる規定も、日本国に対し、インドネシア共和国がシンガポール自治州の市民に対して伝統的に与えている利益の享受を要求する権利を与えるものと解してはならない。
3 条約において「会社」とは、商業、工業、金融業その他の常利を目的とする事業活動に従事する社団法人、組合、会社その他の団体をいう。
4 第二条1の規定に関し、いずれの一方の締約国も、不動産に関する権利の享有についての待遇が相互主義に服すべきことを要求することができる。
5 条約のいかなる規定も、著作権及び工業所有権に関して、いかなる権利をも許与し、又はいかなる義務をも課するものと解してはならない。
6 第四条の規定は、いずれか一方の締約国の領域内で収用され、又は使用される財産で他方の締約国の国民及び会社が利益を有するものについても適用する。
7 第五条1の規定は、通貨そのものについての準則に関するものではなく、したがって、異なる通貨に対して異なる待遇を与えることを妨げるものではない。同規定は、いかなる外国為替規則が施行されている場合にも、その下における国民及び会社の権利にのみ関するものであって、外国為替規則の適用に当たって、国民及び会社に対して国籍に基づく差別を排除することのみを目的としている。
第三国に与える待遇よりも不利でない待遇を与える条約の規定は、次の利益には適用しない。
(a) いずれか一方の締約国が国境貿易を容易にするため隣接国に与える利益
(b) (a)に掲げる利益と同様の利益でインドネシア共和国がマラヤ連邦、フィリピン共和国及びシンガポール自治州に対して与えるもの
(c) いずれか一方の締約国が加盟国となる関税同盟又は構成地域となる自由貿易地域の存在に基づいて与える利益
9 条約のいかなる規定も、インドネシア共和国に対し、日本国が、(a)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二条の規定に基づいて日本国がすべての権利、権原及び請求権を放棄した地域に原籍を有する者に対し、又は(b)は同平和条約第三条に掲げるいずれかの地域に対する行政、立法及び司法に関し同条後段に掲げる事態が継続する限り、同地域の現住民及び船舶並びに同地域との貿易に対して与えているか、又は将来与える権利及び特権の享受を要求する権利を与えるものと解してはならない。
以上の証拠として、各全権委員は、この議定書に署名調印した。
千九百六十一年七月一日に東京で、日本語、インドネシア語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国のために
小坂善太郎
インドネシア共和国のために
スバンドリオ
日本国政府及びアルゼンティン共和国政府は、
両国の国民を結合する伝統的友好関係を一層強化し、及び両国の国民の文化関係を強化することを希望して、
両国間の通商関係を促進し、並びに相互に有益な投資及びその他の形態の経済的協力を助長することを希望して、
友好通商航海条約を締結することに決定し、そのため、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。
日本国政府
外務大臣 小坂善太郎
アルゼンティン共和国政府
外務宗務大臣 ドクトル ミゲル・アンヘル・カルカノ
これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが妥当であると認められた後、次の諸条を協定した。
第一条
日本国とアルゼンティン共和国との間及び両国の国民相互の間には、堅固なかつ永久の平和及び友好の関係が存在するものとする。
第二条
1 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域に当該他方の締約国の法令の規定に従って入ることを許され、かつ、その入国に関するすべての事項について最恵国待遇を与えられる。
2 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内における滞在、旅行及び居住並びに同領域からの出国に関するすべての事項について、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。ただし、この待遇を受けるに当っては、当該他方の締約国の法令の規定に従わなければならない。
第三条
1 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内において、(a)良心の自由を享有し、(b)公私の宗教上の儀式を行ない、(c)国外の公衆に周知させるため資料を収集し、及び送付し、並びに(d)当該領域の内外にある他の者と郵便、電信その他一般に公衆の用に供される手段によって通信することを許される。
2 この条の規定は、公の秩序を維持し、並びに公衆の道徳及び安全を保護するため必要な措置を執る締約国の権利の行使を妨げるものではない。
第四条
1 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内において、自己の身体の保護及び保障に関して、、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。
2 いずれか一方の締約国の領域内で他方の締約国の国民が抑留された場合には、もよりの地にあるその者の本国の領事官は、その者の要求に基づき、直ちにその旨を通告され、かつ、当該一方の締約国の法令の規定に従って、その者を訪問し、及びその者と通信することが許される。その者は、(a)人権を完全に享有することができる待遇を受け、(b)自己に対する被疑事実を正式にかつ直ちに告げられ、(c)自己の弁護のための適当な準備に支障がない限りすみやかに裁判に付され、及び(b)自己の弁護に必要なすべての手段(自己が選任する資格のある弁護人の役務を含む。)を与えられる。
3(a) いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の領域内において、すべての強制軍事服役及びその代りに課されるすべての課徴金を免除される。
(b) いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、強制公債、軍事取立金、軍用徴発または強制宿営に関して、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。
第五条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、不断の保護及び保障を受けるものとする。
2 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、その住居、事務所、倉庫、工場その他の建造物で他方の締約国の領域内にあるものについては、不法な侵入及び妨害を受けないものとする。当該建造物及びその中にある物件について必要がある場合に行なう当局の捜索及び検査は、占有者の便宜及び業務の遂行に周到な考慮を払い、法令に従ってのみ行なうものとする。
3 いずれの一方の締約国も、他方の締約国の国民または会社がその設立した企業、その資本又はその提供した技能、技芸若しくは技術に関し適法に取得した権利又は利益で当該一方の締約国の領域内にあるものを害するおそれがある不当な又は差別的な措置を執ってはならない。
4 いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、公共のためにする場合を除くほか、収用し、又は使用してはならず、また、正当な補償を迅速に行なわないで収用し、又は使用してはならない。
5 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、2及び4に定める事項に関し、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。
6 いずれか一方の締約国の国民又は会社が実質的な利害関係を有する企業は、他方の締約国の領域内において、私有企業を公有に移し、又は公の管理の下に置くことに関するすべての事項について、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。
第六条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、すべての種類の租税、手数料又は課徴金の賦課並びにすべての審級の裁判所の裁判を受け、及び行政機関に対して申立てをする権利に関して、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられる。
2(a) いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、研究及び調査、財産権、法人への参加並びに一般にあらゆる種類の商業上、産業上、金融上その他の事業活動及び職業活動の遂行に関するすべての事項について、最恵国待遇を与えられる。
(b) いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、特許権の取得及び保有並びに商標、営業用の名称及び営業用の標章に関する権利並びにすべての種類の工業所有権に関して、内国民待遇を与えられる。
3 1の規定にかかわらず、各締約国は、相互主義に基づき、又は二重課税の回避若しくは脱税の防止のための協定により、租税に関する特別の利益を与える権利を留保する。
第七条
一方の締約国の国民又は会社と他方の締約国の国民又は会社との間に締結された仲裁による紛争の解決を規定する契約は、いずれの一方の締約国の領域内においても、仲裁手続のために指定された地がその領域外にあるという理由又は仲裁人のうちの一人若しくは二人以上がその締約国の国籍を有しないという理由だけでは、執行することができないものと認めてはならない。その契約に従って正当にされた判断で、判断がされた地の法令に基づいて確定しており、かつ、執行することができるものは、公の秩序及び善良の風俗に反しない限り、いずれの一方の締約国の管轄裁判所に提起される執行判決を求める訴えに関してもすでに確定しているものとみなされ、かつ、その判断についてその裁判所から執行判決の言渡しを受けることができる。その言渡しがあった場合には、その判断に対しては、その締約国の領域内でされる判断に対して与える特権及び執行の手段と同様の特権及び執行の手段を与えるものとする。
第八条
1 各締約国は、次のものに関するすべての事項について、他方の締約国に即時にかつ無条件に最恵国待遇を与えなければならない。
(a) 輸入若しくは輸出について若しくはそれらに関連して課され、又は輸入品若しくは輸出品のための支払手段の国際的移転について課されるすべての種類の関税及び課徴金
(b) それらの関税及び課徴金の賦課の方法
(c) 輸入又は輸出に関連する規則及び手続
(d) 輸入貨物について又はそれらに関連して課されるすべての内国税その他すべての種類の内国課徴金
(e) 輸出貨物に対する内国税の適用
(f) 輸入貨物の国内における販売、販売のための提供、購入、分配又は使用に影響をおよぼすすべての法令及び要件
2 したがって、いずれか一方の締約国の産品で他方の締約国の領域内に輸入されるものには、1に掲げる事項について、いずれかの第三国の同様の産品に課されているか又は将来課される関税、内国税又は課徴金より一層高額の関税、内国税又は課徴金が課されることはなく、また、同産品に適用されているか又は将来適用される規則又は手続より一層厳重な規則又は手続が適用されることはない。
3 同様に、いずれか一方の締約国の領域から輸出され、かつ、他方の締約国の領域に仕向けられる産品には、1に掲げる事項について、同様の産品がいずれかの第三国の領域に仕向けられる場合に課されているか又は将来課される関税、内国税又は課徴金より一層高額の関税、内国税又は課徴金が課されることはなく、また、同産品が同様の場合に適用されているか又は将来適用される規則又は手続より一層厳重な規則又は手続が適用されることはない。
第九条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、両締約国の領域の間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、並びに他方の締約国の領域と第三国の領域との間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、最恵国待遇を与えられる。
2 いずれの一方の締約国も、他方の締約国のすべての産品の輸入に対し、又は当該他方の締約国の領域に仕向けられるすべての産品の輸出に対し、割当によると、輸入又は輸出の許可によると、外国為替の割当によると、その他の措置によるとを問わず、いかなる制限又は禁止をも設定し、又は維持してはならない。ただし、すべての第三国の同様の産品の輸入又はすべての第三国への同様の産品の輸出が同様に制限され、又は禁止されている場合は、この限りでない。
3 1の規定は、いずれか一方の締約国が、国際通貨基金協定の締約国として有するか又は有することがある権利及び義務に合致するような為替制限を課することを妨げるものではない。
4 2の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、貨物の輸入及び輸出について、当該一方の締約国が、3の規定に基づいて当該時に課することができる為替制限と同等の効果を有する制限又は統制をすることができる。
第十条
両締約国は、両国間の貿易を発展させ、及び経済関係を強化すること並びに、特にそれぞれの領域内における経済の発展及び生活水準の向上に資するため、科学及び技術に関する知識の交換及び利用を促進することを目的として、相互の利益のため、協力することを約束する。
第十一条
各締約国は、国家企業を設立し、若しくは維持し、又はいずれかの企業に対して排他的の若しくは特別の特権を正式に若しくは事実上与えるときは、その企業を、輸入又は輸出を伴う購入又は販売に際し、民間貿易業者が行なう輸入又は輸出に影響を及ぼす政府の措置についてこの条約で定める無差別待遇の一般的原則に合致する方法で行動させることを約束する。この目的のため、前記の企業は、この条約の他の規定に妥当な考慮を払った上で、前記の購入又は販売を商業的考慮(価格、品質、入手可能性、市場性、輸送その他購入又は販売の条件等に関する考慮をいう。)によってのみ行なわなければならず、かつ、他方の締約国の企業に対し、前記の購入又は販売に参加するために競争する適当な機会を通常の商慣行に従って与えなければならない。
第十二条
1 いずれか一方の締約国の国旗を掲げる船舶で、国籍の証明のため当該締約国の法令により要求される書類を備えているものは、公海並びに他方の締約国の港、場所及び水域において当該一方の締約国の船舶と認められる。
2 いずれの一方の締約国の商船も、他方の締約国の商船及び第三国の商船と均等の条件で、外国との間における通商及び航海のため開放されている他方の締約国のすべての港、場所及び水域に旅客及び積荷とともに入ることができる。これらの船舶は、当該他方の締約国の港、場所及び水域において、すべての事項に関して、最恵国待遇を与えられる。
3 いずれの一方の締約国の商船も、他方の締約国の領域に又はその領域から船舶で輸送することができるすべての貨物及び人を輸送する権利に関して、最恵国待遇を与えられる。また、これらの貨物及び人は、(a)すべての種類の関税及び課徴金、(b)税関事務並びに(c)奨励金、関税の払いもどしその他この種の特権に関して、当該他方の締約国の商船で輸送される同様の貨物及び人に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
4 前諸項の規定は、沿岸貿易には適用しない。沿岸貿易は、各締約国の法律に従って規制される。もっとも、いずれの一方の締約国の商船も、外国で積載した旅客若しくは積荷の全部若しくは一部を陸揚げし、又は外国向けの旅客若しくは積荷の全部若しくは一部を積載する目的をもって、他方の締約国の領域内のいずれかの港から他の港に向かって航海を続けることができる。
5(a) いずれの一方の締約国も、他方の締約国の船舶に対し、難破、海上損害又は不可抗力による寄航の場合には、同様の場合に自国の船舶に与えると同一の援助、保護及び免除を与えるものとする。それらの船舶から救い上げられた物品は、すべての関税を免除される。ただし、それらの物品が国内消費のため搬入されない場合に限る。
(b) いずれか一方の締約国の船舶が他方の締約国の沿岸で座礁し、又は難破した場合には、当該他方の締約国の当局は、もよりの地にある船舶所属国の権限のある領事官にそれを通告するものとする。
6 いずれか一方の締約国の権限のある当局が発給した船舶の積量測度に関する証書は、他方の締約国の権限のある当局によって、同当局が発給した証書と同等のものと認められる。ただし、両締約国が船舶の測度のために同様の規則又は制度を用いる場合に限る。
7 この条において「商船」とは、漁船及び捕鯨船を含まない。
第十三条
1 この条約のいかなる規定も、いずれか一方の締約国が関税及び貿易に関する一般協定若しくは国際通貨基金協定又はそれらを修正し若しくは補足する多数国間の協定の締約国として有するか、又は有することがある権利及び義務については、両締約国が当該協定の締約国である限り、影響を及ぼすものではない。いずれか一方の締約国がそのいずれかの協定の締約国でなくなった場合には、両締約国は、その時の事情に照らし、この条約の貿易、為替又は関税に関する規定について修正を必要とするかどうかを決定するため、直ちに相互に協議するものとする。
2 この条約は、次の措置を執ることを妨げるものではない。
(a) 金又は銀の輸入又は輸出を規制する措置
(b) 核分裂性物質、核分裂性物質の利用若しくは加工による放射性副産物又は核分裂性物質の原料となる物質に関する措置
(c) 武器、弾薬及び軍需品の取引又は軍事施設に供給するため直接若しくは間接に行なわれるその他の物資の取引を規制する措置
(d) 国際の平和及び安全の維持若しくは回復に関する自国の義務を履行し、又は自国の重大な安全上の利益を保護するため必要な措置
(e) 美術的、歴史的または考古学的価値のある国宝の保護のために執られる措置
(f) 人命、健康及び道徳の保護並びに動物又は植物の生命又は健康の保護に関する措置
3 第八条及び第九条の規定は、いずれか一方の締約国が与える次の特別の利益には適用しない。
(a) 国境貿易に与える利益
(b) 当該一方の締約国が加盟国となる関税同盟又は構成地域となる自由貿易地域の構成国に与える利益。ただし、その利益が関税及び貿易に関する一般協定の規定に従って与えられることを条件とする
4 第八条及び第九条の規定は、アルゼンティン共和国が関税及び貿易に関する一般協定のわく内で隣接国又はペルー共和国に与える特権又は利益には、適用しない。
第十四条
各締約国は、他方の締約国がこの条約の実施から又はこれに関連して生ずる問題について行なう申入れに対して好意的考慮を払わなければならず、また、協議のため適当な機会を他方の締約国に与えなければならない。
第十五条
1 この条約は、千八百九十八年二月三日にワシントンで署名された日本国とアルゼンティン共和国との間の修好通商航海条約を廃止し、これに代わるものとする。
2 この条約は、批准されなければならない。批准書は、できる限りすみやかにブエノス・アイレスで交換されるものとする。
3 この条約は、批准書の交換の日の後一箇月で効力を生ずる。この条約は、五年間効力を有し、その後は、4に定めるところに従って終了するまで効力を存続する。
4 いずれの一方の締約国も、他方の締約国に対し一年前に文書による予告を与えることによって、最初の五年の期間の終りに又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。
以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。
干九百六十一年十二月二十日に東京で、日本語、スペイン語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国のために
小坂善太郎
アルゼンティン共和国のために
M・A・カルカノ
議 定 書
日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約(以下「条約」という。)に署名するに当たり、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受け、さらに、条約の不可分の一部と認められる次の規定を協定した。
1 第二条1の規定に関し、いずれの一力の締約国も、他方の締約国が相互主義に基づく特別協定によりいずれかの第三国の国民に与えているか又は将来与える旅券及び査証に関する事項についての利益の享受を要求する権利を与えられない。
2 この条約において「会社」とは、商業、工業、金融業その他営利を目的とする事業活動に従事する社団法人、組合、会社その他の団体をいう。
3 第五条4の規定は、いずれか一方の締約国の領域内で収用され、又は使用される財産で他方の締約国の国民及び会社が直接又は間接に利益を有するものについても適用する。
4 第六条2(a)の規定に関し、いずれの一方の締約国も、不動産に関する権利の享有についての待遇が相互主義に服すべきことを要求することができる。
5 第八条及び第九条の規定は、いずれか一方の締約国が内国漁業の産品に与える特別の利益には適用しない。
6 第十二条6の規定に関し、両締約国が船舶の積量測度のために用いる規則又は制度は、相互に同様なものであると了解される。
7 条約のいかなる規定も、アルゼンティン共和国に対し、日本国が、(a)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二案の規定に基づいて日本国がすべての権利、権原及び請求権を放棄した地域に原籍を有する者に対し、又は(b)同平和条約第三条に掲げるいずれかの地域に対する行政、立法及び司法に関し同条後段に掲げる事態が継続する限り、同地域の住民及び船舶並びに同地域との貿易に対して与えているか、又は将来与える権利及び特権の享受を要求する権利を与えるものと解してはならない。
以上の証拠として、各全権委員は、この議定書に署名調印した。
千九百六十一年十二月二十日に東京で、日本語、スペイン語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国のために
小坂善太郎
アルゼンティン共和国のために
M・A・カルカノ
(日本側書簡)
(訳文)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、海運業から生ずる所得に対する二重課税を回避し、かつ、日本国とアルゼンティン共和国との間の通商を促進するため、日本国政府は、アルゼンティン政府と次の取極を行なう用意があることを閣下に通報する光栄を有します。
(1) 日本国政府は、千九百二十四年の法律第六号及びその関係命令に従い、アルゼンティン政府、アルゼンティンに居住し日本国に居住しない個人、又はアルゼンティンの法令に基づいて設立され、かつ、アルゼンティンで管理支配されている法人その他の団体がアルゼンティンで登録された船舶により営む海運業から生ずる所得について、日本国で課される所得税、法人税及び事業税を免除する。
(2) アルゼンティン政府は、千九百六十年に修正された法律第一一六八二号第十条に基づき与えられた権限を行使して、日本国に居住しアルゼンティンに居住しない個人、又は日本国の法令に基づいて設立され、かつ、主たる事務所が日本国にある法人その他の団体が営む海運業から生ずる所得及び収入について、その海運業が日本国で登録された船舶により営まれることを条件として、アルゼンティン共和国で諌される所得税及ひ収入に対するその他のすべての租税を免除する。
(3) 「海運業」とは、船舶の所有者又は用船者が営む人及び貨物の運送事業をいう。
(4) (1)及び(2)に定める租税の免除は、この取極が行なわれる暦年の一月一日以後に開始する各課税年度において生ずる所得及び収入に適用する。
(5) この取極は、次の場合に効力を失う。
(a) いずれか一方の政府が、他方の政府に対し、六箇月の書面による予告を行なうことによりこの取極を終了させる場合
(b) (1)及び(2)に定める租税の免除が(1)及び(2)にいう法律の改正又は廃止により日本国又はアルゼンティンにおいて実施されなくなった場合
本大臣は、さらに、前記の取極がアルゼンティン政府にとって受諾しうるものであることを確認されるよう閣下に要請する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
(アルゼンティン側書簡)
(訳文)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認するとともに、閣下の書簡に定められた次の取極がアルゼンティン政府にとって受諾しうるものであることを確認する光栄を有します。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって、敬意を表します。
日本国政府及びペルー共和国政府は、両国間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化すること、両国間の通商関係を強化し、かつ、発展させること並びに両国民の生活水準を改善するため相互に有益な投資及びその他の形態の経済的協力を助長することを希望して、両国間の通商関係を公正かつ衡平な基礎の上に規律する通商に関する協定を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。
日本国政府
外務大臣 小坂善太郎
ペルー共和国政府
特派特命全権大使 フェデリコ・ヒルペック・セミナリオ
これらの全権委員は、互いにその全権委任状を交換し、それが良好妥当であると認められた後、次の諸条を協定した。
第一条
すべての種類の関税及び課徴金で、輸入若しくは輸出について若しくはそれらに関連して課され、又は輸入品若しくは輸出品のための支払手段の国際的移転について課されるものに関し、それらの関税及び課徴金の賦課の方法に関し、輸入及び輸出に関連する規則及び手続に関し、輸出貨物に対する内国税の適用に関し、輸入貨物について又はこれに関連して課されるすべての内国税その他すべての種類の内国課徴金に関し、並びに輸入貨物の国内における販売、販売のための提供、購入、分配又は使用に影響を及ぼすすべての法令及び要件に関し、いずれか一方の締約国がいずれかの第三国を原産地とする産品又はいずれかの第三国に仕向けられる産品に対して与えているか、又は将来与えるすべての利益、特典、特権又は免除は、他方の締約国の領域を原産地とする同様の産品又は他方の締約国の領域に仕向けられる同様の産品に対し、即時に、かつ、無条件に与えられるものとする。
第二条
1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、両締約国の領域の間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、並びに他方の締約国の領域と第三国の領域との間における支払、送金及び資金又は金銭証券の移転に関して、いかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
2 1の規定は、いずれか一方の締約国が、国際通貨基金協定の締約国として有するか又は有することがある権利及び義務に合致するような為替制限を課することを妨げるものではない。
3 いずれの一方の締約国も、他方の締約国のすべての産品の輸入に対し、又は当該他方の締約国の領域に仕向けられるすベての産品の輸出に対し、なんらの制限又は禁止をも課してはならない。ただし、すべての第三国の同様の産品の輸入又はすべての第三国への同様の産品の輸出が同様に制限され、又は禁止されている場合は、この限りでない。
4 3の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、貨物の輸入及び輸出について、当該一方の締約国が、2の規定に基づいて当該時に課することができる為替制限と同等の効果を有する制限又は統制をすることができる。
第三条
1 いずれの一方の締約国の国民も、他方の締約国の現行の関係法令及び行政規則に従って当該他方の締約国の領域に入り、同領域に居住し、及び同領域内を旅行することができ、かつ、すべての事項に関して、いかなる第三国の国民に与えられる待遇よりも不利でない待遇を受けるものとする。
2 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、税金の賦課、裁判を受けること、財産権、法人への参加並びに一般にあらゆる種類の事業並びに商業的及び経済的活動の遂行に関するすべての事項について、いかなる第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
3 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、特許権の取得及び保有並びに商標、常業用の名称及び営業用の標章に関する権利並びにすべての種類の工業所有権に関して、当該他方の締約国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
4 2の規定にかかわらず、各締約国は、相互主義に基づき、又は二重課税の回避若しくは脱税の防止のための協定により、租税に関する特別の利益を与える権利を留保する。
第四条
いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、公共のためにされ、かつ、当該他方の締約国の憲法及び法律の規定に従って正当に補償される場合を除くほか、収用し、又は使用してはならない。この条で取り扱うすべての事項については、いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、当該他方の締約国又は第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。
第五条
一方の締約国国民又は会社と他方の締約国の国民又は会社との間に締結された仲裁による紛争の解決を規定する契約は、いずれの一方の締約国の領域内においても、仲裁手続のために指定された地がその領域外にあるという理由又は仲裁人のうちの一人若しくは二人以上がその締約国の国籍を有しないという理由だけでは、執行することができないものと認めてはならない。その契約に従って正当にされた判断で、判断がされた地の法令に基づいて確定しており、かつ、執行することができるものは、いずれの一方の締約国の領域内においても、その判断がされた地がその領域外にあるという理由又は仲裁人のうちの一人若しくは二人以上がその締約国の国籍を有しないという理由だけでは、無効と認め、又は執行のための有効な手段を拒否してはならない。
第六条
1 第一条及び第二条の規定は、いずれか一方の締約国が与えているか又は将来与える次の特別の利益には適用しない。
(a) 内国漁業の産品に与える利益
(b) 国境貿易を容易にするため隣接国に与える利益
(c) 当該一方の締約国が加盟国であるか若しくは加盟国となる関税同盟又は構成地域であるか若しくは構成地域となる自由貿易地域の構成国に対し関税及び貿易に関する一般協定の枠内で与える利益
3 第一条及び第二条の規定は、また、ペルーが関税及び貿易に関する一般協定の枠内でチリ及びアルゼンティン共和国に与えているか又は将来与える利益には適用しない。
第七条
1 この協定のいかなる規定も、いずれか一方の締約国が関税及び貿易に関する一般協定若しくは国際通貨基金協定又はそれらを修正し若しくは補足する多数国間の協定の締約国として有するか、又は有することがある権利及び義務については、両締約国が当該協定の締約国である限り、影響を及ぼすものではない。さらに、いずれか一方の締約国がそのいずれかの協定の締約国でなくなった場合には、河締約国は、その時の事情に照らし、この協定の貿易、為替又は関税に関する規定について修正を必要とするかどうかを決定するため、直ちに協議を行なうものとすることが了解される。
2 この協定は、次の措置を執ることを妨げるものではない。
(a) 金又は銀の輸入又は輸出を規制する措置
(b) 核分裂性物質、核分裂性物質の利用若しくは加工による放射性副産物又は核分裂性物質の原料となる物質に関する措置
(c) 武器、弾薬及び軍需品の生産若しくは取引又は軍事施設に供給するため直接若しくは間接に行なわれるその他の物資の取引を規制する措置
(d) 国際の平和及び安全の維持若しくは回復に関する自国の義務を履行し、又は自国の重大な安全上の利益を保護するため必要な措置
(e) 美術的、歴史的又は考古学的価値のある国宝の保護のために執られる措置
(f) 公衆衛生の保護並びに病気、害虫および寄生物に対する動植物の保護に関する措置
第八条
各締約国の政府は、他方の締約国の政府がこの協定の実施に関して行なう申入れを好意をもって受け取らなければならず、また、協議のため適当な機会を他方の締約国の政府に与えなければならない。
第九条
1 この協定は、各締約国の憲法上の手続に従って批准されなければならない。この協定は、批准書の交換の日に効力を生ずる。批准書の交換は、できる限りすみやかにリマで行なわれるものとする。
2 この協定の有効期間は、三箇年とし、その後も同一の期間ずつ自動的に延長される。ただし、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府に対しこの協定を終了さ迂る意思を各期間の終了前少なくとも九十日の予告をもって書面により通告した場合は、この限りでない。
以上の証拠として、各全権委員は、この協定に署名した。
千九百六十一年五月十五日に東京で、ひとしく正文である日本語およびスペイン語により本書二通を作成した。
日本国のために
小坂善太郎
ペルー共和国のために
F・ヒルべック
議 定 書
通商に関する日本国とペルー共和国との間の協定(以下「協定」という。)に署名するに当たり、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受け、さらに、協定の不可分の一部と認められる次の規定を協定した。
1 協定において「会社」とは、商業、工業、金融業その他営利を目的とする事業活動に従事する社団法人、組合、会社その他の団体をいう。
2 移住者は、第三条1の規定の適用の範囲外にあるものとする。
3 第三条1の規定に関し、いずれの一方の締約国も、他方の締約国が相互主義に基づく特別の協定によりいずれかの第三国の国民に対して与えているか、又は将来与える旅券及び査証に関する事項についての利益の享受を要求する権利を有しない。
4 第三条1の規定は、ペルーが与える次の利益には適用しない。
(a) 隣接国、スペイン又はアルゼンティン共和国との間の条約に基づくもの
(b) ペルーが加盟しているか又は将来加盟する地域的統合組織の加盟国として有する義務に基づくもの
(c) 緊急事態により必要なもの
5 第三条2の規定に関し、いずれの一方の締約国も、不動産に関する権利の享有についての待遇が相互主義に服すべきことを要求することができる。
6 協定のいかなる規定も、著作権に関して、いかなる権利をも許与し、又はいかなる義務をも課するものと解してはならない。
7 第四条の規定は、いずれか一方の締約国の領域内で収用され、又は使用される財産で他方の締約国の国民及び会社が利益を有するものについても適用する。
8 協定のいかなる規定も、ペルーに対し、日本国が(a)千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第二条の規定に基づいて日本国がすべての権利権原、及び請求権を放棄した地域を原籍とする者に対して、又は(b)同平和条約第三条に掲げるいずれかの地域に対する行政、立法及び司法に関し同条後段に掲げる事態か継続する限り、同地域の原住民及び船舶並びに同地域との貿易に対して与えているか、又は将来与える権利及び特権の享受を要求する権利を与えるものと解してはならない。
以上の証拠として、各全権委員は、この議定書に署名した。
千九百六十一年五月十五日に東京で、ひとしく正文である日本語及びスペイン語により本書二通を作成した。
日本国のために
小坂善太郎
ぺルー共和国のために
F・ビルベック