ラトビア共和国

基礎データ

令和5年11月27日
ラトビア共和国国旗

一般事情

1 面積

6.5万平方キロメートル(日本のおよそ6分の1)

2 人口

189万人(IMF2022年)

3 首都

リガ(人口 605,802人 ラトビア中央統計局 2022年1月)

4 言語

ラトビア語

5 宗教

プロテスタント(ルター派)、カトリック、ロシア正教

6 略史

年月 略史
13世紀初より ドイツ騎士団が進出し、領有。
1282年 リガがハンザ同盟に加盟。
1583年 リヴォニア戦争の結果、リトアニア・ポーランド領となる。
1629年 スウェーデン・ポーランド戦争の結果、一部分がスウェーデン領となる。
1721年 北方戦争の結果、大部分がロシア領、残りはポーランド領となる。
1795年 第3次ポーランド分割により全土がロシア領となる。
1918年11月18日 独立を宣言。
1920年8月 ロシア社会主義連邦ソビエト共和国との間に平和条約締結。
1940年 ソ連に併合。
1990年3月 共和国最高会議選挙。
1990年5月 独立回復宣言。
1991年8月 共和国の地位に関する基本法採択。
1991年9月6日 ソ連国家評議会バルト三共和国の国家独立に関する決定を採択。
2004年3月29日 NATO加盟。
2004年5月1日 EU加盟。
2014年1月1日 ユーロ導入。
2015年上半期 EU議長国。
2016年7月1日 OECD加盟。

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

エドガルス・リンケービッチ大統領(2023年7月就任)

3 議会

一院制(議席数100、任期4年) 議長 ダイガ・ミエリニャ(緑と農民連合)

4 政府

  • (1)首相 エヴィカ・スィリニャ(新・統一)(2023年9月就任)
  • (2)外相 アルトゥルス・クリシュヤーニス・カリンシュ(新・統一)

5 内政

(1)カリンシュ政権
 2018年10月のラトビア国会総選挙の結果を受け、次期首相選出のため、約3か月にわたり大統領と各党が協議を実施。2019年1月23日、最大議席数を確保した「調和」及び前首相・現大統領を輩出し2位の議席を確保した「緑と農民連合」を除く少数5党の連立によって、カリンシュ欧州議会議員(新・統一)の首相選出が実現した。リンケービッチ外相等4名の閣僚が再任された。同政権は、金融システムの是正、国家安全保障と法の支配の強化、行政・管轄改革の履行、医療制度及び教育制度の質とアクセスの向上を主要政策に掲げている。2021年6月、連立与党を構成していた「KPV LV」の連立離脱表明を受け、残る4党による連立再編が合意された。
(2)スィリニャ政権
 2023年8月14日、カリンシュ首相は、同年5月の大統領選挙をめぐる連立与党内の不一致を解消できず、また連立拡大案も連立パートナーの「ナショナル・アライアンス」と「統一リスト」から拒否されたことを受けて、8月17日付で辞意を表明。8月24日、「新・統一」が首相候補として擁立したスィリニャ社会福祉相を、リンケービッチ大統領が次期首相候補に指名の上、組閣を要請し、「新・統一」、「緑と農民連合」、「進歩党」の3党による連立政権樹立で合意。9月15日、国会における投票の結果、スィリニャ社会福祉相が次期首相に選出され、15名の閣僚から成る新内閣が発足した(再任は3名)。
(3)大統領の役割
 大統領は、ラトビアの国家元首であり、国会で選出され、任期4年。ラトビア軍の最高司令官であり、国家安全保障会議(国会議長、首相、外相、国防相、内務省、検事総長等が構成員)を主宰する。首相候補の指名、国会が可決した法案の差し戻し、国会解散の発議等の権限を持つ。不在時の代理は、国会議長が務める。リンケービッチ大統領は、2023年7月就任。

外交・国防

1 外交

 最大の外交目標であったNATO及びEU加盟をそれぞれ2004年3月及び5月に実現。現政権は、EUにおける国益の増進(2005年6月に欧州憲法条約批准)、NATOのプレゼンスを通じた抑止力及び米国との二国間関係強化を通じた安全保障の確保、国際社会における法の支配、人権、多国間主義の確立、バルト海地域の協力推進、EU及びNATOの拡大を支持し、東方パートナー諸国への協力等を優先課題としている。

(1)バルト諸国間協力及びバルト・北欧協力の推進
  • 1991年 バルト議会会議設置
  • 1992年 北欧・バルト8か国による協力枠組み設置
  • 1992年 バルト海諸国理事会設置
  • 1993年9月 バルト三国自由貿易協定署名
  • 1993年11月 バルト三国平和維持大隊設置決定
  • 1994年6月 バルト三国閣僚理事会設置
(2)ロシアとの関係
 隣国ロシアとは、独立回復以来、国境画定交渉を行っており、2007年3月、国境条約に両国の首相が署名。同年12月に、両国外相が批准書の交換を行い、条約が発効し、国境が画定した。
  • 1993年 駐留ロシア軍の撤退完了
  • 2007年3月 ロシアとの国境条約に両国首相が署名
  • 2007年5月 ラトビア国会、国境条約批准
  • 2007年10月 ロシア議会、国境条約批准
  • 2007年12月 ラトビア・ロシアの両外相が批准書を交換・発効
  • 2010年12月 ザトレルス大統領、ロシアを公式訪問し、ロシアとの二重課税防止条約に署名
  • 2013年1月 二重課税防止条約が発効
  • 2017年10月 ロシアとの国境画定にかかる最終文書に署名、翌年4月発効

2 国防

  • (1)国軍は、陸海空軍その他を合わせた総兵力約6,600人(国防省)。最高司令官は大統領。徴兵制は2007年に一旦終了したが、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略を受け、2023年4月の法改正により18歳から27歳までの全てのラトビア人(女性は任意)を対象とする徴兵制を再導入した。
  • (2)予算は約9.9億ユーロ(対GDP比約2.3%)(2023年予算)
  • (3)NATO StratCom COEを2014年に創設(多くのNATO加盟国が参加)

3 主要国際機関加盟状況

  • 1991年9月 国連加盟
  • 1991年10月 OSCE加盟
  • 1992年4月 IMF加盟
  • 1992年7月 世銀加盟
  • 1993年5月 欧州評議会加盟
  • 1999年2月 WTO加盟(バルト3国で最初)
  • 2004年3月 NATO加盟
  • 2004年5月 EU加盟
  • 2016年7月 OECD加盟

経済

1 主要産業

卸売・小売業、不動産業、製造業等

2 GDP(名目)

422億ドル(IMF2022年)

3 一人当たりGDP

20,997ドル(IMF2022年)

4 経済成長率

2.0%(IMF2022年)

5 インフレ率

17.2%(IMF2022年)

6 失業率

 6.9%(IMF2022年)

7 総貿易額

  • (1)輸出 213.3億ユーロ(ラトビア中央統計局2022年)
  • (2)輸入 264.9億ユーロ(ラトビア中央統計局2022年)

8 主要貿易品目

  • (1)輸出 木材及び同加工品、機械・電子機器、鉱物製品、化学製品、野菜製品等
  • (2)輸入 鉱物製品、機械・電子機器、輸送車両、化学製品、食品・たばこ製品、卑金属・卑金属製品等

9 主要貿易相手国

  • (1)輸出 リトアニア、エストニア、ドイツ
  • (2)輸入 リトアニア、エストニア、ドイツ

(ラトビア中央統計局2022年)

10 通貨

ユーロ(2014年1月1日導入)

11 経済概況

(1)金融危機からの回復
 2005~07年には二桁の経済成長を誇っていたが、08年の世界的経済危機の影響を受け、09年の経済成長率はマイナス14%まで下落。ドンブロウスキス政権(当時)は、IMF、EU、世銀等の国際機関からの支援を受けながら、厳しい緊縮財政政策と構造改革を実施。こうした政策が次第に効を奏し、11年は6.4%、12年は4.0%のプラス成長となった。2013年以降はEU基金等も活用しつつ、2~4%程度の安定した成長が続き、18年は4.8%成長とバルト3国の中で最も高い成長率を記録した(ラトビア中央統計局発表)。
(2)マクロ経済概況
 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年のラトビアのGDPは2.2%縮小した。政府とEUの資金による支援策等により、ラトビア経済は2021年にはコロナ前の水準に回復するも、2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵略により、地政学的状況と経済発展の見通しが悪化。エネルギー価格と食品価格が大幅に上昇し、インフレ圧力が強まった結果、2022年の平均インフレ率は17.2%を記録したものの、GDP成長率は2.0%であった。
(3)主要産業
 ラトビアは、古くから東西南北の交通の要路にあり、運輸・物流が盛んである。政府は、リガ及びヴェンツピルスの2港を自由貿易港に、リエパーヤ、レーゼクネ、ラトガレ(南東部ダウガウピルス市周辺)を特別経済区に指定し、外国企業を誘致して、中継貿易を推進している。しかしながら、2014年のロシアによるクリミア半島占領、2022年のウクライナ侵略を経て、ロシア及びベラルーシとの交易は大きく制限されている。リガ空港は北欧のハブ空港として機能し、国営エア・バルティックを中心に、欧州を中心に約100都市に直行便が就航している。現在、バルト三国を縦断し、フィンランド、ポーランドと連結する高速鉄道「レール・バルティカ」を建設中。
 そのほか、最近では情報通信技術(ITサポート、ソフトウェア開発、クラウドソリューション、AI、ドローン等)、スマートマテリアル(光スイッチ、光ファイバー製品等)等の分野が成長しており、ライフサイエンス(製薬、化粧品等)はソビエト時代からの伝統を引き継ぎつつ研究開発が進んでいる。スタートアップ支援法により、スタートアップ企業への支援のための各種優遇税制等が整備されている。

二国間関係

1 政治関係

  • (1)戦前日本はリガに公使館を有していたが、1940年、ソ連によるラトビアの併合に伴い同公使館を閉鎖。
  • (2)1991年9月 日本はバルト三国に政府ミッションを派遣。
    同年9月6日 国家承認。
    同年10月10日 外交関係開設。
  • (3)1992年6月 在スウェーデン日本大使館が兼轄開始。
  • (4)2000年1月 在ラトビア日本大使館開設。
  • (5)2006年4月 駐日ラトビア大使館開設。
  • (6)2009年3月 常駐の初代駐ラトビア日本大使着任。
  • (7)2021年 日ラトビア友好100周年

2 貿易関係

  • 日本からラトビアへの輸出 43億円(ゴム製品、電子機器、化学製品等)
  • ラトビアから日本への輸入 167億円(木材・木材製品、鉱物、光学機器・装置等)

(財務省貿易統計2022年)

3 在留邦人数

69人(外務省 海外在留邦人数調査統計2022年10月)

4 在留ラトビア人数

126人(法務省 出入国在留管理庁 在留外国人統計2022年12月)

5 要人往来(2000年以降)(役職は全て当時のもの。)

(1)往
年月 要人名
2001年12月 植竹外務副大臣
2006年7月 中馬内閣府特命担当大臣(閣僚の戦略的外国訪問)
2006年10月 岩屋外務副大臣
2007年5月 天皇皇后両陛下
2007年8月 田中財務副大臣
2009年10月 江田参議院議長
2012年10月 浜田外務大臣政務官
2013年9月 西村内閣府副大臣
2014年7月 山崎参議院議長
2015年4月 薗浦外務大臣政務官
2018年1月 安倍総理大臣
2018年7月 中曽根日本ラトビア友好議員連盟会長
2018年9月 岡本外務大臣政務官
2021年7月 茂木外務大臣
2022年10月 吉川外務大臣政務官
2023年7月 中曽根日本ラトビア友好議員連盟会長(特派大使)
2023年8月 長浜参議院副議長
(2)来
年月 要人名
2001年9月 カルヴィーティス経済相
2002年3月 ベーヨニス環境相(第3回世界水フォーラム)
2006年2月 パブリクス外相(外務省賓客)
2006年4月 カルヴィーティス首相
2007年6月 パブリクス外相
2008年5月 シュレッセルス運輸相
2009年1月 ゴドマニス首相(実務訪問賓客)
2009年3月 ダウゼ国会議長(衆議院議長招待)
2011年7月 カンパルス経済相(外務省閣僚級招へい)
2012年3月 アーボルティニャ国会議長(参議院議長招待)
リンケービッチ外相
2012年10月 ビルクス財務相
2013年4月 ドンブロウスキス首相
2015年8月 ヴィーチェ=フレイベルガ元大統領(WAW! 2015出席)
2015年10月 リンケービッチ外相
2017年1月 レイズニエツェ=オゾラ財務相
2017年12月 クチンスキス首相
2018年2月 ベルグマニス国防相(外務省閣僚級招へい)
2019年6月 ムールニエツェ国会議長(WPLサミット出席)
2019年10月 レヴィッツ大統領(即位の礼出席)
2019年10月 ネミロ経済相
2021年8月 レヴィッツ大統領夫人(東京パラリンピック競技大会出席)
2022年9月 インドリクソーネ経済相
2023年9月 ストゥルピシュ最高裁判所長官

6 二国間条約・取極

条約・取極
2000年 査証免除取極
2017年 租税条約
2023年 ワーキング・ホリデー協定

7 その他

  • 姉妹都市:神戸市とリガ市(1974年提携)、北海道東川町とルーイエナ町(現在は統合によりヴァルミエラ郡)(2008年提携)。
  • 友好議員連盟:日本では1996年7月、ラトビアでは1996年2月に設立。
  • 日本ラトビア友好 100周年記念(2021年)
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