イタリア共和国
イタリア共和国(Italian Republic)
基礎データ
令和4年11月1日


一般事情
1 面積
30.2万平方キロメートル(日本の約5分の4)
2 人口
6,036万8千人(2021年国連推計値。日本の約半分)
3 首都
ローマ
4 言語
イタリア語(地域によりドイツ語、フランス語等少数言語あり)
5 宗教
キリスト教(カトリック)が国民の約80%といわれる。
その他、キリスト教(プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教、仏教。
6 国祭日
6月2日(1946年、国民投票により、従来の王制に代わり共和制を政体とすることが決められた日)。
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1861年3月 | ヴィットーリオ・エマヌエーレII世、イタリア王国建設 (建国時の首都はトリノ、1864年にフィレンツェ、1870年にローマに遷都) |
1922年11月 | ファシスト党ムッソリーニ政権掌握 |
1929年2月 | バチカンとラテラノ条約調印 |
1943年7月 | ムッソリーニ政権崩壊 |
1945年12月 | キリスト教民主党首班の第一次デ・ガスベリ内閣成立 |
1946年6月 | 国民投票で王制廃止 |
1948年1月 | 共和国憲法施行 |
1962年2月 | 初の中道左派政権成立 |
1994年4月 | キリスト教民主党中軸の戦後政治の終焉 |
2006年4月 | 総選挙にて中道左派連合の勝利 |
2011年11月 | 経済再建のためモンティ首相率いるテクノクラート内閣発足 |
2013年2月 | 総選挙にて「五つ星運動」が躍進 |
2014年2月 | 共和国史上最年少のレンツィ首相率いる内閣発足 |
2018年6月 | コンテ首相率いる連立内閣発足(「五つ星運動」「同盟」) |
2019年9月 | 第2次コンテ内閣が成立(「五つ星運動」「民主党」「自由と平等」)(成立直後、民主党の一部が分かれて「イタリア・ヴィーヴァ(IV)」を設立、引き続き与党として参加) |
2021年2月 | ドラギ首相率いる左右超党派の内閣が発足(「五つ星運動」「民主党」「同盟」「フォルツァ・イタリア」「自由と平等」「イタリア・ヴィーヴァ」) |
2022年10月 | メローニ首相率いる右派系内閣が発足(「イタリアの同胞」、「同盟」、「フォルツァ・イタリア」) |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
セルジョ・マッタレッラ大統領(2022年2月就任(2期目)、任期7年)
3 議会
- • 構成 上院・下院の二院制で任期は両院共に5年(両院の権限は同等)。
上院:議席定数200+終身議員6(2022年10月現在) 会派 人数 「イタリアの同胞」 63 フ民主党・民主進歩主義イタリア 38 「同盟」・サルデーニャ行動党 29 「五つ星運動」 28 「フォルツァ・イタリア」・欧州自民党 18 「アツィオーネ」・「イタリア・ヴィーヴァ」・「リニュー・ヨーロッパ」 9 自治のために 7 「イタリア市民」・「我々穏健派」・在外伊人連盟運動 6 混合会派 7 現議席数(終身議員を含む。)
(注)終身議員1名が所属会派未決定。206 下院:議席定数400(2022年10月現在) 会派 人数 「イタリアの同胞」 118 民主党・民主進歩主義イタリア 69 「同盟」 66 「五つ星運動」 52 「フォルツァ・イタリア」・欧州人民党 44 「アツィオーネ」・「イタリア・ヴィーヴァ」・「リニュー・ヨーロッパ」 21 混合会派 30 現議席数 400
4 政府
- • メローニ内閣(2022年10月22日発足)
- (1)首相:ジョルジャ・メローニ
- (2)外務・国際協力相:アントニオ・タヤーニ
5 内政
- (1)コンテ政権の発足
- 2018年3月の上下両院議員選挙の結果を踏まえ、マッタレッラ大統領を中心とした各政治勢力間の連立協議を経て、同年5月に入り「五つ星運動」と「同盟」の間で「変革のための政権協約」が作成された。これを受け、同月31日、マッタレッラ大統領は、両党が推薦するジュゼッペ・コンテ・フィレンツェ大学教授を首班指名。6月1日、コンテ政権が発足した。その後、コンテ首相は、上下両院にて施政方針演説を行い、連立与党による「変革のための政権協約」の実行を約束。社会権の充実が政権の最重要事項であるとした上で、膨らむ財政赤字には、緊縮財政ではなく経済成長を通して削減すると述べた。
- (2)第2次コンテ政権の成立
- 2019年8月、インフラ計画等をめぐり「同盟」と「五つ星運動」の対立が再燃した結果、両党は連立を解消した。これを受け、マッタレッラ大統領は各議会会派と協議し、「五つ星運動」と「民主党」(中道左派)が連立形成に合意したことを受け、同年9月5日、第2次コンテ政権が発足した。
- (3)ドラギ政権の発足
- 2021年1月、欧州安定メカニズム(ESM)や欧州復興基金をめぐり、連立与党に属しレンツィ元首相が率いる「イタリア・ヴィーヴァ」所属の閣僚2名及び政務次官1名が辞表を提出。その後、上下両院におけるコンテ政権に対する信任投票はいずれも可決されたが、上院の信任投票において絶対多数の賛成を得られず、連立与党が上院で過半数を維持できなくなった結果、連立与党内でコンテ首相への辞任圧力が高まり、1月26日、コンテ首相はマッタレッラ大統領に対し辞意を伝達した。マッタレッラ大統領は、現在の緊急事態に対処するためとして、非政党内閣に信任を与えるよう全政党に呼び掛け、ドラギ前欧州中央銀行総裁を首班指名。2月13日、ドラギ政権が発足した。
- (4)メローニ政権の発足
- 2022年7月、ウクライナ情勢の影響を受けた国内経済支援策の中身をめぐり、連立与党の一角を担う「五つ星運動」が、支援策に盛り込まれた一部の政策に反対し、議会での投票を欠席したことを受け、ドラギ首相は辞意を表明。マッタレッラ大統領の要請により、ドラギ首相は議会において説明を行ったものの、その後の信任投票において、「五つ星運動」に加え、「同盟」及び「フォルツァ・イタリア」も投票に参加しなかったことから、ドラギ首相は再度辞意を表明。マッタレッラ大統領は、ドラギ首相の辞表を受け取り、議会解散・上下両院議員選挙の実施を決定。同年9月に行われた上下両院議員選挙の結果、「イタリアの同胞」を中心とする「中道右派連合」が過半数の議席を獲得して勝利。同年10月、メローニ「イタリアの同胞」党首が、イタリア史上初めての女性首相として首班を務めるメローニ政権が発足。
外交・国防
1 外交
- (1)全般
- 欧州統合の積極的推進及び大西洋同盟の強化、国連を始めとする多国間枠組みの重視がイタリア外交の基本方針。
イタリアは、その地理的、歴史的経緯から、地中海・中東諸国との関係も重視しており、2011年初頭からの北アフリカ・中東地域におけるいわゆる「アラブの春」の動きに際しては、民主化を目指す政治的転換及び改革を支持した。また、2015年から毎年、地中海地域における諸課題をハイレベルで議論する「地中海対話」を現地シンクタンクとともに実施。現在は、民主化及び経済の安定化のための支援、シリア難民への人道支援を行うことに力を入れているとともに、特にリビアの国民統一政府発足に向けた調整・支援において、2018年にシチリア(パレルモ)にて、リビアに関する国際会議を開催する等、主導的な役割を果たしている。
ドラギ政権においては、EU・NATO等に立脚した親欧州主義・大西洋主義という基本姿勢がより鮮明となり、環境問題や移民問題といった地中海特有のセンシティブな問題を共有する国との協力強化の姿勢を示している。 - (2)国際場裏における活動
- G7の一員として国際的な発言力を維持。2016年G7伊勢志摩サミットに続く2017年のG7議長国はイタリア。5月26及び27日、タオルミーナ(シチリア)においてG7サミットが開催された。
2017年の1年間、国際連合安全保障理事会非常任理事国を務めた。
2018年は欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国を務め、12月にミラノにて外相理事会を主催した。
2021年はG20議長国を務めるほか、英国とともに第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を共催した。
2023年は日本からG7議長国を引き継ぐ予定。 - (3)海外派兵
- 2022年時点、イタリア軍約9,400名が21か国において34任務に従事しており、イタリアは、NATO、EU及び国連等の任務への派遣を通じて国際平和のための実務的貢献を果たしている。
- (ア)レバノンにおいては、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に約1,200名規模の部隊を派遣中。
- (イ)対ISILへの有志連合に約1,100名を派遣中。
- (ウ)リビアの「二国間支援作戦(MIASIT)」に約400名を派遣中。
- (エ)地中海における難民問題対処のため、イタリア海軍による「安全な海作戦(Mare Sicuro)」に艦艇のほか、約750名の人員を展開中。
- (オ)NATOによるコソボへの国際安全保障部隊(KFOR)に約630名を派遣中。
2 国防
- (1)国防支出:
- 約228億ユーロ(2020年度)(GDPの1.4%)
- (2)兵役:
- 2005年から完全志願制に移行(志願制の任期は、1年~4年の期限付と終身の2種。)。
- (3)兵力:
- 陸海空軍:16.5万人
陸軍96,700人、海軍28,850人、空軍39,950人- 人件費削減を狙いとした軍改革を進行中
- 2024年:17万人から15万人に削減
- カラビニエリ(国防省警察):10.7万人
経済
1 主要産業
機械、繊維・衣料、自動車、鉄鋼
2 GDP
21,013億ドル(2021年:IMF推計)
3 一人当たり名目GDP
35,473ドル(2021年:IMF推計)
4 経済成長率(実質)
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
経済成長率(実質)(%) | 0.9 | 0.5 | -9.0 | 6.6 | 2.3 |
(出典:IMF、2021、2022年は推計値)
5 物価上昇率
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
物価上昇率(%) | 1.2 | 0.6 | -0.1 | 1.9 | 5.3 |
(出典:IMF、2021、2022年は推計値)
6 失業率
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
失業率(%) | 10.6 | 10 | 9.3 | 9.5 | 9.3 |
(出典:IMF、2022年は推計値)
7 総貿易額
- (1)輸出:
- 495,977百万ドル
- (2)輸入:
- 422,648百万ドル
(2020年:国連統計)
8 主要貿易品目
- (1)輸出:
- ア 医薬品、イ 自動車、ウ 自動車部品、エ 原油以外の石油
- (2)輸入:
- ア 自動車、イ 医薬品、ウ 原油、エ ガス
(2020年:WTO)
9 主要貿易相手国
- (1)輸出:
- ドイツ、フランス、米国、スイス、英国
- (2)輸入:
- ドイツ、中国、フランス、スペイン、オランダ
(2021年12月:ISTAT)
10 通貨
ユーロ
11 経済概況
- (1)2018年6月に成立した第1次コンテ政権は、緊縮財政ではなく、所得税率の引下げ(「フラット・タックス」)や失業者対策(「国民の所得」)といった拡張的財政政策により経済成長を促進し、経済成長を通じた税収増によって財政健全化を目指す方針を採った。また、2019年予算法の策定に際しては、財政赤字対GDP比の目標値をめぐって、欧州委員会と対立したが、トリーア経済財政相を中心にEU側と粘り強く交渉を行い、合意に至った。
- (2)2019年9月に成立した第2次コンテ政権は、EUとの協調姿勢を示しつつも、2020年予算法における低所得層への減税の必要性を強調し、付加価値税(IVA)の据え置き、子育て世帯への給付、投資環境整備、租税回避行動の取締等の施策が盛り込まれた。
- (3)新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内の経済活動が停止。中小企業担保基金等へのアクセス拡大、家計・労働者への補助金、金融システムへの補助、税金・社会保障費の支払猶予等、一連の経済政策が実施された。
- (4)コロナ禍からの経済活動の再開により、GDP成長率はプラスに転じたものの、ロシアによるウクライナ侵略を背景とする、エネルギー価格の高騰等の影響から、成長率は再び低調となっている。新型コロナウイルス感染症の拡大からの復興のため、2021年7月、EUの復興基金を活用した、総額2,350億ユーロ規模の「復興・強靱化国家計画(PNRR)」がEUにより承認され、ドラギ政権で定められた目標値の達成に向け、施策を実施。物価・エネルギー価格の高騰に苦しむ家計・企業に対する光熱費の支払への補助や減税措置等の政策を実施。
二国間関係
1 政治関係
- (1)両国は伝統的に友好関係にあり、G7等の場でも協力。
- (2)2016年は日伊国交150周年という節目の年に当たり、また、我が国がG7議長国であることから、多くの要人往来が実現した。3月、岸田外務大臣がローマを訪問し、また、5月には安倍総理大臣がフィレンツェ、麻生副総理・財務大臣がローマを訪問した。さらに、5月に秋篠宮同妃両殿下がローマ、ミラノ、ボローニャ、フィレンツェ等を公式に御訪問された。6月、木原外務副大臣及び若宮防衛副大臣がローマを訪問した。イタリア側からは、G7サミット関連会合のため、ジェンティローニ外相(4月)、マルティーナ農林政策相(4月)、ジャンニーニ教育・大学・研究相(5月)、ガッレッティ環境相(5月)、パドアン経済財政相(5月)、レンツィ首相(5月)、デルリオ・インフラ・運輸相(9月)が訪日した。
- (3)2017年3月、安倍総理はローマを訪問し、同年5月のG7タオルミーナ・サミットで議長を務めたジェンティローニ首相と日伊首脳会談を実施した。また、4月のG7ルッカ外相会合の機会には、岸田外務大臣がルッカを訪問し、アルファーノ外相と日伊外相会談を行った。5月には、ピノッティ国防相が訪日し、岸田外務大臣との間で防衛装備品・技術移転協定の署名を行った。さらに同5月、G7サミット出席のため、安倍総理はタオルミーナ(シチリア)を訪問した。同11月、国際会議WAW!2017参加のため、ボスキ官房長官が訪日した。
- (4)2018年6月、G7シャルルボワ・サミットに際し、安倍総理はコンテ首相と日伊首脳会談を実施した。9月、小野寺防衛大臣がローマを訪問し、トレンタ国防相と会談を行った。11月、河野外務大臣が「地中海対話」出席のため、ローマを訪問し、モアヴェロ=ミラネージ外相との会談、コンテ首相への表敬を行った。
- (5)2019年、我が国はG20議長国を務め、また、即位礼正殿の儀が執り行われたことから、多くの要人往来が実現した。4月、安倍総理大臣がローマを訪問し、コンテ首相と首脳会談を実施した。6月には、コンテ首相がG20大阪サミット出席のため、訪日した。8月、河野外務大臣が国際会議出席のためにヴェネツィアを訪問。10月、即位礼正殿の儀に参列するため、アルベルティ=カゼッラーティ上院議長が訪日した。12月には、若宮外務副大臣がローマを訪問し、「地中海対話」に出席した。イタリア側からは、G20サミット関連会合のため、チェンティナーイオ農林政策・観光相(5月)、トリーア経済財政相(6月)、ジェラーチ経済振興政務次官(6月)、コスタ環境・国土海洋保全相(6月)、クリッパ経済振興政務次官(6月)、コミナルディ労働・社会政策政務次官(9月)、スペランツァ保健相(10月)、ボナッコルシ文化財・文化活動・観光政務次官(10月)、デル・レ外務・国際協力副大臣(11月)が訪日した。
- (6)2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、要人往来が制限される中、3月、茂木外務大臣はディ・マイオ外相と電話会談を実施したほか、5月には、加藤厚生労働大臣とスペランツァ保健相、河野防衛大臣とグエリーニ国防相との間で、それぞれウェブ会議、電話会談が行われた。10月、菅総理大臣はコンテ首相と電話会談を実施した。
- (7)2021年は、イタリアがG20議長国を務めたことから、日本から多くの閣僚がイタリアを訪問した。3月、菅総理大臣はドラギ首相と電話会談を実施したほか、茂木外務大臣は、5月、G7外務・開発大臣会合(英国)の際、及び6月G20外務・開発大臣会合(イタリア・マテーラ)の際に、林外務大臣は、第2回G7外務・開発大臣会合(英国)の際に、ディ・マイオ外相と会談を実施した。
- (8)2022年4月、グエリーニ国防相が訪日し、岸防衛大臣と会談を実施した。5月には、岸田総理大臣はイタリアを訪問し、ドラギ首相と首脳会談及びワーキングランチを実施した。9月、故安倍晋三国葬儀にメッサ大学・研究相が参列したほか、レンツィ元首相も参列のため訪日し、岸田総理大臣と会談を実施した。
2 経済関係
- (1)日本の対伊貿易
-
- (ア)貿易額(2021年)
- 対イタリア輸出:5,492億円
- 対イタリア輸入:1兆2,733億円
- (イ)主要貿易品目(2021年)
- 対イタリア輸出:1)輸送用機器(27.6%)、2)一般機械(24.8%)、3)原料別製品(14.5%)、4)化学製品(12.8%)
- 対イタリア輸入:1)たばこ(18.8%)、2)医薬品(10.8%)、3)輸送用機器(10.0%)、4)一般機器(7.5%)
- (出典:財務省/貿易統計)
- (2)直接投資
-
- (ア)日本からイタリアへの直接投資残高は5,502億円(2020年末)。現在、イタリアに進出している日本企業は300社(2018年)。
- (イ)イタリアから日本への直接投資残高は1,437億円(2020年末)。現在、日本に進出しているイタリア企業は61社(2019年)。
- (出典:日本銀行/国際収支統計、海外在留邦人数調査統計、外資系企業総覧)
- (3)日伊ビジネス・グループ(IJBG)
- 1989年以降、両国民間企業人の間で日伊ビジネス・グループ会合が毎年開催され、日伊経済関係の強化のため活動している(日本側会長:斎藤株式会社IHI代表取締役会長、イタリア側会長:プロフーモ・レオナルド社CEOがそれぞれ会長)。2014年11月にトリノで第26回会合、2015年11月に仙台で第27回会合、2016年11月にミラノで第28回会合、2017年10月に金沢で第29回会合、2018年10月にナポリで第30回会合、2019年11月に東京で第31回会合が開催された。2020年以降は新型コロナの影響により会合の実施を延期。
3 文化関係
- (1)1954年に締結された日伊文化協定に基づき、これまでに文化混合委員会を10回開催。公的には国際交流基金のローマ日本文化会館及び東京にあるイタリア文化会館、民間では日伊協会(島田精一会長)及び伊日財団(ウンベルト・バッターニ会長)を始めとして数多くの企業・団体がそれぞれ文化交流事業を推進している。また、イタリアでの日本研究者の組織としては伊日研究学会(AISTUGIA)(1973年発足)が、日本でのイタリア研究者の組織としてはイタリア学会(1952年発足)がある。現在、日本研究で学士が取得できる5つの大学(ナポリ「オリエンターレ」大学、ヴェネツィア「カ・フォスカリ」大学、ローマ「サピエンツァ」大学、フィレンツェ大学、トリノ大学)では日本研究専攻学生の必須科目として、その他の大学では選択外国語科目として日本語が教えられており、イタリア国内における日本語学習者数は約7,000名程度とされる(国際交流基金2015年度日本語教育機関調査より)。
- (2)日伊国交150周年に当たる2016年、日本及びイタリア各地において、300を超える様々な文化事業が実施された。イタリアにおいては、5月に秋篠宮同妃両殿下御臨席の下での「コロッセオ・ライトアップイベント」点灯式が行われたほか、ローマ・クイリナーレ宮美術館での「日本仏像展」(7月~9月、文化庁主催)、ミラノ・レア-レ宮での「北斎・広重・歌麿」浮世絵展(9月~2017年1月)、クロージングではウッフィーツィ美術館での美術展「花鳥風月 屏風・襖にみる日本の自然」(10月~翌年1月、文化庁主催)など、多彩な日本文化紹介事業が開催され大きな反響を呼んだ。
- (3)例年、夏には、ローマ市内のテヴェレ川の中州であるティベリーナ島の映画祭「イゾラデルチネマ」において、日本映画の上映、日本酒紹介、伝統芸能の披露やデモンストレーション等が実施されるほか、イタリア最大のポップカルチャーの祭典である「ルッカ・コミックス&ゲームス」において日本文化紹介を実施している。さらに、スポーツ交流や、両国間の40の姉妹・友好都市交流を中心とした自治体間の文化イベントなども活発に行われているほか、世界遺産に登録されてさらにブームとなっている和食の普及、理解促進のための行事も各地で実施されており、2018年3月には日本から蕎麦打ち職人を招いて、ローマ市内で手打ち蕎麦イベントを実施し、好評を博した。また、2019年2月には日本茶大使による和菓子と緑茶の魅力紹介イベントを行い、同年9月の「ベネチア・ジャパン・ウィーク」においては、和食と日本酒のレクチャー・デモストレーションを実施し大きな反響を呼んだ。
- (4)2019年7月、ラグビーワールドカップ2019日本大会及び2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を広報すべくレセプションを開催し、ジョルジェッティ官房長官を始めとした政府関係者や伊日友好議員連盟メンバー、ラグビー・イタリア代表監督・選手のほか、多くのスポーツ選手が出席した。2026年冬季オリンピック・パラリンピックのミラノ及びコルティーナ・ダンペッツォでの開催決定を祝うとともに、これらの大会の機会に、スポーツを通じた日伊間の友好親善関係が一層強化していくことが確認された。
4 被災地支援
- (1)ラクイラ地震
2010年1月、2009年のラクイラ地震被害に対する日伊間の具体的協力として、日本の耐震技術を活用した体育館兼避難所の建設及び建築家の坂(ばん)茂氏の設計によるコンサートホールの建設のために、それぞれ576万ユーロ、60万ユーロが日本政府からイタリア側に供与された。コンサートホールでは、2011年5月7日、日本から指揮者の西本智実氏を迎え、落成コンサートが開催された。その他、日本で募られた義援金が、ラクイラ大学に対しその復興を目的として供与された。 - (2)東日本大震災
2011年3月11日の東日本大震災に際しては、ナポリターノ大統領ほかイタリア要人からお見舞いの言葉が寄せられた。4月5日にイタリア外務省で開かれた「日本に対する友情と連帯」会合(上院外交委員長、外相、教育相ほか出席)を始めとして、各地で我が国を支援するための官民の団体による多くの行事が開催された。また、2012年3月、駐イタリア日本大使公邸において追悼行事が行われ、ナポリターノ大統領等イタリア要人が参列した。 - (3)イタリア中部地震
2016年8月24日のイタリア中部地震に際しては、在イタリア邦人社会から被災地支援に向けた積極的な動きが見られた。こうした個別の取組を支援・後押しするため、在イタリア日本大使館から現地の商工会議所や日本人会に対し、義捐金募金実施の呼び掛けを行った。 - (4)新型コロナウイルス感染症
2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの犠牲者、医療状況のひっ迫が発生する中で、日本企業等が医療機器・物資の供給・提供を行う動きが見られた。
5 在留邦人数
14,020人(2021年)
6 在日イタリア人数
4,138人(2021年6月)
7 要人往来(2000年以降)
年 | 要人名 |
---|---|
2000年 | 河野外務大臣、森総理大臣 |
2001年 | 小泉総理大臣・田中外務大臣・塩川財務大臣(ジェノヴァ・サミット及び関連G8会合)、石原行政改革担当大臣 |
2002年 | 武部農林水産大臣(世界食糧サミット5年後会合)、坂口厚生労働大臣、竹中経済財政政策担当大臣、尾身沖縄及び北方対策担当大臣、片山総務大臣、清子内親王殿下 |
2003年 | 綿貫衆議院議長、常陸宮同妃両殿下、小池環境大臣、亀井農林水産大臣 |
2004年 | 竹中金融・経済財政担当大臣、石原国土交通大臣 |
2006年 | 河野衆議院議長 |
2007年 | 久間防衛大臣、鳩山法務大臣 |
2008年 | 福田総理大臣、甘利経済産業大臣、若林農林水産大臣、河野衆議院議長 |
2009年 | 麻生総理大臣、与謝野財務大臣、中川財務大臣、二階経済産業大臣、石破農林水産大臣、斉藤環境大臣、中曽根外務大臣 |
2010年 | 皇太子殿下 |
2012年 | 郡司農林水産大臣、小平国家公安委員会委員長 |
2014年 | 安倍総理大臣(6月、10月)、林農林水産大臣、茂木経済産業大臣、小野寺防衛大臣、甘利経済再生担当大臣、麻生財務大臣 |
2015年 | 林農林水産大臣(5月、7月)、甘利経済再生担当大臣、馳文部科学大臣 |
2016年 | 秋篠宮同妃両殿下、安倍総理大臣、麻生副総理・財務大臣、岸田外務大臣、馳文科大臣、木原外務副大臣、若宮防衛副大臣 |
2017年 | 安倍総理大臣(3月、5月G7タオルミーナ・サミット)、岸田外務大臣、麻生副総理・財務大臣、山本環境大臣、石井国土交通大臣、磯崎農林水産副大臣、あかま総務副大臣、小此木国家公安委員会委員長、大島衆議院議長 |
2018年 | 中根外務副大臣、齋藤農林水産大臣、堀井学外務大臣政務官、小野寺防衛大臣、河野外務大臣、阿部外務副大臣 |
2019年 | 安倍総理大臣(4月)、鈴木スポーツ庁長官、河野外務大臣、若宮外務副大臣 |
2021年 | 茂木外務大臣、麻生副総理・財務大臣、小泉環境大臣、鷲尾外務副大臣、長坂経済産業副大臣、都倉文化庁長官、武田総務大臣、萩生田文部科学大臣、井上内閣府特命担当大臣、野上農林水産大臣 |
2022年 | 岸田総理大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年 | アマート首相、ディーニ外相、ヴィスコ国庫相(九州・沖縄サミット) |
2001年 | ディーニ外相(「日本におけるイタリア2001年」開幕)、マルツァーノ生産活動相 |
2002年 | アレマンノ農林政策相、マルツァーノ生産活動相 |
2003年 | カジーニ下院議長 |
2004年 | モラッティ教育・大学・研究相 |
2005年 | ペーラ上院議長、スカイヨーラ生産活動相、ブッティリオーネ文化財・文化活動相 |
2007年 | プローディ首相、ダレーマ副首相兼外相、ルテッリ副首相兼文化財・文化活動相、デ・カストロ農林食品政策相、ビンディ家族政策担当相、ニコライス行政改革・革新相、パドア・スキオッパ経済財政相 |
2008年 | ベルルスコーニ首相、フラッティーニ外相、プレスティジャコモ環境・国土保全相、トレモンティ経済財政相、スカイオーラ経済振興相 |
2009年 | ナポリターノ大統領 |
2010年 | アレマンノ・ローマ市長 |
2012年 | モンティ首相、ディ・パオラ国防相、グリッリ経済財政相 |
2013年 | ダッスー副外相、アルキ副外相 |
2015年 | レンツィ首相、マルティーナ農林政策相、ピステッリ外務・国際協力副大臣、デッラ・ヴェドヴァ外務・国際協力政務次官 |
2016年 | レンツィ首相、ジェンティローニ外相、パドアン経済財政相、マルティーナ農林政策相、ガッレッティ環境相、デルリオ・インフラ・運輸相、ジャンニーニ教育・大学・研究相 |
2017年 | ピノッティ国防相、ボスキ内閣官房長官、アメンドラ外務・国際協力政務次官、スカルファロット経済振興政務次官 |
2019年 | ボルゴンゾーニ文化財・文化活動政務次官、チェンティナーイオ農林政策・観光相、モアヴァロ=ミラネージ外務・国際協力相、コンテ首相、トリーア経済財政相、ジェラーチ経済振興政務次官、コスタ環境・国土海洋保全相、クリッパ経済振興政務次官、アルベルティ=カゼッラーティ上院議長、コミナルディ労働・社会政策政務次官、スペランツァ保健相、ボナッコルシ文化財・文化活動・観光政務次官、ラ・ルッサ上院副議長、カルファーニャ下院副議長、スカルファロット外務・国際協力政務次官、デル・レ外務・国際協力副大臣 |
2021年 | ヴェッツァーリ首相府政務次官(東京オリンピック・パラリンピック) |
2022年 | グエリーニ国防相、メッサ大学・研究相、レンツィ元首相 |
8 二国間条約・取極
- (1)1866年
- 修好通商条約
- (2)1913年
- 通商航海条約
- (3)1932年
- 原産地証明手数料相互免除取極
- (4)1937年
- 司法共助取極
- (5)1953年
- 船舶の内国民待遇暫定的許与取極
- (6)1954年
- 文化協定
- (7)1955年
- 通商議定書及び取極
- (8)1956年
- 一部旅券査証及び査証料相互免除取極
- (9)1962年
- 航空協定
- (10)1963年
- 査証免除取極
- (11)1969年
- 租税(所得)条約及び議定書
- (12)1972年
- 請求権解決に関する取極
- (13)1973年
- 原子力平和的利用協力取極
- (14)1988年
- 科学技術協力協定
- (15)2009年
- 社会保障協定署名(未発効)
- (16)2012年
- 税関相互支援協定
- (17)2016年
- 情報保護協定
- (18)2017年
- 防衛装備品・技術移転協定
- (19)2022年
- ワーキング・ホリデー協定
9 外交使節
- (1)イタリア駐箚日本大使 大江 博
- (2)日本駐箚イタリア大使 ジャンルイジ・ベネデッティ