大規模校ならではの大きくて立派な校舎
スペインでは、教育法に定められた基本的枠組みの中で、17の自治州に教育制度に関する自治を認めています。そのため、各自治州によってカリキュラムの内容は異なります。例えば、カタルーニャ州やバスク州など、スペイン語以外の公用語を持つ自治州では、州公用語の授業が義務化されています。
義務教育は6歳から15歳までの10年間で、義務教育修了後の進学先は、高校または中等職業学校に分かれていて、それぞれ2年間通います。大学に進学するには、日本のセンター試験にあたる国家試験を受けます。その国家試験の成績と、それまでの学業成績の総合評価によって、進学する大学が決まります。
今回取材したサン・ビアトル校は、1832年にフランスで創立されたサン・ビアトル牧師会付属学校の流れをくむ、私立カトリック系の学校です。幼稚園から高校まで合わせると生徒数が1323人になる、大規模な学校です。同校では、大規模な学校ならではの悩みとして、休み時間の調整があります。小・中・高別に時間割をずらして、限られたスペースの食堂と運動場を、全生徒が有効に利用できるように工夫しているのです。
また、外国人移民の急増が新たな社会現象となっているスペイン社会の例に漏れず、同校の周辺地区でも移民人口が急増しています。そのため、文化・習慣・宗教などが異なる移民子女がうまくクラスにとけ込めるようにすることが、最近の重要な課題の一つとなっています。
小学校の授業風景
カトリック系の学校ならではのユニークなカリキュラムとして、週に2回、キリスト教の授業を受けることが義務付けられています(公立学校では宗教授業は週1回の選択制です)。課外行事にも力を入れていて、毎年春に開催されるセマナ・デ・リブロ(読書週間)は、今年で23年を迎える伝統行事です。読書週間には特定の作家に焦点をあて、生徒たちはその作品について発表や展示などを行い、作品に対する理解を深めています。
また、課外授業が全国レベルに発展した例として、学術研究コンクールがあります。生徒の想像力・探求心などを高めるために始まったコンクールは、中央・州政府や関係機関、企業などの協賛も得ており、今年で7年目を迎えています。
高校の授業風景
同校ではスポーツが大変盛んで、特にバスケットボール、器械体操、サッカーは全国大会でも優勝したことがあります。夏季休暇は3ヵ月と長く、家族と過ごしたり部活動に励んだりして有意義に過ごしているようです。
中学生以下の生徒たちの間では、日本のアニメやゲーム機の人気が高いようです。高校生になると、奈良や京都などの有名な観光地や、高度なテクノロジーに関心を持ち始め、去年は同校から文部科学省による高校生派遣プログラムに応募した生徒もいました。おおむね生徒たちの日本への関心は高いようです。
財団法人世界の動き社発行月刊「世界の動き2006年12月・2007年1月号」より