在外公館医務官情報

レバノン

2010年10月

1.国名

 レバノン共和国(ベイルート)(国際電話国番号961)

2.公館の住所・電話番号

 休館日:土・日曜日

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 中東で唯一砂漠の無い国ですが、一部の街路樹、公園を除き、ベイルート市内に緑はほとんどありません。マラリアの流行地域ではありませんが、流行地で罹って発病する例が無いわけではありません(保健省情報では2003年には34例が発生していますがいずれも輸入感染です)長期滞在外国人・旅行者のマラリア予防は不要です。気候は海岸部が地中海性気候、レバノン山脈とアンチ・レバノン山脈は山岳気候、2つの山脈に挟まれたベカー高原は大陸性気候と3種に大別され、首都ベイルート市は海岸に面し、地中海性気候です。ベイルートの夏は蒸し暑いので、レバノン人もこの時期には山岳地方に移動、日中だけベイルートでの仕事に降りて来るという生活を送る人が多いようです。また、ベイルート市内の交通量は多く、整備されていない中古車も多数走っており、排気ガスによる大気汚染は問題です。公的発表はありませんが、目が痛い、頭が重い、などの症状を伴う光化学スモッグの発生する日もあります。交通事故は10万対死亡数が10.2 と日本の2倍強もあるので、自動車の運転に注意することはもちろん、交通事故に巻き込まれないことが重要です。ベイルート市内は道路状況および交通道徳が劣悪で、レンタカーの運転はお勧めできません。ベイルート・サイダ・トリポリなどの比較的大きな町では道路標識が英語表記もありますが、地方ではアラビア語だけの記載しかないところが殆どです。水道水は軟水で消毒処理はされ順次新しい水道管に変えていますが、古いままの水道管もあり、 住居のアパートのタンクの管理状況等にもよりますが、口ゆすぎ程度の使用以外は飲用に適しません。飲料水としては市販のミネラルウォーターを使用することをお勧めします。医療水準はベイルート市内の限られた病院では日本と同程度の医療を受けることが出来ます。病院の受診には救急外来を除き予約が必要です。日本語で対応可能な病院はありませんが、ほとんどの医師は英語・フランス語で受診することが出来ます。

5.かかり易い病気・怪我

 レバノンに特有な流行性疾患(感染症・風土病)はありませんが、不衛生な食べ物や水をとることによって起こる腹痛・嘔気・嘔吐・下痢、 時に発熱という症状を呈する、感染性胃腸炎、夏季のエアコン使用による体の冷えから来る下痢、疲労、車両の排気ガスによる大気汚染による鼻炎、上気道炎等が目立ちます。その他かかりやすい病気として次のようなものがあります。

(1)腸チフス

 汚染された水や食物を摂る事で感染します。2000年の夏は、北部での発生が報告されています。潜伏期間は7日から14日で、高熱が続き、消化器症状は便秘や肝機能障害です。

(2)肝炎

 ウイルス感染症はレバノンではA型肝炎・B型肝炎・C型肝炎のいずれも認めます。2003年にはA型616例、B型204例、C型51例の発生が報告されています。A型肝炎はウイルスに汚染された食物や水を経口摂取することで感染する肝炎です。風邪のような症状、全身倦怠感、食欲不振、尿の黄染(小水が紅茶の色のようになる)などの症状と、黄疸が出現します。B型肝炎は血液や体液を介して感染する肝炎です。レバノンのB型肝炎のキャリアー頻度は2003年の調査では2.2%となっており、日本よりやや高いです。輸血に際しての注意が必要です。C型肝炎も存在します。

(3)結核

 WHOによる報告では2006年の結核発生率は、人口10万対で11と日本の22に比べ半分となっています。

(4)大麻・ヘロイン等による薬物中毒

 麻薬は厳しく取り締まられていますが、一部で不法な取引が行われており、麻薬中毒発生例があります。

(5)狂犬病

 ベカー高原で2002年度に数例の発生報告があり、動物との接触があり、医療機関受診が容易でない地域へ住む場合は必要です。ベイルートでの発生報告はありません。

6.健康上心がける事

(1)夏期は日射しが強いので日焼けに注意して下さい。外出の際は帽子をかぶることをお勧めします。また、強い紫外線から眼を保護するためにサングラスの着用が有効です。ベイルート市内は蒸し暑いといわれていますが日本よりも乾燥しています。知らない間に水分が不足して熱中症に至ることもありますから夏期外出の際は水分の補給に注意して下さい。

(2)道路状況は悪く、交通道徳も日本とは違います。また自動車を運転される時は特に雨の日などは路面が大変滑りやすく街路灯もほとんどありません。交通事故には十分注意して下さい。また歩行の際の転倒にも十分注意して下さい。

(3)ベイルート市内の水道は消毒されていますが、水は煮沸しても飲用できません。また7月から11月上旬まで断水となり、市内ホテルでは自家の井戸水を利用しますが、消毒はされておらず地域によっては塩分を含み汚染されています。ミネラルウォーターを使用することを強くお勧めします。

(4)2006年のイスラエルとの紛争の時に爆撃を受けた原油貯蔵庫から流出した原油でレバノンの海岸は汚染されました。現在汚染された海岸の処理はだいぶ進んでいますが、場所によっては海水浴に適切でない箇所もあるので注意して下さい。

(5)日本とは文化・生活習慣が異なります。長期滞在の時は特にストレスをためないようにして下さい。

(6)レバノンの南部では依然として2006年の紛争の際に投下されたクラスター爆弾の不発弾が処理されずに残っている地域があります。野外活動の際は安全が確認されていないところへの立ち入りを止めて下さい。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者に必要な予防接種

成人:破傷風、A型肝炎、B型肝炎

小児:本邦で必要な定期予防接種(ポリオ、三種混合、麻疹)が薦められます。当地で追加的として必要なものは、現地の医療機関で相談し接種するのが一般的です。ツベルクリン反応及びBCG接種は実施されていません。

(2)レバノンの小児一般接種

レバノンの小児一般接種
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 実施されていません
ポリオ(OPV) 2ヶ月 4ヶ月 6月 15~18ヶ月 4~6歳 11~12歳
DPT 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 4~6歳  
MMR 15ヶ月 10歳        
B型肝炎 出生時 1ヶ月 6ヶ月      
インフルエンザB 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月      

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 保育園も含めて現地の学校に入学する場合、ポリオ、三種混合、麻疹、風疹、ムンプス、B型肝炎、ヘモフィルスインフルエンザワクチン(Hib)の接種証明書が要求されます。

8.乳児健診

 レバノンで出生した子供には3カ国語(アラビア語・英語・フランス語)で記載された、日本の母子手帳のような手帳が交付されます。手帳の中には小児が受ける予防接種のスケジュールが記載されていますが乳児健診に関しては、行政で決められていません。 乳児健診に関しては保護者の任意で行われています。就学後は年に一度の健康診断が学校で行われます。

9.病気になった場合(医療機関等)

 いずれも完全予約制で、前もって電話されることをお勧めします。いずれの医療機関も救急部門があり予約が無い場合は救急部門を受診してください。いずれも受診料は非常に高額です。入院の場合は相当額の預託金を請求されます。ベイルートの医療事情は都市部では、日本に比し、同程度の高度医療を受けることが出来ますが、ベイルート以外では、相当な格差がありプライマリー・ケア以外の医療をうけることは厳しいと言わざるをえません。地方旅行の際はご注意ください。地方での緊急時には以下の私的医療移送サービス(医師付きの救急車)にコンタクトし、ベイルートの病院へ移動するのがベストです。ベイルート国際空港内にはレバノン保健省直轄のクリニックがあります。到着時の際の受療が可能です。

◎ベイルート市

(1)CMC(クレマンソー・メディカル・センター)

所在地:Clemanseau ハムラ通り中央銀行交差点を北上右手

電話:(01)-372888 Hot Line 1240

ホームページ:http://www.cmc.com.lb/他のサイトヘ

概要:開院およそ2年で全米最高峰医療機関のジョンズ ホプキンス メディスン インターナショナルと提携している私立病院です。24時間の救急体制をとっています。最新の医療機器が完備されて高度な医療も受けることが出来ます。小児科も専門医、充実した入院設備があります。外国人向け相談窓口がありますが、日本語は不可です。 英語・フランス語・アラビア語です。邦人は小児科・産科(分娩)・婦人科・内科の受診・入院実績があります。

(2)AUH(アメリカン大学医学部付属病院)

所在地:Hamra ハムラ通りからカイロストリートを北に進み突き当たり

電話:(01)-350000

ホームページ:http://wwwlb.aubmc.org.lb/users/index.asp他のサイトヘ

概要:最新の医療設備が完備した大学付属の総合病院です。英語・フランス語・アラビア語が通用し、日本語は不可です。カード支払可能です。また保証金が必要です。 内科等で邦人の診療実績があります。

(3)Trad Hospital & Medical Center(トラド病院)

所在地:Clemenceau

電話:(01)-369494

ホームページ:http://www.hopitaltrad.com/他のサイトヘ

概要:ベイルート中心部にあり、二次医療まで対応します。英語・フランス語・アラビア語での受診となります。日本語は不可です。産科・小児科(新生児・乳児)の診療実績があります。産科はレバノンでは特に有名です。カード支払可能で、また保証金が必要です。

(4)Hotel Dieu de France(オテル・デュー病院)

所在地:Achrafieh地区のSassine Sq. からAlfred Naccache St. 南へ下り右手

電話:(01)-615300、615400

概要:サン・ジョゼフ大学医学部付属病院 英語・フランス語・アラビア語での受診となります。日本語は不可です。カード支払可能ですが、保証金が必要です。

10.その他の詳細情報入手先

ホームページ

11.現地語一口メモ(アラビア語)

医師 ハキーム

内服薬 ダワ

注射 イブレッ

頭痛 ワジャア

胸痛 アラム ビル マーイダ

咳 サアリ

腹痛 アラム ビル マーイダ

下痢 イスヘール

発熱 ハラーラ

吐き気 ムラジャア / タカイユ

傷 ジャラハ

具合が悪い アナ マリードッ(男性) アナ マリーダッ(女性)

病院へ連れて行ってください イザ ビトリ

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