2010年10月
エストニア共和国(タリン市)(国際電話国番号372)
首都タリン市はバルト海に面する港湾都市で、寒暖の差は海洋の影響もあり内陸の都市ほどではありません。概ねヘルシンキやストックホルム等の北欧の都市の気候とほぼ同じです。冬季には寒さが厳しく12月から3月にかけては、街は雪で覆われます。
病院の衛生環境、医療水準、設備等は、一般的な診療を受ける分には一応問題はないレベルでですが、最新の医療設備や検査機器は期待できません。国の規模が小さいためにすべての疾病・外傷に対応しきれず傷病等の重症度によっては、とりあえず現地での応急処置を受けた後にバルト海対岸のヘルシンキに行って治療するのも選択肢の一つとなります(ただし、ヘルシンキ等北欧の医療費は非常に高額です)。高度な治療が必要な場合は、西ヨーロッパや日本へ移送を要することも考えられ、移送には高額な費用が必要となるため、海外旅行者保険などで十分な保険をカバーしておくことをお勧めします。
インフルエンザを含む上気道感染や、春先から秋にかけての花粉症は、よく見られる病気です。また、年間を通じてサルモネラや赤痢によるまたはウイルス性の下痢(感染性腸炎)が散発的に見られます。
この他に注意の必要な病気としては、春から夏にかけ、森林、草地でマダニが媒介する感染症があります。ダニ脳炎はウィルス性脳炎で、主に中央ヨーロッパから北欧、旧ソ連地域に広がる風土病です。首都タリン市を含め国土の大部分が、感染する可能性がある汚染地帯となっています。1週間から2週間程度の潜伏期の後に、夏風邪のような症状が数日続きます。続いて1週間程度の間隔を開けて、頭痛、意識障害、麻痺、感覚障害等の症状が出てきます。発症した場合は、致死率が1%〜5%程度あり、頚部から上腕の麻痺等の後遺症が残りやすい厄介な病気です。予防のためのワクチンがあります。通常3回の接種で4〜5年有効であり、長期に滞在する者には接種が勧められます。日本では接種できませんが、当国で接種することが出来ます。
ダニはライム病という病気も媒介します。こちらは細菌感染症です。感冒様症状や発赤などの皮膚症状ではじまり、ついで心血管系、中枢神経系の病変がみられ、その後関節、皮膚などに慢性病変がみられるようになります。感染してしまったら抗生物質での治療が必要です。
水道水はかなりの硬水で河川・海洋の汚染や古い水道管からの赤錆等の問題が見られることから、飲料水としてはミネラルウォーターをお勧めします。
冬季は寒さが厳しく、外出にあったては帽子、マフラー、手袋、厚い靴等の防寒具が必要です。また道路が凍結し滑り易いので、注意が必要です。
日本と比べて空気が乾燥しており、皮膚病の予防が大切です。入浴後にクリームやローションで保湿するなどスキンケアに心掛けましょう。特に冬季の室内は暖房のために、かなり乾燥するので加湿器の使用も有効です。
風邪やインフルエンザなど上気道感染症の予防策としては、外出から戻った際は手洗いとうがいを励行しましょう。
ダニ媒介性の感染症を防ぐためには、マダニが活動する時期に森林など近寄らないのが賢明ですが、やむなく草原や森林で野外活動を行う場合には、マダニに刺されないように、虫除けを用いたり長袖、長ズボン、帽子を被るなど肌を露出しない服装を心掛ける必要があります。野外活動愛好家は、ダニ脳炎の予防ワクチン接種をお勧めします。
またダニ脳炎は、感染した家畜の生乳を飲むことで感染することもあります。2005年5月、6月には当国で27例のウィルス性ダニ脳炎の流行が報告され、調査の結果、タリン市のスーパーマーケットで売られていた生のヤギの乳を飲んだことが原因と判明しました。こうしたケースは少なくとも1990年、1992年、2004年にも起きているため今後もヤギの生乳の摂取には注意が必要です。
入国に際して必要な予防接種は特にありませんが、以下のものをお勧めします。
成人:破傷風トキソイドの追加接種
小児:基本的に日本での定期予防接種を受けてきて下さい。日本の定期予防接種で不足するエストニアで推奨されている予防接種については、現地の小児科医と個別に相談して下さい。
| 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 生後1〜5日 | |||||
| DPT | 3ヶ月 | 4.5ヶ月 | 6ヶ月 | 2歳 | 6〜7歳 | 15〜16歳(dT*) |
| ポリオ(IPV) | 3ヶ月 | 4.5ヶ月 | 6ヶ月 | 2歳 | 6〜7歳 | |
| Hib | 3ヶ月 | 4.5ヶ月 | 6ヶ月 | 2歳 | ||
| B型肝炎 | 出生時 | 1ヶ月 | 6ヶ月 | |||
| MMR | 1歳 | 13歳 |
*:DTPワクチンはすべてDTaP(aP:無菌型百日咳)、6回目は2種混合(破傷風+低容量ジフテリアトキソイド)による追加接種です。
(3)現地校に入学する場合には必ず以前実施した予防接種の証明書を提出しなければなりません。
ホームドクターが中心となって実施します。スケジュールには下記のようなものがあります。
1週間 へその状態、キサントクロミー
2週間 キサントクロミー、体の反応、筋緊張、大腿動脈拍動、股関節形成異常(大腿・臀部の皺の対称性、内外転)、大泉門
3週間 キサントクロミー
1カ月 身体測定(頭囲、身長、体重)、内臓検診、ワクチン接種
2カ月 身体測定(頭囲、体重)、股関節、生殖器(停留睾丸)
3カ月 身体測定(頭囲、身長、体重)、内臓、股関節、診断(重度脳性麻痺、染色体異常、重度発育異常、心臓の異常、重大な視覚障害、難聴)、ワクチン接種
4.5カ月 身体測定(頭囲、体重)、内臓、股関節、ワクチン接種
6カ月 身体測定(頭囲、身長、体重)、内臓、股関節、ワクチン接種
7カ月 身体測定(頭囲、身長、体重)、乳歯
8カ月 身体測定(頭囲、体重)、内臓、股関節
9カ月 身体測定(頭囲、身長、体重)、内臓、血液検査(9〜12カ月、鉄欠乏性貧血)
10カ月 内臓
11カ月 身体測定(頭囲、体重)
12カ月 内臓、生殖器、ワクチン接種
救急車を依頼する時の電話番号は112です。救急車を利用した際には、以下の(2)、(3)の病院にまず収容されます。
所在地:Kaupmehe 4,10114 Tallinn
電話・ファックス(代表):電話 604-072、ファックス 605-9699
概要:市内中心部にある私立クリニック。小児科、循環器科、産婦人科、皮膚科等の専門各科。英語可。
所在地:19 J. Sutiste Road, 13419 Tallinn
電話・ファックス(代表):電話 617-1300、ファックス 617-1200
概要:612床を有する、エストニアで最大規模の総合病院(小児に関しては、4)の小児病院を受診することになります)。24時間の救急部門があります。医療診断機器、集中治療室等良く整備されています。
所在地:Ravi str. 18, 10138 Tallinn
電話・ファックス(代表):電話 620-7000、 ファックス 620-7002
概要:総合病院。脳外科と心臓外科以外は殆どの科があります。医療設備もよく整備され、CTもあります。コンピューターによる管理システムが出来上がっていて情報を共有しています。24時間の救急部門があります。
所在地:28 Tervise, Tallinn
電話・ファックス(代表):電話 697-7113、ファックス 697-7143
概要:North-Estonian Regional Hospitalの関連病院。小児科専門病院。医師は英語可。
所在地:4 Toompuiestee, Tallinn
電話・ファックス(代表):電話 611-9230、ファックス 631-1274
概要:旧市街近くにある総合歯科クリニック。
在エストニア日本国大使館 領事部
電話:631-0531(代表)
英語での受診が比較的良好であるため、省略します。