2008年8月
メキシコ合衆国(メキシコシティ、カンクン)(国際電話国番号52)
メキシコ全体の気候は緯度・高度・山脈の走行・気圧・降雨・海流などの要因により多様性に富んでいます。北部は乾燥していて、夏と冬の気温差は激しい一方で、南部は1年中高温多湿です。首都メキシコシティは標高2240メートルの高地に位置しており、気候は年間を通じて温暖で、最も寒冷な12月と1月で東京の秋程度、一番暖かい4月から7月で東京の初夏程度です。1年を11月~4月の乾期と5月~10月の雨期に大別できます。メキシコシティでは、90年代初めより大気汚染が深刻化しており、特に乾期には光化学スモッグが問題となっていましたが、近年ディーゼル車の制限や排気ガス点検の義務化によって改善に向かっています。しかし、非営利の環境団体「ブラックスミス研究所」の2007年環境汚染地域「The Dirty Thirty」の中で、メキシコシティは世界最悪の大気汚染都市であると発表されました。また、メキシコシティの水道水からも大腸菌が検出されることが多く、高級なレストランでの食中毒も頻発しています。
アメリカの隣国であり、医療レベルも一定の水準にあります。都市部の私立病院の中には、アメリカと比較しても遜色ない設備の整った病院もあります。ただし、公立病院では予算不足によって機材や設備の老朽化、医薬品の不足などが問題となっており、満足な治療が受けられない場合があります。医師以外は、英語の通じない病院スタッフがほとんどです。スペイン病院などの私立病院での医療費支払いはクレジットカードが便利です。診察が1万円(医師は病院から独立しているので診察費は別会計です。)、血糖検査1500円、MRI検査9万円などです。また、入院の室料が1万円から8万円程度です。例えば、市立病院に下痢・嘔吐による脱水で入院した乳児が血液検査・抗生物質を含む点滴を受けて3日間の入院で17万円程度となります。従って、海外旅行傷害保険に入っておくことをおすすめします。
(1)標高2240メートルのメキシコシティでは、邦人の多くが軽症の高山病に悩まされています。高地適応については年齢因子よりも個人差がありますので元気な若者でも症状が出ます。頭痛、吐き気、腹部膨満、動悸、息切れ、倦怠感、不眠等の症状が見られます。対策としては無理に動き回らないこと、アルコール摂取を控えることや水分を多めに摂取することです。
(2)アメーバ赤痢:汚染された飲食物から感染します。潜伏期は2-3週間とされますが、数ヶ月―数年のこともあるようです。症状は腹痛、下痢です。重症では腸穿孔や肝膿瘍があります。治療はメトロニダゾールなどの薬物療法です。
(3)ジアルジア:(2)と同じく経口感染です。潜伏期は2-8週間です。症状は腹痛・下痢・肝障害などです。治療はメトロニダゾールなどの薬物療法です。
(4)寄生虫(蟯虫、回虫、条虫)は全国的に見られます。生野菜などに気をつけましょう。
「地域性のある病気」
(5)腸チフス(多発地域:タマウリパス・シナロワ州)パラチフス(チアパス・ベラクルス州):汚染された食物や水から感染し、潜伏期は10-14日間で、発熱、下痢、腸出血を起こします。抗菌剤で治療します。
(6)赤痢(オアハカ・ゲレロ州):同じく経口感染です。1-3日の潜伏期間の後、下痢、発熱、腹痛を起こします。抗生物質などで治療します。
(7)デング熱(オアハカ・ゲレロ州):蚊に刺されることによって感染します。感染3-7日後、突然の発熱、関節痛などを起こします。重症化すると鼻出血や消化管出血などを起こします。治療は適切な点滴治療です。予防接種はありません。
(8)マラリア(チアパス・オアハカ州):当国では三日熱マラリアがほとんどです。蚊に刺されることにより感染します。10日-1ヵ月の潜伏期間後、始め毎日、その後1日おきに発熱します。クロロキンなどの薬物治療をします。
(9)サソリ:メキシコ市内でも散見されますが毒性は弱く、モレロス州に毒性の強いサソリが生息しているとのことです。刺されたらサソリを捕獲して救急外来に受診ください。
(1)屋台のタコスやアイスクリ-ムなどは細菌が発育しやすく、温度管理が悪いと病原菌が急激に増加します。これにより赤痢、腸チフス、食中毒菌などに感染する恐れがあります。
(2)生水を飲むのは避けましょう。水道水はミネラル分が多く、胃腸の弱い人は下痢を起こします。また、メキシコシティにある高級なアパートの水道水から大腸菌が高率に検出されます。地元紙の調査によると地域により都市部でも水道水からカドミウム・ヒ素・クロム・水銀・鉛などが基準値を超えて検出されています。
(3)都市部では、治安が悪化していますので外出して運動する機会が少なくなりがちです。駐在される方はスポーツクラブなどで身体を動かす機会をつくるように努めましょう。
(4)近年、日本からの観光客も増加しています。旅行中に体調をくずし、急死される高齢者の方やロスカボス・カンクンなどで水の事故に遭われる方が目立っています。時差ボケだけでなく、メキシコは国土が広いため、気候も多種多様で疲労が蓄積します。余裕を持った旅行スケジュールを立てられることをおすすめします。
(5)地元病院の検査室によると寄生虫が頻繁に検出されるとのことです。野菜についてはスーパーの同じコーナーで消毒液を売っています。これを利用されることをお勧めします。またメキシコでは1999年に使用禁止になっている「塩酸クレンブテロール」が牛の枝肉成績を向上させるために使われていることがあり、毎年この薬物による食中毒が報告されています。肉は肉屋で買わず、品質基準の比較的厳しいスーパー(WAL MARTやCOMERCIAL MEXICANAなど)で購入しましょう。
(6)メキシコシティでは一時期より改善したとはいえ大気汚染は深刻です。現在でも粒子状汚染物質(PM10;空気中に漂う直径が10マイクロメートル以下の物質。)やガス汚染物質(OZONE)を指数化して警報を発令しています。「ブラックスミス研究所」によるとメキシコシティではオゾンがWHO基準を年間300日超えています。400万台の車両と旧型車も多く、さらに2000メートルを超える標高と盆地であることなどが原因と言われています。「PM10の10%削減で毎年3000人の命が救われ、慢性気管支炎の新規発症を1万人減らすことができる。また、オゾン濃度を10%減らせば300人の命が救われる。」と報道されました。オゾンとPM10が大きな問題となっているのです。PM10は肺の奥まで入り込みそのまま体内に取り込まれてしまうため、気管支の炎症やアレルギー、肺実質の繊維化や結節性変化が起こります。OZONEは光化学スモッグの原因で、目やのどの刺激症状やひどい時には呼吸困難、視力低下、頭痛、胸部痛といった症状が見られます。交通量の多い地域を長時間歩くことは避けましょう。また、帰宅後はうがいや手洗いをしてください。
(7)一般に高地では紫外線量が強く、有害紫外線は大気汚染物質に吸収されるので大気汚染のない晴れた日は特に有害な紫外線に注意しなければなりません。皮膚炎、色素沈着、皮膚癌、結膜炎や白内障の原因になります。外出時は日焼け止めを塗り、サングラスを着用しましょう。
赴任者に必要な予防接種:A型肝炎、B型肝炎はメキシコの都市部でも比較的多く見られますので日本で受けておくことをお勧めします。破傷風の予防接種も大切です。なお最近、犬に噛まれる在留邦人例が散見されますので、時間的な余裕があるならば狂犬病の予防接種も考慮しておいたほうが良いでしょう。メキシコシティの医療施設(複数)で確認したところ、いずれも狂犬病患者は「診たことがない。」とのことです。しかし、犬・コウモリ・ネズミに対する注意喚起の「狂犬病予防キャンペーン」は全国的に行われています。
| ワクチン名 | 対象疾患名 | 回数・目的 | 年齢 |
|---|---|---|---|
| BCG | 結核 | 1回のみ | 出生時 |
| SABIN | ポリオ経口ワクチン (不活化ワクチンに移行中) |
予備 | 出生時 |
| 1回目 | 2ヶ月 | ||
| 2回目 | 4ヶ月 | ||
| 3回目 | 6ヶ月 | ||
| 追加 | |||
| PENTAVELENTE DPT+HB+Hib |
ジフテリア、百日咳、破傷風、B型肝炎、 インフルエンザ菌b型 |
1回目 | 2ヶ月 |
| 2回目 | 4ヶ月 | ||
| 3回目 | 6ヶ月 | ||
| DPT | ジフテリア、百日咳、破傷風 | 1回目補強 | 2才 |
| 2回目補強 | 4才 | ||
| 3種混合(SRP) | 麻疹、風疹、流行性耳下腺炎 | 1回目 | 1才 |
| 2回目 | 6才 | ||
| SR | 麻疹、風疹 | 追加 | |
| Td | 破傷風、ジフテリア | 補強 | 12才以降 |
| B型肝炎 | B型肝炎 | 1回目 | 12才以降 |
| 2回目 | 12才以降1ヶ月後 |
在留邦人の子供たちが通う主な幼稚園やインターナショナルスクール入学時は予防接種歴を提出します。その際、特別にワクチン接種を指示されることはないようです。
生後1歳までは1ヵ月おきに受診。その後2歳までは3ヵ月おき、そして3歳から6歳までは6ヵ月おきの健診が勧められています。日本人の受診も多く日本語のできる飯室クリニックでは毎月1回6ヵ月まで健診を受けることを勧めています。そして1歳の歳にもう一度受診します。これは当地の予防接種スケジュールを満たすためでもあります。診察料は約6000円です。
メキシコシティやカンクンなど、観光客がよく利用する大きなホテルには、ホテルと契約している医師がいます。緊急の際には部屋まで往診してもらえるし、重症の場合、医療機関への手配も行ってくれます。以下にある総合病院では24時間対応で、小児科についても受け付けています。
「総合病院」
(1)THE AMERICAN BRITISH COWDRAY HOSPITAL(ABCホスピタル)
所在地:Sur 136 No.116, Col. Las Americas , Mexico, D.F.
電話:(01-55)5230-8000
概要:アメリカンスクールの隣にある総合病院。メキシコシティ随一の総合病院。英語が通じます。
(2)HOSPITAL ESPANOL(オスピタル エスパニョール)
所在地:Ave. Ejercito Nacional 613, Col. Granada , Mexico, D.F.
電話:(01-55)5255-9600、緊急病棟電話番号(24時間):5255-9645
概要:日本人が多く住むポランコ地区に面した総合病院です。
(3)HOSPITAL ANGELES DEL PEDREGAL(オスピタル アンヘレス)
所在地:Camino a Sta. Teresa 1055, Col. Heroes de Padierna, Mexico, D.F.
電話:(01-55)5449-5500
概要:日本人学校(日墨学院)の近くにあります。
「クリニック」
(1)日系クリニック
「オスピタル エスパニョール」内にあり、こげ茶色の複合クリニックビルの10階
電話:5250-7964/7959
概要:日本人医師(多富先生・・整形外科医)・日系人医師(白石先生・・内科医/宗田先生・・消化器・内視鏡医)が日本語で診察しています。
(2)小児科クリニック・飯室恵子
San Francosco no.1626-302 Col.del Valle
電話:55341364 /55247157
(3)歯科クリニック 川辺準
「オスピタル エスパニョール」内にあります。
Salas 15 y 16 modulo"E"
電話:5254-6698/5254-6743
(4)空港救急室
メキシコシティ国際空港救急室(赤地に白の○十字のマークが掲示してあります。)は国際線・国内線に1カ所ずつあります。24時間オープンの公的組織で救急搬送まで無料です。ただし、内科医の診察と救急薬(下痢止めや解熱剤といった簡単な薬)が少量あるだけです。血液検査やレントゲン検査などの施設はありません。
(1)Ameri Med(アメリ メド)
Av. Bonampak y Nichupté Plaza Las Americas
電話:+52 [ 998 ] 881-34-00 / 881-34-34
(2)Hospiten Cancún(オスピテン カンクン)
Av. Bonampak Lote 7A Mz 2 SM 10 CP 77500
電話:+52 [ 998 ] 881 3700
大使館ホームページ http://www.mx.emb-japan.go.jp/ ![]()
メキシコ健康省公式ホームページ(スペイン語) http://www.dgepi.salud.gob.mx/ ![]()
ABC病院 http://www.abchospital.com/ ![]()
スペイン病院 http://www.hespanol.com/ ![]()
アメリ メド http://www.amerimed-hospitals.com/ ![]()
オスピテン カンクン http://www.hospiten.es/ ![]()
医師 doctor ドクトール
薬 medicina メディシーナ
注射 inyeccion インジェクシオン
頭痛 dolor de cabeza ドロール デ カベッサ
胸痛 dolor de pecho ドロール デ ペチョ
腹痛 dolor de estomago ドロール デ エストマゴ
下痢 diarrea ディアレア
発熱 fiebre フィエブレ
吐き気 nausea ナウセア
具合が悪い estoy mal de salud エストイ マル デ サルー
病院に連れて行ってほしい me puede llavar al hospital メ プエデ ジャバール アル オスピタル