ニジェールの「ザンデール地方ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」および「ドッソ県・タウア県小学校建設計画(第2期)」に対する無償資金協力について
平成16年6月30日
- わが国政府は、ニジェール共和国政府に対し、「ザンデール地方ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」および「ドッソ県・タウア県小学校建設計画(第2期)」の実施に資することを目的として、総額11億4,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月30日(水)(現地時間6月29日)、ニアメにおいて、わが方黒川祐次駐ニジェール国大使(コートジボワールにて兼轄)と先方ママネ・サニ・ゴニミ外務・協力省政務次官(Dr. MAMANE SANI GONIMI, Secretaire d'Etat aupres du Ministre des Affaires etrangeres et de la Cooperation)との間で行われた。
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「ザンデール地方ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」(le projet d'a pprovisionnement en eau potable en vue de l'eradication du ver de Guinee dans la region de Zinder)
供与限度額 8億1,400万円(16年度1億4,200万円、17年度2億4,100万円、18年度4億3,100万円)
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「ドッソ県・タウア県小学校建設計画(第2期)」(le projet de construction d'ecoles primaires dans les regions de Dosso et de Tahoua)
供与限度額 3億2,600万円 |
- (1)「ザンデール地方ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」
ニジェール西部に位置するザンデール地方は、降水量が少なく安定した飲料水の供給が極めて困難な地域である。そのため、同地方の農村部住民は飲料水および生活用水として不衛生な溜まり水を使用せざるを得ず、ギニアウォームやその他の水因性疾患にかかりやすくなっている。
このような状況を改善するため、ニジェール政府は2002年に作成した貧困対策削減計画(PRSP)の中でも水部門に関し2004年までに飲料水供給を70%に高めること(短期目標)を掲げ、地下水開発による安全な飲料水の供給を増やすため井戸整備を開始した。しかしながら、同国の厳しい財政事情から迅速な目標達成は困難な状況にある。
このような状況の下、ニジェール政府は、同地域におけるギニアウォーム症撲滅を目指して、国家水利計画の内短期目標年度である2004年を完成年度とする深井戸建設による飲料水供給施設の整備と啓蒙活動の実施のプロジェクトを策定し、そのために必要な資金につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、対象地域住民約8万210人に対し、安全で安定した水供給が可能となり、対象地域の衛生環境が改善され、ギニアウォーム症を初めとする水因性疾患発生が抑制されることとなる。
(2)「ドッソ県・タウア県小学校建設計画(第2期)」
ニジェールの教育指標は、成人識字率が13%(1995年から99年)、初等教育総就学率が32%(同左)と世界でも最低水準にあり(サブサハラの平均はそれぞれ54%および74%)、また教育に関する地域格差および性別格差も大きい。
このような状況を改善するため、同国政府は、1998年に「教育基本法」を施行すると共に、初等教育就学率の向上を目指した「教育10ヶ年計画」(2002年から2010年)を策定した。また貧困削減戦略ペーパー(PRSP)においても、人間開発の観点から教育は重点課題と位置づけ、支援国の協力の下、初等教育環境の整備に努めるとの目標を掲げ、支援国の協力を呼びかけている。
このような状況の下、ニジェール政府は、就学率の向上、初等教育環境整備を目的とした「ドッソ県・タウア県小学校建設計画」を策定し、
この計画に必要な施設建設のための資金につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。この計画の実施により、7,050名の児童を対象に良好な学習環境が提供される。また、対象校の全てに男女別の便所棟が設置され、衛生的な学習環境の整備もはかられることとなる。
- なお、今回の協力は、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
ニジェール共和国は、アフリカ西部の内陸に位置し、総人口が1,160万人、一人当たりGNI(国民総所得)が170ドル(2003年)の低所得国(世銀ランク)である。
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