ラオスの「保健医療訓練施設整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について
平成16年6月18日
- わが国政府は、ラオス人民民主共和国政府に対し、「保健医療訓練施設整備計画」および「小学校建設計画(第2期)」の実施に資することを目的として、総額9億7,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月18日(金)、ビエンチャンにおいて、わが方橋本逸男駐ラオス国大使と先方ポンサワット・ブッパー外務副大臣(H.E. Mr. Phongsavath BOUPHA, Vice Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
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保健医療訓練施設整備計画
(the Project for Strengthening Training Institutions for HealthWorkers)
供与限度額 5億4,600万円
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小学校建設計画(第2期)
(the Project for Construction of Primary Schools)
供与限度額 4億2,500万円
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- (1)保健医療訓練施設整備計画
ラオスの保健医療事情はアジア諸国の中でも最低の水準にある上、総人口の約8割が地方に居住しており、地理的事情により、都市と地方のアクセスが悪く、地方における保健医療水準は極めて低い状況にある。また、医師や看護師などの医療従事者の分布状況等地域間の格差が著しく、地方では医師数が看護師の割合に比べて少なく、看護師の業務範囲は末端施設に行くに従い看護の領域外である簡単な診療から、基礎的な医薬品の処方、産前・産後のケア、保健・衛生教育等にまで及んでいる。しかしながら、これら看護師の技術水準は千差万別であり、末端施設ほど適切な知識を有する看護師の不足が深刻となっている。このため、ラオスの保健医療水準の改善には、基礎保健医療、とりわけ地方部における予防・治療、プライマリヘルスケアの確立が急務であり、そのためには、現場で勤務する看護師やヘルスワーカーの育成・質的向上が必須となっている。
現在、ラオスでは、看護師とヘルスワーカーの育成は、医療技術短期大学および地方の保健学校5校が実施しているが、これらの学校では施設や機材が老朽化し不足していることから、ラオス政府はこれら学校の改善を目的として、「保健医療訓練施設整備計画」を策定し、このために必要な資金につき、わが国の無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、教育環境が改善され、学生の知識と技術の習得が促進されるほか、県病院や郡病院、ヘルスセンター等に勤務する看護師およびヘルスワーカーの数が増加し、ラオス全体の保健医療の質が改善されることが期待される。
(2)小学校建設計画(第2期)
ラオスでは、近年初等教育を受ける児童数が急速に増加しており、1991年には58万2,000人だったが、1999年には83万2,000人にまで増加しているため、学校施設の整備が急務となっている。しかしながら、同国の学校施設の整備状況は十分ではなく、全国7,896校の小学校の内、セメントや鋼材を使用した耐久校舎を有するのは約6%にも満たず、ほとんどの学校が竹などを使用した準耐久校舎であるため、頻繁な補修が必要な上、安全上の問題が発生している。このため、同国政府は、安全な耐久校舎の建設による児童の学習環境の改善をはかろうとしているが、厳しい財政状況のため困難な状況にある。
このような状況の下、ラオス政府は、緊急に改善が必要なビエンチャン特別市およびビエンチャン県を対象とした「小学校建設計画」(第1期は31校、第2期は35校)を策定し、このために必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、耐用年数の長い常設教室で授業を受ける児童数が増加し、また、現在2部制をとっている学校においても、1部制のみで授業を実施可能となるため、授業内容が改善する等、児童の学習環境が改善することが期待される。
(参考)
ラオス人民民主共和国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国であり、人口553万人、国民一人あたりのGNI(国民総所得)は約365ドルである。
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