モンゴルの「ウランバートル市給水施設改善計画」ほか2件に対する無償資金協力について
平成16年5月27日
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わが国政府は、モンゴル国政府に対し、「ウランバートル市給水施設改善計画」および「人材育成奨学計画」(2件)の実施に資することを目的として、総額21億6,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月27日(木)、ウランバートルにおいて、わが方當田達夫駐モンゴル国大使と先方ロブサン・エルデネチョローン外務大臣(H.E. Mr. Luvsan Erdenechuluun, Minister for Foreign Affairs)との間で行われた。
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「ウランバートル市給水施設改善計画」
(the Project for Improvement of Water Supply Facilities in Ulaanbaatar)
供与限度額(国庫債務負担行為) 16億2,700万円
(平成16年度 6,800万円)
(平成17年度 6億 700万円)
(平成18年度 9億5,200万円)
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(2) |
「人材育成奨学計画」(平成16年度選考・17年度来日学生分)
(the Project for Human Resource Development Scholarship)
供与限度額(国庫債務負担行為) 3億6,800万円
(平成16年度 4,400万円)
(平成17年度 1億5,600万円)
(平成18年度 9,200万円)
(平成19年度 7,600万円)
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(3) |
「人材育成奨学計画」(平成15年度以前選考学生分)
供与限度額 1億6,900万円
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2. |
(1) |
「ウランバートル市給水施設改善計画」
モンゴルでは、首都ウランバートル市の人口が今後年間約3%ずつ増加すると予想され、この状況が続くと2010年には1万8,000トン/日の水が不足することになる。しかしながら、同国の水供給事情は、ウランバートル市郊外のゲル地域(木造式・テント式混在の住宅密集地域)における地下水汚染の問題等により、不衛生な井戸水・湧水の使用による水系伝染病が発生しており、将来的には市中心部より下流に位置する2つの水源が使用できなくなる恐れがある等、旧ソ連時代に作られた老朽設備を抱える中央水源を併せても、今後供給力の確保が困難な状況となる。
このような状況の下、モンゴル国政府はウランバートル市を流れるトーラ川の良質な上流水源の再開発および施設の更新に加え、中央水源のポンプを更新する「ウランバートル市給水施設改善計画」を策定し、この計画のための給水施設の改善等に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これは、わが国のモンゴル国に対する重点援助分野(基礎生活支援)にも合致するため実施するものである。
この計画の実施により、ウランバートル市の水供給能力向上による水供給の安定に資するのみならず、ゲル地区における井戸水・湧水などの不衛生な水の使用が減少することにより衛生状況が改善され、水因性疾患の減少が見込まれるなど、ウランバートル市全住民の健全な都市生活の発展に資することが期待される。
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「人材育成奨学計画」
モンゴルでは、1991年のソビエト連邦の崩壊以降、市場経済化、民主化等への対応が急務であり、特に市場経済化に資する人材育成は喫緊の重要課題となっている。モンゴル国政府は、教育分野の充実化を国家発展の基礎と位置付け、2000年から2005年までの教育戦略計画を策定し、その中心に、教育行政の強化、高等・専門教育における市場経済への適応化等をあげている。しかしながら、政府職員、国営企業などにおける指導的立場にある者の多くは市場経済に関する十分な教育を受けていないことから、近年の市場経済化等に向けた適切かつ円滑な対応が十分に行えない状況にある。
このような状況の下、モンゴル国政府は、人材育成における留学制度の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
なお、この計画は、モンゴルの将来を担う若手行政官等約60名(新規選考20名、継続40名)を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、モンゴルの抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・モンゴル両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。
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(参考)
モンゴルは、北東アジアに位置し、国土面積は156万4,100平方キロ(日本の約4倍)、総人口約248万人、一人当たりGNI(国民総所得)が445ドル(2002年)の低所得国(世銀ランク)である。
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