カンボジアの「シアムリアップ上水道整備計画」ほか2件に対する無償資金協力について
平成16年5月18日
- わが国政府は、カンボジア王国政府に対し、「シアムリアップ上水道整備計画」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として総額20億7,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月18日(火)、プノンペンにおいて、わが方?橋文明駐カンボジア国大使と先方ハオ・ナムホン上級大臣兼外務国際協力大臣(Mr.Hor Namhong, Senior Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。
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「シアムリアップ上水道整備計画」(the Project for Improvement of Water Supply System in Siem Reap Town)
15億3,700万円
(平成16年度6億600万円、平成17年度9億3,100万円)
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「人材育成奨学計画」(平成16年度選考・17年度来日学生分)(the Project for Human Resource Development Scholarship)
供与限度額(国庫債務負担行為) 3億6,300万円
(平成16年度 4,500万円)
(平成17年度 1億5,800万円)
(平成18年度 8,900万円)
(平成19年度 7,100万円)
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「人材育成奨学計画」(平成15年度以前選考学生分)
供与限度額 1億7,700万円
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- (1)「シアムリアップ上水道整備計画」
カンボジアにおいては、安全で衛生的な水の給水率は30%に留まっており、未だに多くの住民が浅井戸、河川・湖沼水を無処理で飲用していることが下痢などの水因性疾病の原因になっている。「第二次社会経済5 ヵ年開発計画(2001-2005)」においても、水・衛生セクターでは2005年までに給水率を地方部で40%、都市部で87%に向上させることが国家目標とされている。
シアムリアップ市は、世界的に有名なアンコール遺跡群の南5kmに位置し、同遺跡を訪れる外国人観光客は年々増加している一方で、都市インフラは脆弱で整備も遅れており、特に上水道施設は老朽化等のため約3,000人(給水率約10%)に対してしか水を供給することができない状況にある。また、シアムリアップ市住民の多くは浅井戸を利用しているが、汚染した水を使用せざるを得ず、下痢等の水因性疾病が絶えないなど衛生上の問題をもたらしている。
このような状況の下、カンボジア政府は、シアムリアップ市の上水道施設の整備を行うことを目的として「シアムリアップ上水道整備計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金の供与につき、わが国に対し無償資金協力を要請したものである。
この計画の実施により、シアムリアップ市民約2万6,000人に対し安全で衛生的な水の供給が可能となり、水因性疾病の罹患率低下が図られるとともに、ホテル等にも衛生的な水が供給されることにより観光産業の発展、住民の経済的基盤の安定に寄与することが期待される。
(2)「人材育成奨学計画」
カンボジアでは、1970年代から約20年間にわたる内戦により多くの人材を喪失し、戦後の復興・開発の中核を担う行政機関等においては、有望な人材の確保が困難となっていることから、同国における近年の市場経済化、近代化等への対応が必ずしも十分に行えない状況にある。
このような状況の下、カンボジア政府は人材育成において留学制度が果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画のための現地における事前教育等の資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。なお、この計画は、カンボジアの将来を担う若手行政官等約60名(新規選考20名、継続40名)を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により育成される人材が、各分野のリーダーとして、カンボジアが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・カンボジア両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。
(参考)
カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,250万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約300ドルである。
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