東ティモールにおける「ディリ-カーサ道路補修計画」ほか2件に対する無償資金協力について
平成16年5月17日
- わが国政府は、東ティモール民主共和国政府に対し、「ディリ-カーサ道路補修計画」、「ディリ上水整備計画」および「小中学校再建計画」の実施に資することを目的として、総額32億4,000万円を限度とする額の無償資金協力をそれぞれ行うこととし、このための書簡の交換が、5月17日(月)、ディリにおいて、わが方旭英昭駐東ティモール国大使と先方ホセ・ラモス=ホルタ外務・協力上級相(H.E. Dr. Jose Ramos-Horta, Senior Minister for Foreign Affairs and Cooperation of the Democratic Republic of Timor-Leste)との間で行われた。
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「ディリ-カーサ道路補修計画」(Project for Improvement of Roads between
Dili and Cassa)
14億9,200万円
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「ディリ上水整備計画」(Project for Improvement of Water Supply in Dili)
11億9,800万円
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「小中学校再建計画」(Project for Reconstruction of Primary Schools and
Junior High Schools)
5億5,000万円
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- 東ティモールは、1999年8月のインドネシア政府による拡大自治提案の可否を問う直接投票において住民の約8割が独立を選択したが、その後の騒乱・破壊行為により道路、水道、学校等のインフラの大部分が破壊された。その後、国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)の暫定統治の下、独立に向けた国造りが行われた。
2002年5月の独立以降、東ティモール政府は経済発展による貧困の撲滅を目標として、「国家開発計画」および「中期支出計画」に基づき人材育成(教育)、保健、農業生産性の向上、行政の効率化、インフラの整備等に重点をおいた施策を実施するとともに、世界銀行主導による移行期支援プログラムにより設定された諸施策を実施している。
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「ディリ-カーサ道路補修計画」
ディリ-カーサ道路は、首都ディリと農業開発の拠点となる南部地域を結ぶ幹線道路となる国道・主要道の一部であり、国家開発計画に掲げる「市場経済による国土の開発」のための流通網を整備する上での重要路線である。
しかしながら、東ティモール政府には路線の整備のための資金が不足しており、十分な対応が出来ずにいる。このような状況の下、東ティモール政府より、同路線の補修を実施し、対象区間の安全で円滑な通行を確保するとともに、維持管理費の低減を図ることを目的とした本計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、円滑な道路交通の確保(車両走行費用の節減、時間の短縮、安全性の向上)が可能となり、農業の活性化、住民の生活向上を通じた道路周辺地域の経済・産業開発の促進が期待される。
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「ディリ上水整備計画」
水供給分野に関しては「都市人口の80%に対する管路による安全な水供給」を目標に掲げ、国会開発計画に基づき、ディリの水道施設の改修・改善を行い、当該地区での水供給状況を改善する予定であるが、同政府にはこれを実施する資金が不足している。このような条件の下、東ティモール政府より、本計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、ディリ市内の配水管整備区域に居住する8万700人に安全で良質な水が供給されるとともに、施設の適切な維持管理と地域の保健衛生の改善が期待される。
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(3) |
「小中学校再建計画」
教育分野に関しては、国家開発計画の中で東ティモールの最重点分野の一つと位置付けられているものの、財政不足等により、十分な整備が出来ていない。このような状況の下、東ティモール政府より、モデル校として整備予定の小中一貫校を含む小学校の施設・機材の整備に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、学習・衛生環境の向上、東ティモール側の施設維持管理・修繕技術の習得、地域社会活動等の促進が期待される。
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- なお、今回の無償資金協力は、2002年5月に開催された東ティモール支援国会合においてわが国が表明した今後3年間で6,000万ドルを上限とする対東ティモール支援の一環として実施
されるものである。
(参考)
東ティモールは、面積約1万4,000平方キロ(長野県程度)、人口約79万人(2001年)、人口1人当たりのGNI(国民総所得)約490米ドル(2002年)の低所得国(世銀ランク)である。
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