インドネシアに対する無償資金協力「ジャカルタ市内貧困地区排水改善計画」ほか1件について
平成16年3月19日
- わが国政府は、インドネシア共和国政府に対し「ジャカルタ市内貧困地区排水改善計画」および食糧増産援助の実施に資することを目的として、総額9億3,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月19日(金)、ジャカルタにおいて、わが方飯村豊在インドネシア大使と先方スジャドナン・パルノハディニングラット外務省次官(Mr. Sudjadnan Parnohadiningrat, Secretary General, Department of Foreign Affairs)との間で行われた。
(1)「ジャカルタ市内貧困地区排水改善計画」
(The Project for Improvement of Pump Drainage in Poverty District in Jakarta)
3億3,500万円
(2)「食糧増産援助」 6億円
- (1)「ジャカルタ市内貧困地区排水改善計画」
ジャカルタ市の北部海岸沿いには低平地が広がり、この地域は洪水常襲地区となっている。都市化の進行に伴い密集住宅地が無秩序に形成され、同地区に居住する貧困民の住環境を改善する必要が増大している。
インドネシア政府は洪水・排水対策として市内中小河川の整備やポンプ場建設を進めてきたが、依然として主要河川・中小河川へと排水するための市街地・住宅地等の排水系統の整備が立ち遅れており、特に貧困世帯の多い低開発地区での整備はほとんど進んでいない。また、2002年のジャカルタ洪水を機に内水対策として「移動式排水ポンプ車」を導入したが、ポンプ車の台数・排水能力が絶対的に不足している状況にある。
このような状況の下、インドネシア政府は「ジャカルタ市内貧困地区排水改善計画」を策定し、内水対策を必要とする9地区を対象に排水事情を改善し、住民の居住環境の向上に資することを目的として、緊急排水対策に必要な排水ポンプ車を購入するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
今後、わが国無償資金協力によりこの計画が実施されることにより、排水未整備地区の洪水に際する排水事情が改善され、浸水時間の短縮による地区住民の住環境改善に寄与するとともに、その周辺地区の社会・経済活動の活性化が期待される。
(2)「食糧増産援助」
インドネシアの農業は、1984年にコメの自給目標を達成したことを対外的に発表した後、経済の著しい成長もあり、主に2次食用作物が増産の対象となっていた。しかし、1997年のアジア経済危機に加え、同年夏の厳しい干ばつのため、1998年にはわが国からコメの緊急援助を受けるなど、安定的な食糧供給が出来ない状態にある。このため、現在同国の食糧政策である「農業開発計画」(2001年から2004年)では、2次食用作物に加えて、再度、コメの生産に重点を置いている。
このような状況の下、インドネシア政府は、コメの増産を目的とした「食糧増産計画」を策定し、この計画に使用される肥料を購入するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(参考)
インドネシア(面積:約190万5,000平方キロ(日本の約5倍)、人口:約2億1,000万(2000年インドネシア統計局)、人口1人当たりのGNI(国民総所得):680米ドル(2001年世銀))
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