イエメンの「教科書印刷所機材整備計画」に対する無償資金協力について
平成15年12月3日
- わが国政府は、イエメン共和国政府に対し、「教科書印刷所機材整備計画(the project for Supplying School Textbook Printing Equipment)」の実施に資することを目的として、6億1,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月3日(水)、サヌアにおいて、わが方石井祐一在イエメン大使と先方アフマド・ムハンマド・スーファーン副首相兼計画・国際協力大臣(Ahmed Mohammed Sofan, Deputy Prime Minister and Minister of Planning and International Cooperation)との間で行われた。
- イエメンは、識字率が全人口の約54%と低くまた、初等教育就学率も学齢期の子供の約55%と低い状況にある。このためイエメン政府は、教育分野の充実を通じた人材育成が国家開発上の最優先課題として、識字率の向上および初等教育就学率の改善のため、「第2次国家開発計画5カ年計画(2001年から2005年)」を策定した。一方、イエメンの識字率およびが初等教育就学率が低い水準にある原因としては、就学適齢児童数の増加に比べ、小学校が不足していることに加え教科書の配布が追いつかないことが挙げられ、同政府ではその改善を目指しているが、財政不足のため困難な状況にある。
このような状況の下、イエメン政府は、特に教科書の不足が深刻で緊急な対応を要する同国東部において教科書印刷を行うため「教科書印刷所機材整備計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはわが国のイエメンに対する援助重点分野、教育にも合致するため本件協力を実施することとした。
- この計画の実施により、イエメン東部を対象とした毎年約1,170万冊の初等教育用教科書の配布が可能となり、それを通じた初等教育就学率および識字率の向上が期待される。
(参考)イエメンは、アラビア半島南西部に位置し、一人当たり国民所得が約490ドルである後発開発途上国である。民主化に前向きに取り組むとともに、経済構造調整プログラムを実施しつつ、貧困削減努力を積極的に進めている。また同国は、米国同時多発テロ事件以降、国際協調の立場から治安、テロ対策に大きな努力を払ってきている。
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