カザフスタンの「農村地域水供給計画」に対する無償資金協力について
平成15年11月5日
- わが国政府は、カザフスタン共和国政府に対し、「農村地域水供給計画」(the Project for Rural Communities Water Supply)、の実施に資することを目的として、5億2,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が11月5日(水)、アスタナ市において、わが方角崎利夫在カザフスタン大使と先方トカエフ外務大臣(Mr. Kassymzhomart TOKAEV, Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
- カザフスタン国は中央アジアに位置し、ロシア、モンゴル、中国、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンおよびカスピ海に囲まれた内陸国であり、同国北部の北カザフスタン州およびアクモラ州は、年間を通じてほとんど雨が降らない、乾燥した気候の地である。同地域においては、旧ソ連時代に給水施設が一部整備されているが、老朽化が進行し水供給能力が年々低下しているため、同地域の多くの集落では、給水車により、水が供給されているか、辛うじて共同井戸がまだ使用可能な地区においても、水供給の割当制限や時間制限が実施されている状況のため、飲料水の不足による農村からの人口流出の主要な原因となっている。
このため、カザフスタン政府は「カザフスタン共和国国家開発戦略2030」において、水資源を含む環境の保全及び国民の健康、教育、福祉の向上を重点課題として掲げ、同国農業省水資源委員会は、同戦略に基づき、各州に対して給水整備プログラムを策定しているが、財政不足のためプログラムの実施に支障をきたしている。
このような状況の下、カザフスタン政府は、最も給水事情の悪化しているアクモラ州6村落および北カザフスタン州9村落の住民に安全な水を供給し、農村地域での生活環境の向上を図るため、「農村地域水供給計画」を策定し、井戸の建設資機材等の整備に必要となる資金につき、わが国に対し、無償資金協力を要請してきたものであり、これはカザフスタン政府に対するわが国の重点分野である「体制移行や環境問題から生じる社会的困難の緩和」にも合致するため、実施するものとする。
- この計画の実施により、アクモラ州6村落および北カザフスタン州9村落の住民約38,000人に清潔な飲料水が供給され、衛生・保健環境が向上するとともに、生活飲料水の不足を要因とした農村部からの人口流出が抑制され、地域社会の安定化や地域産業である農業の発展に資することが期待される。
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