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報道発表


中国の「第三次貧困地域結核抑制計画」ほか3件に対する無償資金協力について


平成15年8月14日


  1. わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「第三次貧困地域結核抑制計画」、「黄河中流域保全林造成計画(3/3期)」、「第二次黄河中流域保全林造成計画(2/5期)」および「西安市廃棄物管理改善計画」の実施に資することを目的として、総額26億6,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月14日(木)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方安民商務部副部長(An Min, Vice Minister, Ministry of Commerce)との間で行われた。
    (1) 「第三次貧困地域結核抑制計画」
    (The project for Tuberculois Control in Poor Areas (Phase III))
    供与限度額 4億4,900万円
    (2) 「黄河中流域保全林造成計画(3/3期)」
    (The project for Afforestation for Conservation of Middle Stream of Huang He)
    供与限度額 3億7,100万円
    (3) 「第二次黄河中流域保全林造成計画(2/5期)」
    (The project for Afforestation for Conservation of Middle Stream of Huang He (Phase II))
    供与限度額 5億1,900万円
    (4) 「西安市廃棄物管理改善計画」
    (The project for improvement of Solid Waste Management in Xian City)
    供与限度額 13億2,300万円
  2. (1)「第三次貧困地域結核抑制計画」
     中国は、WHO(世界保健機関)の2003年報告によると、インドについで世界第2位の結核患者保有国であり、特に肺結核による死亡率は7.38人/10万人(2001年)と、中国における単一疾病の死亡原因の第一位にある。また、結核患者の4分の3は青年・壮年層であるため、結核に感染・死亡した場合には患者本人のみならず家族への経済的負担が大きくなり、効果的な治療が受けられない貧困地域の社会発展を阻害する重大な要因となっている。さらに、中国における感染症は、結核のほかに伝染性下痢症、肝炎、性病が主なものであったが、近年HIV/AIDSが流行し始め、エイズ結核も次第に顕在化することが予想される。
     このような中、中国衛生部は2005年までにDOTS(医師の対面指導により毎回の服薬を確認しながら数カ月に渡り薬剤投与を施すことにより完治を目指す治療法)の対象エリアを人口の90%までに拡大することにより、2010年までに結核患者を2001年の水準から半減させることを目標に結核対策に取り組んでおり、中国衛生部によるこうした取組に対し、WHO、世銀、ダミアン財団、わが国等がそれぞれ連携、協調して支援を行っている。
     このような状況の下、中国政府は、貧困地域の9省、3自治区(四川省、青海省、河南省、内モンゴル自治区、江西省、陝西省、安徽省、貴州省、雲南省、山西省、広西荘族自治区、チベット自治区)における結核患者の抑制を目的とする「第三次貧困地域結核抑制計画」を策定し、対象地域における結核患者の治療に必要な抗結核薬および検査機材の購入に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており、わが国の対中経済協力計画の重点分野である感染症対策および貧困層を対象とした保健分野への支援に合致したため実施することとしたものである。
     この計画の実施により、対象地域において約18万人の結核患者の治療が可能となり、患者本人の結核の治癒とともに、患者の家族の経済的負担が軽減されることが期待される。

    (2)「黄河中流域保全林造成計画(3/3期)」
     中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む2億6,000万ヘクタールの荒廃地が存在しており、特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにも及ぶ荒廃地が広がり、土砂流出、飛砂、風蝕等による農業生産の低下、農地の縮小などの被害が広がっている。さらに、中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており、夏季の集中豪雨による洪水、冬季の少雨による流下水の消滅等の現象を発生させている。
     このため中国政府は、1978年から中国内陸中西部および北部の植林を行う「三北防護林造成計画」を実施し、国土の緑化を行い、地域の生活環境の改善に努力しているが、広大な荒廃地が広がる貧困地域においては植林活動が進んでおらず、黄土高原と砂漠に囲まれた貧困地域である寧夏回族自治区に関しても、砂漠化が進行し、風食、風砂による農牧業および住民生活への被害が深刻となっている。
     このような状況の下、中国政府は寧夏回族自治区における砂漠緑化を図る「黄河中流域保全林造成計画」を策定し、保全林の造成等のために必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており、わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援に合致したため実施することとしたものである。
     なお、今回の3期目においては、約1,200ヘクタールの植林および草本植栽等を行うものであり、この計画の実施により、寧夏平原の砂漠化地域における植生回復とともに、現地農牧民への植林技術の普及、周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。

    (3)「第二次黄河中流域保全林造成計画(2/5期)」
     中国の山西省では、国の政策に沿って「山西省生態環境建設計画」を策定し、森林被覆率を2050年までに45%とする目標を立てて植林を推進しているが、広大な荒廃地に広がる貧困地域においては、計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
     このような状況の下、中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第二次黄河中流域保全林造成計画」を策定し、保全林の造成等に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており、わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援と合致したため実施することとしたものである。
     なお、今回の2期目においては、約1,100ヘクタールの植林と、植林地の維持管理施設(林道、谷止工、監視塔等)の整備等を行うものであり、この計画の実施により、荒廃地の復旧、現地住民への植林技術および植林地の維持管理技術の普及・向上ならびに周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。

    (4)「西安市廃棄物管理改善計画」
     中国では、1996年の「固形廃棄物による環境汚染防止法」の公布を受け、同時期に策定された「国家環境保全第9次5ヵ年計画」において都市環境基盤整備が重点課題とされていたが、次に策定された「国家環境保全第10次5ヵ年計画」においても、持続可能な発展を実現するために不可欠なものとして、廃棄物問題の解決を重点課題として位置づけている。
     今回の計画対象である西安市における都市生活廃棄物の量は、現在約3,000トン/日であるが、その処理状況は現状でもかなり逼迫しており、廃棄物の発生量は、今後、市の発展に伴いさらに増加することが予想され、適正な廃棄物処理システムの構築が必要とされている。
     このような状況を踏まえ、中国政府は、1998年にわが国に対し開発調査「西安市生活廃棄物処理計画調査」を要請し、同調査の実施により策定されたマスタープラン等を下に、西安市は「西安市環境衛生施設発展計画」(1995年から2010年)を策定し、この計画に基づき、廃棄物処理システムの効率化と周辺環境に配慮した廃棄物の最終処理の実現を図るため、中継輸送基地の建設、最終処分場の更新等を計画中であるが、財政不足のため実施することは困難な状況にある。
     このような状況の下、中国政府は、「西安市廃棄物管理改善計画」を策定し、廃棄物の中継輸送基地用機材および最終処分場における環境モニタリング機材等の整備に必要な資金につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきており、わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野に対する支援と合致したため実施することとしたものである。
     この計画の実施により、中継輸送の導入による単位時間当たりの廃棄物収集量の増加および環境モニタリングの日常的な実施が行われ、効率的かつ適正な廃棄物処理システムの構築が図られるとともに、この計画をモデル事例とした、中国全土への廃棄物処理技術の移転が期待される。

    (参考)
    1. 中国は、約960万平方キロメートルのアジア一の国土と、約12億8,000万人の世界一の人口を有し、56の民族(うち約92%が漢民族)からなる多民族国家である。「改革・開放政策」の下、著しい経済的発展を遂げてきており、2002年には8%の経済成長を達成しているが、一人当たりのGDP(国内総生産)は約911ドルと発展途上にある低中所得国であり、農業・農村問題、財政・金融問題、環境問題、国有企業改革、近年発展の目覚ましい沿海地方と内陸部との経済格差の解消といった多くの課題も抱えている。

    2. 西安市はかつて長安と呼ばれた古都で、総人口約700万人を擁する中国西部地域で最大規模の近代工業、交通、商業および金融の拠点都市であり、今後ともさらなる発展が見込まれている。


・ 経済協力局 無償資金協力課


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