ドミニカ共和国の「旧公営農場地下水開発計画」に対する無償資金協力について
平成15年8月12日
- わが国政府は、ドミニカ共和国政府に対し、「旧公営農場地下水開発計画」(El Proyecto del Desarrollo de Aguas Subterraneas en los Asentamientos y Antiguas Areas Caneras)の実施に資することを目的として、4億4,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月12日、サントドミンゴにおいて、わが方野上武久在ドミニカ共和国大使と先方フランシスコ・ゲレロ・プラッツ外務大臣(Francisco Guerrero Prats, Secretario de Estado de Relaciones Exteriores de la Republica Dominicana)との間で行われた。
- ドミニカ共和国は、カリブ海に位置し人口は約849万人であり、同国では、「社会開発国家計画(1998年から2008年)」に基づき、「食糧および栄養改善国家計画」を策定し、食糧自給達成および農業生産性向上を目標として、公営農場を順次零細農民に解放しており、既に約63万人が入植している。しかしながら、新入植地では、上水道を始めとする生活基礎インフラが未整備であるため、農民の約70%は飲料水不足の問題を抱えており、このため、多くの女性や子供は遠方にある河川からの水汲み労働を行わなければならず生活の負担となっているほか、飲料水として使用している河川や浅井戸は生活排水等が混入しているため、水因性疾病の発生率が高く、給水体制の改善が急務となっている。このような中、ドミニカ共和国政府は、入植した農民の生活改善、衛生環境の改善および農業生産性の向上を目的として、新入植地に深井戸を建設し、安定的に衛生的な飲料水を提供すべく努力しているが、井戸掘削機材が不足しているため、十分な効果が挙がっていない。
このような状況の下、ドミニカ共和国政府はわが国政府に対し、特に大規模な農地を抱える旧公営サトウキビ農場の跡地再開発に係る開発調査の実施を要請し、この調査結果を受け、同国政府は「旧公営農場地下水開発計画」を策定し、深井戸掘削機材、物理探査機材等の調達に必要な資金、および必要な技術支援につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、約3万人の入植者に対し衛生的な飲料水を安定的に供給することが可能となり、農業生産性の向上が期待されるほか、水汲み労働からの解放、水因性疾病の減少、女性の地位向上、教育機会の増大が期待される。
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