ベトナムの「北部地下水開発計画(2/3期)」ほか1件に対する無償資金協力について
平成15年7月29日
1. |
わが国政府は、ベトナム社会主義共和国政府に対し、「北部地下水開発計画(2/3期)」および「ゲアン省ナムダン県農村生活環境改善計画(1/3期)」の実施に資することを目的として、総額11億5,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月29日(火)、ハノイにおいて、わが方服部則夫在ベトナム大使と先方レー・フイ・ゴ農業農村開発大臣(Mr. Le Huy NGO, Minister of Agriculture and Rural Development)との間で行われた。
(1) |
「北部地下水開発計画(2/3期)」
(the project for the Groundwater Development in Rural Part of Northern Provinces) |
6億8,700万円 |
(2) |
「ゲアン省ナムダン県農村生活環境改善計画(1/3期)」
(the project for Improvement of Rural Living Conditions in Nam Dan District in Nghe An Province) |
4億7,200万円 |
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2. |
(1)「北部地下水開発計画(2/3期)」
ベトナムは、1986年より「刷新(ドイモイ)」路線を打ち出し、市場経済原理の導入等経済を中心とする開放化を進めつつあるが、一人当たりのGNP(国内総生産)は430ドル(2002年)と低い。
このためベトナム政府は、「地方開発計画(1996年から2000年)」を策定し、地方基盤整備の重点の一つである給水事業の整備目標を「2000年までに地方住民の80%または1万3,000人の小学児童に安全な水を供給する」としており、この計画の一環として、1999年にベトナム北部地方に対する地下水開発計画のマスタープランが策定され、北部5省20村落を給水対象地域とした人口約15万人、日給水総量約2万3,000m3の給水整備計画を実施している。
しかしながら、同国の脆弱な財政と予算不足のため、地方給水基盤整備が遅れており、地方農村部では、生活用水として、河川、湧水等の地表水、浅井戸の地下水を利用しなければならず、水源の汚染や水涸れから農村部の衛生的な水の供給率は9%にしか達していないなど、衛生的な飲料水を安定的に確保することが困難となっている。
このような状況の下、ベトナム政府は、マスタープランで計画された優先整備地域のうち北部3省の地方農村部の水不足の問題を解決するため、「北部地下水開発計画」を策定し、この計画の実施のため地下水を水源とする給水施設の建設および井戸掘削機材調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、ベトナムの北部3省の4村落において公共水道網が整備されることとなり、衛生的な飲料水を安定的に確保でき、生活レベル、衛生レベルが向上することが期待される。
(2)「ゲアン省ナムダン県農村生活環境改善計画(1/3期)」
ベトナム政府は、農業・農村開発を国家の社会経済開発と安定のための最重要課題と位置付け、貧困撲滅、地域間格差の是正、農村地域における生活環境の改善等を主要目標に掲げている。特に、ゲアン省を含む北中部沿岸地域は、農業生産基盤や生活インフラ等の整備が遅れている地域であり、なかでもナムダン県はやせた土地、台風・洪水被害などの厳しい自然条件や道路の整備不足による経済の閉塞および唯一の産業である農業生産基盤の整備不足等のため、地域住民の所得は低く、住民の多くは極めて厳しい生活を強いられており、ベトナム国内でも最も貧しい地域の一つとなっている。
こうした地域住民の生活環境を改善するため、わが国は開発調査「ゲアン省ナムダン県モデル農村開発計画調査」(1996年から1998年)を実施し、住民の所得向上、栄養状態の改善、地域間格差の是正などを目標とした「ゲアン省ナムダン県モデル農村開発計画マスタープラン」を策定した。この調査結果を受け、ベトナム政府は「ゲアン省ナムダン県農村生活環境改善計画」を策定し、ゲアン省ナムダン県においてモデル農村開発プロジェクトを実施するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画により、ゲアン省ナムダン県において灌漑施設の改修、地方道路整備および農村電化が行われ、安定した農業生産および円滑な物流の確保が可能となるほか、住民の生活環境が改善され、農村開発のモデルとしてベトナムの農村開発促進に寄与することが期待される。
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