フィリピンの「第6次教育施設拡充計画(1/2期)」ほか1件に対する無償資金協力について
平成14年11月20日
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わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「第6次教育施設拡充計画(1/2期)」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額9億1,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、11月20日(水)、マニラにおいて、わが方高野幸二郎在フィリピン大使と先方ブラス・オプレ外務長官(Blas F. Ople, Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。
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「第6次教育施設拡充計画(1/2期)」(the project for Improvement
of Educational Facilities(Phase VI))
7億1,100万円
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(2) |
「人材育成奨学計画」(the project for Human Resource Development
Scholarship)
2億 600万円 |
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(1) |
「第6次教育施設拡充計画(1/2期)」
フィリピン政府は、従来より基礎教育分野を重視しており、教育の拡充に力を注いでいる。同国では、現在でも教室数が不足していることに加え、高率の人口増加が続いており、基礎教育分野の充実のためには、早急に相当数の学校校舎建設を行うことが必要であるが、フィリピン政府の財政事情は厳しく、学校建設が思うように進んでいないのが現状である。このため一部の学校では2部・3部制授業や定員を大幅に上回る過密状態での授業を余儀なくされている。
このような状況の下、フィリピン政府は「第6次教育施設拡充計画」を策定し、この計画の実施のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。本計画では、ルソン島中部における教室不足の緩和をめざして、初等・中等学校32校の校舎建設が行われる。
なお、わが国政府は、フィリピンに対し平成5年度から「教育施設拡充計画」として、これまで初等・中等学校420校を対象に校舎の建設に協力を行ってきている。
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(2) |
「人材育成奨学計画」
フィリピン政府は、「貧困に対する戦いに勝利する」ことを政策目標として掲げ、2001年には「新中期国家開発計画」(2001年から2004年)を作成し、市場経済の活用、自由化等の路線は継承しつつ、貧困削減と所得分配の改善により発展と成長を図ることとしている。また、同計画では、そのための手段として、農業近代化等を中心とする地方開発の加速化、教育、保健、福祉、住宅供給等の弱者に対する基本的社会サービスの提供、持続的インフラ開発、国際競争政策の推進、マクロ経済の安定確保およびガバナンスの向上を中心的課題として位置づけるとともに、フィリピンが持続可能な経済発展を達成するためには、開発計画策定を含む行政能力の強化、関係機関との相互調整能力の強化等、公共セクターのための人材育成が喫緊の課題としている。
このような状況の下、フィリピン政府は、経済、経営、公共政策の3分野における人材育成を図るため「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
この計画は、フィリピンの将来を担う行政官等20名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により、フィリピンが抱える諸課題の解決に向けたリーダーとなる人材が育成されるとともに、彼らが今後の日・フィリピン両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。 |
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