シリアの「ダマスカス繊維工業専門学校機材整備計画」に対する無償資金協力について
平成14年8月5日
- わが国政府は、シリア・アラブ共和国政府に対し、「ダマスカス繊維工業専門学校機材整備計画」(the Project for Supply of Equipment in Damascus IntermediateInstitute for Textile Industries)の実施に資することを目的として、3億8,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月5日(月)、ダマスカスにおいて、わが方天江喜七郎在シリア大使と先方タウフィ-ク・イスマイル企画庁長官(Dr. Toufik ISMAIL, Head of the State Planning Commission)との間で行われた。
- シリア政府は、第9次5ヵ年計画(2001~2005)において、天候や国際市場価格の変動による影響が少ない工業部門で、国内の安価で豊富な労働力を利用し、付加価値をつける産業の育成に重点を置いている。中でも繊維産業は、生産額が製造業部門全体の約3割を占め、輸出額は国全体の総輸出の1割、製造業輸出の3割強を占める貴重な外貨獲得源である。就業者数も国営企業就労者の20%を占め、国民に対して重要な雇用機会を提供している。シリアにおいては、繊維産業を支える中堅技術者養成のための唯一の専門教育機関として、1969年に工業省の下にダマスカス繊維工業専門学校が設置され、シリアの繊維産業界に求められている国際競争力のある製品の生産とその拡大に担う技術者養成のために中心的な役割を果たしている。
しかしながら、実習機材の多くは、製造より50年以上も経過し、老朽化が進んでいることから、機材の多くは故障あるいは機能低下の状態にあり、品質検査管理分野を含め効果的な技術教育実施に支障を来している。
このような状況の下、シリア政府は、ダマスカス繊維工業専門学校に対する教育・実習用機材の整備のため、「ダマスカス繊維工業専門学校機材整備計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につきわが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ダマスカス繊維工業専門学校において、繊維製品製造に必要な紡績、製布、染色および被服製造においてこれまで9工程だった履修が20工程に拡張され、より市場ニーズに近い実践的な繊維関連技術の習得が可能となり、繊維産業の発展に貢献するとともに、同国の経済発展に資することが期待される。
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