イエメンの「南部イエメン結核対策拡充計画」に対する無償資金協力について
平成14年7月10日
- わが国政府は、イエメン共和国政府に対し、「南部イエメン結核対策拡充計画」(theProject for Expansion of Tuberculosis Control in the Southern Governorates)に資することを目的として、5億8,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月10日(水)、サナアにおいて、わが方大木正充在イエメン大使と先方アフマド・ムハンマド・スーファーン計画開発大臣(Mr. Ahmed Mohammed Sofan, Minister of Planning and Development)との間で行われた。
- イエメンにおける保健施設整備状況は、周辺アラブ諸国と比較しても著しく遅れており、1997年には結核患者が約1万2,000人も登録され、毎年4,700人程度の新規患者が発生している。このため、イエメン政府は「国家結核対策計画」を策定し、わが国の技術協力および世界保健機関(WHO)の支援を受けて、結核患者の発見と治療を行うDOTS方式(対面指導により毎回の服薬を確認しながら数ヵ月に渡り薬剤投与を施すことにより完治率を高めるというWHOが推奨する治療手法)を導入している。しかしながらこの方式を推進するためには結核対策に従事する結核対策官、医師、検査技師、保健婦(士)の養成が急務とされているが、旧南イエメン地域では適当な医療従事者養成のための施設がないため結核対策が遅れている。
このような状況の下、イエメン政府は旧南イエメンの地域を対象とした結核従事者への研修・訓練および結核検査・研究のための施設としてアデン結核対策センターを建設することを目的とする「南部イエメン結核対策拡充計画」を策定し、この計画の実施のためのセンター建設に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。これを受けて、2000年11月に両政府間で交換公文が締結されたが、治安の悪化により事業関係者の現地入りが見合わされ実施が困難となったことから、一旦事業を精算した。その後イエメンの治安が回復し、イエメン側からの引き続き強い要請を踏まえて今回、改めて実施を決定したものである。
- この計画の実施により南部および東部イエメン108郡で結核対策に従事する540名の養成および再訓練のための環境が整備され、結核対策のDOTS方式が全国レベルで導入することが可能となる。また、アデン結核対策センターで研修・訓練を受けた結核対策官等が配備されることにより、配備先の地域住民約270万人に対する結核患者の早期発見と年間約2,200人の結核患者の治療が改善されることが期待される。
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