2012年5月25,26日の2日間,第6回太平洋・島サミット(PALM6)が,沖縄県名護市の万国津梁館で開催されました。この太平洋・島サミット(PALM)は,太平洋島嶼国・地域が直面する様々な問題について首脳レベルで率直に意見交換を行う日本が主導する国際会議です。東日本大震災後,初めて地方で開催された首脳レベルの国際会議であるPALM6はどのような首脳会議となったのでしょうか?
■「太平洋・島サミット(PALM)」とは?
ミクロネシア,メラネシア,ポリネシアの国々からなる太平洋島嶼国は,大変親日的で,国際社会において日本の立場を支持するなど,日本にとって重要な国々です。太平洋・島サミット(Pacific Islands Leaders Meeting: PALM)は,日本がこれらの国々との関係を強化する目的で,1997年に初めて開催され,以後3年毎に日本で開催されています。太平洋島嶼国は,「国土が狭く,分散している」,「国際市場から遠い」,「自然災害や気候変動等の環境変化に脆弱」などの困難を抱えており,太平洋・島サミットではこうした様々な課題について共に解決策を探り,太平洋島嶼地域の安定と繁栄を目指し,首脳レベルで議論を行っています。

■沖縄で開催された第6回太平洋・島サミット(PALM6)
今回のPALM6のキャッチフレーズは,「We are Islanders 〜広げよう,太平洋のキズナ〜」です。「キズナ」という言葉には,東日本大震災に際して確認された友情という意味が込められています。今回のPALM6では,日本を含め17か国・地域の首脳等が参加し,野田総理とプナ・クック諸島首相が会議の共同議長を務めました。これまでもPALMにはオーストラリアとニュージランドが参加していましたが,今回は米国が初めて参加しました。
日本製の電気自動車が活躍!
各国首脳が那覇空港に到着した際,出迎えたのは 日本メーカーの電気自動車でした。各国首脳一行の空港から宿舎への送迎や,夫人日程での移動時にこの電気自動車が使われました。電気自動車に初めて乗った各国首脳たちは電気自動車の静かさに驚くなど様々な反響があり,日本の最先端の技術を各国首脳に紹介する良い機会となりました。
■「困ったときの友達が真の友達」東日本大震災とPALM6参加国
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2011年の東日本大震災後,太平洋島嶼国から日本に対して,多くのあたたかいお見舞いや義援金が届きました。また,各国政府だけではなく,それぞれの国で市民や学生など,民間レベルでの募金・チャリティーイベントなどが催され,日本の復興を心から応援してくれました。野田総理はPALM6でこうした各国からのお見舞いと支援に深く感謝し,復興への思いを述べました。さらに,野田総理は参加国・地域すべての首脳と二国間会談を行い,重ねて各国へ謝意を表明しました。また今回,日本政府はサミット取材及び被災地復興の取材を行うPALM6参加国のメディアを招きました。来日したのはクック諸島,サモア,ソロモン諸島,パプアニューギニア,マーシャル諸島,パラオ,ミクロネシア連邦,トンガのジャーナリスト8名で,パプアニューギニアからはTV取材チームも訪れました。この取材により PALM6の様子が各国のメディアで多数紹介されました。
■PALM6親善大使「フラガール」の活躍
今回,PALM6親善大使として任命されたのは,福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム「フラガール」でした。太平洋島嶼地域をルーツとする「フラガール」のパフォーマンスは,かねてから日本人に太平洋島嶼国の文化を身近に感じさせる役割も果たしていました。そして,今回被災地・福島県の代表として,ダンスを通してPALM6参加各国に震災からの復興を力強く発信。ちなみに「フラガール」の本拠地である福島県いわき市は,JETプログラムでトンガからの英語教員を受け入れるなど,もともと太平洋島嶼国との交流に力を入れています。また,PALM6開催地の沖縄県も,古くは漁業などを通じて,また最近では水やエネルギー分野の支援などを通じ,太平洋島嶼国と関係の深い自治体として知られています。
■PALM6の成果「沖縄キズナ宣言」
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今回のサミットでは,日本と太平洋島嶼国・地域における協力の5本柱が策定されました。会期中は,和やかな中にも真剣な議論が行われ,会議の最後に「沖縄キズナ宣言」が採択されました。野田総理は,次回のPALM開催までの今後3年間で「最大5億ドルの援助を行うべく最大限努力」することを表明し,各国首脳から深い謝意が示されました。共同議長を務めたプナ・クック諸島首相は,野田総理と行った共同記者会見で「我々は,日本が東日本大震災後,国内に切迫した課題を抱えていることに留意し,十分に配慮しなければならない。日本は,これまでも太平洋地域における重要な開発パートナーであったが,野田総理が発表された今後3年間で5億米ドルという多額のコミットメントは,特に日本が直面する現状を考えると,よりその重要性を増す。したがって,太平洋島嶼国は,日本の支援と協力の精神に対し,謙虚に感謝しなければならない」と日本への謝意を述べました。
■環境分野や経済の交流イベント・会議も同時開催
PALM6の開催にあわせて,開催県沖縄や東京でも,日本と太平洋島嶼国の協力に関する様々なサイドイベントが開催されました。まずサミット直前の5月23日,宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにて水と環境に関するシンポジウム「沖縄エコアイランドシンポジウム2012〜島と命を守る新たな挑戦」(JICA・沖縄県共催)が開催されました。5月26日には日本・IRENA共催ワークショップ「太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの普及促進 〜課題への挑戦〜」が沖縄科学技術大学大学院(OIST)で開催され,太平洋島嶼国の再生可能エネルギーの促進に関する技術面や政策面での具体的な議論が行われました。一方,東京では5月24日〜28日,JETROと太平洋諸島センター(PIC)の主催で太平洋島嶼国の物産や文化を紹介する「太平洋諸島展&フェスタ2012」が開催されました。
■宮古島で開催された「高校生太平洋・島サミット(YOUNG PALM)」
PALM6の開催にあわせ,沖縄県主催で高校生版PALMと言える「高校生太平洋・島サミット(YOUNG PALM)」が宮古島で開催されました。このYOUNG PALMは若い世代の相互理解と友好関係促進を目指して,太平洋島嶼国など15の国・地域の高校生各2名と日本の高校生32名(うち沖縄県内16人)が参加し,水環境問題をテーマに講義やフィールドワークによって問題への理解を深め,さらに問題解決に向けた活発なディスカッションを行いました。これらの成果を「提言書」としてまとめ,宮古島を訪れた自分たちの国の首脳等に直接手渡しました。こうしたYOUNG PALMの取組と宮古島の人々の温かい出迎えは,太平洋島嶼国の首脳に大きな感銘を与えました。なお,宮古島を訪れたパプアニューギニアのTV取材チームは,YOUNG PALMでの高校生たちの活動やエコアイランド宣言をした宮古島市の取組などを精力的に取材していました。
| 以下4点写真提供:沖縄県 | |||
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■PALM6の成功で日本と太平洋島嶼国のさらに緊密な「キズナ」を!
太平洋島嶼国をめぐる外交戦略上の環境は大きく変化しています。国際場裡における日本の頼もしい支持基盤であり,また重要な資源供給地・輸送路としての太平洋地域と日本との「キズナ」をさらに強化する機会として日本のイニシアティブで開催されるPALMは,とても重要な役割を担っています。今回のPALM6では,東日本大震災の経験を自然災害や気候変動に脆弱な太平洋島嶼国・地域と共有しつつ,「自然災害リスク保険」や「太平洋災害早期警報システム」の整備に取り組むことを表明し,参加国から高い評価を得ています。日本はこうした取組を通じ,太平洋島嶼国との「キズナ」をさらに強化し,今後も太平洋島嶼国地域の平和と繁栄に貢献していきます。










