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Vol.86 2012年4月27日
世界の英知を被災地へ 被災地の取組を世界へ〜再生可能エネルギーへの期待

東日本大震災より1年が経過し,力強い復興に向けた動きが,東北地方をはじめ全国各地で本格化しています。こうした復興への努力は,国際社会でも注目されており,世界各国からも数々の支援やアドバイスが寄せられています。また,未曾有の災害を乗り越える日本の経験は,これを世界に発信することで,国際社会が抱える様々な課題の解決に貢献することができます。今回は,再生可能エネルギーへの注目が高まる国際情勢の中で,日本の震災復興と持続可能な開発を目指す国際社会の密接な連携について解説します。

東日本大震災から1年,福島県で国際エネルギー・セミナーを開催 (動画はこちら)他のサイトヘ

会場の様子東日本大震災から1年を目前に控えた2012年3月2日,福島県福島市飯坂町において国際エネルギー・セミナー「被災地復興へ向けたスマートコミュニティ提案」が開催されました。この国際セミナーは外務省,経済産業省,環境省が共催し,被災地の方々や日本に駐在する各国の大使館関係者,国際機関職員,企業・研究機関の人々など国内外の約430名が参加。「世界の英知を被災地へ 被災地の取組を世界へ」をテーマに,多大なダメージを受けた被災地のコミュニティをどのように再建し,より良くしていけるのかについて,国内外の専門家による熱心なディスカッションが行われました。開会に当たっては玄葉外務大臣からビデオによる冒頭挨拶が行われ,続いて2011年8月に被災地を訪れた潘基文国連事務総長からのセミナーへの賛同と被災地の人々を激励するメッセージを,山下国連広報センター所長が代読しました。

被災地復興へ向けた「スマートコミュニティ」の提案

パネルディスカッションの様子国際エネルギー・セミナーのハイライトといえるのが,2部構成のパネルディスカッションです。?部の「国内外のスマートコミュニティの先駆的取組」では,省エネ型インフラによる新しいまちづくりの方法論である“スマートコミュニティ”について,世界各国の先駆的な取組が紹介され,被災地への応用可能性も含め,活発な意見交換が行われました。?部の「復興に向けたスマートコミュニティ提案」 では,被災地から推薦された専門家によって,被災された方々の視点に立ち,スマートコミュニティの必要性や魅力を解説。今後,10年,20年に及ぶ被災地復興へ向けたスマートコミュニティの可能性について,防災や雇用創出など考慮すべき点も含め熱のこもった議論が行われました。そして,これらの議論を踏まえ,「被災地復興のためのスマートコミュニティ・イニシアティブ」がセミナーの総括として発表されました(コラム参照)。

 
スマートコミュニティについて

「被災地復興のためのスマートコミュニティ・イニシアティブ」
〜世界の英知を被災地へ集め,被災地から世界へ発信する新たなまちづくり〜

  • ●被災地において,そこで暮らし働く人々にとって,安心・安全で,環境に優しく,魅力と活力にあふれ,将来世代にわたって持続可能なまちづくりにつながるような,地域のスマートコミュニティ・モデルを実現する。
  • ●震災後の世界中の国々からの心温まる支援に応えるためにも,復興事業として,スマートコミュニティを実現する姿・過程と,その成果であるモデルを,世界へ発信してゆく。持続可能な地域社会,防災や低炭素社会の実現等,共通の諸課題の解決を通じて国際社会に貢献する。
  • ●その際,1)「ヒト」を中心に,2)安心・安全を確保,3)再生可能エネルギーの推進,4)新産業・雇用を創出,5)経済性と快適性を両立,を地域のスマートコミュニティ・モデルに必要な5つの要素とし,そのようなモデルを世界へ発信,国際社会に貢献すべきである。
ビジョンを策定
 
 

持続可能な未来のために欠かせない再生可能エネルギー

世界の一次エネルギー需要(燃料別)「被災地復興のためのスマートコミュニティ・イニシアティブ」の中で重要な要素として位置づけられている「再生可能エネルギー」は,その名のとおり,枯渇することなく繰り返し補充される自然由来のエネルギーのことを言います。例えば,「バイオ」,「地熱」,「水力」,「海洋」,「太陽」,「風力」などがあり,いずれも発電時などに地球温暖化の原因と考えられる二酸化炭素をほとんど排出しないという大きなメリットがあります。近年,新興国の著しい経済発展などを背景として,世界的にエネルギーの需要が増大しており,一方で石油・石炭など化石燃料の利用に伴って発生する温室効果ガスを削減することが重要な課題となっています。今後,持続可能な未来であるために,再生可能エネルギーの普及と利用促進は欠かせません。

 

2012年は,開発分野においても再生可能エネルギーのモメンタム

2012年は「万人のための持続可能なエネルギー国際年」と定められています。国際エネルギー・セミナーに熱いメッセージを寄せた潘国連事務総長が提唱する「万人のための持続可能なエネルギー」イニシアティブとは,世界中の誰もが十分なエネルギーを享受できるようにし,世界経済の活力を増大させ,世界を持続可能な方向に舵取りしていこうとする取組で,再生可能エネルギーはその取組においても重要な要素となっています。また,今年は1992年にリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」からちょうど20年目にあたり,6月に開催される「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」においても,グリーン経済への移行の議論において,エネルギーや環境にやさしいまちづくりは重要なテーマの一つとなる見込みです。

さまざまな再生可能エネルギー
 
 

国際再生可能エネルギー機関「IRENA」が2011年から本格活動

2012年1月14・15日に開催された再生可能エネルギーへの国際的な関心の高まりを受けて,2009年1月,ドイツのボンで「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の設立会合が開催されました。会合に参加した各国のうち75か国が,IRENA設立のための文書であるIRENA憲章に署名。同年6月にエジプトで開催された運営準備委員会第2回会合で日本,米国等が署名し,2012年4月現在,世界の92か国及びEUが加盟しています。IRENA事務局本部は,アラブ首長国連邦のアブダビに置かれていますが,中東地域に初めて設置された国際機関の本部です。IRENAは,再生可能エネルギーの普及と持続可能な利用の促進を目的とし,知識管理・技術協力局,政策助言・能力構築局,そしてイノベーション・テクノロジー・センター(ドイツのボンに所在)の3局体制で活動しています。総会は年1回開催され,2011年4月に第1回2012年1月に第2回がアブダビにおいて開催されました。

【IRENA・日本共催ワークショップを沖縄で開催】

IRENA第2回総会で議題に上った太平洋島嶼国は,IRENAにおける重点地域の一つです。そこで,日本は第6回太平洋・島サミット(PALM6)の機会を捉え,2012年5月26日に沖縄県で「太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの促進〜課題への挑戦〜」をテーマにワークショップを開催。太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの促進を日本のイニシアティブで,IRENAとともにバックアップします。このワークショップには,14の太平洋島嶼国・地域をはじめ各国政府・機関・企業等の再生可能エネルギー担当者が参加予定です。

 

日本もIRENAに大きく貢献

アミンIRENA事務局長が,アラブ首長国連邦を訪問した玄葉大臣を表敬(2012年1月)再生可能エネルギーの知的拠点としてのIRENAに対する国際社会の期待がさらに高まりを増している中,現在,日本は,理事国を務めるなどIRENAの諸活動に積極的に参加しています。日本の分担金分担率は米国に次ぎ第2位(2012年/17.828%)であり,また事務局職員として日本人も活躍しています。IRENAへの参加は,再生可能エネルギー分野における日本の国際的な影響力の確保や国内の関連産業の国際競争力強化など,日本の将来に極めて大きな意義を持つものです。外務省は,2011年2月に「再生可能エネルギーの利用の促進に向けて:IRENAへの期待」を開催するなど,国内に向けたIRENAの活動のアピールなどを行っています。

 

世界の英知を被災地へ,被災地の取組を世界へ

東日本大震災後に各国から頂いた支援に応えるため,日本は,IRENAなどの国際機関を通じた国際社会と連携しつつ,世界の持続可能な開発のための技術やアイディアを世界へ発信します。再生可能エネルギーやスマートコミュニティは,日本の復興の大きな原動力になるとともに,世界の持続可能な未来のための「新しい社会づくり」に欠かせない要素です。日本が高い技術力を活かして「省エネ」,「創エネ」,「蓄エネ」の最先端モデルを世界に発信する「エネルギー・環境技術のトップランナー」,被災地復興を通じた「環境に優しく災害に強いまちづくりのトップランナー」,そしてそこで暮らし働く「住民が主役となる社会づくりのトップランナー」になれるよう,引き続きこれら分野に関する被災地復興支援と国際社会への発信・貢献を行っていきます。

 
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