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Vol.84 2012年2月22日
豊かな自然と平和を愛する国 コスタリカ

2011年12月,コスタリカのチンチージャ大統領が来日しました。初のアジア外遊先として日本を訪問した同大統領は,野田総理大臣と経済関係強化や,エネルギー・環境問題での協力等について会談し,両首脳から今後の更なる二国間関係強化への強い期待が表明されました。今回は,コスタリカとはどのような国なのか,そして平和や民主主義,さらに地球環境問題などで価値観を共有する日本とコスタリカの関係について紹介します。

カリブ海と太平洋に囲まれた「富める海岸」

コスタリカ 南北アメリカを結ぶ地峡地帯に位置するコスタリカは,東西を太平洋とカリブ海に囲まれ,国土の中央に山脈が連なる風光明媚な国。国名の「コスタリカ(Costa Rica)」とはスペイン語で「富める海岸」という意味です。国土の北側はニカラグア,南側はパナマと国境線で接しており,約51,000平方kmという国土面積は,日本の四国と九州を合わせた面積と同じぐらいの広さです。また,日本と同様に火山国,地震国でもあり,国土の約半分は海抜500m以上で,首都サンホセも標高1,200mという高地にあります。およそ463万人の国民の約95%はスペイン系及び先住民族との混血で,その他アフリカ系(3%)や先住民族(2%)となっています。

美しい海岸と火山はコスタリカの自然の大きな特色 写真提供:コスタリカ政府観光局
 

豊かな生態系と自然を愛する国民性による「環境立国」

コスタリカ国内電力の内訳 国土の42%が農牧地で,38%が熱帯雨林というコスタリカは,豊かな自然環境・生態系に恵まれており,世界全体のわずか0.03%の面積でしかない国土に,地球上の全動植物の約5%が生息しています。ウミガメの世界的産卵地でもあり,手塚治虫氏の作品『火の鳥』のモデルとも言われているケツァールなどカラフルな鳥類も多く見られます。また,世界遺産に指定されている太平洋側のココ島は,映画『ジュラシック・パーク』の舞台にもなりました。政府も伝統的に自然環境を大切にしており,2002年には憲法に「環境保障」と題する章を追加。現在,国土の約1/4が国立公園・自然保護区となっており,自然を利用したエコツーリズムが盛んな国です。また,コスタリカは,再生可能エネルギー推進国でもあり,国内電力のなんと93%を再生可能エネルギー(水力,地熱,風力他)で賄っています。国際的には環境外交にも力を入れており,気候変動問題対策にも積極的に取り組んでいます。

小さな国土に息づく豊かな生態系 写真提供:コスタリカ政府観光局
 

植民地から,中米で最も進んだ民主主義国へ

コスタリカ略史1502年,コロンブスが第4次航海でカリブ海側の海岸に到着したことによって,コスタリカの存在がヨーロッパに知られました。その後,この地にスペイン人が入植し,19世紀に入るまで300年以上にわたり植民地時代が続きました。1821年,スペイン本国の国力衰退,またコスタリカの人々の独立思想の芽生えを背景として,グアテマラとともに独立。しかしその後はメキシコ帝国に併合されるなど完全な独立国家とは言い難い状態が続き,ようやく1848年に「コスタリカ共和国」として真の独立を果たしました。独立したコスタリカは,コーヒーブームに乗って経済的に発展し,少数の新興富裕層が出現。一時はこうした富裕層やインテリ層の政治介入による「インテリ独裁」の恐怖政治の時代もありましたが,1920年代になるといくつもの政党が結成され,真に民主的な国づくりへの努力が続けられました。そして,1949年,高度に民主主義な性格を持つ現行憲法が制定されました。以降,コスタリカは一度も軍事クーデターを経験せずに,14回連続大統領が民主的な選挙によって選ばれており,中米で最も進んだ民主主義国との定評を得ています。2010年には初の女性大統領(チンチージャ大統領)が誕生。閣僚や国会議員も女性の割合が高く,女性の社会進出も活発です。

 
 

常備軍を持たない平和を愛する国

1949年制定の憲法でコスタリカは常備軍保持を廃止しました。国家の非常事態の際には国会議員の2/3の賛成投票により,徴兵制実施及び軍隊の編成権限が大統領に与えられますが,憲法制定以来一度も軍隊が組織されたことはありません。1983年には「非武装中立」を宣言しています。また,長年内戦に苦しんできた中米諸国の和平プロセスに貢献したアリアス前大統領は,1987年に中米では初めてとなるノーベル平和賞を受賞しました。なお,首都サンホセには1980年に「国連平和大学」が設置されており,日本人を含む各国の留学生が学んでいます。

 

伝統的な農業国からの脱皮

1人当たりGDP(中米諸国との比較)一人当たりのGDPがパナマに継ぐ第2位と中米諸国の中では豊かな国であるコスタリカ。主要産業は伝統的に農畜産業では良質のコーヒー豆やバナナなど伝統的な農産品のほかに,近年はパイナップルやメロンなど新しい農産品の生産にも意欲的に取り組み,成功を収めています。一方で1996年に米国インテル社の誘致に成功するなど,ハイテク製品など製造分野における輸出が着実に伸びており,現在では伝統的な農業輸出産品をしのぐ輸出品目となりました。輸出・輸入とも最大の相手国は米国で,輸出額の約40%が米国向けとなっています。また,豊かな自然環境を生かしたエコツーリズムを中心とした観光業も主要な外貨獲得源としてコスタリカ経済で重要な位置を占めています。

 

世界の平和,人権,環境,軍縮・不拡散に貢献

共同記者発表を終えて握手するチンチージャ大統領と野田総理 コスタリカは,国連や米州機構(OAS)を中心とした外交を展開しています。過去3回にわたり,国連安保理非常任理事国を務め,国際場裡では特に平和,人権,環境,軍縮・不拡散の分野で存在感を発揮しています。近年の大きなコスタリカ外交のトピックとして,2007年にアリアス前政権下で台湾との外交を断絶し,中国との外交関係を樹立したことがあげられます。現政権のチンチージャ大統領は,対日外交,対アジア外交重視を打ち出しており, 2011年12月に初のアジア外遊として日本を訪れました

 
 

日本と価値観を共有する友好国

首都サンホセ市街 写真提供:コスタリカ政府観光局
日本とコスタリカは1935年の外交関係樹立以来,第二次世界大戦中を除いて,長年の友好関係を築いてきました。2011年1月には,外交関係樹立75周年を記念し秋篠宮同妃両殿下が日本の皇族として初めて公式訪問されました。国連では特に気候変動,軍縮・不拡散人権平和構築の分野で協力関係にあり, 平和と民主主義,持続可能な発展といった価値観を共有する国として,国際社会におけるかけがえのないパートナーです。経済関係の規模で言うと日本はコスタリカにとって,輸入相手国として第5位,輸出相手国として第20位とそれほど大きな貿易相手ではありませんが,経済協力の面で日本の政府開発援助(ODA)が環境,防災,野生生物保護,発電所建設等の各分野で多大な実績を重ねてきました。また,コスタリカは中米で最初の地上デジタル放送日本方式を採用した国でもあります。

【「コスタリカ方式」って何?】

日本の衆議院議員選挙が,中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に移行した際に「コスタリカ方式」という呼称をしばしば耳にしました。これは,地盤となる選挙区を同じくする同一陣営(政党)の複数の立候補予定者を,小選挙区と比例区で交互に立候補させる選挙戦術のこと。コスタリカでは,国会議員の連続再選が禁じられていることから,「交互に立候補する」ことにちなんで命名したと思われますが,日本の「コスタリカ方式」は,名前だけ借りた全く独自の選挙戦術の呼称です。

 

東日本大震災に対する国をあげての支援

日本を勇気づけるために日本大使館に届けられたコスタリカの小学生が書いた手紙
チャリティ・イベント「Dia Arigato:Ticos por Japon」

2011年3月11日の東日本大震災後,コスタリカはいち早く日本との連帯を表明した国の一つです。3月20日には,コスタリカ文化・青年省,日本大使館,日本人会が共同でチャリティ・イベント「ありがとうの日:コスタリカ人から日本へ(Dia Arigato: Ticos por Japon)」を実施し,1万人以上が参加。このイベント開催にあたって,大統領は自らツイッターで日本への募金を訴えました。コスタリカの著名ミュージシャンが被災者応援ソング「Costa Rica por Japon: Un Mar de Amor (A Sea Of Love)愛の海」を発表。全売り上げが震災被災者への義援金として寄付されます。この曲のビデオクリップは,You Tubeでも視聴できます。もちろん,多くの市民,文化団体,小学校の児童などからも日本に対する募金やメッセージが寄せられました。昨年12月のチンチージャ大統領訪日時に野田総理は,こうしたコスタリカの国をあげての日本支援に謝意を表明し,チンチージャ大統領も,共通の価値を持つ日本との関係を一層緊密にしたいとの意欲を述べました。経済関係の強化やエネルギー・環境分野における協力など,今後,更なる二国間関係の深化が期待されています。

 
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