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Vol.142 2016年3月23日
フィリピンという国:日・フィリピン国交正常化60周年

2016年に,日本とフィリピンは国交正常化60周年を迎えました。1月には,天皇皇后両陛下がフィリピンをご訪問。アキノ大統領をはじめ,フィリピンの人々から心温まる歓迎をお受けになられました。今回は,フィリピンという国について改めて紹介するとともに,両国間の友好関係について解説します。

フィリピンとは

フィリピン共和国フィリピン(Republic of the Philippines)は,東南アジアに位置する立憲共和制の国で,7,109の島々からなる島国です。国名は,16世紀に宗主国であったスペインの皇太子フェリペ2世(後の国王)にちなんで,「フィリピナス諸島(Las Islas Filipinas)」と名付けられたことに由来します。人口は約9,234万人(2010年フィリピン国勢調査),国土の面積は約30万平方キロメートル(日本の0.8倍),首都はマニラにあります。マレー系を主とし,中国系,スペイン系及びこれらとの混血並びに少数民族がいます。国語はフィリピノ語(タガログ語)ですが,英語も公用語として広く使われています。ASEAN唯一のキリスト教国(9割)として知られていますが,イスラム教徒もミンダナオを中心におよそ5%を占めています。

 

日本の身近にあるフィリピン

フィリピンは,平均気温が26℃前後と,年間を通じて暖かい気候の国です。セブ島をはじめ,日本人にも人気のリゾート地が多数あります。食文化では,主食は米(主にインディカ米)で,他の東南アジアの国々や,スペイン,アメリカ,中国などの料理が融合されています。バナナやパイナップルの世界的産地としても有名で,日本に輸入されるバナナやパイナップルの9割以上をフィリピン産が占めています。またフィリピンは,海外に多くの労働力を提供しており,特に船員が多いことでも有名です。日本商船隊に乗り込んでいる船員について見てみると,全体の3.9%が日本人船員であるのに対し,73.8%がフィリピン人船員となっており,おおよそ4人に3人がフィリピン人船員という状況にあります(平成27(2015)年版交通政策白書データ集(日本商船隊における国籍別船員比率)より)。

マニラ大聖堂,セブ島の風景
 

フィリピンから見た日本

フィリピンでは,日本のポップカルチャー,特にアニメやゲーム,歌謡曲などが,若年層を中心に人気を博しています。また,日本の有名アパレルメーカーや人気ラーメン店,コンビニなどが続々とフィリピンに進出しています。豊富な労働力を有し,さらに英語が公用語という利点を持つフィリピンに対し,日本企業の熱い視線が集まりつつあります。また2013年7月から,ビザの大幅緩和に伴い,期限内であれば何度でも訪日できる「数次ビザ」をフィリピン人に発給しています。2014年3月には羽田-マニラ路線,その後も名古屋-セブ間,関空-セブ間などの新規就航が相次いだことにより,フィリピンからの訪日客が急上昇するなど,近年日本とフィリピンの人的往来が活発化しています。

 

日本とフィリピンの交流史

日本とフィリピンは,16世紀の中頃より交易を通じた交流を行っており,マニラには日本人町も作られました。江戸時代の鎖国政策により,両国間の交易は一時衰退しますが,20世紀初頭にマニラとバギオとを結ぶ道路工事などの建設ブームが起こると,日本人労働者がフィリピンに移り住み,以降多くの日本人がフィリピンに移住しました。現在では約1万8千人の日本人が,フィリピンに在住しています。また,日本に在住するフィリピン人も20万人に達しており,中国,韓国に次いで3番目に多い数になっています。

 

現在の二国間関係

日本とフィリピンは,戦争という過去の悲劇を乗り越え,現在フィリピンは世界的にも親日国として知られています。2011年にフィリピンで行ったBBC世論調査では,日本を肯定的に見る人が84%にも上るという結果が報告されています(調査対象国27カ国中,インドネシアに次いで2位)。日本にとってフィリピンは,シーレーンを共有する海洋国家として,地政学的にも大変重要な存在です。経済面での成長のポテンシャルが高く,若く優秀な労働力を豊富に有していること,またASEANの人口の約2割を占める原加盟国であり,ポストBRICsの有力候補として注目されることなどから,日本はフィリピンを基本的価値・戦略的利益を共有する「戦略的パートナー」として重要視しています。

 

日本は最大のODA供与国

フィリピンにとって日本は,最大の貿易相手国であり,かつ最大の投資国でもあります。2008年には日・フィリピン経済連携協定が発効。それにより両国間で,貿易や投資の自由化・円滑化,人の移動,ビジネス環境の整備などが促進された他,日本はフィリピンからの看護師や介護福祉士候補者受け入れを実施してきました。また日本は,フィリピンにとって最大のODA供与国であり,フィリピンに対する援助のうち約6割を占めています(2012年)。マニラ首都圏周辺の交通網整備をはじめとするインフラ整備や,自然災害,環境問題,感染症などへの支援,生活・生産基盤の安定強化など,様々な取組を行ってきました。

「道路・橋梁の建設・維持に係る品質管理向上プロジェクトフェーズ2」(2011年11月~2014年9月)における橋梁点検の様子(左)と,フィリピン中部における台風被害支援(2013年)の様子(右)
提供:JICA
 

ミンダナオにおける和平と開発支援

フィリピン南部のミンダナオ島では,およそ40年にわたり,政府とMILF(モロ・イスラム解放戦線)を含む反政府イスラム武装組織との武力闘争が行われてきました。日本はミンダナオ和平がアジアの平和と繁栄に不可欠との認識のもと,2006年よりミンダナオ地域に対する開発支援を開始。人々の生活を安定させることで和平を後押しするという,日本ならではの方法で支援を進めてきました。2011年には,アキノ大統領とムラドMILF議長とのトップ会談が,日本の支援により成田で実現。2014年にはミンダナオ地域に新たな自治政府を設立するための包括和平合意が結ばれました。

ミンダナオ独立運動と和平プロセス
 

さらなる深化に向けて

近年では要人往来も活発化しています。2015年6月には,アキノ大統領が国賓として来日し,首脳会談において安倍総理は,理念と目標を共有する「戦略的パートナー」として,フィリピンとの協力をあらゆる分野で強化し,地域や国際社会の安定と繁栄に貢献していく旨を述べました。同年11月には,APEC会合に出席するため,安倍総理及び岸田外務大臣がフィリピンを訪問し,首脳会談を実施しました。そして,2016年1月26日から30日には,天皇皇后両陛下がフィリピンをご訪問され,アキノ大統領をはじめフィリピンの国民から心温まる歓迎をお受けになり,多くの人々と心を通わせる機会をお持ちになられたとともに,戦争で亡くなられた人々を慰霊し,平和を祈念されました。2016年は,日本とフィリピンの国交正常化60周年にあたる記念すべき年です。これを契機に,今後日本とフィリピンとの間の友好親善関係が,一層発展することが期待されています。

日・フィリピン首脳会談の様子(2015年6月)(写真提供:内閣広報室)
 
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