平成17年12月6日
於:リュブリャナ(スロベニア)
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議長及び御列席の皆様、
はじめに、本年が1975年のヘルシンキ最終文書署名から30周年を迎えることに祝意を表したいと思います。署名以降、変化する情勢に対処するために、OSCEは進展を遂げてきました。OSCEの活性化のために本年を通じてルーペル議長が議論を続けてきたことに敬意を表すとともに、外相理事会で改革案が採択される運びとなったことは誠に意義深いことと考えます。
我が国はOSCEと基本的価値を共有するパートナー国として、長年にわたりOSCEの活動に積極的に参加してきました。選挙監視団やOSCEの各種ミッションへの邦人専門家や職員の派遣、選挙支援、セミナー等への資金協力を通じ、OSCEと知見と経験を共有してきました。
こうした長年にわたるOSCEとの協力関係を通じ、我が国は、多くの分野で我が国とOSCEが直面する共通の課題に協力して対処していくことが重要であると確信しています。
テロとの闘いはその一例であります。今回の外相理事会では「核によるテロリズム行為の防止に関する条約」の署名・締結に関する閣僚声明を6月に採択したことを確認する予定であると承知していますが、我が国においては9月の国際連合首脳会合の機会に小泉総理がこの条約に署名し、現在可能な限り早期の締結に向けた作業を行っているところです。また、我が国は、国際的なテロとの闘いにおいては、国際的な基準を設定するグローバルな枠組みのみならず、メンバー間でテロ対策の履行を互いにフォローできる地域的枠組みの果たす役割が重要であると考えています。かかる観点から、我が国は国際テロ対策協力に関するOSCEの取り組みを評価しており、本年2月のコンテナ保安、及び10月のインターネット悪用に焦点を当てたテロ対策関連ワークショップに専門家を派遣したところです。また、MANPADS対策分野におけるOSCEの先進的な取組を我が国は高く評価しており、引き続き協力していきます。
安全保障を政治・軍事的な側面のみならず、人の側面や経済、環境の側面も考慮した包括的安全保障の概念でとらえ、様々な取り組みを展開しているOSCEの活動を我が国は高く評価しています。こうしたアプローチは我が国も重視する「人間の安全保障」の考え方とも共通するものであり、「人間の安全保障」の視点をOSCEの諸活動に取り入れていくことはOSCEの活動に域外国、国際機関等の参加、協力を得ていく上でも有益ではないかと考えます。その関連で、明年タイで行われますタイ・OSCE共催会議が「人間の安全保障」の重要な一要素をなす貧困や疫病対策をテーマとしていることを歓迎します。また、我が国は国連の人間の安全保障基金を通して人間の安全保障に関するプロジェクトに貢献していますが、OSCE域内においても相応しい案件があれば協力していく考えです。
アジアとOSCEがともに直面する課題に共通に取り組んでいくことがますます必要となっている中で、我が国を含むアジア・パートナー国とOSCE諸国が、欧州及びアジアそれぞれの地域の安全保障環境について共通の認識を形成することが必要です。
アジア地域の安全保障環境は、欧州と大きく異なり、依然として不安定な状態が多く残されています。特に、北朝鮮の核問題を含む大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散問題は、同地域のみならず、国際社会全体の平和と安定のため解決しなければならない重要な課題であります。また、北東アジアにおける不透明かつ急速な軍事増強の問題には、より注意する必要があります。
その様な観点から、OSCEとARF等アジア地域のフォーラムとの対話は重要です。我が国はこうした対話を通じ、我が国を含むアジア諸国がOSCEの知見・経験を学ぶと同時に、OSCE諸国がアジアの安全保障環境に対する理解を一層深めていくことを期待しており、これからもこうした対話の場をアジアのパートナーと協力しつつ提供していきたいと思います。
中央アジアは、我が国とOSCEがともに重視する地域です。この地域における民主化と安定に向けた前向きな動きの中で、我が国はOSCEが民主化支援に果たしている大きな役割に敬意を表します。特に、7月のキルギス大統領選におけるOSCEの役割は特筆すべきものであります。我が国は、こうしたOSCEの取り組みを具体的に支援しています。7月のキルギスの大統領選挙に先立ち、我が国は、同国の選挙の透明性の向上、選挙に携わる政府関係者の人材育成を実施する等、OSCEの取り組みと相互補完的な協力も実施してきました。また、12月4日に実施されたカザフスタン大統領選挙の際にも、我が国の要員をOSCEの選挙監視に派遣しました。更に、我が国は中央アジアのみならず、ウクライナをはじめとするその他のNIS諸国の民主化の進展に向けたOSCEの取組みも支援しています。
また、我が国は、中央アジア各国との二国間関係の協力強化に加え、「中央アジア+日本」対話を通じた多国間での対話促進も重視しています。
西バルカン地域の平和定着と経済発展も我が国とOSCEの共通の関心分野であります。(我が国は91年から現在までに西バルカン諸国に対し総額13億ドルにも上る支援を実施しています。)我が国は、西バルカンの多くの諸国に対するトップドナー国の一つとなっております。我が国はこの地域におけるOSCEの役割を高く評価し、積極的に貢献してまいりました。OSCEのコソヴォやボスニアにおける選挙監視に人的な貢献を実施し、現在もOSCEマケドニアミッションにおいて、邦人職員が活動中であります。また、本年10月には、昨年EUとの共催の下東京で開催した西バルカン平和定着・経済発展閣僚会議のフォローアップとして、OSCEの積極的な参加を得て西バルカン観光開発地域会合を開催したところです。我が国は今後も西バルカン地域の平和と安定への努力の一環として、OSCEと協力しつつ、このような貢献を続けていく所存であります。
我が国は、OSCEが昨年の大統領選に引き続き本年9月のアフガニスタン議会選・地方選を成功に導き、アフガニスタンの民主化に大きく貢献していることを評価しております。我が国としても、今後とも引き続き平和と民主主義構築に向けたアフガニスタン人の努力を支援していきたいと考えております。
同時に、民主化を促進するためには、国内のガバナンス機構と経済発展とが同時に大行われることが不可欠であることを強調したいと思います。我が国としては、OSCEが、この分野においても豊富な経験を生かしてさらにリーダーシップを発揮されることを期待します。
最後になりましたが、OSCEが次期議長国ベルギーのデ・グフト外相の下で、直面する安全保障上の課題に対処するため、発展を続けることを期待します。我が国は進展するOSCEと、一層緊密に協力していく考えです。