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演説
田中外務大臣演説

第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議における田中外務大臣演説(仮訳)

平成13年12月17日

 シルヴィア王妃陛下、高円宮妃殿下並びに御出席の皆様、

 私は、本日、会議の議長として、また日本政府を代表して、皆様のご来訪を心から歓迎したいと思います。

 UNICEF親善大使であり、私の親しい友人である黒柳徹子氏は7月にアフガニスタンを訪問した後、次のような感想を述べておられます。
 「アフガニスタンは大人から見ると『絶望』しかない国でした。三年も干ばつで、食べるものも水もない。今も内戦が続いている。そんな土地でも、子どもたちは、元気よく『学校の先生になりたい』と言ってくれる。地雷で片足をなくした羊飼いの少年が、義足をつけてもらって又歩けるようになって、『うれしいなぁ、また羊と一緒に暮らせます』と言っている。そういう希望を持って生きていける子どもって何て素晴らしいんだろうと心から思いました。」と。
 そして、私自身もまた、先月、パキスタンで訪れたアフガン避難民キャンプの中で実際に多くのこのような子どもたちに出会うことができました。

 皆様ご存じのとおり、子どもたちはこの世界に生まれ出るとき、必ずしも同じ条件の下に生まれてくるわけではありません。豊かで幸せな環境に生まれる子どももいるでしょうし、貧困の中、戦争の中に生まれる子どももいます。重い病を持って生まれる子もいるでしょう。それでも、生まれたばかりの子どもたちは、皆、無邪気で愛らしく、周囲の大人を全面的に信頼しています。子どもたちは誕生と同時に世の中の不条理をそのままに受け入れざるを得ないか弱い存在ですが、それにもかかわらず、私たちにどれほど多くの希望と幸せをもたらしてくれることでしょう!

 しかし、現実に目を転ずれば、世界各地において、子ども達を商業的性的に搾取するという恐るべき行為が後を絶ちません。この問題は、開発途上国と先進国の別なく、様々な原因に応じ様々な形態をとって、子どもたちを苛んでいます。私たちは5年前にこの憎むべき犯罪行為を根絶するためにストックホルムに集いましたが、今日、搾取されている子どもたちを巡る状況は、私たちの努力にも拘わらず、却って深刻さを増しています。今なお多くの子どもたちが性産業に従事させられ、児童買春や児童ポルノの被害に遭っています。犯罪組織は益々狡知の度合いを増しており、また、インターネットの発展は脅威を増大させています。そして、これらの社会の病理現象への対策に我が国を含む多くの国々が苦悶しています。

 被害を受けた子どもたちを巡る状況は悲惨です。性感染症等の身体上の被害に加え、心に受けた傷は後々までその子どもたちの人生を蝕みます。社会的な偏見は、しばしば、被害者であるはずの子どもたちの社会復帰を困難にします。貧困の環境は、子どもたちから教育を受ける機会を奪い、そのために売春以外に生計の途を知らず、結局、いつまでも性産業から抜け出せません。

 これは、悪循環です。AIDSの恐怖の中で、いかに多くの少女が家族のその日の糧のために身を売っていることか!

 児童の商業的性的搾取は、子どもたちの人権の重大な侵害です。子どもたちは個々の人格として尊重されるべき尊厳を有しているのであって、こうした子どもたちの権利と尊厳を無視して搾取する行為は、私たち自身の未来を否定する行為に等しいということを大人たちは心に刻むべきです。そして、この許されざる行為の撲滅に向けて断固としたかつ即時の行動を、各国、各地域、そして全世界でとる必要があります。

 私たちの先ずなすべきことは、本件問題への国際的取組みの輪を一段と強固なものにするために、各国政府、国際機関、NGOの協力を更に進めることです。ストックホルムにおいて採択された「宣言」及び「行動のための課題」は、世界の各地における意識を啓発し、具体的な行動の指針となり、その後、各国において種々の法的措置や政策の導入が行われました。

 我が国においても、国会議員の主導により、「児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が策定され、99年に施行されたほか、最近では本年6月に「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関するILO条約(第182号)」の締結を行いました。我が国は、「人間の安全保障」の重要な一環として、本件問題に真剣に取り組むとともに、UNICEFをはじめとする国際機関との連携を進め、内外のNGOとの緊密な協力関係の構築を図って参りたいと思います。

 子どもたちの欲求に常に関心を寄せる社会は、子どもたちのもって生まれた様々な可能性を開花させることのできる社会であると思います。私たちは、全ての子どもたちが愛情を一身に受けながら安心のうちに育まれ、その可能性を最大限に発揮できる環境を整える責務を担っています。

 子どもたちは私たちの未来であり、国境を越えた人類社会の共通の財産でなのです。

 御出席の皆様、

 商業的性的搾取に断固として立ち向かうという決意を、ここ横浜から力強く発信しようではありませんか。

 ご静聴有り難うございました。



田中外務大臣演説 / 平成13年 / 目次


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