外務報道官談話
ピースボートの北方四島入域について
平成14年8月27日
- 今般、民間団体「ピースボート」の主催による訪問団が27日、国後島に上陸したことが確認された。政府の度重なる説得にも拘わらず、今般「ピースボート」が北方領土への入域を含むツアーを強行したことは、誠に遺憾である。
- 政府としては、わが国国民が、ロシア連邦の出入国手続に従うことをはじめとしてロシア連邦の不法占拠の下でわが国国民が北方四島へ入域することは、北方領土があたかもロシアの領土であるが如く入域することになるため、平成元年9月19日の閣議了解により、国民に対し、北方領土問題の解決までの間、このような北方領土への入域を行わないよう要請しているところである。
- 「ピースボート」による今回の北方領土への入域は、平成3年に日露両国政府が合意の上で設定した四島交流の枠組みを無視して実施されたものである。四島交流の枠組みに従わない形での「ピースボート」の訪問は、今後の四島交流事業の円滑な実施に支障を来すおそれが排除されないことを懸念する。
- 「ピースボート」による今回の北方領土入域計画については、2月中旬に情報を入手し、その後累次にわたってこのような形での四島への渡航につき自粛を要請してきた。4月19日には、ロシア課長より平成元年の閣議了解に基づいて自粛を要請する書簡を発出したところである。
- なお、政府以外でも、5月30日には北海道庁が、北方領土返還運動団体である社団法人北方領土復帰期成同盟及び唯一の旧島民団体である社団法人千島歯舞諸島居住者連盟と連名で「ピースボート」に対し、四島への渡航の自粛を要請する書簡を発出しており、7月24日には、全国の返還運動団体が参加して結成されている北方領土返還要求運動連絡協議会が、「ピースボート」に対し、訪問を自粛する書簡を直接手交したと承知している。
- 政府としては、本件入域を受け、本27日、本件入域が領土問題に関するわが国の法的立場を如何なる形においても変えるものではない旨、ロシア側に対し改めて伝達したところである。政府としては、わが国国民の四島入域は、北方領土問題の解決までの間、四島交流等の枠組みの下で行われるべきであるとの点につき、今後とも国民各位の御理解と御協力をお願いしたい。
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