最近、国際的感染症対策についての議論が、国連やサミット・プロセスなどの場で活発に行われており、アナン国連事務総長やいくつかの国が、感染症対策のための保健基金を設立する構想を発表している。また、先にナイジェリアで開催されたOAU(アフリカ統一機構)エイズ・サミットなど、途上国側も積極的にこの問題に取り組んでいる。
わが国は、これまでも一貫して感染症対策の重要性を訴えてきている。昨年開催された九州・沖縄サミットにおいても、議長国として感染症対策をサミットの中心テーマの一つとして取り上げることを提案した。さらに、わが国として5年間で30億ドルの支援を発表し、既に4億ドルを実施するなど、着実に感染症対策を実施してきているところである。
また、わが国主導でG8(主要8カ国)諸国・途上国・国際機関・NGO(非政府組織)による具体的感染症対策の協議を進めてきており、昨年12月には、これら全ての関係者の出席を得た感染症対策沖縄国際会議をわが国が議長となって開催した。
このような九州・沖縄サミットを契機とする流れの中で、今般、ブッシュ米国大統領が感染症対策のための保健基金構想をアナン国連事務総長およびオバサンジョ・ナイジェリア大統領とともに打ち出し、2億ドルの当初資金を提供することとした旨発表されたことを歓迎し、高く評価する。
わが国としては、こうした保健基金構想はエイズ、マラリア、結核等の主要感染症と闘うために大変重要と考えている。わが国は米国をはじめ立場を同じくする国々との協調の下に、わが国としての応分の協力を検討している。今後、6月に開催される国連エイズ特別総会やジェノバ・サミットに向けて、具体的行動において引き続き感染症対策のリーダーシップを発揮していきたい。
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