寄稿・インタビュー

シャルクルアウサト紙(汎アラブ・メディア)による安倍総理大臣インタビュー

(2018年4月29日付)

「日本国総理大臣『二国家解決にコミットする。「平和と繁栄」の活性化に向けて』」

平成30年5月10日

 安倍晋三日本国総理大臣は29日,ヨルダン,イスラエル,パレスチナを含む中東歴訪の一環としてUAEへの訪問を開始する。シャルクル・アウサト紙からのインタビューにおいて安倍総理は,パレスチナ危機に関し,二国家解決策及び「平和と繁栄の回廊」構想の活性化の重要性につき強調した。

 シャルクル・アウサト紙からの質問に対し,安倍総理は,「今次中東への訪問は,中東地域の安定が日本にとって死活的に重要である故に行われるもの。中東地域が世界に供給するエネルギー資源は,世界の繁栄の土台であり,日本も大きな恩恵を受けている。」と答えた。

 今次UAE,ヨルダン,イスラエル,パレスチナへの訪問意義と期待される成果に関し,安倍総理は,「UAEを訪問するのは,総理として約5年ぶり3度目,ヨルダン,イスラエル,パレスチナへの訪問は,それぞれ約3年ぶり2度目になる。」とし,今次訪問が日本の役割を強化し,中東地域における共通利益と安定の実現に向けたものであるとした。

 安倍総理は,「今回訪問するUAEでは,本年2月,約40年ぶりにアブダビの海上油田権益を更新した。今回の訪問では,ムハンマド・アブダビ皇太子との間で,石油資源のみならず,再生可能エネルギー,防衛協力,教育,宇宙開発といった幅広い分野での戦略的パートナーシップを更に強化したい,そう期待している。」と述べた。

 アンマン訪問におけるアジェンダに関し,安倍総理は,「ヨルダンは,中東和平の重要な当事者であり,また,シリア危機への対応やテロ・暴力的過激主義への対応において,地域の平和と安定のために不可欠かつ重要な役割を果たしている。日本が中東外交を強化する上で重要なパートナーであるヨルダンで,アブドッラー国王陛下と再びお会いできることを楽しみにしている。」と述べた。

 更に安倍総理は,「中東和平問題は難しい状況にあるが,そういう状況の中でも,「平和と繁栄の回廊」構想は着実に前進させていく。今回,日本が支援するジェリコ農産加工団地(JAIP)を訪問する予定だが,JAIPは日本が旗を振るからイスラエルもパレスチナもヨルダンも協力してくれる,地域協力の好例。日本は,こうした独自の取組を通じて,中東和平問題におけるイスラエル・パレスチナ間の信頼醸成に寄与していく考えであり,ネタニヤフ首相やアッバース大統領にはこうした点についてもお伝えしたい。また,「二国家解決」を支持する日本の立場についても改めて明確にし,引き続きパレスチナの人々を支援していく姿勢を示したいと考えている。」と述べた。

 安倍総理は,「日本と中東地域との経済関係はエネルギー分野にとどまらない。今回の私の訪問にはエネルギーに加え,商社,金融,インフラ,製造などの分野における日本が誇る企業のトップが同行している。今回の訪問により,各国における日本企業の関心が高まり,投資や事業が拡大し,日本と中東地域の関係のさらなる強化の礎となることを期待している。」と述べ,「このように,日本は,中東地域の平和と安定のための重要なパートナーとしての協力関係を強化すると共に,中東和平問題への積極的な関与を始めとして,地域の平和と安定に貢献していく考え。今回の訪問が,日本と中東諸国との絆を更に深める機会となることを心から期待している。」と続けた。

 シリア情勢,イスラエル・パレスチナ情勢等,緊迫する中東情勢に対する日本の見方や現在の中東情勢において日本が果たせる役割につき質問したところ,安倍総理は,「歴史的経緯に起因する中東地域における様々な対立,イスラエルとパレスチナの和平問題,そして原油や天然ガスといったエネルギー資源に関連する問題が複雑に絡み合い,そこに暴力的過激主義が加わったことにより,中東地域は様々な問題を抱えることになったと認識している。」と述べた。

 その上で,安倍総理は,中東の平和と安定は日本を含む世界の平和や繁栄に直接関わっており,中東地域全体の情勢を改善していくことに,日本は貢献して行きたいと考えていると説明しつつ,「シリアの内戦が継続し,多くのシリア人が難民,避難民として厳しい生活を強いられていることに心を痛めている。即時停戦と人道アクセスを求めるとともに,国連の下での政治プロセスを通じて問題が解決されるよう,日本は国際社会の努力を後押しするとともに人道支援を行っていく。シリアでは化学兵器の使用が問題になっている。日本としては,化学兵器の使用は極めて非人道的な行為であり,いついかなる場合でも許されるものではない,と考えている。」と述べた。

 安倍総理は更に,「イスラエル・パレスチナ紛争については,直接交渉が2014年に頓挫して以降再開の見通しは立たず,依然和平の実現にはほど遠い状況にあることを国際社会は大きく憂慮している。」と述べた。その上で,安倍総理は,引き続きイスラエル及びパレスチナが平和に共存する「二国家解決」の実現に向けて,様々なレベルで双方に働きかけを継続し,信頼醸成に取り組むという日本のコミットメントを強調しつつ,「日本は,長年,あらゆる中東の国々と良好な関係を築き,難民・人道支援,経済支援など,この地域の平和と安定に役割を果たしてきた。日本と中東諸国がエネルギー分野のみでつながる時代が過ぎ去った今,日本は中東諸国との経済関係を強化するのみならず,誠実な対話の橋渡し役としてこの地域の安定のためにより積極的に貢献していく考えである。」と述べた。

 最後に安倍総理は,中東地域への今次訪問に関し,「私は,就任以来,6回にわたり,計11か国・地域を訪問し,政治,経済,安全保障,文化,社会などの幅広い分野で,アラブ諸国と包括的な関係を築くことを目指してきた。日本と中東諸国の関係強化の可能性は無限に広がっている。輝かしい未来に向かって,共に歩んでいきたいと考えている。」と述べた。


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