寄稿・インタビュー

サバフ紙(トルコ)による安倍総理大臣インタビュー

(2015年11月13日付)

「日本の安倍首相,サバフ紙単独インタビュー:トルコの2023年目標に全面的に協力」

平成27年11月17日

(問)今回のトルコ訪問の狙いを伺いたい。トルコと日本の125周年におよぶ友好関係への評価を踏まえ,両国関係の将来的な展望をどのように考えるか。トルコの原子力発電所計画を含む大型インフラ案件や学術・文化交流にいたる幅広い点につき,具体的なお考えを伺いたい。

(安倍総理大臣)今年は,1890年に日本近海で遭難したエルトゥールル号事件から125周年,そして1985年にトルコによりテヘランから邦人が救出された事件から30周年という記念すべき年にあたります。
 このような節目の年に,先月はエルドアン大統領を日本でお迎えして有意義な会談を行うことができましたが,その後1ヶ月もたたずに,今度は私が総理就任以来3度目となるトルコ訪問を行えることを大変うれしく思います。このように緊密な首脳間の相互訪問を通じて,日本とトルコとの関係を飛躍的に発展させていきたいと考えています。
 今回のトルコ訪問では,イスタンブールにてエルドアン大統領との首脳会談で様々な問題につき意見交換を行うとともに,日本のビジネス・リーダー達の参加も得て開催される「日本・トルコ・ビジネスフォーラム」にダーヴトオール首相と共に出席します。このフォーラムには両国の企業トップが一堂に会し,経済・投資関係の強化について意見交換が行われる予定であり,日本とトルコとの経済関係を一層拡大することにつながると期待しています。
 日本は,シノップ原子力発電所を始め,イズミット大橋など,トルコを象徴するメガインフラプロジェクトに積極的に協力してきています。今後も,トルコ共和国建国100周年となる2023年に向けて,橋梁,発電施設,病院,高速鉄道や通信衛星など,トルコの発展に不可欠となる多くの重要なインフラ事業に,日本企業の技術が貢献することを期待します。
 また,エルトゥールル号事件とテヘラン邦人救出事件を描く,日土合作映画「海難1890」のプレミア上映式典等に出席し,両国の友好協力関係を更に強化したいと考えています。
 この映画で描かれているように,トルコは海で受けた恩義を95年後に空で返してくれました。さらに,近年では東日本大震災とトルコ東部大地震での無私の助け合いも見られました。両国国民間の深い絆の下,日本とトルコの友好協力関係が,ますます発展していくことを確信しています。
 イスタンブール市は私の地元である下関市と40年以上にわたり姉妹都市交流を続けています。そのイスタンブールにあるバルタリマヌ日本庭園は,下関市の技術協力とトルコの人々の情熱によって支えられてきたものですが,今回,両国の皆様の尽力により美しく生まれ変わった庭園の改修記念式典に出席出来ることも大変うれしく思います。
 バルタリマヌ日本庭園の例に限らず,両国間の文化・人的交流は盛んです。本年は,日本人とトルコ人がともにノーベル賞を受賞し,両国の科学技術の高さを示しました。現在検討が進められている日トルコ科学技術大学がトルコに設立されることにより,両国間の学術交流,そして未来を担う若者世代を中心とした人的交流がますます促進することを心より期待しています。

(問)今回のG20首脳会合で日本が成果として目指すこと,また2015年の世界的なアジェンダにおける最重要事項は何だとお考えか。特に,混迷を深めるシリア問題の政治的解決に向けて,日本としてどのようなアプローチを取ろうとしているか。

(安倍総理大臣)本年のG20 首脳会合をトルコが主催されることに対し,心よりお祝い申しあげます。アンタルヤG20 首脳会合が大成功を収めるよう,私は,議長を務められるエルドアン大統領に全面的に協力していく所存です。
 G20首脳会合では,世界経済の持続的な成長に向けた各国の取組み強化,連携を訴えていきます。また,強固で包摂的な成長を実現する上で,「質の高いインフラ投資」が重要であることについても訴えていきたく思います。
 2015年の世界的なアジェンダである気候変動について,今月末からパリで開催されるCOP21において,全ての国が参加する新たな国際枠組みに合意が得られるように,G20首脳が強いメッセージを出すことが重要と考えています。
 シリア情勢については,人道状況の悪化と長期化を強く懸念しています。トルコが200万人以上のシリア難民を受け入れていることに心より敬意を表します。日本としても,トルコが受け入れている難民への支援として,UNHCRやUNICEFなどの国際機関,また日本のNGOを通じて1,500万ドル以上の支援を行っています。
 1,000万人を超えるシリア難民・国内避難民やホストコミュニティ等に対する切れ目のない支援により,情勢悪化を食い止めることが重要です。目の前の問題に対処すると同時に,難民流出の根本的な原因を解決するためには,民生の安定や復興支える人材育成が重要です。
 日本は,「中庸が最善」との考えの下,食料や医薬品などの人道支援を行うと共に,インフラ整備や人材育成等の支援にも注力してきました。シリア危機発生以来の日本のシリア及び周辺国支援は総額11億ドル以上にのぼりますが,この中には,保健・衛生,食料といった短期的に必要な支援だけではなく,女性・子ども,教育といった中長期的に必要な支援も含まれます。
 政治プロセスについては,シリア人主導の移行プロセスを定めた2012年のジュネーブ・コミュニケを通じた政治的解決が基本と考えます。10月30日に関係国間で採択された共同声明も,この方向に沿ったものであると理解しています。日本としては,今後も,人道支援と政治対話への貢献を,車の両輪として取り組んでいく考えです。


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