世界の医療事情

アルバニア共和国

平成29年10月23日

1 国名・都市名(国際電話国番号)

 アルバニア共和国(ティラナ)(国際電話国番号355)

2 公館の住所・電話番号

在アルバニア日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Rruga e Kavajes Nd 50, H1 Kodi Postar 1023, Tirana
電話:04 454 7930,FAX:04 454 7934
ホームページ:http://www.al.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

3 医務官駐在公館ではありません

 在イタリア日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 アルバニアはバルカン半島南西部に位置します。アドリア海に面する西側海岸部は平野ですが,内陸部は山岳地帯が多く,コラビ山の標高は2,753メートルに達します。海岸部の低地は地中海性気候,内陸部の高地は大陸性気候で,夏の気温は30度以上となりますが,冬は海岸部で0度,内陸部では氷点下10度以下まで低下することがあります。人口は約300万人で,首都はティラナです。

 ティラナの人口は約37万人で,国のほぼ中央に位置します。緯度は北緯41度30分で,北海道の函館とほぼ同じです。気候は夏冬ともに温暖な地中海性気候です。

 上水道配管の保守が悪く劣化していることがあり,水道水は飲料に適しません。ボトルウォーターを勧めます。一部のレストランや屋台等では食品衛生管理が十分でないことがあります。特に夏場は食中毒に注意してください。

 第二次世界大戦後に鎖国状態が続き,1990年代に市場経済が導入されてからも,社会基盤の整備は進まず,医療水準は周辺諸国のレベルには達していません。特に国公立病院は設備の老朽化が進んでおり,邦人の方が受診・入院する際には著しいストレスを感じるかもしれません。

 首都ティラナでは,近年新しい私立病院が開設され,24時間体制で初期救急対応を行っている病院もあります。これらの病院では多くの部署で英語が通じますが日本語の通じる医療機関はありません。街中に薬局は多く,24時間営業の薬局も容易にみつかります。
 国公立・私立病院ともに,大きな手術や重症管理には十分対応できないので,重篤な病気や怪我の治療が必要な場合は,周辺の医療先進国か日本への移送が望まれます。移送には高額な費用が必要となりますので,渡航前に緊急移送特約付き海外旅行者保険への加入をお勧めします。

 緊急時も公的な救急車による搬送は期待できないため,後述の私立病院へタクシーを利用して受診するか,病院に直接連絡し,病院所有の救急車を手配することをお勧めします。その際,付添い者も同乗することが望まれます。

5 かかり易い病気・怪我

(1)交通事故

 運転マナーが極めて悪く,道路整備も十分に行われていないため,交通事故が頻発しています。地方都市では十分な医療は望めないので,シートベルトの着用や運転スピードの厳守など運転中の注意のみならず,歩行中にも十分な注意が必要です。

(2)犬咬傷・狂犬病

 ティラナで犬に咬まれて狂犬病に感染することはまれですが,咬まれた場合は暴露後ワクチン接種が必要です。コウモリや他のほ乳類によっても狂犬病は感染するため,ほ乳動物に咬まれた場合には,傷口を石けんと流水で十分洗い,狂犬病と破傷風に対する処置を受けるべきです。

(3)ダニ媒介性脳炎

 ヨーロッパからロシア極東・北海道に広く分布するダニを介するウイルス性中枢神経系感染症です。流行期は春~秋で,感染したマダニ類の刺咬により感染します。潜伏期は7~14日程度とされます。その他,山羊・羊・乳牛から採取された未殺菌のミルクや加工乳製品の摂取による感染の報告もあります。この場合の潜伏期間は短く,1~2日程度です。発熱,倦怠感,頭痛,悪心・嘔吐などが見られた後(第1期),数日間の無症候期を経て,第1期で症状を呈した方の約3分の1が中枢神経系の障害へと進展します(第2期)。死亡率は少なくとも1%以上と報告されています。
 本疾患に対するワクチンの予防効果は高く,特に農作業や森林事業に従事する方,郊外や森林でハイキングやキャンプをする方,アウトドアスポーツをする方にはワクチン接種が推奨されます。本ワクチンは日本国内未承認であるため,本邦で接種する場合は輸入ワクチンを扱っているトラベルクリニックを受診する必要があります。有効レベルの抗体価ができるまで数週間を要しますので,早めに接種計画を立ててください。

(4)バルカン・バイパー(Balkans viper snake

 致死率は非常に低いですが,山岳地帯に有毒ヘビが生息していることから,ハイキング等の際には注意が必要です。血清の入手に関してはマザー・テレサ病院に確認してください。

(5)B型肝炎

 人口の2%以上が感染しているとされています。血液や体液を介して伝染するウイルスにより起こる病気です。医療機関を受診する際には,外国人も利用する医療レベルの高い私立医療機関で治療を受けるようお勧めします。輸血用血液はB型肝炎の検査済みとされていますが,必ずしも安全とはいえません。B型肝炎は性行為によっても伝染します。ワクチンで予防出来ますので,予防接種をお勧めします。

6 健康上心がける事

  • (1)真夏には熱中症対策を,冬には十分な防寒対策をしてください。
  • (2)上水道の保守が不十分な場合があり,飲用には市販のボトルウォーターの使用が推奨されます。
  • (3)動物には近づかない,刺激しない,餌をやらない等の注意をしてください。夜間の公園等に餌を求めて野犬の群れが徘徊していることがあります。
  • (4)野外活動時にはダニに刺されないよう注意してください。皮膚の露出を減らし,靴下・靴の着用が必要です。防虫剤の使用も有効です。
  • (5)A型肝炎発生率は低くなってきていますが,西欧先進国と比較するとある程度のリスクが存在します。予防には手洗い,加熱したものを食べる習慣付けに加えてワクチン接種が推奨されます。
  • (6)常備薬を携行しましょう。当地で購入できる医薬品は日本と常用量の設定が異なっている場合も多く,使用の際には注意が必要です。

7 予防接種

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 成人・小児とも,本邦からの入国に際して必要な予防接種はありません。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン 初回 2回目 3回目 追加1回目 追加2回目 追加3回目
DTP+Hib+B型肝炎 2か月 4か月 6か月      
DTP       2歳    
DT         6歳  
Td           14歳
B型肝炎 出生時          
ポリオ(IPV) 2か月 4か月        
ポリオ(経口)     6か月 2歳 6歳  
MMR 1歳     5歳    
肺炎球菌 2か月 4か月 10か月      
BCG 出生時          

 DTP:ジフテリア+破傷風+百日咳,DT:ジフテリア+破傷風,Td:ジフテリア+破傷風(大人用),Hib:インフルエンザ菌b型,MMR:麻しん+おたふくかぜ+風しん

 参照:http://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/countries別ウィンドウで開く

8 病気になった場合(医療機関等)

首都ティラナ

 近年私立医療機関の新設がつづき,設備面では先進国レベルに達している医療機関もありますが,専門的知識を要する診断や治療レベルには不安が残ります。診断や治療レベルは医師個人の力量によるところが大きく,医師の施設間や国内外の異動の多さから,口コミで良い専門医を探す必要があります。

【ティラナの私立病院(順不同)】

(1)Hygiea病院(Spitali Hygeia Tiranë:アルバニア語)
所在地:KM 01 i rrugës dytësore të Autostradës Tiranë-Durrës. Tirana
電話:04 23 90000,救急 04 23 23000,FAX:04 23 88996
ホームページ:http://www.hygeia.al/別ウィンドウで開く
概要:ギリシャのHygieaグループにより2010年開設。施設やサービス面では,ティラナ随一の私立医療機関です。入院病床220床,手術室12室,ICU16床,NICU,PET-CT,1.5テスラMRI,64列CT,血管造影設備,各種内視鏡などの最新設備,リニアック(放射線治療装置)や人工透析などの検査・治療設備を備える総合病院です。約100名の常勤医師と,200名の非常勤の協力医師が治療に当たっており,救急部門は24時間医師が常勤し,病院所有の救急車が3台あります。英語が通じます。
病院1階に歯科(Advanced Dental Center)が2016年開設され,歯列矯正やインプラントもおこなっています。小児用治療室もあります。
(2)ABC health center
所在地:Rruga Qemal Stafa 260, Tirana
電話:04 2234 105
ホームページ:http://abchealth.org/別ウィンドウで開く
概要:ティラナ唯一の私立プライマリ・ケア診療所を自負。妊婦健診,乳児健診をはじめ,普段のかかりつけ医として,外国人コミュニティーの信頼も厚いようです。アルバニアの公的小児予防接種をはじめ,ロタウイルス等は,それぞれの母国のスケジュールでも対応してもらえます。英語が通じます。
(3)American Hospital 2
所在地:Rruga e Dibres, Tirana
ホームページ:http://www.spitaliamerikan.com/別ウィンドウで開く
概要:ティラナに3施設を有するAmerican Hospitalグループの1病院。2011年開設。マザー・テレサ病院の向かいに位置します。24時間救急,手術室3室,ICU8床,透析施設などを有する総合病院です。American Hospitalは,3>2>1の順に規模が大きく,MRIや心臓カテーテルの設備があるのはAmerican Hospital 3のみです。多くの部署で英語が通じます。

【ティラナの公立病院】

 約100万人がティラナ診療圏に居住しています。首都ティラナの公的医療サービスの問題点は,一次医療機関として入院施設のないヘルスセンターがあり,二次医療機関がないことで,三次医療機関のティラナ大学付属の以下4つの大学病院が二次医療機関の役割も果たしており,大変混雑しています。

  • “Mother Teresa” University Hospital Centre of Tirana
  • University Hospital of Lung Diseases “Shefqet Ndroqi” Tirana
  • Trauma University Hospital, Tirana(旧Military Hospital)
  • University Hospital for Obstetrics and Gynaecology “Queen Geraldine”, Tirana

 マザー・テレサ病院は規模が最大で,病床数約1600床,年間入院患者数約75,000人を数え,460名の常勤医師と138名の医学部教授を擁する国内随一の公立高次医療機関です。公立病院はアルバニア語しか通じないところがほとんどです。また,医療設備が旧式のことも多く,やむを得ない場合の除き原則的には私立医療機関をお勧めします。

9 その他の詳細情報入手先

10 現地語・一口メモ(カタカナ表記は参考です)

英語に関しては,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照ください。

【アルバニア語】

  • 病院:spital(スピタール)
  • 医師:mjek(ミエーク)又はDoctor(ドクトール)
  • 飲み薬:ilaç(イラチュ)
  • 注射:injeksion(インエクシオン)又はVaksinë(ヴァクシーヌ)
  • 頭痛:dhimbje koke(ディムビエ コーケ)
  • 腹痛:dhimbje barku(ディムビエ バルク)
  • 胸痛:dhimbje gjoksi(ディムビエ ジョクシ)
  • 下痢:diarre(ディアレ)
  • 発熱:me temperaturë(メ テムペラトゥール)
  • 吐き気:të përzier(テ ペルヅィエール)
  • 傷:plagë(プラーグ)
このページのトップへ戻る
世界の医療事情へ戻る