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ロシアの学校では今
サンクトペテルブルク編

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第83番学校


学校全景。サンクトペテルブルク北の住宅地にあります。学校のエンブレムには折り鶴とバラの花が描かれています

 サンクトペテルブルクはロシアの北西,バルト海に面したロシア第二の都市で,エルミタージュ美術館やマリインスキー劇場など,ロシアが世界に誇る美術館や劇場が集まる歴史と文化にあふれた美しい街です。今回ご紹介するのは,サンクトペテルブルク市内で日本語教育に最も力を入れている公立学校の第83番学校です。

「ばらの学校」


一年生。学校には制服があり,低学年は若々しい緑,高学年は大人っぽい濃紺の制服です。胸には学校のエンブレムが

 「バラが咲いた バラが咲いた」の出だしで有名な浜口庫之助作詞・作曲の「バラが咲いた」を校歌に,また折り鶴とバラを学校のエンブレムとしている学校が,日本ではなくロシアのサンクトペテルブルクにあると知ったら驚く人も多いかもしれません。第83番学校は「バラの学校」として日本語や日本の文化を多く取り入れていることが特色です。

 第83番学校は11年制をとるロシアの典型的な小中高一貫教育校で,現在977名の児童・生徒が学んでいます。約半数の子どもたちが二年生から週2回,日本語を勉強しています。また,一年生の時から日本語の基本的な挨拶や折り紙などの日本の文化に触れ,二年生からの日本語授業の開始に備えています。さらに,語学を勉強するためには言葉だけでなく,言葉の背景にある文化の知識も必要であるという学校の方針の下,習字や弓道,歌や踊りも授業に取り入れられています。学内だけでなく,サンクトペテルブルク市内で行われる様々な行事に招待され,踊りを披露するなど,その成果を発揮しています。


書道や弓道の授業もあります

 このように日本を近い存在と考えている第83番学校にとって,東日本大震災は遠い国の事件ではありませんでした。震災後,子供達は被災者を思って千羽鶴を折り,毎年3月11日には折り鶴やお花を総領事館に届けてくれています。

学校で朝食を


自慢のピロシキ。自前のオーブンで焼いたピロシキは絶品です

 授業は朝9時から始まり,昼食を挟んで6時間目まであります。日本の学校との違いは「朝食」もあることです。学年によって違いますが,10時からお昼までの時間に,サラダなどの簡単な食事が学内の食堂で提供されます。お昼ご飯を楽しみにしているのは世界の子供共通です。お昼は学年で時間をずらして食堂でとります。食堂には厨房もあり,調理も学校で行っています。ボルシチなどのロシアの伝統的な料理が出されますが,校長先生のおすすめはキャベツやリンゴが入ったピロシキだそうです。食費は1年生から5年生までは無料。6年生以上は自己負担となりますが,兄弟・姉妹が多い「大家族」の子供などは割引されるなどの配慮もあります。


一年生の折り紙作品。ロシアの民話「大きなかぶ」を折り紙で再現

 6時間目が終わったら,学校内でクラブ活動に参加します。スポーツのクラブや音楽や手芸,また折り紙といった日本文化に関するクラブもあります。クラブが終わって16時から17時に学校から帰宅します。

緊張の口頭試験


先生の目の前での口頭試験はかなりのプレッシャーです

 ロシアでは新学年は9月に始まり,5月に終わります。学校を訪問した5月15日は,5月28日の終業式「最後の鐘」を控え,期末試験の真っ最中でした。ロシアの学校では口頭試験が重視されるのが特徴です。


5年生の日本語試験の課題曲「崖の上のポニョ」を歌う子どもたち

 9年生の日本語の口頭試験の様子を例としてご紹介しましょう。学生はまず「ビレット」(チケット)という裏返しになっている紙を1枚めくります。「ビレット」には「日本のシンボル」「日本の気候」や「日本の地理」などのテーマが書かれています。生徒には一定の時間が与えられ,めくった「ビレット」に書かれているテーマについて日本語でのスピーチの準備をします。その後,先生の目の前でテーマに沿ったスピーチを行い,スピーチ後に先生から出される関連の質問に答えます。先生の目の前での外国語でのスピーチ,しかも同じ教室内のクラスメイトも聞いている中でかなりの緊張を強いられる試験ですが,どの生徒も臆することなく素晴らしい日本語でスピーチをこなしていました。このような厳しい試験を経ていることもあってか,9年生以上の高学年生徒は,観光客の多いサンクトペテルブルクで日本語のガイドとして活躍しているそうです。

夏休みの過ごし方

 試験を終えて6月から8月の3ヶ月は夏休みですが,遊んでばかりはいられません。多くの生徒はサマーキャンプなどで勉強を続けます。ロシアでは共働き世帯が多いので,学校が休みの間は,サマーキャンプなどに子供を預けることが広く行われています。

 第83番学校で日本語を学んだ生徒達の多くは,大学でも日本語の勉強を続けているそうです。最終学年である11年生のエベリーナさんの夢は,通訳となって日本とロシアの架け橋になることだそうです。いつか皆さんがサンクトペテルブルクを訪問される際には,通訳として活躍しているかもしれませんね。


  • 9年生は,ロシアとサンクトペテルブルクについて日本語で発表してくれました

  • 将来の夢は日露通訳という11年生のエベリーナさん

  • 桜祭りにて。市内の様々な行事でも,歌や踊りなど日頃の練習の成果を披露しています

(2015年7月)