平成17年5月17日
アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領は、5月15日(日曜日)~17日(火曜日)まで、実務訪問賓客として訪日したところ、概要と評価は以下の通り。同大統領には、キドワ外務庁長官およびシノクロト国民経済庁長官他が同行した。
(1)5月16日(月曜日)に首脳会談、総理主催晩餐会が開催され、17日(火曜日)に町村外務大臣との会談が行われた。
アッバース大統領は、「ロードマップ」に基づいて和平努力を進めていく決意を示し、治安面でこれまでにとった具体的措置及び行政・経済面での改革等につき説明した上で、今後も改革を継続していく、暴力の文化を平和の文化へと変えたい旨発言した。また、今夏に予定される立法評議会選挙は公正かつ透明な形で実施したい旨述べた。イスラエルとの関係では、分離壁建設及び入植活動は難しい問題であるが、話し合いによる解決という基本政策は変えないと発言した。そして、今回の訪日招待及び我が国の対パレスチナ支援に対して謝意を表明すると共に、我が国の政治的役割への期待を述べた。さらに、小泉総理に対するパレスチナ訪問、町村外務大臣に対する同再訪問の招請があった。また、日本でシャロン首相と会談する機会が生じるのであれば、前向きに対応する考えである旨述べた。
日本側は、アッバース大統領の和平努力を支持し、和平プロセス前進とテロ取締りに向けた努力の継続を求めつつ、歴史的機会が存在する中東和平プロセスの進展に向けてアッバース大統領の和平努力を最大限支援する方針を表明。その一環として、昨年度の9000万ドルの対パレスチナ支援に加え、当面1億ドル程度の支援を行う考えを表明した。この中で、円滑なガザ撤退のための民生安定化支援やパレスチナ経済自立化に向けて農業、観光、インフラ整備等の分野に対する支援も検討していきたい旨表明した。そして、具体的な支援策等について議論するために今夏から秋にかけて日・パレスチナ閣僚級協議を東京で開催することにつきパレスチナ側と合意した。また、パレスチナ立法評議会選挙が成功裡に実施されるため、選挙監視団の派遣を含めた支援を検討したい旨発言した。そして、イスラエルに対しても、シャロン首相を訪日招待し和平努力を直接働きかける旨表明した。
(2)また、アッバース大統領は、徳仁皇太子殿下に接見し、衆・参両院議長、与党幹事長、民主党党首、JICA総裁と会談し、日パレスチナ議連昼食会に出席した。また、日本記者クラブで記者会見を行うと共に、複数の邦人プレスとの間で単独インタビューを行った。
(1)今回の訪日は、今夏のイスラエルによるガザ地区等からの撤退、パレスチナ立法評議会選挙等中東和平プロセスが重要な局面を迎える中、2000年以来5年ぶりのパレスチナ暫定自治政府の長による訪日となった。これは、我が国が和平プロセス前進に向け今まで以上に積極的役割を果たす一環として、首脳レベルで和平努力を直接働きかけるため招請し実現した。
(2)アッバース大統領からは、「ロードマップ」にコミットし、困難な状況の中で和平努力を継続することが表明され、我が国は、アッバース大統領の和平努力を支持・支援する方針を表明。その一環として、昨年度9000万ドルの支援に加え、新たに当面1億ドル程度の支援を実施する方針を表明した。
(3)アッバース大統領は共同記者会見等を通じ、我が国世論に和平への決意のメッセージを発出し、今次訪問では内外の中東和平に関する関心を高める機会となった。