外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 会談・訪問 主な要人の来日日程
主な要人の来日日程

アナン国連事務総長の訪日
(成果と概要)


平成16年2月25日


 2月21日から25日まで、アナン国連事務総長は、外務省賓客として訪日し、小泉総理や川口大臣との会談及び夕食会、天皇陛下への謁見、経済界や国会議員との意見交換、国連事務総長として初めてとなる国会演説等を行ったところ、アナン事務総長の訪日の成果及び概要は以下のとおり。

【成果】

1.日本と国連の協調関係の強化の確認

 イラク問題で極めて重要なこの時期に、アナン事務総長の訪日を得て、イラク問題をはじめとする国際情勢、国連改革を含む国連のあり方、日本と国連の関係等について率直な意見交換を行い、将来に向けての日本と国連の協調関係の強化を確認した。

2.イラク問題

 今回、アナン事務総長に対し、直接、自衛隊派遣を含む我が国のイラク貢献の考え方を詳細に説明し、事務総長の理解と支持を得た。政治プロセスを含むイラク復興プロセスへの国連の一層積極的な関与の姿勢を確認することができた。

3.国連改革

 安保理改革を含む国連改革を早期に実現することについても意見の一致を見た。また、日本の高い分担率、国連予算の増加傾向、国連事務局の少ない邦人職員数についての日本の不満を率直にアナン事務総長本人に伝達しその努力を求め、これらの問題に対するアナン事務総長の前向きな姿勢を確認できた。

4.国会演説(仮訳:別添)

 アナン事務総長より、国会の場を通じて、広く日本国民に対して、イラクの復興を始めとする幅広い分野での日本の貢献についての高い評価、国際社会の平和と繁栄に向けての日本と国連の一層の協力関係の重要性を伝えることができた。


【概要】

1.小泉総理との会談及び夕食会

(1) イラク問題
 小泉総理は、イラク再建は国際社会が失敗してはならないことを伝え、アナン事務総長も、イラクの不安定化は中東地域、世界全体に悪影響をもたらすもので、国際社会が一丸となってイラク復興に取り組まなければならないと応じた。小泉総理は、自衛隊のイラク派遣に関する経緯を重点的に説明し、日本の対イラク貢献の考え方を詳細に伝えた。これに対しアナン事務総長は、日本の行っている貢献は、正しいものである、総理の指導力、ビジョンを賞賛すると述べた小泉総理は、国連は一層の役割を果たすべきであると述べたのに対し、アナン事務総長は、治安面での制約はあるが、国連としては一層積極的にイラクでの役割を担う用意があると述べた

(2) 国連改革
 小泉総理は、アナン事務総長が設立したハイレベル委員会の活動が重要であり、日本として活動を支援していくと述べ、アナン事務総長は、ハイレベル委員会の委員である緒方JICA理事長の助言に期待していると述べた。また、安保理改革を含む国連改革の早期実現が必要であること、旧敵国条項が時代遅れであることについて意見が一致した

(3) 北朝鮮問題
 小泉総理は、核問題、ミサイル問題、拉致問題を含む諸問題について、六者会合のプロセスを通じて、平和的・外交的手段によって包括的に解決するとの我が国の立場を説明し、アナン事務総長より十分な理解と支持を得た。また、アナン事務総長は、拉致問題が日本にとって重要な問題であることを理解していると述べた

(4) 水に関する国連の賢人会議
 アナン事務総長は、水に関する国連の賢人会議を設置したいとして、橋本元総理にその会議の議長に就任して頂こうと考えているとの発言があった。

2.川口大臣との会談及び夕食会

(1) イラク問題
 川口大臣は、イラクの復興に国連が一層積極的に関与していくことが重要であり、日本として国連の取組を強く支援していくことを述べ、総額5億ドル(注)の拠出を行うことを表明した。また、イラクの人道復興支援のため日本が自衛隊派遣等できる限りの協力を行っていることを説明したアナン事務総長は、自衛隊派遣を含む日本のイラク支援について感謝すると共に、イラク復興には国際社会が連帯して支援することが重要であると述べた
(注)信託基金に平成15年度予算で4.5億ドル(内訳:国連管理部分に3.6億ドル、世銀管理部分に0.9億ドル)、平成16年度予算承認後、0.4億ドルを信託基金の世銀管理部分に、0.1億ドルを国際金融公社に拠出

(2) 北朝鮮問題
 川口大臣は、北朝鮮問題を平和的・外交的な手段で解決し、特に核開発計画について、完全で検証可能かつ不可逆的な形での廃棄に向けて交渉する我が国の立場を伝達した。アナン事務総長は、北朝鮮問題が外交的・政治的に解決されることを希望すること、国連として3月後半にもストロング特別顧問を訪朝させると表明した。また、拉致問題が日本国民にとって極めて重要であり、国全体が苦しんでいることを理解したと述べた

(3) 国連改革
 川口大臣は、日本が提唱している2005年の国連改革に関する首脳会合の開催について事務総長のサポートが欲しいこと、国連予算の増加傾向に懸念を表明し、予算の透明性、効率性、有効性の向上、更なる経費削減について事務総長のリーダーシップを求めた。また、事務局内の邦人職員数が低いことに事務総長の配慮を要請した。さらに、旧敵国条項が依然として削除されないことに国内に大きな不満があることを伝達した。アナン事務総長は、日本の国連改革に関する有識者懇談会の報告書を早急にハイレベル委員会にインプットして欲しいと述べると共に、旧敵国条項に関する日本の考え方は理解していると述べた。国連予算については、効率性を高めるために更に努力すると述べた。また、貧困対策、飢餓対策等の国連の諸機関の活動は、日本の任意拠出金で支えられており、日本の今後の支援を要請した。

(4) 日本のイニシアティブ
 その他、川口大臣は、平和の定着、人間の安全保障、アフリカ問題(TICADプロセス)、環境、国連防災会議、エイズ等の問題への日本の取組を説明した。アナン事務総長は、日本の積極的なイニシアティブに感謝すると述べ、日本と国連の協力関係を一層強化していくことで意見が一致した

3.国会演説

 同演説において、アナン事務総長は、イラクの復興を始めとして、平和維持、人権、開発の分野での日本の貢献について高い評価を示し、国連改革に関する日本国民の問題意識に誠実に答えるとともに、国連にとっての日本の重要性を強調した。


BACK / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省