コチャリャン・アルメニア大統領の訪日
(概要と評価)
平成12月12月25日
1.今次訪問の概要
コチャリャン・アルメニア大統領は、12月19日~22日の日程で公式実務訪問賓客として初来日した。
天皇陛下、小泉総理、平沼経済産業大臣、日本アルメニア友好議員連盟(会長:中山太郎衆議院議員)の設立式出席、経済界、プレス等との会見、懇談等を行ったほか、首脳間の共同声明の署名を行った。
また、随員であるオスカニアン外務大臣は田中外務大臣と会談し、2件の無償協力文書に署名を行った。
2.訪日の具体的成果
(1)首脳会談(19日16:30~)
- 小泉首相より以下の点を表明した。
コーカサス地域は欧州、アジア及び中東を結ぶ回廊にあたり、地政学的に重要である。日本は地域全体の安定と発展に関心があり、アルメニアが旧ソ連邦諸国の中でも早期に民主化・市場経済化に着手し、構造改革に継続して取り組んでいることを評価する。また、アルメニアがテロと戦う国際社会の取組に支持を表明していることを評価する。
- コチャリャン大統領より以下の点を表明した。
日本の経済援助に対して感謝の意を表明し、民間経済関係を含めた幅広い2国間の交流が拡大することに期待するとともに、国際社会における日本の役割に期待し、日本の国連常任理事国入りを支持する。
(2)共同声明等への署名
今後の両国間の関係を発展させるための共同声明(1件)、一般無償資金協力(1件)及び文化無償協力(1件)へのE/N署名、開発調査(1件)のS/W署名が行われた。
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(イ) |
「日本国とアルメニア共和国との友好とパートナーシップに関する共同声明」(両国首脳間) |
(ロ) |
「医療機材整備計画」(一般無償)(両国外相間) |
(ハ) |
「マテナダラン古文書館に対する古文書保存機材」(文化無償)(両国外相間) |
(ニ) |
「鉱業振興マスタープラン」(開発調査)(チシマリチャン産業貿易相と望月JICA理事との間) |
*「友好とパートナーシップに関する共同声明」の主たる内容
- 政治、経済、文化等の分野で互恵的な二国間関係を発展させることの必要性を指摘。
- 国連・その他の国際機関で積極的に協力。安保理改革の早期実現の必要性を強調。アルメニア側は、日本の安保理常任理事国入りへの支持を重ねて表明。
- 議会間協力の重要性につき認識。日・アルメニア議員連盟及びアルメニア・日本議員連盟の設立を歓迎。
- 軍縮・軍備管理・不拡散の分野での協力を一層強化。
- 全ての形態のテロ行為を非難。対テロの国際協力の強化が緊要。米国におけるテロ攻撃を最も強い言葉で非難。
- 日本側は、アルメニアの経済改革努力を歓迎し、その努力を支持。
- アルメニア側は、日本のODAに感謝。
3.評価
(1) |
今次コチャリャン大統領の訪日は、アルメニア政府首脳による初めての公式訪問であり、小泉首相との会談を始めとする政府要人及び経済界、プレス等との会見、懇談等を通じて、日本各界との相互理解を深めることができた。 |
(2) |
両国首脳間により署名された共同声明により、今後の両国関係発展のための基本的枠組みが確立された。 |
(3) |
アルメニアは旧ソ連の解体以降、民主化、市場経済化に向けての改革を行っているところ、日本は、かかるアルメニアの改革の促進に寄与すべく可能な限り協力を行っていくことを確認した。 |
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