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小泉総理大臣


日独首脳会談後の共同記者会見記録


 8月18日、小泉総理とシュレーダー首相は、日独首脳会談後の共同記者ぶら下がりを11時25分から約40分間に亘って行ったところ、その概要以下の通り。


1.シュレーダー首相冒頭発言

 小泉総理の訪問を歓迎する。今回の会談では2国間関係のみならず、国際情勢についても種々話し合いを行った。また、小泉総理はワーグナーの大ファンでもあり、本日会談終了後、バイロイトに行って、ワーグナーの音楽を一緒に聞くのを非常に楽しみにしている。本日の協議から、経済関係のみならず、我々が互いの文化を尊重していることがお分り頂けると思う。ドイツは日本の文化を愛しているし、おそらく、日本もドイツの文化を愛してくれていると思う。
 日独経済関係は良好であり、また良好であったとしてもさらに改善するよう、経済関係の強化で合意した。また、若い学者の交流を強化すること、経済関係のみならず、有識者による学術交流を深めることで合意した。
 国際情勢については、北朝鮮の問題につき、拉致問題の解決に努力している日本政府の立場について、ドイツの理解と支援を表明した。ドイツとしても、拉致問題の解決が難しいことは十分理解している。今後六者会合を通じて、核問題の解決にむけて努力がなされるが、北朝鮮を孤立させずに取り込んでいくという日本のアプローチについて、賞賛の意を私から総理にお伝えした。
 イラク問題については、日独間に戦争に至るまでの立場の違いはあったが、過去にこだわるよりも、人道・復興支援への取組が重要であり、イラクの安全と民主化のために協力していきたい。イラク及び周辺諸国の安全確保が重要である。アフガニスタンについては、小泉総理より、ドイツによる復興・安定のための物質的・軍事的支援についての高い評価をいただいた。ドイツは、バルカン半島とアフガニスタンにおいて、多大の努力を行っており、そのほかに支援を拡大する余地は限られることをお話しした。


2.小泉総理冒頭発言

 今日は、4月に引き続き本年3度目のシュレーダー首相との会談となった。シュレーダー首相の招待に厚く御礼申し上げる。
 ドイツは、来年10カ国の加盟を控える拡大EUの中核として、大きな役割を担っている。日独関係は良好であるが、さらに発展していくよう、国際場裏における日独協力を深め、日EU関係の発展を図っていきたい。
 また、日独間では、若い世代の交流を活発化させることが非常に重要であると考えている。2005年には「日本におけるドイツ年」が開催される予定であり、本行事には、ラウ大統領とともに、日本の皇太子殿下が名誉総裁に就任されることになった。「ドイツ年」を通じて、ドイツの文化、学術などが日本国民に親しく理解されるよう、有効に活用し、もり立てていきたい。また、両国間で、学術研究交流を進めていくことが大切であり、今後若い世代に焦点をあてて、とり進めていきたい。
 国際情勢については、シュレーダー首相との間で、北朝鮮、イラク、アフガニスタンに関して話し合いを行った。日本とドイツは、国情は異なるが、独はアフガニスタンにおいて重要な役割を果たしており、また、過去の経緯は色々あるが、イラクにおける人道・復興支援につき、国際社会の責任ある一員として果たすべきことが多々あることを確認した。北朝鮮問題については、日本は北朝鮮との間で、平和的、外交的解決を目指している。今後六者会合が開始されるが、日本政府の拉致問題及び核問題に対する考え方につき、シュレーダー首相より力強い理解と支持を頂いたことに御礼申し上げる。
 昨年、カナナスキス・サミットから、日本でのサッカー・ワールドカップ、ドイツ・ブラジル決勝戦を観戦するために、日本の政府専用機でシュレーダー首相とともに、日本に帰国した。その専用機の中での会談は、今思い返せば、お互いの信頼と友情を深めるのに非常に役に立った、ということを申し上げたい。カナダから日本への道中、国際情勢からスポーツ、音楽、歴史など様々な話題につき、長時間に亘り話し合った。あの話し合いが、今日再度会談の開催につながり、また初めてバイロイトに行って、生でワーグナーを見る機会を得るきっかけとなった。シュレーダー首相との固く温かい信頼関係を、今後の日独・日EU関係の発展・強化につなげていきたい。シュレーダー首相の温かい御招待に厚く御礼申し上げる。


3.質疑応答

(1) (日本側記者)両国の首脳に質問する。北朝鮮の問題につき、本日の朝鮮労働新聞が、日本が六カ国協議で拉致問題を取り上げる場合には、強い対抗措置をとる、と報じているが、小泉総理には、対抗措置に言及されていることに対する感想と、対応につきお聞きしたい。シュレーダー首相には、ドイツと国交のある国からそのような発言が出ていることにつき、どの様に考えるかお聞きしたい。

(小泉総理)北朝鮮が、日本が拉致問題を取り上げた場合対抗措置をとるとのことだが、「拉致」というのはもともと非人道的であり、許されざる行為である。昨年、9月17日に初めて北朝鮮を訪問し、金正日と会談したとき、そのときまで、北朝鮮は、拉致問題は日本側のでっちあげであり、あり得ない、と言っていたのが、初めて拉致問題を認め、謝罪し、二度と起こさないということを金正日自ら約束した。その流れの中で、日朝平壌声明を発出した訳である。この声明においては、拉致問題及び核問題を総合的、包括的に解決していくとしており、この方針に則って解決していくということである。従って、北朝鮮がいくら挑発しても、冷静に、慎重に対応していくということであり、北朝鮮が国際社会で責任ある行動をとるよう、ねばり強く取り組んでいく。日本側の発言に北朝鮮が怒るのではなく、早く拉致家族を日本に帰すことが北朝鮮にとってもより良いということを、北朝鮮が理解するべきである。

(シュレーダー首相)すでに小泉総理にも、ドイツの世論にもお伝えしたが、ドイツは日本の立場を支持していく。これからも、独・北朝鮮間を含め、あらゆる協議の場を通じて、この立場を維持していきたい。

(2) (ドイツ側記者)両首脳にお聞きしたい。日本はイラクへの派兵を検討していると聞いているが、派兵の前提条件となるものは何か。また、本件についてのドイツの立場如何。

(小泉総理)イラクにおける日本の対応は一貫しており、戦闘には参加しない、武力行使は行わないという方針ははっきりしている。その中で、イラクの戦後復興・人道支援にふさわしい貢献を考えていく。去る7月にはイラク人道復興支援特措法が制定され、それを踏まえ、我が国の自衛隊をどの分野でどのように派遣していくかを検討する。今後、十分な現地調査を行い、どのような支援が有効かをよく調べた上で、非戦闘地域に限って派遣を考えていく。

(シュレーダー首相)ご承知のように、ドイツはイラクにおいて大規模な人道支援を行っているし、また、国連の要請があれば、復興支援についても行っていく。但し軍隊の派遣については、全く予定していない。

(3) (日本側記者)北朝鮮の核開発問題、拉致問題につき包括的な解決方法を目指すとの話があったが、核開発問題を仲介している中国から、本問題は、なお時間がかかる、との言及があった。小泉総理からシュレーダー首相に対して、具体的にどのような協力を求められる考えか。

(小泉総理)北朝鮮との六者会合における主要関心事項は核問題となろうが、日本は、核問題のみならず拉致問題も重要であることを主張していき、その進展を見守った上、日本として必要があれば北朝鮮との間でも十分話し合っていくということである。シュレーダー首相からは、こうした日本の方針につき、支持と理解を得られた。この問題については、エビアン・サミットでも取り上げ、シュレーダー首相からは、積極的な理解と今後の協力についての発言が得られた。ドイツは六者会合に参加しないが、拉致問題についても、ドイツをはじめ、国際社会が関心を持っているということが示されることが重要である。中国の発言にあったように、核問題の解決が容易ではないということは、日本もよく分っているが、本問題は日・北朝鮮間のみの問題ではなく、すべての国が関心を持っているということを、北朝鮮に対して明らかにし、その中で解決につなげていきたいと考えている。

(4) (ドイツ側記者)シュレーダー首相にお伺いしたい。愛知万博に独が参加すると聞いているが、シュレーダー首相はどのような形で参加することをお考えか。

(シュレーダー首相)この質問が出されることを知っていれば答えを用意するところだったが、手元に関係資料がないので、具体的な回答は避けさせて頂く。但し、どのような形であれ、参加する、ということは約束する。一つ、本件に関連してコメントさせていただければ、万博は私と緊密な関係にあるドイツの大都市と関連する話題であり、それはご存じの通りハノーバーである。ハノーバー万博で最も素晴らしいパビリオンの一つが日本のパビリオンであったことを申し上げたい。

(小泉総理)ドイツの愛知万博への参加にお礼申し上げ、大いに歓迎したい。



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